小田急7000形電車
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7000形電車(7000がたでんしゃ)は、小田急電鉄の特急形車両(ロマンスカー)。愛称は「LSE(Luxury Super Express)」。 1981年度鉄道友の会第24回ブルーリボン賞受賞。各運転席の入口付近にブルーリボン賞受賞記念プレートを貼付している。
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[編集] 概要
3100形NSEの登場から18年経った1980年(昭和55年)末に第1編成が就役。以後、1981年(昭和56年)、1982年(昭和57年)および1984年(昭和59年)に各1編成の合計11両編成4本(44両)が日本車輌製造・川崎重工業にて製造された。
[編集] 車両構造
編成組成はMT比9M(電動車)2T(付随車)の連接式11連である。なお、3100形では少なくとも前後どちらかが電動台車だったため全車がデハであったが、7000形では前後とも付随台車に跨ったサハとなる形式が初めて登場している。台車数でみた場合のMT比は8:4で、3100形と同じである。
車体構造は、従前の小田急ロマンスカー3000形「SE」・「SSE」・3100形「NSE」では「中央部低床構造」を採用したが、この形式では、通常の「平床構造」とした。先頭部分は、3100形「NSE」で好評を博した「展望席」を設置しているが、前面の傾斜角度をきつくし、かつ前照灯や油圧緩衝器突当座等を車体内に埋め込むことで、3100形「NSE」とは異なるデザインとなった。
運転席は、全電気指令式ブレーキの導入に伴い小田急では初めてワンハンドルマスコンを採用した。加えて平床構造となったため、3100形「NSE」の運転席より広くなっている。
設計当初は、もっと「シャープ」な形状にする予定だったが、座席定員が3100形「NSE」以下になってしまうことからその案は見送られた。
現車が登場する前のモックアップは、神奈川県川崎市にあった小田急系遊園地の向ヶ丘遊園地内に置かれていた。
客用扉は3100形「NSE」までの手動開閉式とは異なり、2枚折戸の自動開閉式となった。
[編集] 外観
1980年の登場時は、3000形「SE」・「SSE」、3100形「NSE」と同様の、「オレンジバーミリオンとシルバーグレーに白色帯」の塗装であったが、1995年(平成7年)から1997年(平成9年)にかけて、全44両に更新工事が日本車輌にて行われ、全車両が10000形「HiSE」と同様の「ワインレッドと白色」に変更された。
[編集] 車内
座席は展望席を含めリクライニング式回転クロスシートが採用された。昨今主流となっているバケット式の先駆けというべき形状である。展望席は、1号車と11号車の車端に14席ずつ設置する。ただし、小田急電鉄が「展望席」として発売するのは前から3列の12席であり、4列目にある2席は、一般席として発売されている。
この座席は終着駅において自動回転させることができる。リクライニングした背もたれを起こし、奇数列と偶数列にわかれ回転する。3000形「SE」・「SSE」、3100形「NSE」では係員による手作業であったので、特に「走る喫茶室」営業列車では、これまでは終点で座席を一つ一つ回転させていた作業を軽減できることで、朗報であった。
新製時点では座席モケットは全て橙色(背もたれ中央部は金茶色)であったが、更新時に1~5号車が「禁煙席」で6~11号車が「喫煙席」であり、識別のために新宿方6両(6号車~11号車)はブラウンに、小田原方5両(1号車~5号車)はブルーに変更した。後に9~11号車についても「禁煙席」に変更したが、座席モケットは変更していない。
小田急ロマンスカーでは日東紅茶と森永エンゼルが「走る喫茶室」と称する喫茶サービスを実施していたが、それが終了した後は車内販売基地として使用されている。
[編集] 車内案内
- 座席定員は454名である。
- 号車番号/設備他
- 1/運転室(2階)・展望席(14席)・禁煙席(36席)・車掌室
- 2/禁煙席(44席)
- 3/禁煙席(28席)・車椅子対応座席(2席)・車内販売カウンター・公衆電話
- 4/禁煙席(36席)・男女共用洋式便所・男子小便専用便所
- 5/禁煙席(44席)
- 6/禁煙席(44席)
- 7/禁煙席(44席)
- 8/禁煙席(36席)・男女共用和式便所・男子小便専用便所
- 9/禁煙席(32席)・車内販売カウンター・公衆電話
- 10/禁煙席(44席)
- 11/運転室(2階)・展望席(14席)・禁煙席(36席)・車掌室
なお、2007年3月17日まで、6~8号車まで喫煙席であった。
[編集] 性能
ダイヤの稠密化、停車駅の増加に対応して、3100形のような高速性能よりも中低速域の加速を重視した設定になった。同じシステムがのち10000形、20000形にも採用される。
- 主電動機:直流直巻140kW×16台/編成
- 歯車比:4.21
- 主制御器:直列/並列指定式抵抗制御、弱め界磁制御
- 制動装置:発電ブレーキ併用全電気指令式空気ブレーキ
- 起動加速度:2.0km/h/s
- 設計最高速度:140km/h
- 営業最高速度:110km/h
[編集] リニューアル工事
先述したが、1995年(平成7年)から1997年(平成9年)にかけて、日本車輌においてリニューアル工事が行われた。車体塗装や座席モケットの変更のほかには、車椅子対応座席の設置と、それに伴う出入口幅の拡張(700mm→1000mm)や、客室内のカラースキームもブラウン系濃淡を基調としたものとなったことが挙げられる。加えて便所の汚物処理法も「循環式」から「真空式」となっている。
室内の号車番号・座席番号表示等は30000形「EXE」と共通の書体が用いられている。
2005年(平成17年)から2006年(平成18年)にかけて、集電装置を現行の菱形パンタグラフから、9000形の廃車発生品であるシングルアーム式パンタグラフに順次変更した。
[編集] 運用
30000形「EXE」の登場した1996年(平成8年)3月以降、本形式と10000形HiSEが共通の運用に就いている。時刻表の車両欄には「L/H」が表記されている。2006年2月現在、「はこね」・「さがみ」を中心に利用されている。また、50000形VSEや30000形EXEが定期点検等で車両が使用できない場合、同車両の代走として、使われることもある。
[編集] 歴史
- 1980年12月7日 第1編成(7001F)小田急線入線。
- 1980年12月9日 第1編成(7001F)竣工。
- 1980年12月25日 新宿駅にて「新形特急車7000形完成お披露目式」挙行。完成記念列車が運行される。
- 1980年12月27日 第1編成(7001F)就役。同日、「第17はこね号」・「第18はこね号」の1往復で営業運転を開始する。同列車では記念品として「ボールペン」が配布された。
- 1981年3月29日 鉄道友の会主催の「新型ロマンスカー試乗会」が、第1編成(7001F)にて、海老名駅→小田原駅→新宿駅間で運行される。
- 1981年6月15日 TOKYO FM主催、資生堂提供の団体列車「ORANGE EXPRESS」が、第1編成(7001F)にて運行される。
- 1981年9月13日 1981年鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞し、新宿駅地下8番ホームにて受賞式が行われ、記念列車が運行される。
- 1981年11月24日 第2編成(7002F)竣工。
- 1981年12月18日 第2編成(7002F)小田急線入線。
- 1981年12月22日 第2編成(7002F)就役。
- 1982年10月25日 第3編成(7003F)小田急線入線。
- 1982年11月9日 第3編成(7003F)竣工。
- 1982年11月20日 第3編成(7003F)就役。
- 1982年12月8日~15日 日本国有鉄道の「新型特急車両開発計画」の一環として、第2編成(7002F)が、小田急から国鉄に貸し出され、東海道本線大船駅~熱海駅間で試験走行を行う。
- 1983年12月12日 第4編成(7004F)小田急線入線。
- 1983年12月22日 第4編成(7004F)竣工。
- 1984年1月14日 第4編成(7004F)就役。
- 1986年10月4日 車内に公衆電話が設置される。
- 1992年10月3日 第9回全国緑化かながわフェアの開催を記念し、臨時列車「グリーンウェーブ相模原号」が運行される。
- 1995年 第2編成(7002F)リニューアル工事竣工。
- 1996年 第4編成(7004F)リニューアル工事竣工。
- 1996年4月 第3編成(7003F)リニューアル工事竣工。
- 1996年10月 第1編成(7001F)リニューアル工事竣工。
- 2005年~2006年 パンタグラフを菱形からシングルアーム式へ変更した。
- 2006年(平成18年)2月16日 18時16分、「はこね43号」として運行していた第1編成(7001F)が小田急相模原駅を通過中、男性が飛び込み自殺を図って死亡した。この衝撃のため先頭車展望席のフロントガラスが大破し、展望席に乗車していた乗客9名が負傷した。このため事故翌日より安全対策として全展望席のフロントガラス内部に「飛散防止フィルム」を貼り付ける対策を行うため、同対策が終了する同年2月23日まで、前展望席の使用を全面中止した。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
小田急ロマンスカー |
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現行列車 |
「スーパーはこね」・「はこね」・「さがみ」・ 「えのしま」・ 「あさぎり」・ 「ホームウェイ」・ 「ニューイヤーエクスプレス」 |
現用車両 |
7000形「LSE」・ 10000形「HiSE」・ 20000形「RSE」・ 30000形「EXE」・ 50000形「VSE」 |
導入予定車両 |
過去の車両 |
1600形・ 1700形・ 1910形・ 2300形・2320形・ 3000形「SE」・「SSE」・ 3100形「NSE」・ キハ5000形・キハ5100形(御殿場線直通用) |