温禰古丹島
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温禰古丹島(おんねこたんとう)は、千島列島の北部、春牟古丹島の北方、春牟古丹海峡(ロシア名:クレニーツィン海峡)を挟んだ所にある火山島。北の幌筵島とはオンネコタン海峡(ロシア名第4クリル海峡・Четвертый Курильский пр.)によって隔てられている。島の南北にそれぞれ存在するカルデラ湖が特徴的な島である。ロシア連邦が実効支配しているが、日本政府は、国際法上は所属未定であると主張している。ロシア名はオネコタン島 (o.Онекотан) 。オンネコタンとはアイヌ語で「大きな(オンネ)・村(コタン)」を意味する。
位置は北緯49度30分、東経154度30分。面積は315平方km、長さは北北東から南南西方向に42.5kmで、幅は11kmから17kmほど。この島でユニークなものは南にある、海抜600mから900mの外輪山に囲まれた幽仙湖カルデラ(ロシア名 Tao-Rusyr)で、湖の中央に浮かぶ富士山のような成層火山・黒石山(ロシア名・クレニツィン山 влк.Krenitsyn)が島内最高峰(1,325m)となっている。一方、北部にある火山は根茂山(同・ネモ山 влк.Немо 1,019m)と称し、北側に蓬莱湖(ロシア名・チェルノエ湖 оз.Черное)と呼ばれるカルデラ湖を持つ。火山活動は活発であり、南北の両カルデラ湖とも内部で二次的な火山丘(volcanic cone)形成が進んでおり、南では黒岩山がそびえ、北側は新しい根茂火山に蓬莱湖がほぼ埋められようとしている。
海岸の多くの部分では切り立った断崖が続き、わずかに砂浜を交えている。東岸に黒石湾があり、北西岸には根茂湾があるが、湾口が広く開けているため、よい投錨地たりえない。
本島には古来より占守島や幌筵島の千島アイヌが訪れ、ラッコやキツネを捕らえていた。所々に穴居の跡が見られ、明治の8、9年頃には若干の家屋もあったという。また、明治の初年頃には外国船が一艘、黒石湾の付近で難破し、遭難した船員が上陸して破船材を用いて二十棟ほどの屋舎を建て、一時的に居住したと伝えられている。
その他、島周辺では北西沖の磨勘留島(高さ1,168m)と、南沖の春牟古丹島(高さ1,210m)の二つの火山島が浮かんでいる。
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