宇志知島
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宇志知島(ウシシル島、うししるとう)は中部千島、計吐夷島から計吐夷海峡をはさんだ北東方約14海里、北緯47度31分東経152度48分に位置する南北二島からなる火山島である。南北両島の間は400mにみたず、干潮時には繋がって、歩いてわたることが出来る。南島(ロシア名:ヤンキチャ o.Янкича)は最も広いところでも幅約2.5kmに過ぎず、暮田湾(くれたわん、ロシア名:クラテルナヤ湾 Кратерная бухта)と呼ばれる幅約1.6kmのカルデラ湾を環状に外輪山が囲み、南側で海に落ち込んでいる。湾口は満潮時に辛うじて小型船が通過できるほどの浅さである。島の外周は険しい崖となっていて、西側に御笠山(海抜401m)という峰がある。また、暮田湾の南東隅は磯になっていて噴気孔があり、温泉も湧き出している。北部には先住民の穴居跡がある。一方、北島(ロシア名:リポンキチャ o.Рыпонкча)は南島よりも小さく、細長い三角形を成していて海岸は険しく切り立っており、南端に海抜131mの頂がある。
ウシシル島は千島アイヌにとって雷神カンナカムイの住む聖地だった。日本領になった頃、定住者は既にいなかったが、羅処和島に住んでいた千島アイヌの人々が鷲や鴨の猟をするために渡ってきて、越年をすることも度々あったとのことである。日本領時代の1916年、農林省による養狐事業で5つがいの青狐が導入されたが、養殖とは名ばかりで殆ど放し飼い状態であったという。現在、その時に導入された青狐の末裔が自然繁殖している。
当時の行政区分では北海道根室支庁新知郡に属していた。現在の所属について、日本政府は国際法的には所属未定と主張しているが、ロシア連邦が実効支配している。ロシア名:ウシシル島(o.Ушишир)。
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