ISUグランプリファイナル
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ISUグランプリファイナル(正式名称:ISUフィギュアスケートグランプリファイナル / ISU Grand Prix Final)は、国際スケート連盟(ISU)が承認するスケートの国際大会である。前身はISUチャンピオンシリーズファイナル。
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[編集] 概要
[編集] 歴史
1995-1996シーズンに日本、カナダ、アメリカ、フランス、ドイツを巡るISUチャンピオンシリーズが開始され、これら一連の競技会に参戦した選手の中の最優秀選手を決定する大会としてISUチャンピオンシリーズファイナルが創設された。1996-1997シーズンにはISUチャンピオンシリーズにロシア杯が組み込まれ、1998-1999シーズンからISUチャンピオンシリーズをISUグランプリシリーズと改称し、それとともにISUチャンピオンシリーズファイナルをISUグランプリファイナルと改称。 「グランプリファイナル」の出場者は、毎年10月から12月にかけて全6戦行われるISUグランプリシリーズにおいて付与されるポイント獲得者の上位6名・6組(いずれかの大会で優勝している必要はない)である。
前身のISUチャンピオンシリーズは1996年2月23日から25日にかけ、フランスのパリにて開催された。なお、開催地はグランプリシリーズ開催国の持ち回りとなっているが、完全に6カ国を順に回るというわけではない。また、開催時期にも幅があり、1月や2月に行われたシーズンもあったが(95-96、96-97、98-99、99-00、00-01、02-03)、03-04年以降は12月中旬に行われるようになる。
[編集] 開催期間と開催地
- 95-96年 02/23 - 02/25 パリ(フランス)
- 96-97年 02/28 - 03/02 ハミルトン(カナダ)
- 97-98年 12/19 - 12/21 ミュンヘン(ドイツ)
- 98-99年 03/04 - 03/07 サンクトペテルブルク(ロシア)
- 99-00年 01/14 - 01/16 リヨン(フランス)
- 00-01年 02/15 - 02/18 東京(日本)
- 01-02年 12/14 - 12/16 キッチナー(カナダ)
- 02-03年 02/28 - 03/02 サンクトペテルブルク(ロシア)
- 03-04年 12/12 - 12/14 コロラドスプリングス(アメリカ)
- 04-05年 12/16 - 12/19 北京(中国)
- 05-06年 12/16 - 12/18 東京(日本)
- 06-07年 12/14 - 12/17 サンクトペテルブルク(ロシア)
[編集] 歴代メダリスト
[編集] 男子シングル
シーズン | 開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|---|
1995/1996 | パリ | アレクセイ・ウルマノフ | エルビス・ストイコ | エリック・ミロ |
1996/1997 | ハミルトン | エルビス・ストイコ | トッド・エルドリッジ | アレクセイ・ウルマノフ |
1997/1998 | ミュンヘン | イリヤ・クーリック | エルビス・ストイコ | トッド・エルドリッジ |
1998/1999 | サンクトペテルブルク | アレクセイ・ヤグディン | アレクセイ・ウルマノフ | エフゲニー・プルシェンコ |
1999/2000 | リヨン | エフゲニー・プルシェンコ | エルビス・ストイコ | ティモシー・ゲーブル |
2000/2001 | 東京 | エフゲニー・プルシェンコ | アレクセイ・ヤグディン | マシュー・サヴォイ |
2001/2002 | キッチナー | アレクセイ・ヤグディン | エフゲニー・プルシェンコ | ティモシー・ゲーブル |
2002/2003 | サンクトペテルブルク | エフゲニー・プルシェンコ | イリヤ・クリムキン | ブライアン・ジュベール |
2003/2004 | コロラドスプリングス | エマニュエル・サンデュ | エフゲニー・プルシェンコ | マイケル・ワイス |
2004/2005 | 北京 | エフゲニー・プルシェンコ | ジェフリー・バトル | 李成江 |
2005/2006 | 東京 | ステファン・ランビエール | ジェフリー・バトル | 高橋大輔 |
2006/2007 | サンクトペテルブルク | ブライアン・ジュベール | 高橋大輔 | 織田信成 |
[編集] 女子シングル
シーズン | 開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|---|
1995/1996 | パリ | ミシェル・クワン | イリーナ・スルツカヤ | ジョゼ・シュイナール |
1996/1997 | ハミルトン | タラ・リピンスキー | ミシェル・クワン | イリーナ・スルツカヤ |
1997/1998 | ミュンヘン | タラ・リピンスキー | ターニャ・シェフチェンコ | マリア・ブッテルスカヤ |
1998/1999 | サンクトペテルブルク | タチアナ・マリニナ | マリア・ブッテルスカヤ | イリーナ・スルツカヤ |
1999/2000 | リヨン | イリーナ・スルツカヤ | ミシェル・クワン | マリア・ブッテルスカヤ |
2000/2001 | 東京 | イリーナ・スルツカヤ | ミシェル・クワン | サラ・ヒューズ |
2001/2002 | キッチナー | イリーナ・スルツカヤ | ミシェル・クワン | サラ・ヒューズ |
2002/2003 | サンクトペテルブルク | サーシャ・コーエン | イリーナ・スルツカヤ | ヴィクトリア・ボルチコワ |
2003/2004 | コロラドスプリングス | 村主章枝 | サーシャ・コーエン | 荒川静香 |
2004/2005 | 北京 | イリーナ・スルツカヤ | 荒川静香 | ジョアニー・ロシェット |
2005/2006 | 東京 | 浅田真央 | イリーナ・スルツカヤ | 中野友加里 |
2006/2007 | サンクトペテルブルク | 金妍兒 | 浅田真央 | サラ・マイアー |
[編集] ペア
シーズン | 開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|---|
1995/1996 | パリ | Evgenia Shishkova / Vadim Naumov | Marina Eltsova / Andrei Bushkov | Mandy Wotzel / Ingo Steuer |
1996/1997 | ハミルトン | Mandy Wotzel / Ingo Steuer | Oksana Kazakova / Artur Dmitriev | Marina Eltsova / Andrei Bushkov |
1997/1998 | ミュンヘン | Elena Berezhnaya / Anton Sikharulidze | Mandy Wotzel / Ingo Steuer | Oksana Kazakova / Artur Dmitriev |
1998/1999 | サンクトペテルブルク | Shen Xue / Zhao Hongbo | Elena Berezhnaya / Anton Sikharulidze | Maria Petrova / Alexei Tikhonov |
1999/2000 | リヨン | Shen Xue / Zhao Hongbo | Sarah Abitbol / Stephane Bernadis | Elena Berezhnaya / Anton Sikharulidze |
2000/2001 | 東京 | Jamie Sale / David Pelletier | Elena Berezhnaya / Anton Sikharulidze | Shen Xue / Zhao Hongbo |
2001/2002 | キッチナー | Jamie Sale / David Pelletier | Elena Berezhnaya / Anton Sikharulidze | Shen Xue / Zhao Hongbo |
2002/2003 | サンクトペテルブルク | Tatiana Totmianina / Maxim Marinin | Shen Xue / Zhao Hongbo | Maria Petrova / Alexei Tikhonov |
2003/2004 | コロラドスプリングス | Shen Xue / Zhao Hongbo | Tatiana Totmianina / Maxim Marinin | Maria Petrova / Alexei Tikhonov |
2004/2005 | 北京 | Shen Xue / Zhao Hongbo | Maria Petrova / Alexei Tikhonov | Pang Qing / Tong Jian |
2005/2006 | 東京 | Tatiana Totmianina / Maxim Marinin | Zhang Dan / Zhang Hao | Aliona Savchenko / Robin Szolkowy |
2006/2007 | サンクトペテルブルク | Shen Xue / Zhao Hongbo | Aliona Savchenko / Robin Szolkowy | Zhang Dan / Zhang Hao |
[編集] アイスダンス
シーズン | 開催地 | 金 | 銀 | 銅 |
---|---|---|---|---|
1995/1996 | パリ | Oksana Grishuk / Evgeni Platov | Anjelika Krylova / Oleg Ovsyannikov | Marina Anissina / Gwendal Peizerat |
1996/1997 | ハミルトン | Shae-Lynn Bourne / Viktor Kraatz | Anjelika Krylova / Oleg Ovsyannikov | Marina Anissina / Gwendal Peizerat |
1997/1998 | ミュンヘン | Pasha Grishuk / Evgeni Platov | Shae-Lynn Bourne / Viktor Kraatz | Marina Anissina / Gwendal Peizerat |
1998/1999 | サンクトペテルブルク | Anjelika Krylova / Oleg Ovsyannikov | Marina Anissina / Gwendal Peizerat | Margarita Drobiazko / Povilas Vanagas |
1999/2000 | リヨン | Marina Anissina / Gwendal Peizerat | Barbara Fusar-Poli / Maurizio Margaglio | Margarita Drobiazko / Povilas Vanagas |
2000/2001 | 東京 | Barbara Fusar-Poli / Maurizio Margaglio | Irina Lobacheva / Ilia Averbukh | Margarita Drobiazko / Povilas Vanagas |
2001/2002 | キッチナー | Shae-Lynn Bourne / Viktor Kraatz | Marina Anissina / Gwendal Peizerat | Margarita Drobiazko / Povilas Vanagas |
2002/2003 | サンクトペテルブルク | Irina Lobacheva / Ilia Averbukh | Tatiana Navka / Roman Kostomarov | Albena Denkova / Maxim Staviyski |
2003/2004 | コロラドスプリングス | Tatiana Navka / Roman Kostomarov | Albena Denkova / Maxim Staviyski | Tanith Belbin / Benjamin Agosto |
2004/2005 | 北京 | Tatiana Navka / Roman Kostomarov | Tanith Belbin / Benjamin Agosto | Albena Denkova / Maxim Staviyski |
2005/2006 | 東京 | Tatiana Navka / Roman Kostomarov | Elena Grushina / Ruslan Goncharov | Marie-France Dubreuil / Patrice Lauzon |
2006/2007 | サンクトペテルブルク | Albena Denkova / Maxim Staviski | Marie-France Dubreuil / Patrice Lauzon | Oksana Domnina / Maxim Shabalin |
[編集] 備考
- グランプリファイナルの競技形式は一貫していない。例えば開始当初、ペアとアイスダンスは上位5組による決勝(ファイナル)であったし、2005-06シーズンまではフリー演技を2種類滑らなければならなかった。
- 2006-07シーズン、グランプリシリーズのテレビ放送権を獲得したテレビ朝日は、グランプリシリーズを「フィギュア世界一決定戦」と宣伝したが、これは間違いである。グランプリファイナルはあくまでもグランプリシリーズに参戦した選手の中で最も優秀であった選手を決定するためのものであり、フィギュアスケートにおける「世界一決定戦」は世界選手権である。それを示す端的な事実として、国際競技会において選手紹介時に「World Champion」とコールされるのは世界選手権優勝者あるいは元世界選手権優勝者のみである。オリンピック優勝者でさえ「世界王者」ではなく「オリンピック金メダル獲得者(Olympic Gold Medalist)」とコールされる。 同様に2005-2006シーズンに浅田真央がグランプリファイナルで優勝した際、多くのマスコミは彼女が世界一になったと報道したが、これも間違いである。フィギュアスケート選手にとっての優勝の重み、大会の格という点で、グランプリファイナルと世界選手権では後者の方が遙かに重い。
- 日本においては、男女ともに日本人最高位でかつ表彰台に乗っていれば同シーズンの世界選手権代表として内定する例が多いので、「選考会」という意味では、それなりに重要な大会であるともいえるが、欧州選手や米国選手にとっては毎年1月に開催される欧州選手権ならびに全米選手権が重要視されており、またグランプリシリーズを通してのオールスター戦的な色合いも強く、出場選手自体も少ないため、大会の格としては冬期オリンピック・世界選手権と比べてかなり落ちると考えられている。
[編集] エピソード
[編集] トラブル続きだった2006年グランプリファイナル
- バスが遅れるトラブル
- SP当日、村主章枝、セベスチェン・ジュリア、サラ・マイヤーの3選手を乗せたバスが渋滞に遭い通常なら30分で到着のはずが2時間かかりSPの開始時間を遅らせるというハプニングが。衣装もバスの中で着替えた。そのせいで十分なウォーミングアップができず村主は満足な演技ができなかった。
- 棄権者
- エヴァン・ライサチェクが練習中に怪我で棄権。更にジョニー・ウィアーもSP転倒の怪我が響きFSを棄権。
- 体調不良者続出
- 高橋、安藤、浅田、村主の4人がフリープログラム前に体調不良であったと伝えられた。特に高橋と安藤の症状は重く、演技にも深刻な影響を及ぼした。二人はその後に行われたエキシビションを欠場している。
- ペア競技で準優勝した張丹も体調不良のために表彰式を欠席し、そのまま検査入院となった。