あずさ2号
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『あずさ2号』は、1977年(昭和52年)3月25日に発表された楽曲。作詞:竜真知子、作曲:都倉俊一。
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[編集] 概要
都会での愛する人との暮らしに終止符を打ち、新しい恋人と特急「あずさ2号」に乗って信州へ旅立とうとするヒロインの複雑な心の内を歌った曲で、兄弟デュオ狩人のデビュー曲。この年の大ヒット曲となり、新人歌手であった狩人を一躍スターの座に押し上げた。
曲の前半部分はしっとりとした曲調であるが、サビの部分ではそれとは正反対の曲調となっている。これが、「より効果的に、女心のアヤを際立たせ」[1]ることとなり、多くの人々の心を捉えたのである。
1995年(平成7年)1月25日、若草恵の編曲・狩人の歌により、ニュー・ヴァージョンとして新たにリリースされた。
[編集] あずさ2号と狩人
あずさ2号の大ヒットで、この曲は、狩人の代名詞のような存在となった。しかし、この曲のインパクトがあまりにも強すぎて、他の曲が売れなくなるという結果を招き、狩人も一時期、この歌を歌うのに躊躇いを覚えたことがあったという。だが、いつしか「代名詞というべき曲があることは、素晴らしいことではないか。」と思うようになり、以前と同様にこの曲を積極的に歌うようになった。
なお、2005年(平成17年)現在の狩人の所属事務所は、有限会社あずさ2号といい、この会社では、咽喉に良いとして、あずさ2号なるサプリメントを販売している。
[編集] 列車との関連性
この曲の発表当時、列車愛称の号数は上り・下りそれぞれに1号から付けられており、この歌で歌われているのは下りの「あずさ2号」である。ちなみに下りの「あずさ1号」は季節運行のうえ、朝6時台の列車であり新宿近辺や中央線沿線の在住者以外には利用しづらい列車だったため、新宿駅から松本・白馬方面の特急の実質上の1番列車は「あずさ2号」だった。
しかし、1978年(昭和53年)10月2日の国鉄ダイヤ改正(ゴーサントオ)に際し、下り列車が奇数号、上り列車は偶数号となったため、この歌詞に相当する列車は「あずさ3号」になってしまった。
2002年(平成14年)2月2日、下りの懐かしの特急「あずさ2号」がリバイバル運転された。本来であれば前述の通り、下り列車に偶数の号数はつかないが、この列車については列車名そのものを「あずさ2号」とすることで運転が実現したものである。車輌は往時を偲んで183・189系が使用され、車両前面のヘッドマークは通常のイラスト入りのものではなく、デビュー当時の文字だけのものが掲出された。因みに、この手のリバイバル列車の場合「懐かしの~(列車名)」と市販の時刻表で表記されるため、駅の案内も同じように「懐かしの~(列車名)」と表示されることが多いが、側面の行き先表示(方向幕)や新宿駅のLEDによる発車案内の表示は「あずさ2号」となっていた。この列車の出発式のメインのゲストはもちろん狩人であった。8時0分にはかつての下り「あずさ2号」に相当する「スーパーあずさ3号」が出発するダイヤだったため、8時2分の出発とされた。これに対しては、「1日くらい特別ダイヤで"8時ちょうどのあずさ2号"を実現して欲しかった」との声があった。
また、2004年(平成16年)3月13日のダイヤ改正で定期列車の「あずさ2号」が復活したが、これは東京へ向う松本始発(6時04分発)の上り列車である。ちなみに途中停車する大月駅を7時59分に発車するため、ダイヤ改正等であと1分発車時刻が遅くなると、向かう方向は逆だが、「8時ちょうどにどこかの駅を発車するあずさ2号」というこの歌と同じ情景が生じる。終点である東京は9時26分に到着する。
なお、2005年現在、8時0分に新宿を発車する下りのあずさは「スーパーあずさ5号」である。
[編集] アンサーソング
鉄道ソングで知られるSUPER BELL"Zが、アンサーソングとして「かいじ101号」という歌を作っており、また、同曲がシングルカットされた折に、この曲を収めている(下記参照)。
[編集] カヴァーしたアーティスト
- 360°(サブロク) - 2002年11月発売のマキシシングル「落日」のカップリング曲
- テツandトモ - 2003年6月18日発売のアルバム「『マンボ大漁節』ってなんでだろう」で彼らのバージョンが収録されている。
- SUPER BELL"Z - 前述の「かいじ101号」がシングル化される際に、カップリングとして収録。2005年10月のライブでは、「あずさ2号に乗り遅れて、仕方なくかいじ号に乗る」という設定で両曲を掛け合わせたMixも披露された。
- 島田敏 - 『美少女戦士セーラームーンS』第99話「男の優しさ! 雄一郎レイに失恋?」で、ふられた雄一郎の心情を表す曲として、挿入歌に使用された。CDは未発売。
[編集] その他
- この曲のヒット当時、狩人の二人はそれぞれ女性用の7号と9号のパンツをはいていたと2007年1月24日の世界仰天ニュースで話している。
- 1997年に富士写真フイルムのレンズ付きフィルム「写ルンです」のCMソングとしても使用された。(「あずさ2号」をロボット「あずさ」の2号機とした設定。そのロボットには「あずさキック」という必殺技があった。)[1]
- 「オレたちひょうきん族」(フジテレビ)の「ひょうきんベストテン」にて1986年頃に西川のりおとぼんちおさむが扮する狩人のパロディキャラが大ヒットした。しかしその後、当時の国鉄長野鉄道管理局からの猛クレームにより中止された。
- 新宿駅の改修工事で使用されていたクレーンに、「あずさ2号」「かいじ1号」というニックネームが付けられていた。この歌からヒントを得たものと思われる。
- 演歌の女王にて電車に乗る際に、大河内ひまわり( 天海祐希)・萩本次郎(段田安則)が、この曲を歌った。
[編集] 脚注
- ^ 朝日新聞夕刊 <戦後歌謡史 歌の中の東京>1995年12月27日発行より
[編集] 関連項目
カテゴリ: ポピュラーソング | 1977年のシングル | 鉄道と文化