エドワード・ヴァン・ヘイレン
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エドワード・ヴァン・ヘイレン(Edward Van Halen、本名:Edward Lodewijk Van Halen、1955年1月26日 - )はアメリカのギタリスト、作曲家、音楽家。「エディ・ヴァン・ヘイレン」とも呼ばれる。ロックバンド、ヴァン・ヘイレンのギタリストで、同バンドのドラマーのアレックス・ヴァン・ヘイレンは実兄。姓はオランダでは「ファン・ヘレン」と読むが、この兄弟に関してはオランダ生まれながら英語読みが一般化したようである。
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[編集] 経歴
- 1955年1月26日、オランダのナイメーヘンで生を受ける。
- 1967年にオランダからアメリカ・カリフォルニア州のパサデナへと移住する。父親がクラリネット奏者であった事もあり、幼少の頃よりピアノやヴァイオリン楽器を演奏していたヴァン・ヘイレン兄弟だが、そこでロックに影響され、弟のエディがドラムを、兄のアレックスがギターをはじめる。しかしほどなくして二人とも互いに楽器を交代する。その後バンドを結成し、活動を開始する。
- ヴァン・ヘイレンとしての活動はそちらの項目を参照のこと。
- 2000年に、喉頭癌が発覚し、バンド活動を中断する。その後完治し、2005年7月現在次回作の準備を進めている模様だったが、2006年春、「Van Halen」のメンバー間での不仲により、解散状態に陥った。しかし2007年夏にツアーを行う予定である。
- 2007年3月8日、エディーが、自身の体調が完璧ではない事を理由にリハビリ施設に入所する事となったと、オフィシャル・サイトで発表した。
[編集] 音楽性
- デビュー前から右手の指でギターの弦を叩きつけるようにして音を出す「ライトハンド奏法」(現在では「タッピング」という呼び方が一般的)を駆使した独特のギターサウンドを作り上げ、後世のギタリストに多大な影響を与えた。またライトハンドだけではなく、速弾きや過激なアーミングなどの革新的なテクニックを取り入れ、アメリカンハードロックのスタイルを確立させた。
- 歴史を紐解くと、厳密には世界で最初に「ライトハンド」を始めたのは彼ではなく、その以前にもその様なスタイルで演奏するギタリストはいたらしい(ジェネシスのスティーヴ・ハケットや、クイーンのブライアン・メイなど)。しかしながら、世にその技術を一般的に知らしめたという意味では彼が第一人者である。なお、彼がライトハンドを始めたのはアラン・ホールズワースの曲をコピーしていて、どうしても左手だけでは届かない音が出てきたのでそれを右手の指で叩いたのがきっかけだといわれている。
- アイディアマンとしても知られており、電気ドリルをギターのピックアップ(弦の振動を拾って電気信号に変換する部品)の近くで鳴らして独特の音を得たり、いわゆる「付点8分ディレイ」といわれるディレイの使い方を考案したりもした(「大聖堂」など)。また、本来シングルコイルが使われているストラトタイプのボディにハムバッカーのピックアップを載せて使うなど、今では一般的になったギターの構造を広めたのも彼であった(先述のアラン・ホールズワースなど、先行して使用したギタリストはいた)。
- ギターのほかにはヴァイオリンだけでなく、ピアノも演奏することができる。ヴァン・ヘイレンの曲のPVの中で自身が実際にキーボードを演奏している様子が映し出されているものもある(「ジャンプ」「ノット・イナフ」「ホウェン・イッツ・ラヴ」など)。
- VAN HALENの1stアルバムあたりで聞かれるMARSHALL社1968年製PLEXIとMXR社のDistortion+から生み出されるギターの音は、いわゆるブラウンサウンドといわれ、多くのギタープレーヤーを虜にしている。(MXR/DISTORTION+は使っていない。エコープレックスとマーシャルヘッド、あとはフランジャー、フェイザー、BOSS/GE-10など)
- デビュー当時はストラトキャスタータイプのボディを独自に改造したギターを主に使用していたが、1980年代にはKramer(クレイマー)と契約を交わし、自身が作ったギターを基にしたシグネチュアモデルを使用していた。1990年代にはERNIE BALL MUSIC MAN(アーニーボール ミュージックマン)と契約し、エディ自ら開発に携わったギターを10年ほど愛用。このギターは彼以外の多くのギタリストにも愛用された。その後はWolfgangと言う自分の息子の名前を冠した新たなギターをPEAVEY(ピーヴィー)と製作し、それを使用するようになる。また、ピーヴィーとはシグネチュア・アンプ(5150)でも契約を交わしており、その二つの組み合わせがしばらく彼のスタンダードとなる。ピーヴィーとの契約が切れた後はCharvel(シャーベル)と契約を結んだ。ちなみに「5150」とはアメリカの警察の無線で使用される暗号で、精神異常者の事を指す隠語である。同時に、エディ自宅のスタジオの名前であり、ヴァン・ヘイレンの7枚目のアルバムのタイトルでもある。
- ありとあらゆるギタリストの憧れとされ、「生ける伝説」と称する人もいるほどである。これによって彼の世間に与えた影響と衝撃の大きさをうかがい知る事が出来る。
- 彼以前のロックギタリストは怖い顔(しかめっ面)をしながらギターを演奏していたが、「ジャンプ」のPVでニコニコ笑いながらギターを演奏する姿がありそれ以降のギタリストの姿に少なからず影響を与えた。