ハードロック
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ハードロック(en:Hard rock)は、ロックの一形態。ブルーズを基調とする激しいロックを指す。レッド・ツェッペリンがそれを完成させ、巨大な成功を収めた。「ヘヴィメタル」という呼称もあるが当のレッド・ツェッペリンはその呼称をひどく嫌っている。
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[編集] 概観
論理的考察の結果導き出されたり、定義付けられたりしたのではない自然発生概念なので、その意味するところは個々人によって微妙に異なるが、概ね「1:大音量での演奏」「2:主にギターをディストーションさせた荒々しい(または猛々しい)サウンド」「3:裏拍にアクセントを置き、かつそれを執拗に強調する直線的なタテノリ」「4:低音を強調したサウンド作り」などが特徴として挙げられる。この事(3だけが音楽形式)から明らかのように、音楽形式としての分類と言うよりは「サウンド形式」での分類であると考えた方が良い。
ベース&ドラムが、時にギター、キーボードも同じ符割(フレーズも同一の場合も多い)を演奏するスタイル(ユニゾンと云う)を好んで採用する点を取り上げれば、演奏形式での特徴も存在すると言えるが、これは前記サウンド特徴を作り出す為の必然(従の位置付け)であると考えるのが妥当である。
上述のようなサウンド特徴を演出するに主役の座に着きやすいのはエレクトリック・ギターである。故に、エレクトリック・ギター中心のバンド構成になりがちな傾向を強く持つのは必然で、ハードロックの歴史=エレクトリック・ギター音楽の歴史と言っても過言ではない。
[編集] 歴史 [要出典]
ハードロックに限らずロック全て、だけに留まらずポピュラー音楽の発展はブルースとの関連抜きには語れない。ブルースは広く知られている通り、そもそもは奴隷状態下に置かれたアメリカの黒人の労働歌、鎮魂歌、子守唄、習俗を唄ったもの等に起源しており、これ故「簡素でわかりやすい形式」(I → IV → V を基本形とする単純なドミナント進行)であり、またその境遇故に唄われる内容は少なからずプロテストな色彩であった。ジャズもブルース起源であるが、こちらはブルースのもう一つの顔である「辛辣、痛烈な批判を物語り調にしたり、暗喩にして、ユーモアのオブラートで包みソフィスティケイトする」手法(奴隷であった彼らは白人への不満を直接的に口に出来なかったからである)の流れの方を強く汲んでおり、その後の発展に伴って随分と違う毛色になっている。 またアメリカに於いては先にジャズが発展した影響からか、黒人のお膝元であったからか、ロックというストレートなものにはならずに、ロックンロール、ロカビリーという黒人音楽っぽさを色濃く残すかたちで発展した。 1950年代はフィフティーズ文化でも想像が付く通り、文化的にはアメリカが世界各国の若者の心を鷲掴みにしていた時代である。
より直接的な感情の発露の道具としてブルースの方が最適であった事から、ブルースを基調とする質実剛健でソリッドな音楽をやり出す者が次々表われ、イギリスではちょっとした「ブルース・ブーム」になった。これがハードロックを含むロックの原点である。ブルースから発展したロックンロール 、ロカビリーが既に存在していたアメリカ社会にとればブルースは「もう既によく知っている」「古い」音楽であり、しかも(この当時は今より曝ら様に黒人差別があったので)黒人音楽であるが故の偏見も手伝って原点であるブルース回帰する流れは一部のミュージシャンなどアンダーグラウンド的なものに留まった。
ロックはブルースから「簡素でわかりやすい形式」と「プロテスト的な色彩」とをストレートに受け継ではいるが、これを黒人文化には直接的に影響を受けていないイギリス人が再解釈したものであるので、アメリカのロックンロール 、 ロカビリーが半ば必然的に持っていた「跳ねるリズム感覚」(俗に「黒っぽさ」とも言われる)は希薄である。リズムが跳ねた感じになるのは表拍にアクセントが置かれるからで、クラシック音楽もロックと同様「表拍にアクセントがある」のを基本としており、イギリスはそもそもクラシック音楽文化圏であるからロックも跳ねないリズムが基本になったのであると考えられる。
「ハードロック」の起源とされるのは、1963年にデビューしたヤードバーズや1966年にデビューしたクリーム、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが挙げられる。彼らはブルーズとロックを融合し新しいスタイルを呈示してみせた。
共通するのは歪んだギター、ベースのサウンド(ディストーション・サウンド)と「直情的な音表現」である(サウンドに関しては後述「偶然が生んだサウンド」を参照)。後者をより具体的に表現するならチョーキング、アーミングの使用である。誤解を避けるために更に補記すると、チョーキング、アーミングを使い出したのは何もハードロックが最初ではない。ただ、例えばチャック・ベリーなどが用いたチョーキング、ベンチャーズが多用したアーミング、何れも「ユーモラスな」または「コミカルな」音ニュアンスを表現するもので、「肉感的」または「叫び声のよう」と評される事の多いロック系のそれとは明らかに趣を異にする。
68年にはジェフ・ベック・グループ(第一期)、レッド・ツェッペリンがデビューし世界に衝撃を与える。70年には後にヘヴィメタルの教祖的存在となるブラック・サバスがデビュー。ディープ・パープルがハードロックに転向。73年には世界初の本格的女性ロッカースージー・クアトロがデビュー。ハードロックが世界を席巻するようになる。
日本でもハードロックはブリティッシュ・ロック勢の人気が圧倒的であった。これは上記アーティストは全てイギリスからデビュー(ジミ・ヘンドリックスやスージー・クアトロはアメリカ国籍であるが、渡英して大成功した)している上、その後も暫く(1980年代に入るまで)はハードロックに於いてはイギリス勢の方が圧倒的に強く印象付けられたからである。1970年代に於いてもグランド・ファンク・レイルロード、エアロスミス、キッス等、ハードロックに分類される多くのバンドがアメリカからも出ているが、総じてこれらの音楽は単調で深みが足らず、人気があっても一流とは見なされない傾向が存在した。後に続いたボストンやジャー二ー、TOTO等はポップで売れることを意識しすぎていたので、ロッキング・オンの渋谷陽一はこれらを「亜流ロック」「産業ロック」などとネガティヴな表現で紹介する事が多かった(アメリカ出身のバンドの多くは当然ながら、イギリス経由の影響だけでなく、本国内で脈々と生き残っていたロックンロール、ロカビリー、またカントリー等からの直接影響も同時に受けているので、イギリスのロックとアメリカのロックを同じテーブルの上で語ろうとする事自体がそもそも誤りであるという指摘もある)。今になって、当時のアメリカ出身の数多くのバンドを見直す機運が起こっており、以前のような判で押したように「B級ロック扱い」する傾向は無くなってきてはいる。 また現代では大衆のハードロックに対するイメージの変化により、ジミ・ヘンドリックス、クリーム、レッド・ツェッペリンなどをハードロックとカテゴリーすることに抵抗を感じる世代が増えてきている。
[編集] 偶然が生んだサウンド
1960年代当時トランジスタはやっと一般実用化レベルに達したばかりで、まだ本格的に輸出されておらず(トランジスタは日本発祥である)、今日のような歪み率の低い電気特性の優秀なアンプ(アンプリファイア)は存在しなかった。トランジスタ以前の電気増幅素子は真空管であった。トランジスタに比較して、真空管は与えられた入力の音響特性を変えずに増幅出来る帯域が非常に狹い。今日で言う「高忠実度再生能力」(Hi-Fi)が低いという事である。 具体的には「小音量だとノイズに埋もれてしまい」「大音量だと音色が歪む」特性を持っていた。
折も折、先んじて1950年代後半からアメリカで起こっていた公民権運動、これと相前後するかたちで世界各国で学生運動が勃発、少し時代が下ってベトナム反戦運動がこの流れに合流するかたちで「反権力」を旗印とした市民運動が全世界的に盛り上がった時代である。先述した通りブルースの流れを踏襲しているロック音楽全般がプロテスト的色彩を帯びていたのは理の当然である。無論プロテスト的ではないロックも存在しなくはなかったが、この時代のムードにマッチする形で主流なものは総じてプロテスト的であった。その親和性故に市民運動の集会とロック(またはフォークソング)コンサートが合同で行なわれる形式(今で言うコラボレーション)が自然発生的に出来上がり、また、どちらも(若者を中心に)人が集まることに利害を感じる「市民運動組織団体」「レコード会社、コンサート興行主等の音楽産業界」双方の思惑が一致した事から、このコラボレーションは次第に大規模化、組織化されていく(これの最大規模のものが「ウッドストック・フェスティバル」である)。
多くの聴衆に音を聴かせる必要性が増してきた事から、PAシステムと共に楽器用アンプも大出力のものが求められるようになっていった。 この要求に応えるべくヴォックス、フェンダー、マーシャル、オレンジなど各社が大出力のアンプをこぞって製造し出したが、先述の通りそもそも大音量再生には無理がある真空管で半ば強引に高出力のものを作っていたので、少し音量を上げると非常によく歪んだ(とは言っても今日の、最初から歪ませる事を狙って設計されているハイゲイン・アンプでのディストーション・サウンドと比較すれば「軽く歪んだ」程度であり、「ナチュラル・ディストーション」と今日呼ばれる事から想像が付くように、現代の感覚では寧ろナチュラルに近い音である)。但し、この当時は「ディストーション」という呼称は使われておらず、その動作原理から「オーバードライブ」と呼ばれた。英語ネイティヴには、Distortion という英語が「汚い、劣悪な音」というイメージであるから、特に製造メーカー側が嫌がったのが原因と思われる[要出典]。
今ではソ連崩壊後公文書の公開が一部行われたことから明らかになっているが、これらの市民運動に乗じて、ひいてはあわよくば民主主義各国の体制を崩壊させ共産革命にまで持ち込もうと旧ソ連のKGBが暗躍していた事から何れの運動も暴力肯定の色彩を強く帯びており、このムードと歪んだサウンドがその「気分」という点で実に見事にマッチしたのである。[要出典]つまり最初は、それしかないので不承不承(ふしょうぶしょう)使ってみたら聴衆のリアクションが良かったという処から一転、保守的でないミュージシャンが今度は積極的に歪んだサウンドを使い出したのである。
ディストーション・サウンドというと今やその代名詞にすらなっているのがマーシャル・アンプであるが、これに最初に飛び付いたのはエリック・クラプトンでもジミ・ヘンドリックスでもなく、ザ・フーのピート・タウンゼントである(マーシャル社が設立されたのは1962年[1]で、この当時クラプトンはヴォックス社のAC-30を使っていた)。にも関わらず(幸か不幸か)タウンゼントがハードロックのサウンドの立役者とされないのは、ザ・フーの音楽性がロカビリー色、ロックンロール色を色濃く残していたからである。
その後「ハードロック=ディストーション・サウンド(オーバードライブ・サウンド)」という定式が確定した。この後は、各アンプ・メーカーも、それまでのように歪みにくいアンプではなく、歪みやすいアンプを意図的に作るようになった。また、トランジスターが安価で供給され、これと入れ替わるように供給不足から高値になっていった真空管であるが、真空管の歪み方はウォームでマイルドであるのに対して、トランジスターでの歪みは耳障りなで不愉快な音になりやすい事から、現在に至るまでギター・アンプに関しては健在である。
[編集] 余談
- その昔(1960年代?1980年代初頭頃)は、英米一般人に対して「ハードロック」と言えば「強い錠前(hard lock)」「強固な固定装置(hard locked)」の発音間違いだと解釈されるか、「ダイアモンドか何かの暗喩」(彼らにとれば "rock" (岩)は硬いという意味を自明に含むという認識なので、それをわざわざ "hard" と形容すると「殊更に硬いという事を強調したいのだろう」と推定を促す結果、こう解釈されやすい)だと誤解されるのが通例であった。また、rockをロック・ミュージックの意だと理解して貰えた場合も「hard:困難な 難易度の高い」という意味から「難易度の高いロック → プログレ?ジャズロック?」と、やはり適宜な理解はされない[要出典]。
- 実用新案特許の建築資材、ボルト&ナットの組み合わせ固定機構「ハードロック(商品名)」が現在存在するが、これは音楽ジャンルである当該項目に肖って(あやかって)命名されたものであろうと言われている[要出典]。
[編集] 主要ミュージシャン(海外)
- AC/DC
- TOTO
- UFO
- アイアン・メイデン
- アルカトラス
- イングヴェイ・マルムスティーン
- インペリテリ
- ヴァン・ヘイレン
- ヴェルヴェット・リヴォルヴァー
- エアロスミス
- エイプリル・ワイン
- エンジェル
- オジー・オズボーン
- ガール
- カンサス
- ガンズ・アンド・ローゼズ
- キッス
- クイーン
- グラハム・ボネット
- グランド・ファンク・レイルロード
- クリーム
- クワイエット・ライオット
- ゲイリー・ムーア
- ザ・ダークネス
- サクソン
- ジェフ・ベック・グループ
- ジミ・ヘンドリックス
- ジャーニー
- ジャニス・ジョップリン
- ジューダス・プリースト
- ジョニー・ウインタース
- シン・リジー
- スキッド・ロウ
- スコーピオンズ
- スティーヴ・ヴァイ
- スティックス
- ディープ・パープル
- ディオ
- デフ・レパード
- トライアンフ
- ナイト・レンジャー
- ナザレス
- バッド・カンパニー
- ハンブル・パイ
- ビリー・アイドル
- ブラック・サバス
- フリー
- ブルー・オイスター・カルト
- ホワイトスネイク
- ボン・ジョヴィ
- マイケル・シェンカー・グループ
- マグナム
- ミスター・ビッグ
- モトリー・クルー
- ヤードバーズ
- ユーライア・ヒープ
- ヨーロッパ
- ライオット
- ラッシュ
- ラット
- レインボー
- レッド・ツェッペリン
- ワイルドハーツ
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
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