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ギフテッド - Wikipedia

ギフテッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Disambiguationこの項目では人口の約2%を占める高知能で高い潜在能力を持つギフテッドと呼ばれる英才児について説明しています。努力(先取り学習)で高い学力を身に着けたハイ・アチーバー(高達成者)と呼ばれる英才児については早期教育をご覧ください。


ギフテッド (Gifted)は平均よりも顕著に高い能力を持つことである。その傾向は誕生時から生涯にかけて見られる。世間的な成功を収めることではなく、学び方の素質や生まれつきの学習能力を持つことを指す。ギフテッドを英才児、優秀児、天才児などと訳すが、日本では「飛び級できるような賢い子」という一面でしか捉えられておらず誤解が生じているため、本項ではギフテッドと称する。

タレンテッドという言葉もギフテッドと併用され、ギフテッド・タレンテッド教育 (GATE, Gifted and Talented Education) などとも言う。ギフテッドが全般的、学術的な才能を指すのに対し、タレンテッドは芸術的な才能を持つ者を意味する。

ギフテッド・クラスにて理科の授業を見学するブッシュ大統領夫人(中央)
ギフテッド・クラスにて理科の授業を見学するブッシュ大統領夫人(中央)
しばしばエンリッチメント・プログラムに導入されるチェス
しばしばエンリッチメント・プログラムに導入されるチェス

目次

[編集] 日本での誤った認識

日本ではマスコミを始め、ギフテッドが「高偏差値エリート」と誤解されており、「英才児を産む」「英才児になるように育てる」という表現がまかり通っている。関連書籍もお受験学力がらみの早期教育のものが多く、「〇〇脳」「〇才までに導入」「○才までに習得」といったキーワードが並ぶ。これは教育心理学発達心理学から見て、次のような点で間違っている。

  • ギフテッド (gifted)は、贈り物を意味するギフト (gift) が語源であることからわかるように、あるいはから与えられた資質、つまり生まれつきの神経系素質である。精神的に特異であるという点では、ギフテッドも特別支援教育の範疇にある。「ギフテッドの才能を伸ばす」という言い方はできるが、「こうすればギフテッドになる」とは言わない。
  • 成長期に特別な支援が必要であるため英才「児」と呼ばれるが、ギフテッドは一生を通して見られる傾向である。「大人になればただの人」と言われる神童とは異なる。就学前教育早期就学だけではフォローアップが不十分である。
  • ギフテッド学級と呼ばれていても、選考の際に学業成績に重きを置く場合は、ギフテッドのほかに先取りや詰め込み教育で高い学力を身に付けたハイ・アーチーバーが混ざる。ハイ・アチーバー (High achiever 高達成児)は、ハイリー・ケイパブル (Highly Capable 高能力) ともいい、これが事実上 日本の多くの「英才児」に当たる。
  • ギフテッドは学校の成績という尺度に限らず、芸術性やリーダーシップにおいて秀でたこと、または秀でる可能性を持つことを指す。優秀な成績や模範的な学習態度を持っているとは限らない。学業不振であったり、ADHD診断を受けて特別支援教育クラスに入っていることもある。[1]
  • 早期教育で他人よりも早く多くマスターする先取り学習によってギフテッドになるのではない。ギフテッドは常に知的刺激を渇望し、興味ある分野を自分の好む学習方法で深く掘り下げて探求する傾向にあり、それが結果的に学年より先のレベルに到達することが多い。教育熱心な保護者主導で幼児教室に通わせたり、業者の教材を子どもに買い与える早期教育とは一線を画する。
  • 「賢い子で良かった」と手放しで喜んではいられない。ギフテッドであるが故の精神的葛藤や苦悩、心理面や行動面の問題がある。

[編集] ギフテッドの判別法

[編集] 概要

ギフテッドの子ども達の教育に特別な配慮が必要であったため、まず教育機関がギフテッドの正式な判別法を模索し始めた。20世紀には一般的にIQテストを使ってギフテッドを診断していたが、近年の知能研究理論においては、このようなテストの妥当性や限界について疑問が湧き上がっている。しかし現実問題として、同級生に比べて秀でている子どもがおり、従来の学校システムの範疇では本人の潜在能力を十分に伸ばしきれない恐れがあるのは事実である。北米ヨーロッパでは多数の学校がギフテッドの生徒を見つけ出し、彼らの才能を生かすべく教育内容を追加したり、通常とは異なった教育を与えている。

[編集] ギフテッドの定義

21世紀初頭現在は、アメリカ合衆国教育省が1993年に発表したギフテッド・タレンテッド教育方針書[2]における定義が一般的な基準の一つとなっている。スーザン・K・ジョンセンも自著『ギフテッドの子どもの判別法 実践ガイド』の中で、合衆国が定義した能力を含む分野において、高い能力を発揮する可能性を見せた子どもをギフテッドと呼ぶと述べている。[3]

子ども、生徒、若者に対してギフテッドやタレンテッドという言葉が用いられた場合は、その者が知的能力、独創性、芸術性、リーダーシップ、あるいは特定の学術分野における高い潜在能力の片鱗を見せ、その能力を十分に伸ばすには通常の学校教育にはない援助や活動を必要とすることを意味する。[4]

この定義は、アメリカ合衆国の州や学区、学校レベルでもそのまま、あるいは一部に採用され、下記のテキサス州の例と似通った定義をもつところが多い。

ギフテッド・タレンテッドの生徒とは、同じ年齢・経験・環境を持つ子どもと比較して著しく高いレベルを達成する、あるいはその可能性をうかがわせる子ども。知的能力、独創性や芸術の分野において高い実行能力を示す、並外れたリーダーシップ能力を持つ、あるいは特定の学術分野で秀でている。[5]

一般的にギフテッドの定義は以下の共通点がある。

  • 能力を発揮するのは学業に限らず多様な分野である。
  • 他のグループとの比較に基づく。
  • 能力を伸ばす支援が必要である。

しかし上記3点だけでは、努力で高学力を身につけた優等生(ハイ・アチーバー)とギフテッドのふるいわけが十分にできないという懸念がある。ポーランドの心理学者ドンブロフスキ (Dąbrowski) が指摘するところの、刺激への激しい反応や敏感さ、自己批判能力、高い精神性や感情性といった、より高い人格(パーソナリティー)へ成長する潜在能力も含まなければ、ギフテッドの定義としては不十分だという意見がある。[6]

[編集] 測定方法

多くの学校ではギフテッドの生徒を判別するために、能力や可能性を様々な方法で測定する。[3] 生徒の過去の作品集、教室での観察、達成度テストや知能検査などである。教育現場の専門家の多くは、測定方法を何か一つ使用するだけでは正確にギフテッドを見極めることはできないと考えており、総合的な判断をする。

知能検査においては平均より高い方にはずれた数値をギフテッドとする
知能検査においては平均より高い方にはずれた数値をギフテッドとする

測定方法の一つとして、知能測定から導き出した点数を使う。多くの場合、標準知能検査の点数を標準偏差における分散が σ2程度の点をボーダーラインとし、それ以上のレベルを高知能としている。この線引きを用いて更にレベル分けをする場合もある。以下の例では知能検査を標準偏差15として、平均値より高い数字を標準偏差1つ分ずつ区分している。

  • 賢明:知能指数 115以上、6人に1人の割合、上位16%
  • 中程度にギフテッド:130以上、50人に1人、上位2.1%
  • 高度にギフテッド:145以上、1000人に1人、上位0.1%
  • 並外れたギフテッド:160以上、3万人に1人、上位0.003%
  • 完全なギフテッド:175以上、3百万人に1人、上位0.00003%

ほとんどの知能検査では高度なIQレベルに関しては細かく正確に計ることができず、その生徒がギフテッドであるかどうかを判別するには有効だが、どの程度ギフテッドであるかを知るには不十分である。ウェクスラー成人知能検査は最高値が160になっているが、平均的知能 (70から130)を持つ人が対象で、考案者自身、平均から極端にはずれた人の検査には向いていないと認めている。一般的にギフテッドはIQ値130以上とされる。

現在は時代遅れだとして用いられていないスタンフォード・ビネー法 L-M版が唯一、上記スケールの並外れたギフテッドと完全なギフテッドを判定するのに十分な幅を持っていた。しかし、手段が古いため、現在では数値がつり上がり、不正確な結果となってしまう。代わりに近年公開されたスタンフォード・ビネー法 V版とウェスラー児童向け知能検査 (WISC) 第4版の両方が用いられている。メンサでも知能テストを受けられるが、10歳半未満の子どもには有効でない。幼い子どもは教育心理学者の評価を基本にしてIQの点数を算出することになる。IQテストは算数理科寄りであるため、美術文学といった分野のギフテッドはIQの点数が良くない傾向がある。

[編集] ギフテッドの特徴

一般的にギフテッドは同年の人間より速く、深く、広く学ぶ。ギフテッドの子どもは幼いうちから文字を読んだり、ずいぶん年上の子どもと同レベルで学習することもある。高い論証能力、独創性、好奇心、豊富な語彙、優れた記憶力を持つ傾向にある。わずかの反復で全体概念を修得できることもしばしばである。

ギフテッドといっても、全ての学術分野に等しく秀でていることはまれである。たとえば論理問題を解くのが非常に優れているのに文字の綴りが苦手であるとか、学年平均よりずっと秀でた読み書きができる一方で数学が苦手であったりする。個人の発達の遅れに様々なケースがあるように、ギフテッドにも異なったケースが存在する可能性が指摘されている。

このような知性面だけを取り上げて、ギフテッドは単純に学力やIQテストによって測定できる量的な違いであると信じる者も多いが、一方でギフテッドは世界を知覚するのに一般人とは根本的な違いがあり、その違いが本人の人生経験すべてに影響しているという考えがある。これは過敏な神経による過度激動な反応OE。後述)が原因となって、社会や人生における出来事を一般人に比べて強く、深く、長く感じるという説である。この生理的な違いは、ギフテッドの子どもが学校を卒業しようと、大人に成長しようと消えない。ギフテッドの大人はめったに特殊な人として扱われないが、高知能を持つ人間ならではの心理的、社会的、感情的な要求を持っているのである。[7]

[編集] OE(過度激動)

ギフテッドの人間には異常なほどの熱情、並外れた集中力、他人とは一風変わった振る舞いが見られる。これは多動性障害双極性障害自閉症スペクトラムやその他の心理的障害の兆候に似ているが、ギフテッド教育の専門家はドンブロフスキの「積極的な分離」(w:en:Positive Disintegration) [6]という人格形成理論をしばしば引用する。積極的な分離理論の中核を成すのが、刺激に対する並ならない反応OE Over-Excitabilities 過度激動)である。これは神経の感受性が増すことによって通常の人間よりも刺激を生理的に強く経験する性質であり、ギフテッドの特徴である。

否定的な分離とは、一般社会的な生き方から破滅的に離れることで、精神病自殺を引き起こす可能性がある。それに対して積極的な分離とは、一般的な受身の人生から離れ、自分から更に高いレベルの生き方を求めることである。一般社会との積極的分離と再融合を繰り返す人間は、自己や世界の概念が変化していき、最終的に独創的な生き方のビジョンを得てその実現を目指す。しかしその過程は、緊張、不安、気分的うつ、恥、罪悪感といった精神的苦痛を伴う。自己の葛藤も深い感情作用に連動しており、人生の要となる出来事も日常の内省行為も、世の中がそうあるべき姿と現実世界とのギャップを思い知る機会となる。そして利他意識や道徳観念といった更に高いレベルでの人格形成につながっていく。

ドンブロフスキは、短時間の単純な感情は人格の成長にあまり影響はなく、否定的感情も含めた激しい感情作用こそが人生を変えるような劇的な体験をもたらし、積極的な分離を起こすと考えた。つまり精神的苦痛は個人が心理的により高いレベルへ成長するために不可欠であり、その深い感情作用を最大にもたらすものはOEであるとしている。ギフテッドの子どもがOEという平均以上に敏感な精神状態にあることは、勉学や仕事で著しい成果をあげるだけでなく、日常におけるすべての活動においても精神に特異な反応を起こしている。つまり、ギフテッドは誕生時より常に外界、内界両方からの刺激を増長した精神で感じ、激しく深い幅をもって経験し、内省を繰り返していることが、彼らの著しい成長に関連しているという説である。

ドンブロフスキはOEを次の5つの分野に区分けした。

  1. 精神運動性OE:一般的に「落ち着きがなく頭の回転が速い」印象を与えるもので、身体的多動だけでなく、話すスピードが速い、話が一気に飛躍する、頭が働いて眠れないという精神的多動も示す。
  2. 知覚性OE:「神経質」という言葉で表される性質で、増長した知覚意識を持ち、まぶしい光、大きい音、匂い、触感など感覚器官に与えられた刺激に過剰に反応する。靴下の縫い目や服のラベルが気持ち悪かったり、隣室の時計の時を刻む音が気になって集中できないといった例がある。鋭い感性は、幼少の頃から絶景に息を呑み、名曲に涙を流すといった美的感覚にもつながる。
  3. 想像性OE:隠喩などの詩的表現に優れる。「注意力散漫」と見られ、「おとぎの国の住人」と揶揄されるほどの強い想像力をもつ。白昼夢を楽しみ、前夜見た夢にも過剰に反応する。いわゆる英語圏で言うところの"think out of the box"(枠にとらわれない独創的な考え方)ができる能力として賞賛される資質でもある。
  4. 知性OE:一般に広く知られているギフテッドの特徴。知識を渇望し、疑問は研究し、理論的な分析や真実の探求を愛する。そのため高度な科学・ドキュメンタリー番組を好んで見たり、頭脳パズル、知覚ゲームを好む。
  5. 感情性OE感情の種類と幅が大きく「ドラマチック」な反応を示す。より楽しみ、より悲しみ、より腹立ち、より驚き、より恐れる。深く感情移入し、愛着心、責任感、自省意識も非常に強い。

どの分野のOEが強いかは個人差がある。たとえば高い知覚性OEを持つギフテッドは、外界からの刺激に対して非常に敏感で、五感のいくつかが働きすぎて作業に集中できないため混雑や混乱した環境を避けようとする。一方、知覚性OEが低く、妨害をすべて遮断して作業や思考に集中でき、むしろ五感への刺激が存在するど真ん中に身を置くことを好み、その状況下で上手くやっていけるギフテッドもいる。OEが強いほど、毎日の生活が強烈な体験となるが、特に想像性、知性、感情性において過剰に反応する人間は、他人に比べて日常生活を深遠に体験し、人生の苦楽も激しく感じる。

[編集] 精神的、社会的な問題

[編集] OE(過度激動)に起因する問題

ドンブロフスキは、強いOE(前述)を持つ人間は最高にハイな気分とどん底に沈み込む気分両方を味わう可能性があり、決して楽な人生ではないことを表して、OEを「悲劇的なギフト(天からの贈り物)」と呼んだ。

OEが強いと、特定の刺激に関して過剰に反応してしまい、集団から浮いてしまうことがある。たとえば感情の起伏が激しいことから気分屋、知覚が鋭く些細なことで不快になってしまうことから神経質といったレッテルを貼られる。感情や五感への刺激を避けるために集団から離れていると、今度は人付き合いが悪いと非難される。その状況下で感じる気分的うつ(慢性のうつ病とは異なる)や自己嫌悪といった否定的な感情も、OEゆえに必要以上に強く感じてしまう。

[編集] 気分的うつ

ギフテッドと慢性うつ病自殺との関連性は証明されていない。レイスとレンズリの研究では次のように述べられている。「著述や視覚芸術に優れた独創的なギフテッドである青少年を除いては、ギフテッドの人間も一般人もうつ病に関する違いはない。ギフテッドは知覚能力が発達しており、他人よりも敏感で発達社会的に孤立し、発達状態にもむらがあるため社会的、精神的な問題にぶつかる。しかしながら、彼らのもつ高い問題解決能力、ソーシャル・スキル、倫理判断、学校外の事物への関心、達成感といったものが助けとなっていると思われる。」[8] また自殺率についてもギフテッドの青少年との関連性は証明されていない。[9]

しかし、ギフテッドの人間が気分的にうつ状態に陥ることが多いのは広く認知されている。死の終局、根本的な個人個人の取るに足らない存在、人生の意味や意味の欠如といった抽象的な心配ごとが引き金となっており、他人より不安を感じやすい性質もうつ状態に拍車をかけている。[10]

[編集] 孤立

ギフテッドはOE(前述)に起因する少し変わった行動をとる、同世代の子ども達と精神年齢や興味が異なり話が合わないといった理由で、気の合う友達がみつからなかったり、他の子どもから疎外されることもある。外界からの刺激を嫌うためや、人生をより真摯に受け止めるがゆえに内向性を持ち頻繁に内省するために、ギフテッド自身が一人でいることを選ぶ場合もある。

特にギフテッド仲間の社会的ネットワークを持たない者にとって、孤立は一番の問題である。他人に好かれ、認められようと、ギフテッドの子どもはしばしば自分の能力を隠そうとする。アンダー・アチーバー(下記参照)となったり、家族や信頼できる人といる時に使う高尚な言葉とは異なり、同級生といる時は簡単な言葉を使うようにするといった、本当の自分とは異なる姿を演じる。[11] これはギフテッドの女性により多く見られる傾向である。

孤立は、必ずしもギフテッドであることが原因ではなく、社会のギフテッドに対する考えにも起因する。社会において人は「ノーマル」でなければならないという多大なプレッシャーがある。ギフテッドやタレンテッドの人間は変わり者という烙印を押されたり[12]いじめの対象になったり、自己嫌悪や自己卑下する可能性もある。孤立問題を解決するために、ギフテッド教育の専門家は共通した興味や能力に基づいたギフテッド達でグループを作ることを薦めている。グループに参加する時期が早いほど、孤立を避けられる。[13]

欧米にはギフテッド教育を施す私立校がある。アメリカ合衆国の場合、公立や進学校を含めた他の私立からギフテッド専門の私立校へ転校する子どもも多い。専門私立校は公立のギフテッド・プログラムとは異なる選考基準を設けるところもある。卒業生がアイビー・リーグなどの名門大学に進む学校も多いが、ギフテッド専門校は進学校ではなく、あくまでもギフテッドのニーズにきめ細かく応える学校である。ギフテッドの子どもが本来の自分のままでいながらにその才能を最大限に咲かせられることを最優先にしている。ギフテッド専門校に通ってようやく話が通じる仲良しの友達ができた、「普通の人」を演じる必要がなくなった、というような広義の意味でのクオリティ・オブ・ライフ(人生の質)の向上に力を入れる。一般的にギフテッド専門私立校は授業料が高く、ごく一部の恵まれた子どもしか通うことができない。

[編集] アンダー・アチーバー

ギフテッドの生徒が抱える問題にはアンダー・アチーブメント(未達成)もある。 学力偏差値知能偏差値を比較し、知能検査の結果と比べて成績評価が良い生徒を「オーバー・アチーバー」(水準以上の達成)といい、その逆を「アンダー・アチーバー」(水準以下の達成)という。達成度や論理を計るテストでは相変わらず良い点数を取るのに、宿題を提出しない、授業に参加しない、欠席するといった行動を取る。総合的に見れば、生徒が学校教育過程から乖離してしまっている。これは日本でも浮きこぼれとして認識されている問題である。原因は社会的孤立を避けようと学校友達・同級生に同化しようとするプレッシャー、授業内容が低いなど学習意欲が湧かない環境、、機能不全な家庭環境などがある。[8]その他にも気分的うつ、不安、失敗を避ける気持ち、反抗、短気(刺激過敏)、非協調、怒りといった個人的な感情が原因となっていることもある。[14]

アンダーアチーバーは、ギフテッドと学習障害が同時に存在するわけがないという誤解のために、学習障害を持つギフテッドが診断漏れで支援教育を受け損なっていることもある。一般的に全教科の点数が平均以上であっても点数差が標準偏差σ1程度あれば学習障害と定められる。

ギフテッドの広く、深く、速く学習するという性質上、単純に学習量や難易度を増した習熟度別クラスやスピードを増しただけの飛び級では十分に対応しきれない。アンダー・アチーバーであるギフテッドの子どもの能力や興味にもとづいたエンリッチメント・プログラムを受講させることが解決法となる。エンリッチメント・プログラムとは生徒の精神的健康を念頭に置いて、関心を持って学習できるよう工夫して作り上げられたものである。多方面にわたった幅のある発展的授業や個別指導カリキュラムを指す。

[編集] 完璧主義

完璧主義も、ギフテッドの人間によく見られる精神的な問題である。ハマチェックの論文に寄れば、完璧主義に関連する特定の行動6つが挙げられる。[15]

  1. 気分的うつ(慢性のうつ病ではない)
  2. 「こうするべきだ」という気持ちに絶えず苛まれる
  3. 恥と罪悪感
  4. 面目を保つための行動
  5. 内気でぐずぐず先に延ばす
  6. 自己卑下

孤立問題同様、完璧主義も男性より女性によく見られる。

ギフテッドの子どもは自分の精神年齢(自分の思考レベル)を標準にするが、身体年齢が追いつかないため完璧主義であることは尚更辛い。頭では理解していも、人生経験が足りないために精神年齢並みの行動ができないという歯がゆさもある。また、自己の能力の限界に挑戦する機会がないギフテッドは、たいていのことは何でもそつなくこなせてしまい、その結果、失敗を知らず完璧主義が助長されてしまう。

[編集] 不均衡

ギフテッドの子供の成長はしばしば非同期である。精神の成長スピードに肉体が伴わず、そのうえ認知や感情機能においても一部が他の部分とは異なった発達段階にあることも頻繁に見られる。乳幼児期における認知発達の非同期性がもっともよく知られた例はアルバート・アインシュタインであろう。彼は3歳まで言葉を発さず、その後 流暢に話し、完全に遅れを取り戻した。この点に関して、脳神経の研究者スティーブン・ピンカーは、アインシュタインをはじめ言葉が遅かったギフテッドが大人になってから達成したことは、幼少時の言語の欠損とは別物、欠損にかかわらず大成した、言葉の遅れという障害があったという見方はせず、むしろ天才的才能と言葉の遅れの共存は発達上本来あるべき形なのかもしれないという理論を述べた。[16]

ギフテッドは、精神と身体、一部の感覚器官と他の部分における発達の非同時性という不均衡のみならず、秀でている得意分野と不得意分野、OE(前述)が強い分野と弱い分野という面でも不均衡である。人は誰でもアンバランスであるが、ギフテッドは秀でた部分やOEの反応が通常より非常に大きいため、アンバランスの部分が多くその度合いも大きい。不均衡という点では互いに共通しているギフテッドも、個人個人の違いは大きいため、エンリッチメント・プログラムなど個々に合った教育環境が必要とされる。

[編集] ギフテッドと他のタイプとの違い

ギフテッドの定義ひとつで、ギフテッド・クラスの選考基準が変わってしまう。たとえば学業成績で選別する場合、ギフテッドとハイ・アチーバー(いわゆる秀才。成績優秀者)は学力的に同じ位置にいる。しかしそこに到達するまでの過程、つまり学習方法や目的に違いがある。秀才は強い忍耐力を持ち、確固たる目標を持ってマニュアルに沿って勉学に励み、努力によって高い学力を獲得したのに対し、ギフテッドは知りたいという衝動に突き動かされて、興味あることを徹底的に調べ上げて吸収し、それを応用した結果といえよう。この2グループが混在したクラスについては、ギフテッドとは名ばかりで進学クラスになっており本当にギフテッドである子供の救済になっていないという反対意見と、ギフテッドの子どもが自分と異なるタイプのグループと接することができる多様性のある環境は好ましいという賛成意見がある。

知的好奇心という点でギフテッドと天才は非常に似通っているが、天才という言葉は神がかり、奇行や変人、あるいは説明不可能なケースを漠然と表現する時にも使われる。ギフテッドは客観的なデータに基づいた冷静な診断という印象をもたらす。これは天才という言葉が「はるかに上」という意味であらゆる事物に対して濫用され俗語化したのに比べ、ギフテッドが教育学心理学で用いられる学術用語であることにも起因している。そのためすべてのギフテッドは天才である一方、定義に合った一部の天才だけがギフテッドとみなされることになる。

ギフテッドの最も一般的な和訳は英才だが、誤った認識(前述)がみられる。早期教育に象徴される頭の回転の速さと、アイビー・リーグに象徴されるエリート進路という学業面ばかりが注目され、日本語の英才という言葉は飛び級とほぼ同意語になってしまっている。確かに英才はギフテッドによく見られる傾向であるが、あくまでもギフテッドが持つ特徴の一つにすぎない。

はっきりと認定できない曖昧なケースもある。自閉症において、知的障害を伴うが並外れた能力を持つサヴァン症候群をギフテッドに含むことは原則ないが、強い感情作用、驚異的な集中力、高い知能指数を持つアスペルガー症候群にはギフテッドの定義に合う子どもが多い。アスペルガーの子供をギフテッドに入れるか発達障害児クラスに入れるかは、専門家や学校の判断に依る。一日の大半を通常学級で過ごし、ギフテッドの面に対してエンリッチメント・プログラム、発達障害の面に対してカウンセリングやセラピー、と両方の面で個別指導を受けることもできる。

たとえばアメリカの場合、ギフテッドの定義は州や学区によって異なる。純粋にギフテッドの生徒を対象にして、空きがある時のみハイ・アチーバー(成績優秀者)を受け入れる所もある。一般的に言って、予算や学級編成の都合があったり、ギフテッドが学力差別だと非難を受けている地域などでは、ギフテッドのかわりに、ギフテッド・ハイ・アチーバー(ギフテッドおよび成績優秀者)、アドバンス(上級)、オナーズ(優等)、ハイリー・ケイパブル(高能力)、アカデミック・エクセレンス(優秀)といった呼称を与え、ギフテッドに限らず成績優秀者を上位から選抜していく学校が多い。学業評価で判定する場合は、生来のギフテッドであってもすくい上げられない生徒が出てくる。

また、ギフテッドという点を見落として学習障害児や発達障害児だと誤診して高い潜在能力を伸ばす機会を潰してしまったり、逆に学習障害や発達障害を見落としてギフテッド能力に比例した達成度が見られない(アンダー・アチーバー)と診断され自尊心がひどく傷つけられるケースもある。このように学校の定義や審査基準、専門家の誤診断などによって、ギフテッドの学習環境が大きく変わる恐れをはらんでいる。

[編集] まわりの人間の理解

特殊教育の中でもギフテッドは高知能、高能力ゆえに後回しにされがちである。知能指数が平均より下方にある子どもばかりでなく、上方にある子どもにもサポートを受ける権利はある。ギフテッドの子どもの中にはギフテッドであるがゆえの様々な問題を抱えており支援を必要としている。しかし、頭が良いのに文句を言うのは贅沢だ、もう既に十分得をしている人間がこれ以上得するために税金をつぎこむ必要はない、といった風潮が支援教育が行われない背景となっている。

通常ギフテッド教育を受けるには知能指数や学力試験で選抜され、素行の良さも必要とされるため、子どもがギフテッド・プログラムに選ばれて嫌がる親はいない。実際ギフテッドを鼻にかける親も存在する。しかしギフテッドの子どもにとって最適の育児・教育法を暗中模索する親は、時にはギフテッドではなく通常クラスに入れたり、状況が許せば私立ホーム・スクーリングを選ぶこともある。子どもの才能を見逃さず最大限に伸ばす方法を考え、常に旺盛で衝動的な知的好奇心を満たす学習課題を与え、激しい感情の波のコントロールを教え、得意分野だけでなくバランスのとれた教養をめざし、高慢にならず、被害妄想を膨らませず、社会で孤立しないよう育てようとする。子どもの独創性や独立精神を尊重しながらも、豊かで幸せな人生が送れるよう心をくだいているのである。しかしギフテッドの子どもについての悩みは、他人には自慢話や贅沢な文句にしか聞こえず、親自身が孤立することもある。ギフテッドの親も、本人同様、似た立場にある者同士で作るネットワークが必要である。

[編集] 日本にギフテッドが浸透しない理由

ギフテッド教育(GATEやTAG)が進んでいる欧米諸国では、現地でギフテッド教育を受けている日本人の子どもが多数いる。その中にはギフテッドを誇りに思っているが、「違う」「独特」「変わっている」などと表現されることを非常に嫌がる親もいる。一般平均と異なるレベルにあるのがギフテッドなのだから、多少異なっているのは当然である。学業成績は維持したまま一般大衆に同化せよというプレッシャーは、ギフテッドの子どもにとって非常に辛い。またギフテッドという輝かしいレッテルは好むが、ギフテッドが精神的に特異であることを認めず、特殊教育の傘下に置かれることを嫌う者もいる。これは特別支援教育=障害児教育という思い込みや偏見があるためである。

日本国内においてギフテッドの定義が浸透しないのは、欧米の機会平等主義に対して日本が能力平等主義であること、一人一人の人間が天・神によって創られているという欧米の宗教観に対して日本では血にこだわる素朴遺伝観が強いといった差が要因にあると言われている。この相違点は氏か育ちか論争(Nature VS Nurture)にも繋がる。

上智大学の加藤幸次は、欧米と日本との「人間観の相違点」として次のように述べている。[17]

欧米では習熟度別指導が早くから導入され,一般化しています。一般的にいわれていることですが,欧米では人間の成長・発達というものは一人ひとり違っているという前提が受け入れられているのです。それに対して,日本では“努力すれば,勤勉であれば,人間は皆同じペースで成長・発達していくものである,あるいは,いくべきである”と考えられています。
実は,欧米では「習熟度別」とはいわず,はっきりと「能力別」というのです。能力というのは生まれつき,その人に備わっているものです。その能力に応じて指導しようというのです。他方,日本語の“習熟”という言葉は,くり返し学習するようにすれば,誰でも一定のレベルに達するものである,と理解されます。

恒吉僚子の著書『人間形成の日米比較』にも同様の記述が見られる。[18]

アメリカにくらべ、日本では、「児童間の学業成績の差はなぜ生じるのですか」という質問を教師や親にした場合、生来の能力差以外の理由が好まれることは、H・スチーヴンソンやW・カミンズなどの数々の研究者によって繰り返し示されてきた。
学力差の原因は児童の「努力」の違いや、家族の協力的あるいは非協力的態度、教育環境の良し悪しなど、さまざまな要因に求められるわけだが、「生まれつきの能力差は存在しないか、たとえ存在しても努力や環境などの後天的なものにくらべれば問題にならない」という考えが、日本人の間では一時代前から強いとされてきた。これは、能力平等観などと呼ばれ、日本人の特徴だと言われている。
これに対して、アメリカでは、日本よりも生来の能力差を肯定する傾向があることは、幾度となく指摘されてきた。
「生来の能力差は直接、神からわれわれが授かるものであり、人間はその存在をなくすことは決してできない」とは、『アメリカのデモクラシー』でのA・トクヴィルの言葉であるが、"gifted"という語は、「天賦の」という意味であり、ある子供が他にくらべ、特別な能力や才能を天から授かっているという宗教的な響きがある。

欧米のギフテッド・プログラムをそのまま日本に導入した場合、「努力次第でギフテッド・クラスに入れる」という誤解を生む。つまり統計上2%という低い確率で存在するギフテッドのための特別クラスに、努力すれば100%近い子どもが入学できるはずと言っているわけで、熾烈な「ギフテッド競争」の始まりが予想される。ギフテッド・プログラムに入れないのは努力不足で本人や保護者に責任があるとみなされる。知能検査の点数を上げるための英才教室を運営する業者や学校が今以上に増え、経済格差による教育格差問題、ひいては遺伝子操作によるデザイナーベビーといった倫理問題にまで発展する危険もある。このような状況下では本来のギフテッドがギフテッド教育の恩恵を受ける可能性は非常に低い。

逆に「ギフテッドは生まれつき」という概念を浸透させるには、血にこだわる日本社会において遺伝子論争や優生思想を避けては通れないため、ギフテッド・プログラム導入には非常に慎重にならざるを得ない。しかし、たとえ100人に2人程度しかいないとはいえ、日本にいるギフテッドの子ども達の支援も考えていく必要がある。

アメリカ教育省は、ギフテッド教育はギフテッドの子ども自身だけでなく国家のためにも必要であるという見解を示した。1993年発表のギフテッド・タレンテッド教育方針書では、その序章において「国際競争力をつけ、経済的に大きく成長するために、アメリカ国家は最高レベルの学生達に頼らなければならない。この多くの学生達は数学、科学、文筆、政治、舞踏、美術、ビジネス、歴史、心と体の健康、その他の分野においても、将来リーダーシップを取る人材となるからである。」と述べられている。[2]

[編集] 脚注

  1. ^ Gifted or ADD?
  2. ^ a b National Excellence: A case for developing America's talent, US. Dept of Educaiton
  3. ^ a b Johnsen, S. K. (2004). Identifying Gifted Students: A Practical Guide." Waco, Texas: Prufrock Press, Inc.(英語版脚注)
  4. ^ (P.L. 103–382, Title XIV, p. 388)(英語版脚注)
  5. ^ (74th legislature of the State of Texas, Chapter 29, Subchapter D, Section 29.121)(英語版脚注)
  6. ^ a b SENG: Articles & Resources - Dabrowski's Theory of Positive Disintegration: Some implications for teachers of gifted students (accessdate=2006-09-17)
  7. ^ Hoagies' Gifted: Optimum IQ: My Experience as a Too Gifted Adult (accessdate=2006-09-17)(英語版脚注)
  8. ^ a b Reis, S. M. & Renzulli, J. S. (2004). Current Research on the Social and Emotional Development of Gifted and Talented Students: Good News and Future Possibilities. Psychology in the Schools, 41, published online in Wiley InterScience.(英語版脚注)
  9. ^ Neihart, M. (2002). Risk and Resilience in Gifted Children: A Conceptual Framework. In M. Neihart, S. Reis, N. M. Robinson, & S. M. Moon (Eds.) The Social and Emotional Development of Gifted Children. (pp. 113-124). Waco, Texas: Prufrock Press, Inc.(英語版脚注)
  10. ^ [http://www.sengifted.org/articles_counseling/Ellsworth_AdolescenceAndGiftedAddressingExistentialDread.shtml SENG: Articles & Resources - Adolescence and gifted: Addressing existential dread (accessdate=2006-09-17)}}(英語版脚注)
  11. ^ Swiatek, M. A. (1995). An Empirical Investigation Of The Social Coping Strategies Used By Gifted Adolescents. Gifted Child Quarterly, 39, 154-160.(英語版脚注)
  12. ^ Plucker, J. A., & Levy, J. J., (2001). The Downside of Being Talented [Electronic version]. American Psychologist, 56, 75-76.(英語版脚注)
  13. ^ Robinson, N. M. (2002). Introduction. In M. Neihart, S. M. Reis, N. M. Robinson, & S. M. Moon (Eds.) The Social and Emotional Development of Gifted Children. Waco, Texas: Prufrock Press, Inc., Lardner, C. (2005) "School Counselors Light-Up the Intra- and Inter-Personal Worlds of Our Gifted" as found on the World Wide Web at http://www.hoagiesgifted.org/light_up_the_world.htm.(英語版脚注)
  14. ^ Reis, S. M. & McCoach, D. B. (2002). Underachievement in Gifted Students. In M. Neihart, S. M. Reis, N. M. Robinson, & S. M. Moon (Eds.). The Social and Emotional Development of Gifted Children (pp. 81-91). Waco, Texas: Prufrock Press, Inc.(英語版脚注)
  15. ^ Schuler, P. (2002). Perfectionism in Gifted Children and Adolescents. In M. Neihart, S. M. Reis, N. M. Robinson, & S. M. Moon (Eds.). The Social and Emotional Development of Gifted Children (pp. 71-79). Waco, Texas: Prufrock Press, Inc.(英語版脚注)
  16. ^ His Brain Measured Up by Steven Pinker (accessed = 12/4/06)(英語版脚注)
  17. ^ アメリカにおける能力別グループ指導
  18. ^ 東京大学工学部システム創成学科 班目春樹 社会のための技術講義ノート

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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