タッチパッド
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タッチパッド (touchpad) は、平板状のセンサーを指でなぞることでマウスポインタの操作をする、ポインティングデバイスの一種。メーカーによりスライドパッド、トラックパッドなどとも呼ばれる。
多くのノートパソコンに採用されているほか、デジタルオーディオプレーヤー(iPodやgigabeat)や携帯電話(auのW42SA)、インターネットAQUOS(タッチパッドリモコン)など、ノートパソコン以外の製品への搭載例も増加している。
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[編集] 概要
タッチパッドは、平板状のセンサーと人体の指で構成されるコンデンサが、センサー表面のどの位置に存在するかを微弱な静電容量の変化として検出し、センサーの表面をなぞった指の軌跡を、画面上のマウスポインタの動作に関連づけるものである。指で構成されるコンデンサの極板面積は概ね接触面積であり、タッチパッドの面積に対して比較的大きいが、センサはコンデンサの存在をセンサ全面における静電容量の分布として検出するため、その分布中心を割り出すことによって必要な分解能を得ている。
タッチパッドを初めてノートパソコンに採用したのは、アップルコンピュータ社のPowerBook520(1994年5月発売開始)であった。当時主流だったボール式マウスやトラックボールなどとは異なり機械的な可動部品を必要とせず、構造が簡単で故障が少ない。また、装置自体の厚みも少なく、製造コストが安価であることからノートパソコンの薄型化・低価格化にも寄与している。現在は一般的なノートパソコンのポインティングデバイスとして広く採用されている。
タッチパッドはタイピング時のホームポジションをできるだけ崩さないように、パームレストの中央、もしくはそのやや左側に配置されている。パッドの形状は一般的に長方形で、ワイド液晶画面を採用した製品ではそれに合わせて横長としたり、また円形のものもあり、そのほか意匠によってはこの限りでない。パッドの周囲にはマウスクリックと同等の機能を持つボタンがいくつか配置されている。
[編集] 改良
初期の製品はパッド上もしくは指に付着した水分や汚れにも過敏に反応し、誤動作するという問題があった。のちに改良が加えられ、この問題は解消されつつある。
現在、タッチパッドはコンピュータにインストールされた専用のデバイスドライバと連携し、多くの操作機能を実現している。代表的なものがパッド表面を指で軽くたたくという動作を、マウスクリックとして扱うタップと呼ばれる機能である。
また、パッド右端や上端をなぞると、それぞれ縦や横スクロールが可能な製品もあり、ホイールパッドと呼ばれる円形のパッドを採用するLet'snoteでは、周囲を一回りになぞると同様の操作ができる。
またアップルコンピュータは、2本の指でなぞることで上下・左右・斜め方向へと自在にスクロールする機能を開発し、これをPowerBookやiBookに搭載しているトラックパッドに適用した。
[編集] 製品
以下は各メーカーによる、ノートパソコンに搭載されたタッチパッドの呼称である。これらは基本的に同等の機能を備えている。
- インテリジェントタッチパッド - ソニー
- ウルトラナビ - IBM, レノボ
- NX パッド - NEC
- グライドポイント - アルプス電気
- タッチパッド - エプソンダイレクト, ソーテック, 東芝, 日立, ヒューレット・パッカード, レノボ
- タッチパッド式ポインティングデバイス - デル
- トラックパッド - アップルコンピュータ
- パッド型ポインティングデバイス - シャープ
- フラットポイント - 富士通
- ホイールパッド - 松下電器産業