IBook
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iBook(あいぶっく)とは、iMacの大成功から約一年後の1999年10月に発売された、アップル(アップルコンピュータ)社の廉価版ノートパソコン。iMacと同じデザインコンセプトを踏襲し、半透明で丸みを帯びた筐体、ポップなカラーと、それまでのノートパソコンのイメージを払拭するものだった。
初心者向けの入門機種という位置付けながら、当時としては珍しく、無線LANカードの内蔵スロットが装備されているなど、アップルらしく、先を見据えた製品づくりとなっていた。
Intelアーキテクチャへの移行に伴い、MacBookに後継されることとなる。2006年05月に、PowerBookと共に販売終了となった。
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[編集] デザイン
iBookは1999年に「iMac to go」(「持ち運べるiMac」という意味)のコンセプトの下、「クラムシェル」と呼ばれる貝殻に似せたボディデザインで誕生した。iBookはブルーベリーとタンジェリンの2色で、当時流行のiMacを彷彿させるものだった。その後、グラファイト、キーライム、インディゴブルー3色を加えた。また、持ち運びやすいようにハンドルが付けられた。これは、教育機関等で、低年齢ユーザーに配慮したものである。今までのノートパソコンとは比較できない独創的デザインは、インテリアとしての機能をコンピュータに与え、人々にもっとデザインが出来る余地があることを気付かせた。
2001年にiBookはデザインを一変、透明のポリカーボネートの内側を塗装したホワイトボディにフルモデルチェンジした。途中素材そのものを白いものに変え、最終型までのiBookのデザインに引き継がれる。
クラムシェルモデルはポリカーボネート製の筐体をラバー素材で覆った構造となっており、低年齢ユーザーの乱暴な扱いに耐えられるように、非常に頑丈につくられていた。ホワイトボディのモデルもマグネシウム製のフレームに分厚いポリカーボネート素材を組み合わせ、ハードディスクをラバーで覆って衝撃に配慮した大変丈夫な構造となっている。日本国内市場ではノートブックに携行性が求められるので、12インチ以下の液晶ディスプレイを搭載した製品は、バッテリを犠牲にして重量を軽くした製品が多いが、iBookの場合、肉厚で頑丈なボディと公称6時間のバッテリ運用を確保するための大容量バッテリを搭載したため、他社製品に比べ重量があった。
[編集] 主要スペック
[編集] iBook G4
[編集] 12インチモデル
- CPU:1.33GHz PowerPC G4
- メモリ:512MB DDR SDRAM(最大1.5GB)
- ハードディスク:40GB Ultra ATA/100
- 光学式ドライブ:スロットローディング式コンボドライブ(DVD-ROM/CD-RW両用)
- ディスプレイ:12.1インチ(対角)TFT XGA 1,024×768ピクセル
- GPU:ATI Mobility RADEON 9550(32MB DDR SDRAM)
- 入出力ポート:FireWire 400ポート×1基、USB 2.0ポート×2基、VGA出力、S-Videoおよびコンポジットビデオ出力、ヘッドフォン出力ミニジャック
- ネットワーク:10/100BASE-T Ethernet、52K V.92モデム
- ワイヤレス接続:AirMac Extreme、Bluetooth 2.0+EDRを標準装備
- バッテリー駆動:最長6時間
- サイズ:285×230×34.2mm
- 重量:2.23Kg
[編集] 14インチモデル
- CPU:1.42GHzPowerPC G4
- メモリ:512MB DDR SDRAM(最大1.5GB)
- ハードディスク:60GB Ultra ATA/100
- 光学式ドライブ:スロットローディング式SuperDrive(DVD±RW/CD-RW両用)
- ディスプレイ:14.1インチ(対角)TFT XGA 1,024×768ピクセル
- GPU:ATI Mobility Radeon 9550(32MB DDR SDRAM)
- 入出力ポート:FireWire 400ポート×1基、USB 2.0ポート×2基、VGA出力、S-Videoおよびコンポジットビデオ出力、ヘッドフォン出力ミニジャック
- ネットワーク:10/100BASE-T Ethernet、52K V.92モデム
- ワイヤレス接続:AirMac Extreme、Bluetooth 2.0+EDRを標準装備
- バッテリー駆動:最長6時間
- サイズ:323×259×34.2mm
- 重量:2.7Kg
[編集] 歴史
- 1999年7月20日、CPUにPowerPC G3を搭載した、クラムシェル(帆立貝に似た形)の初代iBook(ブルーベリー、タンジェリン)発表
- 2000年2月16日、グラファイトカラーのiBook Special Edition発表
- 2000年11月1日、キーライムのiBook店頭販売開始
- 2001年5月2日、Mac OS Xを標準搭載し、白一色で小さくなったiBook (Dual USB) 発表
- 2002年1月8日、CPUが最高600MHzにマイナーチェンジ
- 2002年5月21日、CPUが最高700MHzに、GPUがMobility Radeon(16MB)にマイナーチェンジ
- 2002年11月7日、CPUが最高800MHzに、GPUがMobility Radeon 7500にマイナーチェンジ
- 2003年4月22日、CPUが最高900MHzに、筐体の素材自体が真っ白なものにマイナーチェンジ、最後のMac OS 9.2.2稼動機種
- 2003年10月22日、CPUに最高1GHzのPowerPC G4、GPUにMobility Radeon 9200(32MB)を搭載したiBook G4が発売される
- 2004年4月20日、CPUが最高1.2GHzにマイナーチェンジ。
- 2004年10月19日、CPUが最高1.33GHz、全機種AirMac Extreme内蔵にマイナーチェンジ
- 2005年春、為替レートに合わせ価格の改訂で値下げ
- 2005年7月22日、スクロールトラックパッドと緊急モーションセンサーを搭載し、CPUが最高1.42GHz、GPUがMobility Radeon 9550へとマイナーチェンジ
- 2006年5月16日、後継機種のMacBook発売により、在庫限りで販売終了となる
[編集] 自主回収・無償交換
2005年と2006年に、PowerBook G4シリーズとiBook G4シリーズの一部で、LG Chem製と、ソニー製のリチウムイオンバッテリーに不具合が見つかり、アップルはそれらのバッテリーを自主回収・無償交換している。 このうちソニー製バッテリーは、素材に紛れ込んだ細かな金属粉が、稀にセルをショートさせることで、動作不良、異常過熱、発火などの危険性があるとされており、数件であるが実際に発火事故が起きている。
- バッテリー交換プログラム - iBook G4 および PowerBook G4 (ソニー製)
- iBook G4およびPowerBook G4バッテリー交換プログラム (LG Chem製)
機種名 | バッテリーのモデル | 該当シリアルナンバー(上5桁) |
---|---|---|
12インチiBook G4 | A1061 | ZZ338 - ZZ427 3K429 - 3K611 6C519 - 6C552(最後がS9WA、S9WC、S9WDのいずれか) |
12インチPowerBook G4 | A1079 | ZZ411 - ZZ427 3K428 - 3K611 |
15インチPowerBook G4 | A1078 A1148 |
3K425 - 3K601 6N530 - 6N551(最後がTHTA、THTB、THTCのいずれか) 6N601(最後がTHTC) |
機種名 | バッテリーのモデル | 該当シリアルナンバー(上5桁) |
---|---|---|
12インチiBook G4 | A1061 | HQ441 - HQ507 |
12インチPowerBook G4 | A1079 | 3X446 - 3X510 |
15インチPowerBook G4 | A1078 | 3X446 - 3X509 |
[編集] 写真集
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
1998年以来のアップル社製ハードウェア | |
一般向けマック: | iMac | Mac mini | eMac | iBook | MacBook |
プロ向けマック: | Power Mac | Cube | Mac Pro | Xserve | PowerBook | MacBook Pro |
コンシューマエレクトロニクス: | iPod | iPod mini | iPod shuffle | iPod nano | iPhone | Apple TV |
アクセサリー : | AirMac | iSight | Cinema Display | Xserve RAID | Mighty Mouse | iPod Hi-Fi | Apple Remote |