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デジタルオーディオプレーヤー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

デジタルオーディオプレーヤー(digital audio player; DAP)とは、デジタル方式で圧縮された音楽ファイルを再生可能なオーディオプレイヤーのうち、特に携帯が可能なものをさす。

元来はMPEGによる音声圧縮形式であるMP3ファイルを再生することができ、かつ携行が容易なハードウェアの総称としてMP3プレイヤーと呼ばれていたジャンルであるが、著作権保護などの観点から暗号化技術が進み、MP3以外の形式が多用されていることから総称してデジタルオーディオプレイヤーと呼ばれるようになった。

デジタルオーディオプレーヤーという言葉は、広い意味では1980年代に登場したポータブルCDプレーヤーや1990年代に登場したMD (ミニディスク)プレーヤーも含まれることになるが、この言葉は通常、2000年代に本格的に普及しはじめた記録媒体フラッシュメモリ小型ハードディスクを使用した音楽プレーヤーを指す。デジタルオーディオプレーヤーという用語が広く使用され始めたのは2000年代半ばからである。

目次

[編集] 概要

デジタルオーディオプレーヤーは、パーソナルコンピュータなどから転送した音楽ファイルを再生する音響機器で、主にパソコンで作成した音楽ファイルやインターネットの音楽販売サイトなどから購入した音楽ファイルの再生に用いられる。

2000年代前半までは音楽ファイルのデータ圧縮方式としてMP3が使用されることが多く、MP3プレーヤーという呼称が広く用いられた。その後、MP3以外の圧縮形式として、WMAAACATRACOGGなどのコーデックを使用する機種が出現し、2000年代半ば頃からデジタルオーディオプレーヤーという呼称が用いられるようになった。

2000年代半ばの代表的な製品としてアップルコンピュータ社のiPodなどがある。

製品の機能にはいつくかのバリエーションがあり、単に音声ファイルの再生だけでなく、多彩な機能をもつ機種もある。たとえば、ラジオ受信機能、ラジオや外部入力の音声を録音する機能、USBメモリ(USBキーとも)のような外部ストレージとしても利用できる機能、語学学習などに用いる再生速度調整機能、FMトランスミッター機能などが挙げられる。

また、類似の製品としてICレコーダーがある。ICレコーダーは主に会議や講演などの音声の録音を目的とし、再生面では余り音質は重視しないものが中心で、再生品質を重視する音響機器としてのデジタルオーディオプレーヤーとの違いが見られる。一方、本格的な音響機器として生録や再生を重視したものも出現しており、デジタルオーディオプレーヤーとの境界が曖昧な製品もある。

携帯可能なオーディオプレーヤーとして携帯電話でも音楽再生機能を備えるものが増えており、携帯電話が発達している地域を中心に携帯電話をオーディオプレーヤー代わりに利用する人も増加してきているが、電池の持ちや平型イヤホンコネクタ構造的の欠陥(通常の3.5mmステレオミニプラグと比べて、接触不良になりやすく、強度も著しく不足している)もあって、限界を感じている人も多い。

デジタルオーディオプレーヤー以外にも、やや大型の液晶ディスプレイを搭載し、音楽再生に加えて、フォトビューワー (デジタル写真の閲覧) や映像ファイルの再生を行うなど、より多機能化したプレーヤーもあり、こちらはメディアプレーヤーと呼ばれる。

[編集] 仕組み

デジタルオーディオプレーヤーは、音楽ファイルを記録する記録媒体、複数のファイルを管理するファイルシステム、音楽ファイルを再生(デコード)するデコーダー、音声を出力するアンプ、操作ボタンなどの操作系、バッテリにより構成される。

ほとんどの機種では液晶パネルなどの表示装置を内蔵しており、再生中の楽曲タイトルやアルバム名などの情報を表示することができる。低価格機種の中には表示装置を持たないものもある。

記録媒体にはフラッシュメモリまたはハードディスクドライブを使用する。フラッシュメモリを使用する機器では、プレーヤーにメモリを内蔵するタイプと、SDカードなどのメモリカードを使用するタイプがある。ハードディスクでは機器に内蔵するタイプのみとなる。2006年10月時点で、フラッシュメモリ内蔵タイプは主に小容量(~8 GB)、ハードディスク内蔵タイプは主に大容量(1.0インチハードディスクで5 GB程度、1.8インチハードディスクで20~80 GB)を中心に展開されている。

音楽ファイルを管理するファイルシステムでは、古くは独自のファイルシステムを使用し、データの書き込みに専用アプリケーションソフトウェアを利用するものが多かった。近年ではFAT16FAT32と呼ばれるパソコンで広く利用される汎用ファイルフォーマットに対応する機種もある。

2006年頃のデジタルオーディオプレーヤーでは、音楽ファイルの転送方法により大きく2種類に分けられ、1)専用の転送ソフトでのみ転送可能なものと、2)エクスプローラなどのファイル管理ツールからファイルが転送できるもの (マスストレージ型と呼ばれる)がある。仕組みの違いにより混乱しやすい部分であり、注意が必要である。

iPodウォークマンSD-AudioGigabeatなどは1)に属し、著作権保護のため転送したファイルには暗号化などの保護処理が行われる。このタイプのプレーヤーは、特定のパソコン用アプリケーション(たとえばiTunesなど)の専用周辺機器と考えるとわかり易く、使用には必ずパソコンと専用ソフトが必要になる。また、保護処理を行っているのでプレーヤーに転送したファイルは、MP3などのファイルも含めて、通常、プレーヤーから取り出すことができないようになっている。したがって、プレーヤーに転送したからといってむやみにパソコン上にある音楽ファイルを削除してはならない。また、暗号化するため転送に時間がかかりやすく、転送ソフトの動作も遅い(Sonic Stageが有名)。

2)のタイプのプレーヤーは、MP3ファイルや、DRMを施していないWMAなどのファイルをUSBストレージの普通のデータファイルとして格納する。特定のアプリケーションの周辺機器ではないので、FATファイルシステムで特殊な処理なしにファイルの転送が可能な機器であればパソコンを必要としない利点がある。また、USBストレージにある音楽ファイルを再生可能なUSBホスト機能をもつアンプミニコンポラジカセメディアプレーヤーポータブルDVDプレーヤーなどの機器に接続して、これらの機器のリモコンなどからの再生も可能である。

また、2)のタイプのプレーヤーは、音楽販売サイトから買ってきたDRM処理のほどこされた音楽ファイルを再生することができない (転送しても暗号化された意味不明なデータファイルのためプレーヤーが正常に再生できない)。このため1)2)両方の特性をもつプレーヤーも存在する。MP3ファイルやDRM処理されていないWMAファイルは通常のデータファイルとしてエクスプローラからも転送可能で、DRM処理されたファイルのみWMPなどのソフトから転送する。2006年秋頃ではシャープビクターケンウッドなどのプレーヤーの一部の機種に見られる。

USBマスストレージクラスにも対応することで、接続するだけで外部ストレージ(記憶媒体)として認識するものもみられる。2)のタイプのプレーヤーはこの機能をもつ。1)のタイプのプレーヤーでもUSBストレージとして使用できるものもあるが、音楽ファイルを普通のファイルとして転送してもプレーヤーが認識せず、音楽ファイルは再生できない点に注意する (必ず専用ソフトから転送を行う)。それゆえ、1)のタイプで異なるメーカーのプレーヤーを併用する場合は、楽曲をそれぞれの専用ソフト・それぞれの暗号化されたファイル形式で多重管理することになってしまう。また、異なるメーカーのプレーヤーに乗り換える場合、暗号化された楽曲ファイルは乗り換え先に持ち出せない可能性が高い(フリーソフトをいくつか併用すれば可能な場合もある)。その点、2)のタイプであれば、複数の異なるメーカーのプレーヤーを併用したり、乗り換えたりすることが容易である。

[編集] 利用方法

これらの機器は主に、コンパクトディスクカセットテープMDなどといった媒体からパソコンなどを使ってファイルに変換するリッピングと呼ばれる作業を行い、その上でできあがったファイルをパソコンに接続・書き込んで利用する。

また近年では、歌謡曲洋楽懐メロクラシック音楽民謡民族音楽など幅広く取り揃えたダウンロード販売などのサイトを利用する形で、インターネットで購入した音楽ファイルを書き込んで利用する人も多く、後述するようにiPodなどはこのダウンロード販売とセットにして扱いやすくすることでシェアを伸ばした。2005年頃よりはポッドキャスティングの形で、最新歌謡曲やヒットソングから落語までといった様々な有償・無償のサービスが展開されている。

このほかにも街角やコンビニエンスストアに設置された情報端末から直接音楽データを購入できるサービスも始まっており、その他には多機能化機種では、内蔵されたラジオからの録音・再生にも対応している製品もある。

こうしてプレーヤー内に取り込んだ音楽などを再生して楽しむ訳だが、これらの機器は音楽CD数十~数百枚にも匹敵する内部記憶装置の大容量化といった事情に伴い、プレイリストの指定といった形で、その時の気分で優先して再生する音楽を選べる機能を持つものも多く、曲に関する様々な情報が記載された画面を見ながら選曲できるなど、従来の携帯音楽プレーヤーには無い様々な利便性を供えており、この中には歌詞テキストファイルや写真(デジタル画像)の表示といった付加価値を持つ製品も見られる。

電源は内蔵二次電池(専用アダプターによる充電式)と乾電池を使うタイプの2種類がある。前者ではパソコンそのものを充電器として利用できるほか、外付けバッテリーが利用できるタイプの物もある。後者では、アルカリ電池なども利用できない訳ではないが、やや一般的な乾電池を使う機器に比べると消費電力が大きいこともあって、これ以外の音楽プレーヤーに比べると電池切れが早い製品も少なくない。できればニッケル・水素蓄電池のような高機能蓄電池を利用した方が良いだろう。ただし、使用するプレーヤーによっては、乾電池を使用した時よりも電池の持ちが悪くなる事がある。これはニッケル・水素電池を初めとする主な乾電池型二次電池の電圧が、乾電池の1.5Vに対して1.2Vと低い為、プレーヤーの電池残量計が早めに電池切れと判断するからである。

2000年代半ばのプレーヤーでは、USBからの給電を前提にしてACアダプタを付属しないものもある。通常、パソコンのUSB端子を利用するが、充電のためだけにパソコンを起動しなければならないなどの欠点もある。これを補うものとして、ACコンセントからUSBの電力だけを供給できるアダプタ (1000~1500円程度)や、同様にUSBの電力供給が可能な携帯式のバッテリパックなどの便利グッズが出現している。

音声入力をもたないカーオーディオ機器などでデジタルオーディオプレーヤーの音楽を聴けるように、FMトランスミッターを内蔵するプレーヤーもある。また、外付けの用FMトランスミッターも多く発売されている。これは、再生音声をFMラジオの電波で飛ばすもので、FMラジオをもつカーオーディオやラジカセミニコンポで受信して聴くことができる。室内でも、手元にプレーヤーを置き、わずらわしいケーブル配線などをせずにワイヤレスで室内の離れたところに設置された音響機器で再生するといった使い方ができる。

[編集] 歴史

初期の携帯型オーディオプレーヤーは1979年に登場したウォークマンに代表されるアナログカセットテープベースのものであり、CD発売後も価格や媒体の大きさなどからテープの置き換えには至らなかった(8cmCDが出るも、容量の少なさや、プレーヤーの小型化技術が発達していなかった)。このため、よりコンパクトかつ携帯機器にふさわしい簡易なメカニズムのシステムの登場が待たれていた。1980年代後半に高度な高能率符号化による圧縮技術の開発が進み、1992年にはミニディスクデジタルコンパクトカセットが登場している。また、動画のパッケージメディアおよび伝送のためにMPEG1が1993年に規格化されたが、その音声部分の符号化方式としてつくられたMPEG Audio(Layer1~3)の普及が期待されるようになった。

同じころ不揮発性メモリの本命となったフラッシュメモリが実用化され普及が始まっていた。当初はMPEGオーディオコーデックと組み合わせ、放送機器など業務用のオーディオ記録再生装置に使用されていたが、1995年ころから「シリコンオーディオ」「ソリッドオーディオ」などの名称で携帯型の試作品が発表された。LSIの高密度化によって、コンシューマ製品に導入されるのは目前に迫っていたのである。

日本では韓国サムスン系のセハン情報システムズ社(現在はiriver(アイリバー)に買収されている)が1998年2月に世界で初めて発売した「mpman」の輸入販売を嚆矢とする。当時、内蔵メモリー64 MBモデルの価格が53,000円で、特許ライセンスの関係でMP3エンコーダーは付属しておらず、自前で用意する必要があった。この機器は多くの好事家の興味を引き、雑誌などで盛んに紹介されたものの、高価格と入手難、マイナーメーカーの製品であること、なによりも当時すでに問題になっていた違法コピーのイメージから来る胡散臭さとあいまって、広く有名になるまでには至らなかった。

同年5月には、SolidAudioという携帯プレーヤーをNTT神戸製鋼所が共同で開発中であると発表された。このSolidAudioはTwinVQというNTTが開発した独自の圧縮フォーマットを採用しており、著作権の管理機構と専用の販売ルートを持つ、今日のITunes Music Storeに似たコンセプトの機器であった。しかしながらTwinVQにのみ対応するSolidAudioは、その利便性の悪さ等が原因となり、あまり普及せずに終わっている。こうした状況を受け、その後、日立マクセル富士フイルムAXIA等から次々とTwinVQ以外のMP3やWMAといった、広く使われている圧縮形式にも対応する後期SolidAudio(AXIA ZeroCORE等)が発売され、現在のMP3プレーヤーの先駆けとなった。

そして、後述の裁判の影響で発売が伸び、1998年のボーナス商戦にかろうじて間に合ったダイヤモンドマルチメディア社のRio PMP300が発売される事となる。容量は内蔵32 MBに加え、スマートメディアで増設が可能だった。当時オープン価格で発売されたが、各店舗の実質的な販売価格は2万7800円だった。

この時期はWindows98およびMMX ペンティアムの普及拡大期と重なる。エンコードには再生時間の数倍の時間がかかっていた。また、アップル社のiMacを除いて、USBはまだ普及しておらず、内蔵メモリーへのデータ転送はパラレルポート経由(9,600 bps)だった。

アメリカにおいては、Eiger Labs F10という容量32 MBの製品が1998年夏ごろ登場しているが、普及には至っていない。同年9月にDiamond Multimedia社は、買収した韓国DIGITALCAST社(mpmanの共同開発企業)の製品を元にしたRio PMP300を発表したが、全米レコード協会(RIAA)から違法コピーを助長するとして販売差し止め請求が裁判所に提訴された。結果的にこの請求は米連邦地裁によって却下され、RIOはクリスマス商戦に間に合うように発売され(199US$)、大きな成功を収める。PMP300にはCDからのリッピングとエンコードを行うJukebox MP3というソフトウェアが付属していた。

1999年になると、USBへの対応を強化したWindows98 Second Editionが発売された。これに合わせるかのように、DiamondはRioをバージョンアップさせた"Rio500"を発売。Rio500は、11 Mbpsで転送可能なUSBをサポートして、1曲の転送時間を5秒前後にまで押さえ込み、メモリーも内蔵64 MB(スマートメディアで拡張可能)を搭載した。当時流行していたスケルトン調のデザインや、Windows/Mac問わず利用できる点、実際のオーディオ機器に近づいたシンプルなインターフェース、ジョグダイアルによる快適な操作性などから高く評価され、ヒット商品となった。まだまだ未完成な点は多かったものの、コンシュマー向け製品としての問題が解決され、初めての実用的なMP3プレーヤーだったと言えよう。Rio500ではMP3プレーヤーの歴史上初めて"DIGITAL AUDIO PLAYER"の文字が液晶下に刻まれている。

またRio500はAudibleという語学コンテンツ向けフォーマットにも対応しており、音楽だけではないMP3プレーヤーの可能性を開拓。楽曲配信サービスRioport.comにも対応しており、現在のiTunes Music Storeのようなサービスが受けられたものの、当時の通信インフラ(56 kbpsアナログモデムが主流)や普及率などの問題があり、展開が早すぎたため失敗した。

この様に、初期の機器がMP3フォーマットの音楽再生用機器として発売された歴史的経緯からMP3プレーヤーという名称が今日まで使用されているが、その後に独自技術で参入する企業が多かったこともあって、現在の携帯圧縮音楽再生機器は複数の圧縮フォーマットが再生可能となっており、MP3プレーヤーという言葉は実態に即しておらず、必ずしも正しくない。より正確を期すならデジタル・オーディオ・プレーヤーが相応であろう。

[編集] 容量増大への模索

CD-Rレコーダーが普及すると、2000年頃からこれにMP3ファイルを焼きつけてプレーヤーで再生する製品が発売される様になった。当時のフラッシュメモリのMP3プレーヤー製品は、内蔵メモリーの容量として64 MB~128 MBの物が多く、また外部インターフェースを持つ製品では、当時の低容量かつ高価なメモリーカードを買い足す事で増量が可能という製品が多かった。したがって安価なCD-Rメディアで640 MB~700 MBという容量は概ね十時間超の音楽を録音できる計算となり、フラッシュメモリ製品に対して十分なアドバンテージを持っていたのである。メディアのサイズによってプレーヤーの大きさが決められてしまうため、フラッシュメモリ製品のような小型化や省電力化はできないが、大容量と携帯CDプレーヤーとしても使用できる点をアピールして、I・Oデータ、ケンウッド、アイワ、Rio(OEM元はReignCom(iriver))など、各社から製品が発売された。

MP3プレーヤーのストレージにハードディスクドライブ(HDD)を用いる試みは、早くも1999年には製品化にこぎつけられている。Remote Solutions社のThe Personal Jukebox (PJB-100)は、ノートPC用の2.5インチHDDを搭載したMP3プレーヤーで、容量は4.8 GBだった。2000年5月には韓国のHanGo Electronics社から4.8 GBのHDDを搭載したPersonal JukeBoxが発売され、同年10月にはCreative Labs社から6 GBのHDDを搭載したNOMAD Jukeboxが発売された。NOMAD Jukeboxは携帯CDプレーヤー大で、それらをもっと厚くしたような外観をしていた。

これらの製品はMP3プレーヤーとしてメガバイトからの脱却を達成した画期的な製品であるが、大きく重いうえ、動作中はHDDからの震動が身体に伝わってくる重厚な製品で、基本的には持ち運びが可能な据え置きMP3プレーヤーというべき製品だった。

これらのアプローチはフラッシュメモリプレーヤーを駆逐するまでにはいたらず、各製品はそれぞれ並存することになる。

[編集] 日本国外メーカーの乱立

1999年以降、パソコンの入出力デバイスとしてUSBが普及、また、CD-Rドライブが普及し、USB接続タイプのメモリープレーヤー、MP3対応のポータブルCDプレーヤーが多数発売されていった。 それらのほとんどは韓国に開発拠点を置き、中国で生産されたものだった。 そのころにはMP3デコーダーを搭載した汎用電子チップが安価で出回るようになり、メモリータイプは構造が単純で開発しやすいなどの理由で、ポータブルCDプレーヤーは既に構造が成熟しており構成部品が入手しやすかったなどの理由で、規模の小さなメーカーが規模の小さな市場にひしめき合う状況となった。 それらのメーカーの製品は、音質や(とくに日本語環境における)使い勝手に難があるものが少なくなかった。 また、製品のサポート体制も不透明だった。 市場が発展途上かつ前述の胡散臭いイメージが残っている状況において、メーカーが淘汰されてはまた現れる状況がしばらく続いた。

そのような状況下において、Rio (米国)、Creative (シンガポール)、MPIO (韓国)、iRiver (韓国)、iAUDIO (韓国)といったメーカー・ブランドがある程度日本においても認知され、ブランドイメージを確立するにいたった。これらのメーカーは、MP3以外のフォーマット(WMA、Ogg Vorbisなど)の対応にも積極的で、製品サポート体制も自社、代理店およびWeb上において積極的に行なった。

[編集] 日本メーカーの動向

一方の日本国内の家電メーカーは、レコード会社を併設している所が多く、著作権的に問題があるとしてMP3プレーヤーには消極的であり、また製品の多くがPCに関連したメーカーかPC部品の輸入代理店から発売されていたため、一般の家電販売店よりはむしろPC関連機器の販売店でMP3プレーヤーが売られている事が多かった。これがためにMP3プレーヤーは、家電量販店ではマイナーな電気製品として売場の隅で一部有名メーカーの製品のみがひっそりと売られる状態が続くこととなった。

その中でソニーは携帯電話に音楽再生機能を持たせた、au向けDIVA C404Sを2000年に発売。それなりの評価を得たが、後年iPodの爆発的ヒットを受けて携帯電話会社が音楽再生機能に注力するようになるまで、後継機が出ることは無かった。

ケンウッドは、後述のDCP-MP727の失敗により、この市場から遠ざかることとなる。後の再参入においても他の日本メーカーよりも出遅れることとなる。

[編集] MP3以外のフォーマットへの対応

デジタルオーディオプレーヤーにおける再生フォーマットは、当初はMP3のみであり、後にTwinVQATRAC3AAC といったフォーマットも登場した。しかし前述のとおり、著作権保護を重視するあまり、使い勝手の悪いものとなってしまい普及するにはいたらなかった。 そのようなMP3の一人勝ちの状況において、対抗しうるフォーマットとして Microsoft が開発した Windows Media Audio (WMA) が登場した。 MP3と比べても圧縮率・音質に遜色なく、 Windows Media Player (WMP) にエンコーダーが標準搭載されているため、普及が期待できた。そして、ポータブルプレーヤー市場においてもWMAに対応したものの登場が望まれた。

WMAフォーマット対応の製品としては、2000年8月発売のダイアモンド・マルチメディア・システムズの「Rio 600」が最初のものとなった。内蔵メモリと増設SDカード併用タイプであったが、対応SDカードの容量は限られ、筐体はまだまだ大きかった。 本格的な普及は、後述のケンウッドとアイリバーのCDプレーヤータイプの登場を期に一気に加速することとなる。 メモリータイプに関しては、2001年4月発売のMPIO「AD-DMGシリーズ」や同年11月発売のPanasonic「SV-SD80」の登場で小型化・高機能化が一段と進められることとなる。

AACフォーマットについてもPanasonicが細々と対応製品を販売し続けていたが、後述のiPodの発売と大人気によって普及に弾き、今ではMP3に次いで利用されているフォーマットと言える。

[編集] ケンウッド vs アイリバー

ケンウッド DPC-MP727
ケンウッド DPC-MP727

2001年初頭にケンウッドが世界初のWMAフォーマット対応のCDプレーヤータイプのデジタルオーディオプレーヤー「DCP-MP727」の発売の発表を行なった。しかし、実際の発売は4月となり、結局は3月末にアイリバーの「iMP-100」(日本ではソニックブルーの「RioVolt SP-100」として発売)に先を越され、ケンウッドは出だしからつまずくこととなった。

どちらの機種も発売早々から人気機種となったが、最終的にはアイリバーの躍進とケンウッドのデジタルオーディオプレーヤー市場の一時撤退という結果となった。

iMP-100 (RioVolt) は、基本的に パソコン周辺機器としてのデジタルオーディオプレーヤー であり、記録媒体としてCD-R/RWを用い、付随機能として音楽CDも再生可能という、大容量のデータの操作管理性や機能を重視したものであった。また、ユーザー自身でファームウェアのアップグレードが行なえ、機能の追加、操作性の向上やバグの改善ができた。

DCP-MP727は、基本的に 音響機器としての音楽CDプレーヤー であり、付随機能として圧縮音楽フォーマット (MP3, WMA) にも対応した、音楽再生重視のものだった。音質は良かったものの操作性は良くなかった。純粋にポータブルCDプレーヤーとして見ても中途半端な存在だった。

当時のデジタルオーディオプレーヤーの購買層・ユーザー(主としてパソコンマニア)にとっては、音質よりも操作性や機能性を重視する傾向にあった。操作性に難のあったDCP-MP727は次第に敬遠されるようになり、iMP-100 (RioVolt) の一人勝ちの様相となった。

アイリバー社はこの成功がその後の躍進の足がかりとなった。

[編集] アップルの挑戦、そして大躍進

iPodアップルコンピュータ社から2001年10月24日に発売された。新開発の東芝製小型HDDを搭載し、容量は5 GB。後に10 GB、20 GBの製品も発売された。容量当りの価格は業界でも安い方の製品だった。他社のHDD搭載プレーヤーは大きく重く再生時間が短いため、実際には携帯に不向きであったのに対し、iPodはこれらの欠点を克服した最初の製品となった。

またそれまでのMP3プレーヤーの多くは容量の少なさから、所有者の音楽コレクションのうち、厳選された一部を持ち歩くという使われ方が主流であった。一方、当時のiPodでは5 GB~20 GBという容量により、ほとんどの使用者にとって自分の音楽コレクションの全部又は大部分を持ち歩くことが可能となった。これはつまり使用者が日頃あまり聞かないような音楽ファイルをも持ち歩くことになる。これら膨大な音楽ファイルの再生に一貫性を持たせるためには、M3Uファイルのような再生リストを作成して、使用者の好みに合わせた演奏の順番を決める必要があった。それまで再生リストの作成は手作業であったが、容量の少なさ=ファイル数の少なさに直結していたため、多くの使用者にとってさほど負担になる作業では無く、特に問題とはならなかった。

iPodに格納された大量の音楽ファイルから使用者にとって意味のある再生リストを生成する作業は、手作業では極めて難しい。それゆえiPodには、iTunesという音楽ファイルの転送と再生リストの自動生成機能を兼ね備えたソフトウェアが添付されていた。iTunesは、MP3ファイルのID3タグの情報を元にファイルを自動的に分類し、複数種類の再生リストを自動的に作り上げる機能を持っている。この機能のおかげで使用者は自分の要求に適った再生順をたやすく実現することができた。

言いかえればiTunesの高度な再生リスト自動生成機能は、iPodの容量を最大限生かすためにあるのであり、またiPodの大容量ストレージが音楽ファイルの新しい利用方法を生み出し、それを活用するためのもっとも最適な手段としてiTunesがあるとも言えるだろう。

当初(2003年10月17日まで)iTunesはMac専用ソフトであり、Windowsユーザーは公式には利用することはできなかった。事実上は可能であったが、Windows搭載パソコンにFireWire端子をPCIカードなどを使い装備し、かつサードパーティ製のソフトを購入またはダウンロードしインストールする必要があった。しかし市場が大きくなるにつれ、iPodもMac向け/Windows向けの2種類が販売された。2004年にはこの2パッケージでの販売はなくなり、Mac/Windows両対応となる。

iPodは好評を持って迎えられ、発売当初は多くの販売店で品切れとなった。その後2004年2月に、アップル社はiPodを小型化したiPod miniを発売する。小さく薄くなり、容量も4 GBに減ったものの、白一色だったiPodに対しiPod miniは5色から選べる事となった。価格も抑えられており容量単価は相変らず業界の最低ラインだった。この製品も大好評を博した。iPodの成功は、特に日本ではMDプレーヤーの普及の影で一部趣味者のみが使用していたMP3プレーヤーが、一般ユーザーに対する市民権を得、MP3プレーヤーが携帯オーディオ市場のメインストリーム商品へ躍り出る契機となった。

この後、アップル社は自身で音楽の流通をも担うようになった。iTunes Music Storeである。一曲99セント(US価格)という驚くべき低価格設定は、これまた業界最低クラスであった。また、独自の著作権管理機構を採用しており、iPod以外では再生できないファイル形式ではあるものの、対抗する音楽ダウンロード販売サービスから見れば緩すぎるとまで言われた(iPodには何台にでもコピー可能、パソコンには5台までコピー可能、CDには何枚でも焼ける)。 しかし、既存の音楽業界関係者の大半の予想を裏切って消費者に好評のうちに迎えられた。 スティーブ・ジョブズの以下の言葉は、iTunesがWindowsに対応したことを発表するイベント内で発せられた言葉だが、それは音楽ダウンロード販売市場におけるiTunes Music Storeの優位性を確信したからこそであろう。「われわれは違法ダウンロードと戦う。訴えるつもりも、無視するつもりもない。競争するつもりだ」。以後大量の音楽ファイルがオンラインで販売され始めることになり、それを再生する機器としてのiPodの需要を生み出すという好循環が実現したのである。

iPod miniの発売後しばらくしてアナリストからはアップルがフラッシュメモリプレーヤーに進出するという観測が流れ始め、これは結局、iPod shuffleという形で実現する。2005年1月に発売されたiPod shuffleはチューインガム状のUSBストレージクラスに対応したMP3プレーヤーで、容量1 GBの製品価格は16,980円であった。これは同容量の他のメーカーの製品より約5,000円も安かった。ここでも容量単価の低さを重視するアップル社の基本戦略が発揮されたのである。この製品もまた大好評となり、発売当初は品簿状態であった。iPod shuffleを買えなかった顧客が売場でソニーの同型フラッシュメモリ型ウォークマンなど別のメーカーの製品を買っていく現象もあって、売上を落したメーカーは無かったが、各社ともiPod shuffleの価格設定をアップル社の戦略的なものと見なしており、対応策に追われていた。

その後iPod nanoとムービー再生機能を搭載した第5世代iPodが発売される。鮮やかなカラー液晶を搭載し、nanoに関しては一部を除きHDDタイプと機能的に劣ることなく、最大4 GB(当時)のメモリが搭載され、更に小型化されたこともあって爆発的ヒットとなった。これによりiPod miniは発売終了となった。(初代nanoについては画面に傷が付きやすいという問題がユーザーの間で話題となり、その後保護ケースを同梱するなどの対策がとられた。)

[編集] 市場の動向

デジタルオーディオプレーヤーは、フラッシュメモリに記録するタイプとハードディスク (HDD)に記録するタイプに大きく分けられる。2007年現在ではフラッシュメモリを使用するプレーヤーが世界の出荷台数の9割程度を占める。

近年、HDDの低価格化などから大容量のMP3プレーヤーが増えてきており、また、じわじわと市民権を得た事もあって、国内外で、特にMDが利用されていない地域で多く利用されている。また、低価格化、小型化も進み、最近はFMラジオが聞けるMP3プレーヤーや、ボイスレコーダー搭載などの多機能製品も出回っている。

  • なおAMラジオは、ノイズが乗り易くMP3プレーヤーに内蔵するとラジオ側がプレイヤー側のプロセッサなどが発するデジタルノイズの影響を受けやすいことや、アンテナ部分の小型化がネックとるために搭載するのが難しい。しかしながら、トーク番組バラエティ番組プロ野球大相撲競馬などのスポーツ中継などは、ほとんどがAM放送であり、それらをよく聴くリスナーにとっては、AMラジオが搭載されていない事に対し不満の声があるのも事実である。
    なお、デジタルオーディオプレーヤーの中には、サン電子のトークマスターシリーズや、MP3プレーヤーとしては筐体の大きいシャープミュージックキャリーをはじめとするラジカセタイプ(ステレオスピーカー内蔵)の製品など、搭載されているものもある。これらラジオ内蔵タイプでは放送録音機能を持つものが多く、語学放送教育番組の録音に特化して時間指定で特定放送局の録音が可能だったり、あるいは、外部マイクやライン入力からの本格的な生録非圧縮で行える製品(ICレコーダー色の強い製品に多い。そうした製品は、『デジタルオーディオレコーダー』とも呼ばれる。)も見られる。

フラッシュメモリのタイプの特徴としては、小型で軽量、振動に対して音飛びが発生しない、回転部がないために電池の持ちが比較的良いために低電圧の汎用乾電池で動作する物が多い、などが挙げられる。その一方、メモリーそのものの記憶単価が高いことから、メモリー容量は2000年代前半で128 MB~4 GB程度と小さく、またギガバイトを超える容量の製品は高価になっていた。デジタルオーディオプレーヤーも2004年頃まではメモリ容量がおおむね64 MB~256 MB程度にとどまっていた。しかし、フラッシュメモリの大容量・低価格化は急ピッチで進み、デジタルオーディオプレーヤーの分野でも2005年には急激な大容量化が見られた。2005年に登場したiPod nanoは従来の「半導体メモリ=高価」という常識を覆し、通常の実売価格が4万~5万円といわれる4 GBのフラッシュメモリを用いたモデルを27800円で発表し、話題をさらった。アップルはサムスンから市場価格を大きく下回る価格でフラッシュメモリを仕入れたと言われている。2006年11月時点では、8 GB以下の製品はほぼフラッシュメモリタイプとなっている。

HDDのタイプは、2000年前後には大型の2.5インチハードディスクを使用するものがあったが、こちらは携帯というよりはポータブルに近いものだった。2000年代前半にはマイクロドライブなど1.0インチ以下のハードディスクを使用するタイプと5 GB~60 GBのPCカード大の1.8インチハードディスクを使うタイプが登場した。

前者のタイプは容量が少ない代わりに比較的小型軽量で、後者のタイプは大容量だがやや大きくて重くなるという特徴を持つ。また震動やショックに対して損傷の可能性があり、電源負荷が大きいため乾電池での駆動は難しく、専用のリチウムイオン充電池と充電器構成を取る。また、USBバスパワーからの充電が可能な製品も多い。 2004年~2005年頃で1.0インチ以下で1 GB~6 GB程度の容量、1.8インチで5 GB~60 GB程度の容量となっている。2006年秋頃ではフラッシュメモリの大容量化により、5 GB未満のHDDプレーヤーは、ほとんど見かけなくなっており、1.0インチ以下で5-8 GB程度、1.8インチで20-80 GB程度となっている。

その他、MP3を納めたフォルダをCD-Rに焼きつけ、そのCDを再生することができるCDプレーヤーもある。

最近では、携帯電話などでもMP3が再生出来る機器が標準化されており、ハードディスクや大容量フラッシュメモリーを内蔵させ、MP3再生を主にした携帯電話も出てきており、これら携帯電話がMP3プレーヤーとしてのシェアを上げてきている。

従来は「振動に強い」や「音飛びしにくい」との理由からポータブル型の機器が好まれたが、MP3やWMAフォーマットの音楽ファイルをパソコンに溜め込む人の増加や、音楽CDを一々プレーヤーから出し入れするのが面倒といった需要もあって、BGMの連続再生などを行える、大容量の記憶媒体を搭載した据え置き型の機器や、無線LANを経由してパソコンの内部の音楽・動画ファイルを再生できる機器も登場している。

エイベックスソニー・ミュージックエンタテインメントなどのレコード会社は、ネットによる違法コピー対策としてコピーコントロールCDを開発し、パソコンに曲をコピーできない仕様のCDを販売してきたが、MP3プレーヤーに曲を取り込めないという弊害もあった。その後、MP3プレーヤーの流行に合わせて各社はコピーコントロールCDから撤退する表明をした。特にソニーBMG製CD XCP問題は世界中で問題を巻き起こした。しかし、未だに販売を続けているレコード会社も数社存在する。

ソニーの製品は、元々独自規格のATRAC3専用機を開発・販売し、汎用的なMP3対応機は販売していなかった。しかし、2004年10月に方針転換し、MP3再生に対応する機器の販売を開始した。

しかし、諸々の問題(ソニーのCEOが肝心のウォークマンを上下逆さにもって記者会見してしまった[1])があり、SONYが目指した「半年、1年でiPodを追い抜く」「自信はある。“やっぱりソニーが5割のシェアを握ったか”と言われる世界がすぐに来ると思う」という夢[2]は雲散霧消し、ポータブルプレーヤー市場においてiPodのシェアが6割に対してソニーのシェアは1割弱という結果に終わった。

[編集] 日本の市場動向

2007年現在、日本のデジタルオーディオプレーヤー市場はアップルコンピュータiPodが50%程度のシェアを持ち、独走状態にある。次いでソニーウォークマンが25%程度、パナソニックD-snapが10%程度となっている。 2006年にはパナソニックとソニーが共にノイズキャンセリング機能を搭載した新機種を投入し、いずれもシェアアップに貢献した。またピュアオーディオメーカーとして名高いケンウッドの新規参入など、国内メーカーの市場躍進と音質・機能面での差別化が見られ、今後の動向が注目されている。

その一方で、デジタルオーディオプレーヤー普及初期に大きなシェアを占めていた韓国・台湾メーカーの製品は、iPodや国内メーカー製品に押されて大きくシェアを落としている。

[編集] アメリカの市場動向

2006年4-6月期のデジタル音楽プレーヤー市場のシェアは、米NPD Groupによると、1位.アップルコンピュータ 75.6%、2位.サンディスク 9.7%、3位.クリエイティブテクノロジー 4.3%、4位.サムスン 2.5%、5位.ソニー 1.9%、その他 6.0%となっており、アップルのiPodが圧倒的な強さを見せている。2006年末にはマイクロソフトが携帯型音楽プレーヤーZuneを発売し、市場動向の変化が注目されている。

[編集] 韓国の市場動向

韓国では独自のモバイル機器の発達を見せており、iRiverやiAudioのシェア率の方がiPodよりも高い。

[編集] 他製品との比較

デジタル音楽プレーヤーの世界出荷台数は2004年で2,640万台(IDC)~2,780万台(In-Stat)、iPod が世界的にヒットした2005年には推定6,000万台以上と見られている。日本でも2005年にはMDの出荷台数が前年の半分以下にまで落ち込み、フラッシュメモリやHDDを用いたデジタル音楽プレーヤーへの世代交代が急速に進んだ。

他の製品との比較では、2005年頃のパソコンの世界出荷台数は2億台を超える規模、2005年頃の携帯電話の世界出荷台数は8億台以上(2006年は10億台弱の見通し、ガートナー)の規模をもち、単体のデジタル音楽プレーヤーの出荷台数はそれほど多くはない。情報機器の世代交代では、記録・再生技術や使い勝手などハードウェアの技術革新と流通・サービスの技術革新で従来よりも市場規模が拡大する現象がしばしば見られ、デジタル音楽プレーヤーも今後さらに規模が拡大するとする予想も出ている。たとえば、カメラの場合、国内のカメラ市場は、フィルムカメラ時代のおおむね500万台近辺からデジタルカメラに転換した後には900万台弱に拡大している。

デジタル音楽の再生機能は、単体プレーヤー以外にも、旧来のPDAや近年は携帯電話にも搭載されつつある。携帯電話の世界的大手であるノキアは2006年4-6月期だけで、1,000万台を超える音楽対応デバイスを販売している。旧来のパソコンと有線インターネットを使った音楽購入とデジタル音楽プレーヤーによる視聴以外に、携帯電話を用いた音楽の販売と視聴も徐々に広がりつつある。

[編集] 主なメーカー

[編集] 現行製品(代表製品のみ)

ソニー・コンピュータエンタテインメントプレイステーションポータブルMP3/AAC/ATRAC3/WAV/WMAが再生可能であり、広い意味でデジタルオーディオプレーヤーの一部とも捉えられる。
通販サイトの上海問屋での販売が主だが一部パソコンショップでも販売されている。
同社製のゲーム機と組み合わせて使用する。

[編集] マーケティング

[編集] 事業撤退

[編集] 関連項目

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