ピアノソナタ第14番 (ベートーヴェン)
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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタ第14番嬰ハ短調作品27の2『幻想曲風に』 (Klaviersonate Nr. 14 op. 27 Nr. 2 cis-moll "Quasi una Fantasia")は、ベートーヴェンが16番目に作曲した番号付きピアノソナタである。一般には『月光ソナタ』として知られており、ベートーヴェンの三大ピアノソナタのひとつに含まれる。
目次 |
[編集] 概要
ベートーヴェンのピアノソナタで最も人気がある曲のひとつであり、8番『悲愴』、23番(熱情)と並んで3大ピアノソナタと呼ばれることもある。
この曲は前作のピアノソナタ第13番と組になってひとつの作品(作品27)として発表されており、両者とも「幻想曲風ソナタ」という題名が書かれている。ただし、本作の通称「月光」があまりにも有名になったため、本作を「幻想曲風ソナタ」と呼ぶことはほとんどない。
「月光」という標題は作曲者の意図するところではなく、ベートーヴェンの死後、1832年にルートヴィヒ・レルシュタープが第1楽章について「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」とコメントしたことに由来するが、月の光のような印象があるのは第1楽章のみで、「月光」という語には単にこの曲の通称という以上の意味はない。
[編集] 作曲の経緯
1801年、ベートーヴェンが30歳のときの作品。ベートーヴェンの弟子で、恋人でもあったイタリアの伯爵令嬢ジュリエッタ・グイチャルディに捧げるために作曲された。ジュリエッタは当時17歳ではありベートーヴェンとは14歳差になるが、ベートーヴェンが苦しめられたのは年齢差よりも身分の差であったという。なお、ジュリエッタはシントラーの伝記で「不滅の恋人」であるとされている。
なお、後述の尋常小学校の物語が引用されることがあるが、作り話である。
[編集] 曲の構成
第1楽章に緩徐楽章を配置するという、変わった構成をしている。このため「幻想曲風」というタイトルを付けたのではないかと思われる。また、4楽章ソナタの標準的な構成である「アレグロ、緩徐楽章、舞曲、終曲」という構成から第1楽章に相当するアレグロ楽章を省略したものであるとする意見もある。
ストコフスキー編曲による管弦楽バージョンもある。
曲全体は、完成度が非常に高く、楽章ごとにテンポが速くなるという序破急的な展開となっている。
[編集] 第1楽章 Adagio sostenuto (attacca),
「月光の曲」として知られ、ピアノ音楽の中でも最も有名な曲のひとつである。右手の三連符と左手の重厚なオクターヴが中心。
[編集] 第2楽章 Allegretto
軽快なスケルツォ。AllegroでなくAllegretto楽章であり軽快さよりも柔和な浮揚感が3楽章の調和のために適当である。 中間楽章は律律とした舞踊よりも緩徐楽章が本来の姿であり、スケルツォの舞踊性を強調するのは妥当ではない。
[編集] 第3楽章 Presto agitato
無窮動的に突き進む終曲。第1楽章、第2楽章と比べ格段に演奏難度が高くなる。全曲中最も重点が置かれている。分散和音が上昇していく動機は作曲者のイディオムである。終結部に現れるオクターブはハ短調のピアノ協奏曲の第一楽章のそれとほぼ同一であり、協奏曲の持つ名人芸効果を本作に与えている。
[編集] サンプル
- 月光ソナタ(説明ページ) — ブラウザで視聴 (beta)
- コンピューターによる演奏
- うまく聞けない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。
[編集] 尋常小学校教科書掲載の物語
日本では戦前の尋常小学校の国語の教科書に、「月光の曲」と題するベートーヴェンの逸話が読み物として掲載されたことがあった。
[編集] あらすじ
ベートーヴェンが月夜の街を散歩していると、ある家の中からピアノを弾く音が聞こえた。良く見てみるとそれは盲目の少女であった。感動したベートーヴェンはその家を訪れ、溢れる感情を元に即興演奏を行った。自分の家に帰ったベートーヴェンはその演奏を思い出しながら曲を書き上げた。これが「月光の曲」である。
(もちろん上記の話は作り話である。なお教科書上ではそれぞれベートーベン、ピヤノと表記されていた。)
[編集] ピアノソナタ第14番を題材にした作品
- 名探偵コナン『ピアノソナタ"月光"殺人事件』
- 月光の夏(映画)
[編集] 関連項目
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタ | ||
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初期 |
選帝侯ソナタ | ソナチネ | 19 | 20 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 (悲愴) | 9 | 10 | 11 | 12 (葬送) |
中期 |
13 (幻想曲風ソナタ) | 14 (月光) | 15 (田園) | 16 | 17 (テンペスト) | 18 | 21 (ヴァルトシュタイン) | 22 | 23 (熱情) | 24 (テレーゼ) | 25 (かっこう) | 26 (告別) | 27 |
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後期 |
28 | 29 (ハンマークラヴィア) | 30 | 31 | 32 |