ピアノソナタ第32番 (ベートーヴェン)
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ベートーヴェン作曲のピアノソナタ第32番ハ短調作品111は、作曲者の最後のピアノソナタとなった作品である。1821年から1822年にかけて作曲された。他の後期ピアノソナタと同様、この作品もフーガ的要素を含み、非常に高い演奏技術をピアノ奏者に要求する。
またこの作品は、ベートーベンの数あるピアノソナタの中でもとりわけ完成度が高いことで知られている。第1楽章の対位法主体の進行は並みの発想能力では到底思いつくことはできない。第2楽章においても同様に、並々ならぬベートーベンの創造性が生んだ天上の音楽とも言うべき傑作中の傑作である。
この作品は対照的な2つの楽章より構成される。
- Maestoso; Allegro con brio ed appassionato
- Arietta: Adagio molto, semplice e cantabile
第1楽章は、フーガ的要素を含んだソナタ形式である。ベートーヴェンのハ短調で書かれた他の作品と同じく、荒々しく熱情的な楽想を持つ。また、減七の和音を多く含む。第1楽章の冒頭、第1小節全体に広がる減七の和音はその一例である。(譜例:第1楽章冒頭)
終楽章はハ長調で書かれ、16小節の主題に基づく変奏曲である。短い転調を伴う間奏とコーダを持つ。主題は16分の9拍子の下、深い内面性を帯びた旋律が穏やかに歌われる。第1変奏では旋律に一定の律動が伴われ、以後、第3変奏にかけてこの律動が漸次細分化される。第4変奏になると、32分音符の三連音による律動が低音部及び高音部に出現するが、この律動は非常に重要で、その後の楽曲全体を支配する。最終(第5)変奏より、主題がこの律動の上に出現し、続けて高音域のトリルを伴いながら運動を続けた後、楽曲は静寂のうちに幕を閉じる。(譜例:第2楽章冒頭)
通常の演奏時間は、第1楽章が約9分、第2楽章が約15分である。
この作品は作曲者の後期作品の中では最も知名度が高く、演奏と録音共に広く行われている。
[編集] 参考資料
- 『ベートーヴェンピアノソナタ 作曲学的研究』(諸井三郎 / 音楽之友社 / ISBN 4-276-13021-2 / 1965年5月15日)
[編集] 試聴
- 作品111 第1楽章 (説明ページ) — ブラウザで視聴 (beta)
- ピアノソナタ第32番ハ短調 第1楽章
- うまく聞けない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。
- 作品111 第2楽章 (説明ページ) — ブラウザで視聴 (beta)
- ピアノソナタ第32番ハ短調 第2楽章
- うまく聞けない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。
[編集] 関連項目
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノソナタ | ||
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初期 |
選帝侯ソナタ | ソナチネ | 19 | 20 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 (悲愴) | 9 | 10 | 11 | 12 (葬送) |
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中期 |
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後期 |
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