ファイターズヒストリー
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ファイターズヒストリー(FIGHTER'S HISTORY)は、1993年にデータイーストが製作したアーケード用対戦型格闘ゲームである。シリーズ化もされ、家庭用ゲーム機への移植版が出ている。
主な特徴として、キャラクターの体の光っている部位(アクセサリー等)を何度か攻撃すると相手を弱体化させる「弱点システム」や、濃いキャラクターが多いことが挙げられる。ゲームバランスはよく、対戦型格闘ゲームとしての評価は高い。
他ではあまり見ない特徴としては、多くのキャラクターの声優をそれぞれの設定国籍(フランス、韓国、中国、関西等)の言語に通じた人が演じている事が挙げられる。
ちなみに、内容が『ストリートファイターII』に似ているという理由で、カプコンに訴えられた経緯があるが、1994年に和解成立して告訴取り下げとなっている。
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[編集] シリーズ一覧
- ファイターズヒストリー
- ファイターズヒストリーダイナマイト
- 1994年稼動の続編。この作品は、SNKのアーケード筐体Multi Video System(MVS)向けに製作されており、そのためボタンが6つから4つに変更された(A・Bが弱・強パンチ、C・Dが弱・強キック)。キャッチコピーは「闘いのビックネーム、今再び!」(ちなみにケースの裏には、「今、覚醒の時、来たる。」と書いてある)。ケースのジャケットが妙に格好良い。使用可能キャラクターは、前作の11人(ボスキャラのクラウン、カルノフも含む。この2キャラは引き続きボス役。)に新キャラクターの2人(英美(ヨンミー)、ザジィ)が加わり、13人となった。(前作からの一部のキャラには)新技も追加されており、「隠し必殺技」といったいつでも使える強力な必殺技を持つキャラもいる。
- 家庭用向けには、1994年4月28日にネオジオROMカセット版、ネオジオCD版が、1997年7月4日にセガサターン版がそれぞれ発売されている。MVSがアーケード筐体としては異例の長期間現役だったこともあり、アーケード版は未だに稼動しているゲームセンターが多く、度々大会が開かれることもあるので、シリーズ内では一番評価が高いと思われる。最近では、『ダイナマイト』の大会の模様を収録したDVDが発売されている。
- また、全試合をストレートで勝ち進むと、「空手道」シリーズのボーナスゲームに登場する牛(オックス)がシークレットボスとして出現する(ただし家庭版の場合、イージーモードでは出現しない)。ちなみに、メモリーカードを駆使しても、ノーミスクリアにはならないので注意。
- なお、海外名は「KARNOV'S REVENGE(カルノフズリベンジ)」となっている。
- ファイターズヒストリー ~溝口危機一髪!!~
- 1995年2月17日にSFC版で発売されたシリーズ内唯一の家庭用のみの作品。本来は『ダイナマイト』のSFC版移植作品であるはずが、色々とアレンジされた上に、家庭版『ダイナマイト』にはないオリジナルモードもあり、主人公が溝口になっている。結果的には、『ダイナマイト』の続編的作品となっている。
- 主なモードとして、クエストモード的な「溝口モード」(その名の通り、溝口以外のキャラは使用不可。ちなみに、このモードのサブタイトルは、『FIGHTER'S HISTORY 浪花快男児篇』である。)、タッグバトル・サバイバル・プラクティスの3モードの中から好きなモードが選べる「エクストラモード」がある(その他のモードは、SFC版初代からほぼ引き継がれている)。
- 使用可能キャラクターは9人で、前作『ダイナマイト』から5人(レイ、ジャン、マーストリウス、サムチャイ、マッドロック)が削除されている代わりに新キャラクターとして、同社のアクションゲーム「チェルノブ」の主人公、チェルノブが最終ボスとして加わっている(削除された5人のうち、レイ、ジャン、マッドロックとCPU専用だった牛は「溝口モード」でストーリー進行中に少しだけ登場)。タイトル画面中に、下、下、上、上、右、左、Lボタン、Rボタン、と入力すると、「溝口モード」以外でチェルノブを使うことができるようになる。
- SFCのコントローラーでボタン4つ同時押しは無理があるため、Rボタン1つで代用できるようになっている(初期設定時)。そのため、溝口の「ごっついタイガーバズーカ」や「通天砕」等の4つボタン同時押し専用必殺技が容易に出せるようになっている。
- SFC版の対戦格闘作品としては、かなりの完成度の高さを誇っている。
[編集] ストーリー
- ファイターズヒストリー
- 一年に一度だけ開催される世界異種格闘技選手権大会「グレートグラップル」。 常勝無敗の帝王、Kが主催するイベントである。 かつては、世界最強を自負する格闘家たちが集うにふさわしいイベントであった。 しかし、優勝者はつねにKであった。決して表の世界には姿を現さない彼のことを、 人々は「伝説の神の使い」と呼び恐れていた。 もはや開催の是非さえも問われていた「グレートグラップル」。 しかし、今年も命知らずの9人の格闘家が、名乗りを上げてきた。 あるものは破格のファイトマネーに魅せられて、またある者は、格闘家の名誉のために・・・
- ファイターズヒストリーダイナマイト
- 決して表の世界に姿を現さない謎の格闘家「K」が主催した「グレートグラップル」。 その闘いで多くの格闘家にことごとく敗れ、屈辱の炎に身を焦がした「K」が、再び格闘家たちを呼び寄せた…。 1年間の鍛錬により、驚異的な新必殺技を身に付けた前大会参加者の9人を加え、謎の格闘家「K」に挑むため、 新たに2人の格闘家が集結した。今、熱い闘いの幕が、切って落とされようとしていた・・・・。
[編集] 登場キャラクター
- レイ・マクドガル Ray McDougal
- 溝口 誠(みぞぐち・まこと) Makoto Mizoguchi
- 28歳の高校生で、自称「喧嘩百段」。学ラン姿でバリバリの大阪人。初代と『ダイナマイト』では、リーに勝つと「喧嘩百段、思い知ったか!!」という勝利コメントが出る。どうやら、リーとは何らかの因縁があった模様。
- 本シリーズの登場キャラクターの中で一番人気があった為、彼をシリーズを通しての主人公と勘違いしている人は結構多い(そのために、『溝口危機一髪!!』が出されたと言われている)。
- 『溝口危機一髪!!』では、たこ焼き屋「浪花一番」の名物と言われているオブジェのたこがチェルノブによって盗まれたため、それを取り返そうとチェルノブを追う。
- 全作品のエンディングで『魁!!男塾』の王大人に似た男に毎回連れ去られ、「全地球爆拳闘大会」に無理矢理招待選手として参加させられてしまう(毎回優勝している様だが)。
- 画面端では一撃必殺を誇るほどの連続技が存在する。
- 弱点はハチマキ。
- 1966年1月1日生 28歳 身長188cm 体重95kg B型 日本出身
- 職業:高校生 格闘スタイル:喧嘩
- 好きなもの:牛丼、浪速恋しぐれ、千絵(彼女) 嫌いなもの:いちびってる奴(河内弁で「調子にのって騒がしい奴」の意)、病気
- 劉 飛鈴(リュウ・フェイリン) Liu Feilin
- ジャン・ピエール Jean Pierre
- 嘉納 亮子(かのう・りょうこ) Ryoko Kano
- 柔道家の女子高生。溝口のことをかなり嫌っている。『溝口危機一髪!!』の「溝口モード」では、学生服の姿でも登場する。このときのグラフィックは、前2作品のときと比べると、妙に可愛くなっている。ちなみに、「都立英華女子高等学校」に通っている(『溝口危機一髪!!』より)。
- モチーフは田村亮子(現:谷亮子)であると思われるが、顔立ちや祖父の存在などはむしろ漫画『YAWARA!』の主人公・猪熊柔に近い。苗字は柔道創始者「嘉納治五郎」から。
- 弱点はハチマキ。
- 1977年1月21日生 17歳 身長158cm 体重57kg B型 日本出身
- 職業:高校生 格闘スタイル:柔道
- 好きなもの:柔道、トンカツ、祖父 嫌いなもの:不真面目な人
- マーストリウス Marstorius
- プロレスラー。『ダイナマイト』では、投げ技「ダブルジャーマン」の間合いがとても広い。
- 奥さんは彼そっくりで彼よりも強い。
- キャラクターのモチーフは、プロレスラーのブルーザー・ブロディであると言われている。
- 弱点は、両足首にあるレッグウォーマー。
- 1949年6月9日生 45歳 身長203cm 体重150kg O型 イタリア出身
- 職業:プロレスラー 格闘スタイル:プロレス
- 好きなもの:スイカ 嫌いなもの:プロレスをバカにする者
- マットロック・ジェイド Matlok Jade
- 李 典徳(リー・ディエンドー) Lee Diendou
- 功夫(クンフー)使いの中国人。やはり初代と『ダイナマイト』での溝口に勝ったときの勝利コメント(「ふん、何が喧嘩百段だ!おもしろくない!」と言う。)からして、溝口と何らかの因縁があった模様。なお、彼の必殺技の一つ「絶招歩法」は後にカプコンの『ストリートファイターIII』のキャラクター・ユンが(1stではヤンも)同名の技を使用している。
- モデルは週刊少年サンデーに連載されていた中国拳法漫画『拳児』に登場する実在の八極拳士「李書文」。一作目のエンディングやダイナマイトのリーステージの背景に登場する師匠は、コミックでの晩年の李書文がモデル。
- 弱点は膝。
- 1965年8月14日生 29歳 身長175cm 体重75kg A型 中国出身
- 職業:船頭 格闘スタイル:八極拳
- 好きなもの:シイタケ、自然、自己鍛錬 嫌いなもの:功夫の足らぬ者、自動車
- サムチャイ・トムヤムクン Samchay Tomyamgun
- クラウン Clown
- カルノフ Karnov
- 初代と『ダイナマイト』での最終ボスで、アクションゲーム「カルノフ」の主人公。このシリーズ内での設定としては“(ロシアの)大富豪”らしい。大武闘会「グレートグラップル」を主催。初代で破れたため続編の『ダイナマイト』ではリベンジしようと目論むが、見事に返り討ちに遭っている。
- 彼のステージでは「カルノフ」の音楽がアレンジされて使用されており、初代では最終面の、ダイナマイトでは1面の曲が流れる。
- 弱点は、初代ではターバンだったが、『ダイナマイト』と『溝口危機一髪!!』ではネックレスになっている。
- 1944年12月25日生 50歳 身長180cm 体重135kg A型 ロシア出身
- 職業:神の使い 格闘スタイル:?
- 好きなもの:財宝、権力、はしご 嫌いなもの:懲りない挑戦者
- ザジィ・ムハバ Zazie Muhaba
- 柳 英美(リュウ・ヨンミー) Liu Yungmie
- 『ダイナマイト』から登場。
- 幼少時からテコンドーを学びあらゆる大会を総なめにした、人呼んで「テコンドーの女王」。でも格闘家ではなく、職業はツアコン。
- 3年前にカルノフに挑み行方不明となった格闘家の両親の消息を求めてグレートグラップルに参加するが、父はカルノフに敗れ自害、母も後追い自殺していたというハードなエンディングを迎える事になる。
- 濃いキャラクター揃いの本作の中で唯一の“普通に可愛い”女性キャラと言える(特に『ダイナマイト』でのキャラクターセレクト・勝利時のグラフィックや敗北時のグラフィック)。しかし、台詞は少々きつめである。
- 弱点は腰巻き。
- 1972年1月2日生 21歳 身長166cm 体重54kg AB型 韓国出身
- 職業:ツアーコンダクター 格闘スタイル:テコンドー
- 好きなもの:テコンドー、両親 嫌いなもの:弱い人、お酒
- オックス Ox
- 『ダイナマイト』で登場する牛でシークレットボス。元は『空手道』のボーナスステージに登場していた。
- ちなみに、弱点は角である。
- チェルノブ Chelnov
[編集] 関連作品
[編集] 関連記事
[編集] 外部リンク
- ジー・モード(データイーストのゲーム版権を取得した携帯電話コンテンツ開発会社)
- ファイターズヒストリーダイナマイト -グレードグラップル2004-
- (2004年に行われた『ダイナマイト』の全国大会。トップ絵に出てくる3体のサムチャイのアップがある意味すごい。何故かサムチャイのコーナーまである。リンクでは「Fighter's History Club」というサイトが紹介されている。)
- (上記の大会の模様を収録したDVDの紹介。やはりカルトな人気を獲得しているせいか、サムチャイの特集まで収録されている。また、大会に参加したプレイヤーの紹介が収録されている。その中には、闘劇に出たプレイヤーまで参加しており、その上、過去の闘劇の各種目を制覇しているプレイヤーまでもが参加していたということだから驚きである。)
- 電脳四畳半たけぼ!!の部屋(『ダイナマイト』について書き込まれている。)
- マイナーゲーム百花繚乱(こちらも『ダイナマイト』について書き込まれている。)
- ザ・ゲーム(初代と『ダイナマイト』の攻略も掲載している攻略サイト。)
- 別館FHD攻略(その名の通り、『ダイナマイト』の攻略サイト。)
- 対戦格闘ゲーム 技表ページ(現在、シリーズ内の作品は初代と『ダイナマイト』が公開されている。)
- 裏技宝典(GAME大宝庫内のコーナーで、その名の通り、裏技を紹介するページである。現在、シリーズ内の作品はすべて公開されている。)
- マイナー格ゲー(その名の通り、マイナーな格闘ゲームを紹介している。牛の名前も公開されている。)
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