マジェランアイナメ
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?マジェランアイナメ | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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和名 | ||||||||||||
マジェランアイナメ | ||||||||||||
英名 | ||||||||||||
Patagonian Toothfish |
マジェランアイナメ(Dissostichus eleginoides、英名 Patagonian Toothfish)は、南米チリ沖合などの南氷洋に生息する、スズキ目ノトテニア科の魚。
南極大陸周辺の水深2500mから3000mの深海に生息し、小魚やイカなどを餌とする。体長は60cmから1m程度で、十数年から50年程度の寿命を持つと考えられている。
1980年代からギンダラの代用品として日本に輸入されている。主な消費国は日本とアメリカ合衆国で、漁獲高の90%程度はこの2国で消費されていると思われる。漁獲国はチリ、アルゼンチン、フランス、オーストラリア、イギリスなどである。
日本では「メロ」という名称で食用白身魚として広く流通している。2003年以前には「銀ムツ」という名前で流通することが多かった。しかし、アカムツやクロムツなどとは全く違う種類の魚であり消費者に混乱をもたらしているとの判断から、2003年にJAS法が改訂され、「銀ムツ」という名前で販売してはいけなくなった(「銀ムツ(メロ)」などの表記は可)。また、1990年頃には、切り身をみりん漬などに加工し、「クエ」と詐称し市場や量販店へ卸していた水産加工業者もあった。しかし、現在でもマジェランアイナメの料理を「ムツの照り焼き」などと称して出している食堂は多いと思われる。なお、「メロ」という名称で流通している魚の多くはマジェランアイナメであるが、一部マジェランアイナメの近縁種であるライギョダマシ(D. mawsoni、英名:Antarctic Toothfish)も含まれている。
脂ののった白身魚で、照り焼き、塩焼き、煮付けなどに用いられる。洋風のソースをかけたりハーブ焼きなどにしてもおいしい。
近年、CCAMLR(南極海洋生物資源保存管理委員会)が違法な漁による乱獲を問題視している。CCAMLRは南氷洋でのマジェランアイナメの漁獲制限量を約12,000tと定めているが、実際にはその倍近くが漁獲されているものと推定している。これにより、漁業資源の枯渇が心配されている。
標準和名はマジェランアイナメであるが、同じ魚を「オオクチ」と呼んでいる資料もある。主要な漁獲国であるアルゼンチンなどでは「メルルーサ・ネグラ(Merluza negra)」や「バカラオ(Bacalao)」と呼ばれる。
このように、他の魚と紛らわしい様々な名前で呼ばれていることも不法漁獲を取り締まりづらくする一因であるとする人もいる。