ヤマネコ
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- 映画の「山猫」は、ルキノ・ヴィスコンティ監督の代表作の1つ(伊・仏、1963年)。1860年代、イタリア統一戦争に揺れるシチリアを舞台に、革命運動に身を投じた青年貴族と平民の娘の恋を縦糸として、貴族階級の斜陽を描く。第16回カンヌ国際映画祭(1963年)にて最高賞(グランプリ)を受賞。
- 「山猫」は、神永学の小説。2006年7月29日発行。
ヤマネコ | ||||||||||||
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分類 | ||||||||||||
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亜科~亜種 | ||||||||||||
ネコ亜科 Felinae
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ヤマネコ(山猫、やまねこ)は、ネコ目(食肉目)ネコ科に属する哺乳動物のグループである。
細かく見れば、この語の示す対象には、分類階層の異なる複数のグループが含まれる。すなわち、「ヤマネコ/山猫」という語には、以下の4つの意味がある。
現在、一般的には、この語は第1の意味で使われることが最も多いと思われる。
目次 |
[編集] 広義のヤマネコ(野生の小型ネコ)
広義の「ヤマネコ」は、野生のネコ科動物のうち、小型のもの全般を指す。
この中には、ボルネオヤマネコのように、「~ヤマネコ」という形の標準和名をもつものも、スナドリネコのように、標準和名では特にヤマネコと呼ばれないものも含まれる。大型ネコ類(現生ではライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、チーター)は、これに含まれない。また、イエネコ(いわゆるネコ)は、後述するように、種としては狭義のヤマネコに含まれるが、本来人間の生活圏で暮らす家畜種であるため、慣用的には「ヤマネコ」と呼ばれることはない。
この意味でのヤマネコ類の中で最大のものはピューマであるが、広義の「ヤマネコ」はあくまで便宜的な呼称であり、アメリカライオンとも呼ばれるピューマをヤマネコの仲間に含めるかどうか、また、大型ネコと小型ネコの中間に位置し、ピューマよりも小柄なユキヒョウやウンピョウをどう位置づけるかは、人により意見の分かれるところだろう。
これら中間的なものを除けば、ネコ類のうち、現生種では、イエネコを除くネコ亜科 Felinae のすべての動物と、ヒョウ類の近縁種とされることがあるマーブルドキャットが、ヤマネコ類というグループを構成していると言ってよいだろう。
[編集] 日本のヤマネコ
日本本土には、イエネコ以外のネコ類は1種も分布しない。国内に生息する(広義の)ヤマネコ類は、対馬のツシマヤマネコと西表島のイリオモテヤマネコの2つのみである。かつては、一般に「山猫」と言えば、後述するように野猫を指す場合が多かったが、それを除けば、ツシマヤマネコのことであった。ヤマネコがツシマヤマネコの和名である場合もある。
ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの分類的な位置づけには諸説があるが、最近は南~東南アジアに分布するベンガルヤマネコ Prionailurus bengalensis(または Felis bengalensis)の亜種として位置づけられることが多い。
[編集] 狭義のヤマネコ(Felis silvestris)
分類学上の用語としては、「ヤマネコ」とは、狭義には、特にネコ属の種の1つであるヤマネコ Felis silvestris を指す。これは、はじめにネコ類の分類を手がけたヨーロッパの研究者たちが、自分たちにもっとも身近なヨーロッパ在来の小型野生ネコ類のうち、小さめのものを単に wild cat(野生ネコ)、大きめのものを lynx(リンクス)と呼んだことに由来する。前者がヤマネコ Felis silvestris 、後者がオオヤマネコ Lynx (特に、ヨーロッパオオヤマネコ Lynx lynx)である。
このヤマネコ種のグループには、ヨーロッパヤマネコ F. s. silvestris のほか、アフリカからイラン西部にかけて分布するリビアヤマネコ F. s. lybica、中央アジアから西アジアにかけて分布するステップヤマネコ F. s. ornata の、計3亜種が含まれるが、これらをそれぞれ独立種として、その下にさらに細かい亜種を設定する研究者もある。
これらのほかに、従来は独立した1種 Felis catus と見なされてきたイエネコが、近年になって、狭義のヤマネコの1亜種 Felis silvestris catus と見なされるようになった。なお、イエネコはリビアヤマネコを主要な祖先としてもつと考えられる。イエネコを除けば、日本にはヤマネコ種の動物は生息しない。
[編集] 「野猫」を意味する「山猫」
野生化したイエネコである「野猫(ノネコ)」は、広義の「ヤマネコ」には含められない。ただし、日本では対馬と西表島を除く大部分の地域にはヤマネコが生息しないこともあって、伝統的に、山野に住むイエネコ、すなわち野猫が、「山猫(やまねこ)」とも呼ばれてきた。近世までの文献に当たるときは、特に注意を要する。
なお、英語の "wildcat" も、ヤマネコのほかに野良猫の意味をもつ。
[編集] その他
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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