一般形電車
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一般形電車(いっぱんがたでんしゃ)とは、JR東日本E231系電車において初めて使われた電車の区分の一つ。
[編集] 概要
この車両区分を東日本旅客鉄道では「それまでの近郊形電車と通勤形電車との融合形態」と説明している。また、理由は以下の通りである。
- 近郊形電車を使用している線区において、通勤時における利用者の急増による恒常的な遅延や、それに対応するために近郊形電車自体もロングシートでのみで構成された車両・編成が多くなった。又、通勤時には列車編成長一杯までプラットホームを使用しており、これ以上定員・乗車人員を増やすことができない。
- 通勤形電車を使用している線区においては、平時より列車編成長一杯まで使用しており、通勤形電車の断面が近郊形電車に比べ細いことからこれを使用して定員・乗車人員を増やすことができない。
- ともに、経年劣化による取り替え時期を迎えるため、双方を融合させた設計により開発コストの削減に繋がる。
ただし、E231系電車では近郊形仕様と通勤形仕様の区別はなされている。
この区分を生み出した背景は、JR東日本が首都圏という巨大な市場をもつためである。いっぽう他のJR各社ではそのような混雑線区を有さない事から、単純に地方の地域普通列車輸送に供するための電車として考えられている。例としては、西日本旅客鉄道が小浜線や加古川線に投入した125系電車などが挙げられる。
また、JR東日本の東北地方で使用される701系電車も地域普通列車の区分として扱われている。これは、同社の交流電化区間では流動人口があまり高くない線区が多く、中距離電車と通勤電車の区別が曖昧になって定着したと思われる。
また、流動人口があまり高くない線区を走行することが多い気動車においては、国鉄時代より一般形気動車・汎用気動車(はんようきどうしゃ)と呼称してこの概念を採用している。例としては、キハ20系気動車・キハ40系気動車などが挙げられる。また、国鉄が主に普通列車に供する客車として最後に設計・製造を行った50系客車についてもこの概念が参考になっている。
なお、私鉄の内特急・急行列車等に専属で充てる特急形・急行形車両に対応する形で主に普通列車・各駅停車などに用いる車両のことをこう称する場合がある。この場合にはほぼ通勤形車両に近い場合が多い。また、特急形・急行形車両であった車両で特急・急行列車等の専属を解いた場合には車両の内装を通勤形車両に近い形にする場合が多く、この場合も一般車格下げあるいは通勤車両格下げとする場合が多い。