三菱・i
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三菱・i | |
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製造期間 | 2006年1月- |
ボディタイプ | 5ドア ハッチバック |
エンジン | 3B20型 660cc 直3 52ps 3B20型 660cc 直3 64ps |
トランスミッション | 4速AT |
駆動方式 | MR / 4WD |
全長 | 3395mm |
全幅 | 1475mm |
全高 | 1600mm |
ホイールベース | 2550mm |
車両重量 | 890-960kg |
乗車定員 | 4人 |
同クラスの車種 | スズキ・MRワゴン ダイハツ・ソニカ スバル・R1 スバル・R2 |
i(アイ)は、三菱自動車工業が製造・販売している軽乗用車および、2003年のフランクフルトモーターショーに出展された同社のコンセプトカーである。
目次 |
[編集] 概要
近年の軽乗用車としては珍しく、5ドアのボディでありながらエンジンをミッドシップマウントし、高効率なパッケージングを採りながら重量配分の最適化により操縦安定性、走行性能を高めているとされている。これはかつて経営の提携関係にあったダイムラー・クライスラーのスマートの技術ノウハウが活かされていると思われがちだが、プラットフォームは三菱自動車の独自開発である。
また、三菱自動車の軽自動車では、派生車を除くとeKワゴン以来4年3ヶ月ぶりのニューモデルである。
iをまとめたのは、2代目パジェロでプロジェクトエンジニア、現プロジェクトエグゼクティブである福井紀王氏。
コンセプトはプレミアムスモールであり、発売当初はターボエンジン搭載モデルのみがラインナップされ、車両本体価格は128万円以上であったが、2006年10月に自然吸気エンジンモデルが登場し、105万円から購入できるようになった。
[編集] スタイル・機構
[編集] エンジン
搭載するエンジンは、新開発の3B20型 直列3気筒DOHC12バルブの自然吸気またはインタークーラー付ターボエンジンである。45度傾けて搭載し、低重心化を図っている。
ターボ仕様は「いかにも」な加速ではなく、大排気量エンジンを積んでいるかのような低回転域から過給の効く仕様となっている。
また、このエンジンは、ダイムラー・クライスラーへの供給契約が締結されており、2007年にモデルチェンジされる予定の次期型スマートに搭載される。
[編集] レイアウト
ホイールベースは2007年4月現在、既存の軽自動車としては最長(2,550mm)を誇る。なお、ミッドシップレイアウト故にフロントにエンジンを搭載していないためステアリングの切れ角を大きく取ることができ、最小回転半径はロングホイルベースにも関わらず4.5mとなっている。
エンジンは後部座席の後ろに傾けてマウントされており長いホイルベースと相まって、従来の「軽」のイメージを変える室内空間を実現した。その一方で、本来荷物置き場になるスペースにエンジンが配置されている都合上、地上高が高めなためリアハッチから重量物を積み込む際はやや苦労する。
トヨタ・MR2やホンダ・NSXなどのスポーツ系ミッドシップ車のハンドリングと比べると、「MRらしくない」ハンドリングであるが、あくまで「普通のクルマ」としてのセッティングである。だが、他社の既存の軽トールワゴンと比べるとシャープなハンドリング、低回転から立ち上がるエンジンでメリハリのあるドライビングが楽しめる。ターボモデルでもトルクステアとは無縁である。
全高は1.6m以上に達しており、ほとんどの機械式立体駐車場(大抵1.55mが上限)に進入することができない。
[編集] 歴史
[編集] 初代(2006年-)
- 2003年9月:フランクフルトモーターショーで、コンセプトテストカー『i』を出品。
- 2003年10月:第37回東京モーターショーに出品。
- 2005年5月:車種名を『i(アイ)』に正式決定。
- 2005年11月:ケンタッキーフライドチキン(KFC)のCM『2005年クリスマスキャンペーンパーティバーレル篇』に発売前であるが「出演」。これは日本KFCが三菱商事の関連会社のため。
- 2006年1月5日:TBSのドラマ「一週間の恋」に登場。
- 2006年1月24日:販売開始。当初はターボエンジン搭載グレードのみを用意。
- 2006年5月17日:特別仕様車「i-Play Edition」を発売。
- 2006年7月1日:特別仕様車「Limited」を発売。
- 2006年7月25日:ハローキティ特別仕様車「PrincessKitty i」限定1台を日本橋三越で販売。
- 2006年10月11日:電気自動車「i MiEV」を開発。
- 2006年10月17日:J.D.パワーによる「2006年日本軽自動車初期品質調査」において1位を記録(ダイハツ・ムーヴラテと同点の61PP100)。[1]
- 2006年10月24日:マイナーチェンジ。自然吸気エンジン(NA)搭載グレード発売。ターボ車も一部改良。
- 2006年10月25日:グッドデザイン大賞受賞(軽自動車としては初。乗用車としては、プリウス以来2度目)。[2]
- 2006年10月31日:J.D.パワーによる「2006年日本軽自動車商品性評価調査」において調査開始以来最高得点で1位を記録。[3]
- 2006年10月31日:2007 日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤー受賞。[4]
- 2006年11月1日:カービュー・カー・オブ・ザ・イヤー2006~2007 国産部門受賞。[5]
- 2006年11月14日:2007年次 RJCカー・オブ・ザ・イヤー受賞。
- 2006年11月18日:第27回日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Advanced Technology」受賞。
- 2006年11月30日:第1回あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー大賞を受賞。
- 2006年12月14日:「倉敷ナンバー」のご当地ナンバー認証を記念した特別仕様車「i倉敷」を発売。
- 2007年1月16日:特別仕様車「1st Anniversary Edition」を発売。
[編集] グレード
全てのグレードで2WDと4WDを用意する。
[編集] 自然吸気エンジン搭載グレード
- S
- L
- LX
[編集] ターボエンジン搭載グレード
- M
- G
-
- S(2006年1月~10月)
- 発売当初は最も廉価なターボエンジン搭載グレードとして登場。2006年10月のマイナーチェンジと同時にNAグレードに変更された。
[編集] 特別仕様車
- i-Play Edition(2006年5月17日~)
- アップルコンピュータのオーディオプレイヤー「iPod nano」専用スロットなどを装備するほか、アイのロゴマークが刻印されたiPod nanoを進呈。
- Limited(2006年7月1日~10月)
- S(初期)をベースに、専用AM/FMラジオ付CDプレーヤー+4スピーカー、UVカット機能付プライバシーガラスを標準装着化。Sよりも低価格。
- i倉敷(2006年12月14日~)
- S(NA)をベースに、ジーンズ柄シート生地、専用AM/FMラジオ付CDプレーヤー+4スピーカー、UVカットプライバシーガラス、“i倉敷”専用デカールを装備。岡山三菱自動車のみで100台限定販売。
- 1st Anniversary Edition(2007年1月16日~)
- LまたはMをベースに、インテリアではブラックのドット柄を採用したシート、インパネ、トリム、カーゴルームカーペットなどを、エクステリアでは水滴防止ドアミラー、左右フロントドアガラスの撥水コーティングとUV&ヒートプロテクト機能などを追加装備する。
[編集] i MiEV
iをベースに国内の電力会社と共同研究・開発を行っている純電気自動車。2006年11月から東京電力および中国電力に、2007年1月から九州電力に車両を貸与して業務用車両として走行実験に供する。
永久磁石式交流同期電動機(47kW/180N-m)を採用、床下は燃料タンクに代わってリチウムイオン電池を置き、単相交流100ボルト/200ボルト、三相交流200ボルトで充電する。重量は1080kg。
[編集] 車名の由来
『I(myself/日本語の「自分自身」)』、『愛』、および『innovation(革新)』、『imagination(想像)』、『intelligence(知性)』のイニシャルから。
[編集] 受賞歴
- 2006年日本軽自動車初期品質調査で1位を獲得。
- 2006年度グッドデザイン大賞を軽自動車としては初の受賞。(自動車としては、2003年のプリウス以来2度目)
- 2006年日本軽自動車商品性評価調査で1位を獲得。
- 2007 日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤーを受賞。
- カービュー・カー・オブ・ザ・イヤー2006~2007 国産部門で受賞。
- 2007年次 RJCカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。
- 第27回日本カー・オブ・ザ・イヤー特別賞「Most Advanced Technology」を受賞(軽自動車では初)。
- 第1回あなたが選ぶカー・オブ・ザ・イヤー大賞・K4オブ・ザ・イヤーを同時受賞。
- 日経優秀製品・サービス賞(2006年)最優秀賞(日経産業新聞賞)を受賞。