京都マル秘指令 ザ新選組
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京都マル秘指令 ザ新選組(きょうとまるひしれい ざしんせんぐみ)は、朝日放送と松竹が制作した勧善懲悪のアクション・テレビドラマ。
1984年2月17日から同年5月18日まで、テレビ朝日系列で金曜日夜9時からの1時間枠で放送された。全13回。
必殺シリーズと全く同じスタッフで作られているのが特徴。京本政樹が人気を得た組紐屋の竜役で『必殺仕事人V』に登場する前にこのスタッフらの制作の元にレギュラー出演していたことで一部には有名なカルトドラマとなっている。
目次 |
[編集] 内容
現代の京都を舞台に、近藤局長・土方・沖田ら新選組の隊士になぞった現代の新選組が、金閣寺、日本一の芸妓など古都京都の文化財を狙う悪人たちと戦う姿を描く。
[編集] キャスト
- 土方一也(古谷一行):元は京都にある国立大学医学部の有能な講師。「副長」だがザ新選組の実質リーダー。
- 沖田信介(京本政樹):素性不明の青年。抜群の運動神経の持ち主で、なかでもカンフーが得意。
- 永倉岩夫(ガッツ石松):禅宗の修行僧(僧名は日渓)、それでいて無類の女好き。元ボクサーで強靱な腕力を誇る。
- 斉藤一子(甲斐智枝美):祇園の芸妓(芸名は一福)。 お座敷など他のメンバーが踏む入れられない場所での情報収集が得意。
- 斉藤美雪(春川ますみ):一子の母、炉端焼「壬生屯所」の女将。影の大物、御前とザ新選組との唯一のパイプ役。
- 山田勇(横山ノック):京都を愛する心は誰にも負けない。年の功を買われてザ新選組の「局長」に収まった。
- 松平(池部良):表の顔は書画骨董の蒐集家。その実は、御前と呼ばれるザ新選組の支援元で陰謀壊滅のマル秘指令を出す。
[編集] ソフト情報
2006年11月現在。
未ビデオソフト・未DVDソフト化。ただし、2006年11月25日よりスカパー!とケーブルテレビで視聴できるホームドラマチャンネルにて再放送開始(週一話ずつ、各話リピート計3回でオンエア予定)。
[編集] スタッフ
- 制作:山内久司(朝日放送)
- プロデューサー:桜井洋三(松竹)、奥田哲雄(朝日放送)
- 脚本:吉田剛、鴨井達比古、柏原寛司 他
- 監督:井上梅次、田中徳三 他
- 撮影:石原興
- 車両協力:トヨタ自動車
- 主題歌:「とまどい・・・ ~I Can't Say・・・」 作詞・作曲・歌 京本政樹
[編集] 各話タイトル
- 脅迫 1 24億円の仏像をもらうぞ!
- 脅迫 2 ナンバーワン芸者の強姦裏ビデオを作るぞ!
- 脅迫 3 苔之寺の苔を石けん水で洗うぞ!
- 脅迫 4 金閣寺を赤ペンキで塗りあげるぞ!
- 脅迫 5 女子高生を丸坊主にするぞ!
- 脅迫 6 娘を人間大文字焼きにするぞ!
- 脅迫 7 山林王の未亡人から遺産28億円を奪うぞ!
- 脅迫 8 日本一の学者をサハラ砂漠へ放り出すぞ!
- 脅迫 9 名僧を釜ゆでにするぞ!
- 脅迫10 茶道の宗家を色仕掛けで乗っとるぞ!
- 脅迫11 人間国宝のニセ作を造らぬと恋人を犯すぞ!
- 脅迫12 女子マラソンを猛獣が襲うぞ!
- 脅迫13 鴨の河原で新選組を皆殺しにするぞ!
[編集] エピソード
[編集] 新選組の逸話との親和性
舞台が京都なのと、キャストの役名に新選組隊士の名をもじっている以外にもこのドラマには幾つもの新選組に関連した逸話を投影させている。京都の文化財を悪人たちから守る昭和の新選組ことザ新選組は、松平なる謎の人物からの命令と情報を受けて行動に当たる。そして、そのザ新選組が作戦を打ち合わせる炉端焼きの店の名が、その名も壬生屯所(みぶとんしょ)。局長・山田勇の世を忍ぶ仮の姿は、街で剣道を教えている道場主。もちろん流派は天然理心流である。ある放映回では、その局長は不意を突かれて左肩を怪我させられ、また不治の病を持つ設定の沖田も、黒猫と出会うなどモデルとなった隊士の逸話をそっくりそのまま持ってきた。
[編集] キャスティング
- 主演の古谷一行は、1977年にTBS系で放映された『新選組始末記』でも、土方役を演じている。また、このドラマが撮影・放映された1983年から1984年にかけて、『金曜日の妻たちへ』(TBS系)、『オレゴンから愛』(フジテレビ系)など、各局で話題のドラマにも主演をこなしていた。
- 京本政樹は、ファンであった必殺シリーズへの出演を熱望していたが、同じスタッフらの制作でも現代劇ということで、当初は出演依頼を固辞しようとしていた。しかし、プロデューサーらにドラマ終了後には必殺シリーズへの出演を約束されたため出演を果たす。それから後、彼はフィギュアで沖田総司役を演じて話題になったが実はドラマでは演じたことがない。強いていえば本作の沖田信介役のみである。
- 横山ノックは、議員になってからのタレント活動においてドラマは拘束時間がかかるために出演しなくなったが、タレント活動をしている拠点の関西で撮影し、ファンであった井上梅次監督によるアクション作品ならばと快諾した。なお、近藤勇にひっかけた劇中の役名・山田勇とは、ノックの本名でもある。1986年にもこのスタッフらの制作で井上梅次監督による「土曜ワイド劇場」放映の『養子探偵団』にも出演を果たしている。
- ガッツ石松は、前番組「新ハングマン」において二話連続でゲスト主演。これがこのドラマへのテスト登板になった物と思われる。
- 当初、甲斐智枝美が演じた斉藤一子役には倉田まり子がキャスティングされており、テレビ情報誌の先取り情報には、他のレギュラー陣とともに名前も発表されていた。しかし、所属事務所とこのドラマ出演時以降の契約を結ばなかったために撮影前に降板し、替わって甲斐智枝美が起用された。
- なお、ガッツ石松と甲斐智枝美は、このドラマ終了と重なるように始まった時代劇『新大江戸捜査網』(テレビ東京、1984年4月から9月まで全26回)では夫婦役としてまたしても共演。
[編集] 金曜夜9時
80年代後半のテレビ朝日系列の金曜夜9時の枠は、朝日放送の制作による『ザ・ハングマン』や『赤かぶ検事奮戦記』を何作もシリーズで作ってヒットを飛ばすドル箱のドラマ枠であった。この『ザ新選組』も先述した様にその枠での放映である。70年代から元々この枠は人情物を軸にした路線のドラマを放映していたが、1980年秋にそれまでバラエティ番組を担当していた朝日放送の奥田哲雄プロデューサーが『赤かぶ検事奮戦記』第1シリーズから担当すると路線は大きく変更。この枠は一貫して現代劇による劇画・娯楽小説路線を突き進める。さらに、コメディチックな掛け合いの中で起こるサスペンス・アクションやミステリーは、次の時間帯に控える同様な展開を持つ後期必殺シリーズと相乗効果をもたらした。そして80年代前半、夜7時の『ドラえもん』を前座に、7時半の『宇宙刑事ギャバン』に始まるメタルヒーローシリーズ、8時が古舘伊知郎実況の新日本プロレス中継『ワールドプロレスリング』、この9時のドラマ枠を挟んで10時からは真打ち登場の『必殺シリーズ』と奥田プロデューサー曰くアクション・コミック路線と銘打つ、当時のテレビ朝日系列一週間の中で最強の時間帯が形成されていく。それがまさに全盛を迎えた頃に持ってきたのがこの『ザ新選組』であった。プロットこそ同枠の『ザ・ハングマン』シリーズをベースにしているものの、『ザ・ハングマン』シリーズが松竹芸能との共同制作に対し、こちらは必殺シリーズ同様に松竹(実質は京都映画株式会社が担当)という事で作品作りのティストがだいぶ違う。亜流という言葉で片付けてしまえば容易いが、『ザ・ハングマン』も元はと言えば「現代版必殺シリーズ」として生まれた物。肯定的に捉えるとすれば、その『ハングマン』と本家本元の『必殺シリーズ』が巧くブレンドされている作品となっている。この路線は全盛期だからこそ生まれたと言えよう。ただ、この金曜夜9時枠の他作品と同様に当初はシリーズ化を考えていたが、1クール1シリーズのみで残念ながらそれには至らなかった。故に『ザ・ハングマン』、『必殺』の両方のファンからさえ今日までカルト扱いされている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
テレビ朝日系 金曜21時台 (ABC制作枠) |
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