代表取締役刑事
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代表取締役刑事(だいひょうとりしまりやくでか)は、テレビ朝日系列で日曜20時~の刑事ドラマ枠で放送されたドラマ。1990年10月7日から1991年9月29日までの全45話放送。
「西部警察シリーズ」や「ゴリラ・警視庁捜査第8班」と同じく石原プロモーション制作。後番組は「ララバイ刑事'91」。
当時のキャッチコピーは「東京下町辰巳署には個性あふれる優しい刑事たちがいる。現代を写す様々な事件に立ち向かう刑事の姿を描く人情と感動のヒューマン・アクション」と言う事もあり、それまでの石原プロモーションが製作していた刑事ドラマの、西部警察やゴリラのような派手なアクションやカーチェイスは殆ど見られなかった。作風はむしろ西部警察の後番組で渡哲也が事実上主演をしていた私鉄沿線97分署(制作は石原プロモーションではなく国際放映)に近く、署のロケーションだけ変更した雰囲気であった。“社会において市民を守る刑事は、企業で社員を守る代表取締役と同じ”という意味でつけられたタイトルだという。
本作では東京の下町にある辰巳警察署刑事防犯課が舞台で、ロケも隅田川や勝鬨・月島周辺などが多く出てきた。ちなみに、辰巳署の外観ロケ場所でも使われていた東京都中央区勝どきにあった東京食糧ビルはクラシカルな外観が特徴で、様々なドラマのロケ場所として警察署・学校・病院などのシーンなどに使われていたが、残念ながら2003年に取り壊され現在跡地はマンションになっている。
番組後半、渡哲也の直腸がんが発覚し、自分の出演シーンを全て撮り終えてから長期療養に入った。
目次 |
[編集] 放送データ
1990年10月7日から1991年9月29日までテレビ朝日系列で毎週日曜日夜8:00-の全45話放送
ただし、第1話のみ2時間スペシャルで放送
[編集] 主な出演者
- 橘 謙司(辰巳署刑事防犯課長・警部):渡哲也
- 署長からも部下からも信頼される上司である。基本的には署内にいるが、第30話では自ら潜入捜査をし、負傷した事がある。
- 兵頭 真(辰巳署刑事防犯課係長・警部補):舘ひろし
- 単独行動の好きな係長。小早川からは憧れの存在である。橘課長からは「ヘイさん」と呼ばれている。恋人がいたが、別れてしまう(さらに、最終回では恋人のその後も判明する)。マンション住まい。仕事でもプライベートでもディアマンテを使用している。
- 岩田利夫(辰巳署刑事防犯課主任・巡査部長):高松英郎
- 呼称は「ガンさん」。
- 松本正義(辰巳署刑事防犯課員):川野太郎
- ある事件で誤認逮捕されてしまった事がある。家族は妻子がいる。(妻:福家美峰)
- 中西大吉(辰巳署刑事防犯課員・巡査):谷川竜
- 一時的に派出所の応援勤務に廻された事もある。野球が特技。第39話で黒の三菱GTOを買い、愛車にする。
- 小早川竜一(辰巳署刑事防犯課員・巡査):池田政典
- 好きになった人は事件関係者であったり、同級生だった元・恋人は新聞記者で、現恋人は追跡の際、車に同乗させてしまい、大怪我をさせてしまったりと女性が絡むと不運なことがある。その時の捜査の際に、兵頭に殴られた事がある。高所恐怖症の弱点がある。
- 五十嵐直子(辰巳署刑事防犯課員・巡査):市川翔子1話~25話
- 射撃の腕に関しては、兵頭より上(動く標的ではない)。本庁へ異動となる(第25話)。
- 南条冴子(辰巳署刑事防犯課員・巡査):木之原賀子 25話~45話
- 五十嵐に代わり、辰巳署に赴任した刑事。
- 牧野ひろみ(辰巳署刑事防犯課事務・巡査):荒井玉青
- 中川巡査(辰巳署警邏課・巡査):秋山武史
- 刑事志望の警官。指名手配犯の写真を常に持ち歩くなど、仕事に熱心である(第19話)。負傷した兵頭に代わり、ディアマンテを運転した事がある。警察犬に、自分の命を助けてもらった事がある理由で、以来その犬をかわいがっているという一面も。
- 橘日向子(橘謙司の娘):酒井法子
- 橘 喜一(橘謙司の父親・穴子漁の漁師):北村和夫
- 橘 麻子(橘謙司の妻・水質学者):阿木燿子
- 兵頭祐介(兵頭真の弟・兵頭の故郷、北海道小樽にあるディスカウントスーパー「マッキンレイ」の社長):沖田浩之
- 大島茂三(辰巳警察署署長・警視):安部譲二
[編集] スタッフ
- 企画 小林正彦(石原プロモーションの番頭。通称「コマサ」)
- 製作 渡哲也
- 脚本:市川森一、折戸伸弘、香取俊介、大川タケシ、鍋割亮虎、大野武雄、宮下隼一、峯尾基三
- 監督:小澤啓一、吉田啓一郎、江崎実生、鈴木一平、西村潔、澤田幸弘
- 現像 IMAGICA
- 音楽:服部隆之、米光亮、矢野立美
- 音楽監督 鈴木清司
- 音楽協力 ファンハウス、テレビ朝日ミュージック、石原音楽出版
- 車輛提供 MMC三菱自動車(当時は、あえて「MMC・三菱自動車」と「MMC」の冠を付けていた)
[編集] 主題歌
- 「孤独のRUNAWAY」安宅美春(オープニング)
- 「愛しい人よ Good Night」B'z(エンディング・1話~13話)
- 「ありんこ」渡哲也(エンディング・14話~29話)
- 「悲しみが痛いよ」T-BOLAN(エンディング・30話~45話)
- 「いとしのマックス」舘ひろし(中期以降での挿入歌)
[編集] 放送リスト
通算回 | 放送日 | サブタイトル | ゲスト | 視聴率 | |
---|---|---|---|---|---|
第1話 | 1990年 10月7日 |
昨日・今日・明日 | 沖田浩之、根本りつ子、花沢徳衛 | 7.7% | 2時間スペシャル |
第2話 | 1990年 10月14日 |
終着駅 | 高樹澪,長谷川明男 | 9.5% | |
第3話 | 1990年 10月21日 |
マダムと泥棒 | 園佳也子、河原さぶ、小沢一義 | 10.2% | この回で兵頭の年齢が判明 |
第4話 | 1990年 10月28日 |
家族の肖像 | 清水まゆみ、高島礼子 | 12.2% | |
第5話 | 1990年 11月4日 |
風と共に去りぬ | 西川峰子、斉藤清六 | 13.9% | |
第6話 | 1990年 11月25日 |
愛と青春の旅立ち | MIE、奈美悦子 | 10.7% | |
第7話 | 1990年 12月2日 |
リンゴ殺人事件 | 草薙良一 | 11.2% | |
第8話 | 1990年 12月9日 |
空の下、情は流れる | 松田勝 高品格 | 10.5% | |
第9話 | 1990年 12月16日 |
恋人たちの時間 | 伊藤麻衣子、海津亮介、辰馬伸 | 11.3% | |
第10話 | 1990年 12月23日 |
動く標的 | 大谷朗、川原和久 | 12.3% | |
第11話 | 1991年 1月6日 |
青い鳥 | 西村知美、春川ますみ | 6.8% | |
第12話 | 1991年 1月13日 |
慕情 | 宮下順子、森下哲夫、大野文香 | 9.6% | 北海道ロケ第1弾・函館編 |
第13話 | 1991年 1月20日 |
哀愁 | 沖田浩之、結城めぐみ | 8.9% | 北海道ロケ第2弾・小樽編 兵頭の弟が結婚 |
第14話 | 1991年 1月27日 |
告発の行方 | 美保純 | 8.1% | |
第15話 | 1991年 2月3日 |
特別な一日 | 小沢仁志、田中雅子 | 9.2% | |
第16話 | 1991年 2月10日 |
泥棒日記 | 岸部一徳、佐野アツ子、伊藤淳史 | 9.6% | |
第17話 | 1991年 2月17日 |
若者のすべて | 小牧かやの、小沢一義 | ||
第18話 | 1991年 2月24日 |
喝采 | 藍田美豊、秋間登 | ||
第19話 | 1991年 3月3日 |
男と女 | |||
第20話 | 1991年 3月10日 |
街の灯 | 若林志穂 | ||
第21話 | 1991年 3月17日 |
マルタの鷹 | |||
第22話 | 1991年 3月24日 |
大人は判ってくれない | ベンガル、片岡五郎、伴直弥 | ||
第23話 | 1991年 4月14日 |
旅路の果て | 渡辺美佐子、斉藤清六 | ||
第24話 | 1991年 4月21日 |
シンデレラ | 浅野愛子 | この回より、OP・EDのディアマンテのシーンが変更される | |
第25話 | 1991年 4月28日 |
明日に向かって撃て! | 和崎俊哉、久保田篤、小峰裕一 | この回にて市川翔子降板・木之原賀子参加 | |
第26話 | 1991年 5月5日 |
白銀は招くよ! | 神津はづき、南条弘二、小池雄介 | 軽井沢ロケ編 | |
第27話 | 1991年 5月12日 |
愛情物語 | 坂上二郎、中原早苗、高木ブー、中島陽典 | ||
第28話 | 1991年 5月19日 |
人間の絆 | 高田敏江、団時朗 | ||
第29話 | 1991年 5月26日 |
愛と追憶の日々 | 増田恵子、誠直也、ストロング金剛 | ||
第30話 | 1991年 6月2日 |
長いお別れ | 小柳ルミ子、本郷直樹 | ||
第31話 | 1991年 6月9日 |
誰が為に鐘は鳴る | 梅宮辰夫、汀夏子、石井愃一 | ||
第32話 | 1991年 6月16日 |
ヘッドライト | 岡本佳織 香川照之、遠藤憲一 | ||
第33話 | 1991年 6月23日 |
嘆きの天使 | 風見しんご | 実際にあった、いじめ関連の事件が話のプロットに入っている | |
第34話 | 1991年 6月30日 |
おかしな関係 | 西山浩司、小沢仁志、吉川十和子 | ||
第35話 | 1991年 7月7日 |
俺たちに明日はない | 石野真子、新井康弘、榎木兵衛 | ||
第36話 | 1991年 7月14日 |
さらば友よ | 三浦友和 | ||
第37話 | 1991年 7月21日 |
理由なき反抗 | 六浦誠、桜むつ子、清水宏 | ||
第38話 | 1991年 7月28日 |
裁きは終わりぬ | 河合奈保子、藤木悠、武藤章生、高品剛、本名陽子 | ||
第39話 | 1991年 8月11日 |
勇気ある追跡 | 網浜直子、穂積隆信、黒崎輝、清家利一 | ||
第40話 | 1991年 8月18日 |
太陽がいっぱい | 浜田朱里、御木裕、黒部進、横山道代 | ||
第41話 | 1991年 8月25日 |
ベストフレンド | 長谷川明男 | ||
第42話 | 1991年 9月8日 |
静かなる男 | 八名信夫、遠藤憲一、清水香織 | ||
第43話 | 1991年 9月15日 |
わが家の楽園 | 草薙良一、小林勝彦、大杉漣 | ||
第44話 | 1991年 9月22日 |
青春の光と影 | 石川ひとみ | ||
第45話 | 1991年 9月29日 |
さよならをもう一度 | 神田正輝、南麻衣子、江幡高志 | 最終回 |
[編集] 地方ロケ
番組中、都合2回のロケが晩秋の北海道と冬の軽井沢で行われた。
第12話・北海道函館
ロケ地:ブルーハイウェイライン、函館市交通局、函館山ロープ-ウェイ、函館シーポートプラザ、函館朝市、ライラック病院
第13話・北海道小樽
ロケ地:JAS、札幌時計台、富岡教会
第26話・長野県軽井沢
ロケ地:紀州鉄道軽井沢ホテル、パルコール嬬恋
[編集] 主な登場車輛
多くの車が以前石原プロモーション製作であった「ゴリラ・警視庁捜査第8班」から転用されていた。
また、劇用白黒パトカーの多くは2003年に撮影された「西部警察2003」の宮崎ロケで破壊された。
<覆面車>
- 三菱ディアマンテ・30R 黒 (場面によっては、25V-SE 緑)
初期は事情によりメーカーのデモカーやレンタカーも多用していたが、中期以降は内装が当時のオプションである本皮仕様の劇用車30Rになった。
劇中では兵頭が主に使用し、「洗う暇が無い」(刑事貴族のムスタング同様に舘のアイデア)等と言う理由から殆どのシーンにおいて土埃などで汚れたボディーで登場していたが、事件解決後に署の駐車場で洗車しているシーンもあり。
実際には、毎回スタッフが汚していたので場面によって汚れ方が違う事も。特に初期は、複数の車を使っていたので汚れの違いが顕著に見られる。
自家用車もディアマンテを愛用する設定であった。
第34話では、ニセ兵頭(西山浩司)も現れてこちらもディアマンテに乗っていた。
「ゴリラ」のG3(風間車)と同じく回転灯反転昇降装置を備えているようだが、何故かマグネット固定のパトライトを用いて反転装置は使用されなかった。
前期型だが、ホイールのみ後期型用の5穴タイプを装着。
劇中では、主に中西、小早川刑事などが使用。
- 三菱デボネアV・2000スーパーサルーン 黒(前期型)
「ゴリラ」では本部や他署の警察車両(覆面車)、ハイヤー、犯罪組織、被疑者、一般の車などに多用されていた車両。
劇中では、主に岩田、松本刑事などが使用。
1度だけ橘課長のマイカーらしき登場もあり。
- このディアマンテやデボネアの劇用車は、この後石原プロ製作の「愛しの刑事」に転用され、またまた覆面車として活躍していた。
<エキストラ車など>
- 三菱デボネアV・2000スーパーサルーン 銀(前期型)
「ゴリラ」では黒のデボネアと同じ様な使われ方をしていた。 覆面車が数台必要なシーンなどでは登場。
- 三菱ギャラン・VR-4 銀(E30前期型)
元「ゴリラ」のG1(倉本車)
覆面車が数台必要なシーンなどでは、ゴリラの時と同様に回転灯反転昇降装置を使用して登場した事もあったが、派手なカッティングシールを貼り暴走族風の車に仕立てられて登場した事も。
- 三菱スタリオン・2600GSR-VR 黒
「ゴリラ」でのG2(伊達車)とは違いガルウイングでは無い標準仕様、 2話の回想シーンに覆面車として登場。
松本刑事のマイカーとして何度か登場。
- 三菱ミラージュ ・1600サイボーグ グレー(C50前期型)
元「ゴリラ」のG5。第13話の小樽ロケで登場。
- 三菱パジェロ ショート・V6-3000エクシード ブルー2トン
元「ゴリラ」のG4(谷川車)。第13話の小樽ロケで兵頭祐介の婚約者の車として登場。
- 三菱デリカスターワゴン・4WD-GL 紺
機動隊に実在していた遊撃車風に仕立てられ、護送車や鑑識車などの警察車両として登場
- 三菱ふそうウイングトラック 石原プロ色
本来はロケの機材輸送車だが、第1話に兵頭の弟が運転してマッキンレイのトラックとして登場
- 三菱パジェロショート・Jトップ 赤
第26話の軽井沢ロケでレンタカーとなって登場
- 三菱GTO ・3000 黒
第39話で中西刑事が無理をして買った愛車として登場。
警察無線周波数で交信可能(警察無線がアナログ方式だった時代には技術的には可能であったが放送当時既にデジタル化されていたため現実には不可能な設定)な無線機が搭載されていた。
<警察・消防車輛など>
- 三菱エテルナΣ・ツーリングEXE 白パト(E17)
- 三菱ギャラン・2000VZ 白パト(E30前期型)
- 三菱ミラージュ・1500VIE 白パト(C50前期型)
- 三菱デリカ4WD・救急車(「ゴリラ」から使用されていた車両。2005年に放送された「弟」でも使用された)
- 三菱ランサーバン・現金輸送車仕様
テレビ朝日系 日曜20時台 | ||
---|---|---|
前番組 | 代表取締役刑事 (1990.10.07~1991.09.29) |
次番組 |
ザ・刑事 (1990.04.15~1990.09.30) |
ララバイ刑事'91~'92 (1991.10.20~1992.04.05) |