啓蟄
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啓蟄(けいちつ)は二十四節気の1つ。3月6日ごろ。および、この日から春分までの期間。
太陽黄経が345度のときで、大地が暖まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ。二月節。
暦便覧には「陽気地中にうごき、ちぢまる虫、穴をひらき出ればなり」と記されている。
[編集] 驚蟄
啓蟄のことを中国では驚蟄(惊蛰、jīngzhé)と書く。また日本でもそう書く場合がある。
これは、漢王朝6代皇帝である景帝の諱(いみな)が「啓」(現代北方音: qǐ)であり、避諱して意味が似ている「驚」の字で代用したことに由来する。唐代に入ると、啓の字を避ける必要がなくなったことから「啓蟄」に戻された。しかし、使い慣れないせいもあって大衍暦で再び「驚蟄」に戻され現在に至る。
日本には、中国で「啓蟄」と書いていた時代に伝わったため「啓蟄」が使われている。後に日本でも大衍暦を採用したが、啓蟄は啓蟄のままとされた。二十四節気の名称のうちで日本と中国で異なっているのはこれだけである。
[編集] 七十二候
啓蟄の期間の七十二候は以下の通り。
- 初候
- 蟄虫啓戸(ちっちゅう こを ひらく):冬蘢りの虫が出て来る(日本)
- 桃始華(もも はじめて はなさく):桃の花が咲き始める(中国)
- 次候
- 桃始笑(もも はじめて わらう):桃の花が咲き始める(日本)
- 倉庚鳴(そうこう なく):山里で鶯が鳴き始める(中国)
- 末候
- 菜虫化蝶(なむし ちょうと けす):青虫が羽化して紋白蝶になる(日本)
- 鷹化為鳩(たか けして はとと なる):鷹が郭公に姿を変える(中国)