四菩薩
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基本教義 |
縁起、四諦、八正道 |
三法印、四法印 |
諸行無常、諸法無我 |
涅槃寂静、一切皆苦 |
人物 |
釈迦、十大弟子、龍樹 |
如来・菩薩 |
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部派・宗派 |
原始仏教、上座部、大乗 |
地域別仏教 |
インドの仏教、日本の仏教 |
韓国の仏教 |
経典 |
聖地 |
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ウィキポータル |
四菩薩(しぼさつ)とは、仏教の信仰・造像の対象である菩薩(真理を探求し、如来に成って悟りを開くために修行中の者)の組み合わせの1つである。文字通り「四名の菩薩」の意であるが、その意味するところは宗派や依拠する経典によって異なってくる。
目次 |
[編集] 密教における四菩薩
密教の「胎蔵曼荼羅」では、曼荼羅の中央に位置する「中台八葉院」に表わされる四体の菩薩、すなわち普賢菩薩、文殊菩薩、観音菩薩、弥勒菩薩を四菩薩と称する場合がある。
[編集] 天台宗における四菩薩
天台宗系では阿弥陀如来の脇侍として、金剛法、金剛利、金剛因、金剛語の四菩薩を安置することがある。金剛法、金剛利、金剛因、金剛語の各菩薩は、単独では造像されることのまずないものだが、密教の金剛界曼荼羅では五仏(五智如来)の1つである阿弥陀如来の東・南・北・西に上記四菩薩が配されている。この形の阿弥陀五尊像(阿弥陀如来及び四菩薩像)は比叡山東塔常行三昧堂に安置されていたことが知られ、現存する古像としては、日光輪王寺常行堂安置の五尊像(重要文化財)が知られる。
[編集] 日蓮宗・法華宗における四菩薩
日蓮宗・法華宗では、法華経に登場する上行(じょうぎょう)菩薩、無辺行(むへんぎょう)菩薩、浄行(じょうぎょう)菩薩、安立行(あんりゅうぎょう)菩薩を四菩薩と称する。法華経の第15章にあたる従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)第十五の記述によれば、釈迦如来が説法をしていた際に大地が割れ、そこから涌き出た無数の菩薩の筆頭が上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩であり、これらの菩薩は釈迦亡き後の末法の世において仏法を護持するものとされている。日蓮は、世が乱れ災害が起きるのは邪教を奉ずるからだと主張し、鎌倉の街頭で法華経の教えを説いたが、こうした自己を上行菩薩になぞらえていた。
日蓮宗において本尊とされるものに大曼荼羅(「南無妙法蓮華経」の題目の周囲に諸尊の名を文字で記したもの)、一尊四士(釈迦如来と脇侍の四菩薩)、一塔両尊四士(宝塔を中心に釈迦如来、多宝如来、四菩薩を表わす)などがあるが、これらのいずれにも上記四菩薩が表現されている。なお、大曼荼羅、一尊四士、一塔両尊四士のいずれを日蓮宗の本尊と見なすかについては古来議論があるが、その細目は本項の目的からはずれるため割愛する。
[編集] 付記
弥勒菩薩、観音菩薩、勢至菩薩、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩、虚空蔵菩薩については、それぞれの項目を参照のこと。
なお、仏教経典には上記以外にもさまざまな菩薩が登場し、密教の曼荼羅にも多数の菩薩が登場するが、これらの中には、単独での造像や信仰がほとんど見られないものも多数存在する。