大和路快速
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大和路快速(やまとじかいそく、Yamatoji Rapid Service)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が大阪駅~奈良駅・加茂駅間(大阪環状線・関西本線【大和路線】経由)で運転している列車種別・快速列車の愛称である。
正確には「大和路快速」というのは列車の愛称であると思われるが、「紀州路快速」・「みやこ路快速」・「丹波路快速」などと同じく列車種別の一つとして取り扱われているといえる。時刻表や駅での案内もこれらの名称で統一されており、差別化が図られている。
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[編集] 概要
大阪環状線と大和路線とを直通して運行される列車のうち、大阪環状線内でも快速運転を行うものを「大和路快速」と称している。大阪環状線内各駅に停車する列車は区間快速として区別されている。
元々大阪環状線は東半分(京橋・鶴橋方面)の輸送量が圧倒的に多かったこともあり、西半分(西九条・弁天町方面)の活性化とサービスアップを目的として、大阪環状線内でも快速運転を行うこととなった。関西本線が電化されたこともあり、関西本線と大阪環状線を直通する快速列車を、主に休日昼間に113系を使って運転を開始した。この列車が好評を得て、後に平日日中にも拡大される。これが大和路快速の前身である。
民営化された後も113系の運用が続いたが、近鉄奈良線に対抗するためスピードアップと更なるサービスアップを目的として、1989年に、それまでの113系に代えて221系を関西本線直通の快速列車に投入し、併せて「大和路快速」と名づけられた。その結果所要時間面や料金面では優勢となったが、依然輸送量では近鉄の方が上である。今では利用目的によって(難波へ行くなら近鉄、梅田へ行くならJR)シェアを分け合っている状態である。
大和路快速の下り列車(大阪方面)の行き先は「大阪」行きで、ダイヤ上はこれが正式である。しかし、大阪駅に到着すると(天満寄りに折り返し設備がない関係で)そのまま「普通列車 天王寺」行き(外回り京橋・鶴橋経由)となって、大阪環状線を一周するため、大和路快速の車両の行き先表示は「大阪環状線」となっている(車内アナウンスは「大阪方面行き」と案内、大阪到着前に「大阪から環状線外回り、京橋、鶴橋方面、天王寺行きとなります」とアナウンスが入る)。
大和路快速上り列車(奈良・加茂方面)の行き先は、始発である天王寺駅環状線ホームのみ「普通列車 大阪環状線」(駅の案内では単に「環状線内回り列車」と扱われる)という表示になっており、寺田町駅~天満駅間では「普通列車 奈良方面・加茂」行き、大阪駅からは「大和路快速 奈良方面・加茂」行きと表示が変わる(車内LED表示は天王寺出発時は「普通|大阪環状線」寺田町~天満出発までは「大阪まで普通、大阪から大和路快速~」と表示される)。
- 運行開始直後は純粋に「大和路快速 加茂」行きの表示であったが、JR神戸線・JR京都線の新快速などと同様、1997年から「奈良方面」という表示が加えられた。
- 運行開始から暫くは寺田町~(鶴橋・京橋)~大阪間も「大和路快速 奈良方面・加茂」行き、始発の天王寺駅環状線ホームでは「大和路快速 大阪環状線」の表示であったが、始発の天王寺駅で大阪環状線経由と知らずに乗ってしまった人からの抗議が後を絶たなかったため、苦肉の策として上記のような表示となった。駅で掲示・配布されている時刻表も同様の表示に改められている。
[編集] 運行概況
平日は、日中の時間帯に運行される。土曜・休日は、平日ダイヤでは区間快速として運行される朝・夕の列車の停車駅を変更して大和路快速として運行される(大阪環状線内が各駅停車から快速運転に変わる)。また、土休日の夕方には、王寺駅で分割を行い、五条駅行き・高田駅行きの普通列車となるものも2本設定されている(この場合、和歌山線直通区間快速が終着まで表示幕を「区間快速」としているのに対し、王寺駅にて種別幕が「普通」に変わる)。
なお、大阪環状線でダイヤの大幅な乱れが生じた場合、大阪駅に向かわずにJR難波駅発着となる場合もある。
[編集] 停車駅
[編集] 沿革
- 1974年10月1日 関西本線(湊町(現・JR難波)~奈良間)が電化。これにより大和路快速の原型となる大阪環状線直通快速が運転開始。
- 1988年3月13日 ラッシュ時、夜間に大阪環状線直通の区間快速(大阪環状線内各駅に停車)が運転開始
- 1989年4月10日 大和路快速の名称がつけられる。
- 1997年3月8日 昼間は基本的に加茂までの運転になる。
- 2001年3月28日 久宝寺駅が停車駅に追加される。
[編集] 使用車種
- 全列車221系を使用(103系での代走除く)。
大半が6両編成であるが、平日の夕方上りのみ8両編成も存在する