JR西日本221系電車
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221系電車(221けいでんしゃ)は1989年(平成元年)に登場した直流近郊形電車。西日本旅客鉄道(JR西日本)として初めて設計・製造した系列である。
JR西日本221系電車 | |||
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起動加速度 | 2.5km/h/s | ||
営業最高速度 | 120km/h | ||
減速度 | 3.5km/h/s(通常) 4.2km/h/s(非常) |
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定員 | 座席52・立席78(トイレ付き先頭車) 座席56・立席77(トイレ無し先頭車) 座席64・立席80(中間車) |
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全長/全幅/全高 | 20,000mm/2,950mm/4,140mm | ||
重量 | 31.8t(平均) |
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軌間 | 1,067mm(狭軌) | ||
電気方式 | 直流1,500V | ||
モーター出力 | 120kW | ||
歯車比 | 1:5.19 | ||
制御装置 | 界磁添加励磁制御 1C8M:WCS57B 1C4M:WCS59A |
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駆動装置 | 中空軸平行カルダン駆動方式 | ||
ブレーキ方式 | 電力回生併用電気指令式空気ブレーキ | ||
保安装置 | ATS-SW,ATS-P |
開発にあたっては、1988年に瀬戸大橋線用クロ212形の設計を担当した近畿車輛が、同車のエクステリアデザインを基本としつつ近畿日本鉄道(近鉄)5200系で採用した3扉転換クロスシートや扉間の連窓構造などを盛り込んだ設計コンセプトを提案し、これを全面的に採用する形で実設計が行われた。
製造は主に近畿車輛・川崎重工業・日立製作所が担当したが、一部は旧・鷹取工場、後藤工場で組み立てられた。
目次 |
[編集] 概要
JRグループ他社が新型特急電車を新造する中、JR西日本にとって在来線の稼ぎ頭である東海道・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)で老朽化の進んだ113系や扉が少なくラッシュ時の多客輸送に不利な117系の置き換え用として投入された。快適な居住性と高速走行性能を武器に私鉄との競合が激しい新快速や大和路快速を中心にまとまった両数での年度ごとの大量増備と線区限定での集中投入が続けられた。
20m級鋼製車体に片側3箇所の両開き扉という、近郊形としてはオーソドックスなボディを備える。先代である117系では座席数増加と快適な移動のために車端部に扉を片側2ヶ所のみ配置していたが、激化する通勤ラッシュへの対応が難しくなってきていたため、221系では乗降時間の短縮を優先して3扉に戻った。
ただし、座席には117系と同様の転換クロスシート(ドア部分および車端部のみ固定クロスシート)を採用し、117系にあった車端部の配電盤や機器箱など無駄なスペースを徹底的に排除することで、117系とほぼ同数の座席数を確保している。その反面、運転台の奥行き拡大で直後の座席が1列分省略され、加えて便所の寸法も拡大されたため、運転台付き車両については便所有りが6名、便所無しが4名、座席定員が117系より少なくなっている。また、吊り革も車内の見通しの良さを優先し、扉付近以外は引き通し棒のみの準備設置に留めたが、混雑時に問題が多いことが指摘され、中期以降は車内全体に設置する形に変更された。後に初期の車両にも追設されている。
側面窓は明るい車内を演出するため、従来車に比べて天地方向に大幅に拡大され、高さ1mとなった。また、外の景色がどの席からも見られるように座席1つに対して1枚の幅狭窓が連続で配置され、腐食対策としては不利となる戸袋部にも窓が設けられた。そのため、窓配置は便所無しの運転台付きがdD(1)4(1)D(1)4(1)D(1)2(d:乗務員扉、D:客用扉、(1):戸袋窓)、中間車は2(1)D(1)4(1)D(1)4(1)D(1)2となり、これだけを見るとどこか旧型国電のような雰囲気を有する。また、この窓高さのため、本系列は車体剛性確保の観点からステンレス製とできず、普通鋼製となった。
後継系列の223系ではステンレス製への移行で車体強度の制約から側窓高さが50mm縮小されて950mとなり、更に1000番台以降は座席配置の変更で戸袋窓も廃止されたため、大窓が並ぶ明るい車内は221系固有の特徴である。クモハのみ電動機冷却風取り込みのための通風孔が側面に片側1ヶ所ずつ設けられているが、これは後の各系列にも引き継がれた。
前頭部形状は展望、空気抵抗、見た目の良さなどを重視して、好評であったクロ212のデザインを継承した。このため、一般車としては破格の大型曲面ガラスを使用し、上半分に後退角がついた流線形となっており、スピード感を強調している。また、運転台は若干低く、窓ガラスは側面以上に巨大なものとなった。また、地下区間の走行を考慮して中央に非常用貫通扉が設置され、種別表示器が中央下部から上部に移動した点も異なっている。前面では種別表示、運用番号表示、コーポレートマーク掲出のみを行い、行先は表示していない。その後ガラス破損時に223系後期車と同等の緑色ガラス(221系は通常すべて淡灰色ガラス)に交換された車両も出てきている。
塗装は全車白を基本に茶(関西急電色)、青(琵琶湖、JR京都・神戸線のラインカラー)、ベージュ(新快速シンボルカラー)の帯が車体下部に入るというものである。223系ではさらに窓周りに茶帯を追加したが、221系には波及していない。
側面行先表示器は、列車種別を回転幕で、行先と号車番号をLEDで、それぞれ表示するという独特な方式が採用された。これは運用線区が多岐に渡る事を予想して、列車種別の文字色で運用線区を表すというアイデアだったが、塗装が1種類、LEDも2色しか製品化されていなかった当時の事情により、表示内容の多様化に対する対応が容易なLEDと、色の自由度が高い回転幕を併用する苦肉の策をとった。
しかし、種別表示は琵琶湖、JR京都・神戸線では「新快速」・「快速」共に目立ちにくい濃い目の青色で表記されるなど乗客の誤乗車が絶えず、苦情が出たことから、列車種別により文字色を変えるという方式に改め、さらにその後英語表記入りの幕に交換するなど、当初の考えとは異なる使い方をされている。
2006年現在の列車種別の文字色は、「普通」が白、「快速」・「丹波路快速」・「みやこ路快速」がオレンジ、「大和路快速」・「区間快速」が青緑色(但し奈良線運用の区間快速の文字色はオレンジ)、「新快速」が水色に近い青色となっている。また、LED部分は寿命保持のため60km/h以上では自動的に消灯するようにしているが、それでも最近は読み難くなってきている。これらは後に登場する223系や207系、321系、および681系・281系などの特急形電車にも採用している。
線区によって色を変えるという発想は207系以降「種別幕の下3分の1程に線区毎のラインカラーを入れる」という方式に昇華されている。221系では福知山線(JR宝塚線)・奈良線を走る列車のみにラインカラー(黄色・茶色)を付加する。 種別幕は英語表記入りのものに交換された時期の差により2種類存在し、早い時期のものは網干総合運転所所属車、遅い時期のものは奈良電車区所属車に多く採用されている。網干総合運転所所属車では既存幕の経年劣化により後者を、奈良電車区所属車では網干総合運転所からの転属車が前者をそのまま採用しているため、現在は両方のタイプが両配置区に存在する。 両者の相違点は回送の英語表記が前者ではOut of serviceであるのに対して、後者がNot in serviceとなっている点や、快速の文字色が前者では濃橙色であるのに対して、後者が黄色に近い橙色であることなどが挙げられる。なお、網干総合車両所所属車には奈良線「みやこ路快速」「区間快速(橙文字・茶ライン)」の表示が、奈良電車区所属車には福知山線「丹波路快速」「快速(黄ライン)」「普通(黄ライン)」のコマが入っていない。
冷房装置はそれまで国鉄が採用していた集中式1基搭載から、集約分散式2基を各車毎に搭載する方式を採用した。これにより、車体にかかる室外機の重量が分散され、負担を軽減できる。パンタグラフも同社としては初の下枠交差式が採用された。これらも後に登場する車両に引き継がれている。
登場当時は、製造時期が同じで設備も大差ない東海旅客鉄道(JR東海)の311系や九州旅客鉄道(JR九州)の811系とよく比較されたが、最終的に居住性に勝ると評価された221系が1990年(第30回)の鉄道友の会ローレル賞を受賞するという結果となっている。
新快速の運用車両には153系が「ブルーライナー」、117系が「シティライナー」と愛称があったことに倣い、221系にも「アメニティライナー」の愛称が命名されたが、これは浸透しなかった。本来ならばアーバンネットワーク内における基幹車両という位置付けであるため、「アーバンライナー」としたかったが、これはすでに近鉄の特急用車両である21000系電車で使用していたために断念された。なお、後継の223系には初代新快速用の113系と同様、特に車両愛称は与えられていない。
[編集] 車内設備詳細
座席配置は扉間に2人掛け6脚(うち両端2つは固定式)×2列、車端部に4人掛けボックス席×2セットが並ぶというもので、中間車の場合1両に64席用意されている。モケットは写真に見られるような淡い茶色で、座席カバーは一般席が白、優先座席が緑となっている。なお、優先座席が写真の位置にあるのは米原側先頭車のみで、他は車端部のボックス席を充当している。
また、最近一部の姫路側先頭車が前から3列程度のシートを焦げ茶色のものに交換している。新シートは321系と殆ど同じものだが、今のところ普及はしていない模様である。
車内の旅客案内表示器は車両の前部と後部の壁面に設置しており、後に登場した223系と違って、クロスシートに座った乗客から見やすいようになっている。この上部には号車番号表示とデジタル式時計も合わせて設置されており、乗車券のみで乗れる車両では221系と311系、E233系のみの特徴となっている。後に増備された223系ではドアの上にLEDのスクロール式の旅客案内表示器と号車番号表示が千鳥式で設置されているが、デジタル式時計は設置していない。
なお、駅名が表示される際、網干総合運転所所属車の運行範囲(東海道本線・山陽本線・北陸本線・湖西線・草津線・福知山線・赤穂線など)の2文字の駅名は詰めて表示されるのに対して、奈良電車区所属車の運行範囲(大阪環状線・関西本線・奈良線・桜井線・和歌山線・阪和線・紀勢本線など)の2文字の駅名は全角1文字分の空白を入れて表示されるという違いがある(例:「大阪」と「大 阪」の違い)。
[編集] 車両性能概要
機構的には205系1000番台を基にしており、界磁添加励磁制御、WMT61モーター、WDT50・WDT235台車などをそのまま引き継いでいる。最高速度は120km/hだが、歯車比は211系と同じ5.19であり、ブレーキだけが強化されている。後にヨーダンパも追加取り付けが実施された。このように動力装置は日本国有鉄道(国鉄)時代に新製した211・213系と同一だが、これらと比べると電動車比率が高く、加速性能はやや優れるが、通勤形207系と比べると劣る。207系が運用されていない郊外区間では普通列車として運用されている。
営業最高速度は120km/hだが、一部装備を改造の上、湖西線において160km/hによる試験走行を行い、後に北陸本線特急「サンダーバード」用に製造される681系へ貴重なデータを提供した。
運転台のマスコンは、ブレーキとマスコンが別々の横軸ツインレバー型をJR西日本としては初めて採用した。これはブレーキを掛けた状態から加速すると発車時の衝撃を緩和できるとの発想などから採用されており、阪急以外の関西の鉄道車両に多く見られる方式である。ワンハンドル型ではこの様な操作ができないため、あえて採用しなかったとの説もある。
警笛は、通常のタイフォンが採用されたが、それまでの113系や117系などに装着されているものとは違った音色を出すものになった。 このタイフォンは223系、207系などのタイフォンと同じ音である。223系、207系はミュージックホーンと同時吹鳴される。 なお網干区に在籍している、またはしていた221系は耐寒・耐雪装備がなされ、タイフォンと合わせてホイッスルが装着された。 ホイッスルはタイフォンと同じく床下のスカートの後ろ側に装着されている。また、耐雪ブレーキも合わせて装備された。
[編集] 形式
当初から新快速としての運用以外にも近郊線区への配属も視野に入れていたこと、MT比(編成内の電動車と付随車の比率)1:1で走行できる性能を持つことから、電動車2両でユニット[1]を組む221形と電動車1両と付随車1両の2両でユニットを組む220形が並行して製造された。この結果、奈良線向けの2両編成から東海道・山陽本線の最大12両編成まで需要に応じた編成を自由に組成でき、また6両編成時の113系[2]のように電動車比率が必要以上に高くになることもなくなった。
[編集] M-M'ユニット車グループ
[編集] クモハ221形(Mc)
大垣・米原・大阪環状線外回り方の先頭に連結される制御電動車。パンタグラフと制御器を搭載し、モハ221形とユニットを組んで使用される。
[編集] モハ221形(M')
クモハ221形とユニットを組む中間電動車。空気圧縮機(CP)と冷暖房などのサービス電源を供給する静止形インバータ(SIV)を搭載する。
[編集] サハ221形(T)
付随車。特にユニットは組まないが、連結位置はモハ221形の下り方と決まっている。
[編集] クハ221形(Tc)
トイレを設置する制御車。播州赤穂・上郡・加茂方の先頭に連結される。
[編集] 1M車グループ
[編集] クモハ220形(Mc1)
JR難波・天王寺方の先頭に連結される制御電動車。サハ220形またはクハ220形とユニットを組む。網干には存在しない。パンタグラフ、制御器とSIVを搭載する。
[編集] サハ220形(T')
CPを搭載する付随車。クモハ220形またはモハ220形とユニットを組む。
[編集] モハ220形(M1)
SIVを搭載する中間電動車。サハ220形またはクハ220形とユニットを組む。
[編集] クハ220形(Tc')
加茂・奈良方の先頭に連結される制御車。網干には存在しない。CPを搭載、トイレを設置し、クモハ220形またはモハ220形とユニットを組む。
[編集] 脚注
- ^ ユニットとは、別々の機器を搭載する車両を隣同士に連結して1つの機構を完成させる方式のことである。国鉄・JRの直流電車において従来ユニットを構成するのは電動車だけであったが、221系では電動車-付随車のユニットも造られた。
- ^ 221系の6両編成は「クモハ221-モハ221-サハ221-モハ220-サハ220-クハ221(3M3T=MT比1:1)」と組まれる。113系もMT比1:1で走行できるが、電動車同士のユニットしか存在しないため、6両編成時の組成が「クハ111-モハ113-モハ112-モハ113-モハ112-クハ111(4M2T=MT比2:1)」となってしまい、不経済だった。221形には中間電動車同士のユニットは存在しないため、6両編成、8両編成は全てモハ220-サハ220形のユニットを連結している。
[編集] 新快速運用からの撤退
奈良電車区には78両、網干総合車両所には最多時に396両がそれぞれ配置されていたが、阪神・淡路大震災復興での輸送力確保を目的として、当初計画より前倒しで導入された223系1000番台が130km/h運転の性能を持っており、この車両を1997年(平成9年)3月に追加投入したことで、関西本線(大和路線)の快速強化のため24両が奈良区に転出した(372両)。
京阪神間の競合他社から速達性を武器に集客する意図で、2000年(平成12年)3月のダイヤ改正でその同型廉価版の223系2000番台を大量投入して新快速列車の運用をすべて223系に統一したため、221系は新快速運用から完全撤退、8両編成19本の中から2本、6両編成と4両編成各2本の合計36両が網干所から奈良区に転属した(336両)。
また、奈良線では117系を置換えのうえ、みやこ路快速を新設するため、2001年(平成13年)10月にさらに6両編成と4両編成各3本の計30両が追加で奈良区に転属した。この時は223系の追加補充はなく、余剰気味の113系を活用して対処した。
[編集] 2006年現在の運用
[編集] 網干総合車両所所属車
A編成8両×13本(104両)、B編成6両×19本(114両)、C編成4両×22本(88両)の合計306両が配置されている。(但し223系増備を含んだ2007年3月18日の運用変更で、B編成の運用数が16,C編成の運用数が19になったことから、6両編成が17本,C編成が20本、合計286両になった可能性が強い)
ダイヤが乱れた時や検査などによる車両不足の際のみ、223系を併結したり、新快速運用に入ったりすることがある。
- 東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)・湖西線・草津線
- 本線快速に使用。日中は原則6両編成で、8両編成の大半は223系での運転である。それ以外にはラッシュ時の増結とJR宝塚線への出入りとを兼ねた10両編成や12両編成も運転される。また、2004年(平成16年)10月16日ダイヤ改正での本線快速120km/h運転統一により、撤退した113系に代わって東海旅客鉄道(JR東海)管内の大垣まで入線するようになった。過去に臨時列車で岐阜まで乗り入れていた時期があり、それに合わせて名古屋まで乗務員訓練のために入線した実績もあったが、その後JR東海管轄区間への乗り入れは暫く中止していた。新快速撤退後しばらく運用を離れていた湖西線や草津線運用も復活している。なお223系の増備で東海道本線・山陽本線(琵琶湖・JR京都・神戸線)での運用は徐々に減ってきているが、朝夕の快速運用は未だに残っている。また、朝夕に播但線での運用があったが、姫路駅の高架化で播但線と山陽線の出入りが複雑になったことから、日根野区から103系を転属させ、運用している。
- 山陽本線(姫路以西)・赤穂線
- JR神戸線からの直通車の他に、223系の快速進出で運用に余裕ができたC編成が岡山電車区所属の115系とともに姫路・相生~上郡および播州赤穂間の小運転に使用されている。青春18きっぷのシーズンやそのシーズンを含めて岡山支社管内で大きな祭りや花火大会などが行われると、それに合わせた臨時列車としての運用で三原まで乗り入れることもある。
- 福知山線(JR宝塚線)
- 丹波路快速:原則として4両編成で運転するが、一部の混雑する時間帯には6両固定編成が入る。
- 大阪~新三田、篠山口を運転するラッシュ時の快速:8両固定編成
- 全線直通の快速:4両2組の8両編成で大阪に発着し、途中の篠山口で分割・併結を行う。
- 丹波路快速で8両編成で運転する大阪発車時刻は13:25発・16:25分発(土休日のみ)
[編集] 奈良電車区所属車
NA編成4両×17本(68両)、NB編成2両×8本(16両)、NC編成6両×14本(84両)の合計168両が配置されている。
- 大阪環状線・関西本線(大和路線)・和歌山線・桜井線
- 6連や4+2の編成で大和路快速とラッシュ時のJR難波始発・終着の区間快速、4連で昼間のJR難波~高田間の区間快速(通称T快)で運転される。さらに関西本線王寺~奈良間では和歌山線直通列車との2層立て列車だったものの中に、2連単独で運転される区間快速・大和路快速が存在するほか、これとは逆に和歌山線王寺~高田間で2連単独運転となる区間快速・大和路快速崩れの普通列車が存在する。またラッシュ時の環状線直通の区間快速(通称Y電)や大和路快速では4+4、或いは6+2の編成で運用される。早朝や深夜には4連や6連で普通にも充当されることがある。桜井線には通常は朝ラッシュ時にのみ乗り入れるが、正月3が日の特別ダイヤでは夜間時間帯以外の全ての時間帯で運用されるほか、行楽期の日中時間帯のレジャー号や天理教祭礼時の臨時快速列車でも運用される。
- 阪和線・紀勢本線(きのくに線)
- 4連で天王寺~日根野・和歌山間の快速に使われる。ラッシュ時には4+4の8連で運用され、きのくに線にも4連で乗り入れる。奈良への出入庫は当初は和歌山線経由の運用を介して行われていたが、その後夜間にJR難波まで回送し、そこから区間快速で折り返す運用に改めている。また2002年3月のダイヤ改正から、同年できのくに線の運用から撤退した165系に代わって、深夜に走る新大阪~紀伊田辺間の快速列車にも充当されることとなった。
- 奈良線
- 6連や4連でみやこ路快速や快速、区間快速に運用される。4連には現在は同線のみとなった2+2の編成のものも使用される。早朝深夜には関西本線との直通列車にも運用される(朝ラッシュ時運転のものは時刻表にも掲載されているが、夜間運転のものは、なぜか時刻表上では別個の列車となっているのが奇異でもある)。2006年3月改正までは2連単独での運転もあったが現在は存在しない。
[編集] 臨時列車としての運用
1990年代には、休日に「○○ホリデー221」などという愛称で臨時快速に、また夏には「マリン白浜221」や「マリン城崎221」などといった臨時急行にも使われていた。その後、編成中に指定席車両を連結した行楽臨時列車「ホリデー」号にも多く抜擢された関係で列車種別表示幕には「ホリデー」の表示を有する(「嵯峨野・嵐山ホリデー号」「熊野古道ホリデー号」「山の辺の道ホリデー号」「スキーホリデーびわこ号」など多数)。その後は指定席車両を廃止し、全車自由席とした臨時列車「レジャー」号に移行し「赤穂レジャー号(その後223系化)」「忠臣蔵レジャー号」「山の辺の道レジャー号」などで使用された(この際「レジャー」表示も用意された)。 このほか、ひまわり号や奈良線の修学旅行臨、桜井線の天理臨としての団体列車として使用されることもある。
[編集] 今後の動向
あと数年で登場から20年を迎えるが、未だ旧型の113系、117系などの国鉄型車両も多数存置している(とはいっても、221系自身も国鉄分割民営化直後に製造された形式であり、車番や制御方式、窓のゴム押さえなど国鉄車らしさが濃い車両ではある)。この状況を打開し、同時にATS-Pの導入を早期に実施する為、今後223系2000番台と223系の後継車種を網干総合車両所に新製配置し、それに伴って捻出される同所の221系をこれらの置き換え用に使用する計画がある。
これにより、琵琶湖・JR京都・JR神戸各線の快速系統においては最高速度130km/h対応車で統一することが可能となり、221系を転用することで周辺線区のサービスアップが行える。その第一弾として山陰本線(嵯峨野線)で運用している113系を置き換える事が発表されている。ただし同線にはこれとは別に2連の223系も配置され、連結運転も行われる計画である。
[編集] 編成
←大垣・長浜 | 播州赤穂・上郡→ | |||||||
網干 総合車両所 所属車 |
クモハ221 (Mc) |
モハ221 (M') |
サハ221 (T) |
モハ220 (M1) |
サハ220 (T') |
モハ220 (M1) |
サハ220 (T') |
クハ221 (Tc) |
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クモハ221 (Mc) |
モハ221 (M') |
サハ221 (T) |
モハ220 (M1) |
サハ220 (T') |
クハ221 (Tc) |
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クモハ221 (Mc) |
モハ221 (M') |
サハ221 (T) |
クハ221 (Tc) |
|||||
←JR難波・天王寺 | 加茂・奈良→ | |||||||
奈良電車区 所属車 |
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クモハ221 (Mc) |
モハ221 (M') |
サハ221 (T) |
モハ220 (M1) |
サハ220 (T') |
クハ221 (Tc) |
|||
クモハ221 (Mc) |
モハ221 (M') |
サハ221 (T) |
クハ221 (Tc) |
|||||
クモハ220 (Mc1) |
サハ220 (T') |
モハ220 (M1) |
クハ220 (Tc') |
|||||
クモハ220 (Mc1) |
クハ220 (Tc') |