密航
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密航(みっこう)とは、正規の出入国手続きを取らずに他国に渡航をすること。すなわち、航空機や貨物船に紛れ込み、あるいは渡航先の上陸資格を持たない船に乗船して渡航することをいう。密航を行う者を密航者という。
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[編集] 概要
古くは貧しい移民希望者が、20世紀に入ると政治的迫害を受けた亡命者や経済的困窮から母国を脱出する手段として用いることが多くなった。20世紀後半になると、各国の身分証明制度や港湾の警備体制が近代化されるとともに、隠れる手段が少ないコンテナ船が増加。船舶関係者と内通していない限り密航は不可能となっている。このため、船を密航者で占拠して密航を行うボートピープルやパスポートの偽造などによる偽装出国が増加している。
[編集] 失敗例
- 飛行機の主脚格納庫に侵入し密航を謀るケースがあったが、目的地へ到着する前に凍死している。
- コンテナの内部に居住スペースを設置し密航を謀るケースがあったが、目的地へ到着する前に熱射病のため死亡している。
[編集] アフリカからヨーロッパへの密航
近年、アフリカからヨーロッパへの密航者の急増が社会問題化している。経済的に発展途上国が多く、労働市場の状況が悪いアフリカ諸国から、仕事を求めてヨーロッパへの渡航を試みるものは多い。アフリカからヨーロッパへ密航するルートはおもに西アフリカからスペインを目指すものと、リビアからイタリアを目指すものなどがある。1990年代にシェンゲン協定が西ヨーロッパ諸国で実施され、ヨーロッパ内の国境通過が自由化されると、そこからドイツやフランスなどの経済先進国への入国を目指そうと考える密航者が増えている。
1990年代になると、モロッコから、アフリカ大陸のスペインの飛び地であるスペイン領セウタへ密入国するアフリカ人が急増した。2000年には、セウタとモロッコとの陸上国境の中立地帯に二重の鉄条網が張り巡らされ、国境警備が厳しくなったが、海路でジブダルタル海峡から密航する小型船が後を立たたない。
モロッコからヨーロッパ大陸への交易海上警備が強化されると、モロッコ沖のスペイン領カナリア諸島を目的地とする密航船増加する。100キロ以上の外洋を航海することになるため、遭難する船や、海上で命を落とす密航者も少なくない。モロッコ沿岸の取締りが強化され、2000年代半ばには、密航船の出発地が、モーリタニア沿岸、さらにセネガル沿岸へと、どんどん遠方化していく。それに伴い密航にかかわるリスクとコストは増加することになる。2006年にはセネガル沿岸からのカナリア諸島への密航者が急増し、8月までの約8ヶ月間で、約2万人が密航したといわれている。セネガルからカナリア諸島への密航には、1人当たり約40万CFAフラン(約9万円)が必要といわれている。