新京成電鉄8900形電車
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8900形電車(8900がたでんしゃ)は、新京成電鉄の通勤形電車。
日本の電車としては初めて集電装置にシングルアーム式パンタグラフを採用した。
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[編集] 概要
8800形に続きVVVFインバータ制御を採用し、新京成では初の軽量ステンレス車体とされた。車体構造は京成電鉄3700形を基本にしているが、独自の仕様も多い。
なお、当形式で試験採用された純電気ブレーキは後に8800形にも反映された。
[編集] スペック(主要諸元)
- 製造年次:1993年(平成5年)11月~1996年(平成8年)6月
- 製造・保有車両数:8両編成3本(24両)。
- 車体:18m級、両開き3ドア。
- 制御方式:GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ、装置構成は1C4M(インバータ装置1基で4個の電動機を制御)×2群(三菱電機製MAP-148-15V37形制御装置)。
- 電動機:かご形三相誘導電動機、出力135kW。
- ブレーキ:回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ、純電気ブレーキ。
- 編成中の電動車(M)と付随車(T)の構成(MT比):4M4T。制御車(Tc)と電動車で構成される3両ユニット2本の間に2両の付随車ユニットが挟まる配置(松戸←<Tc-M1-M2+T1-T2+M1-M2-Tc>→京成津田沼)。中間のT車ユニットを抜くことにより6両編成にすることも可能である。
- 保安装置:新京成電鉄・京成電鉄・北総鉄道・京浜急行電鉄・芝山鉄道・東京都交通局(都営地下鉄)浅草線で使用されている1号型ATSおよびC-ATS。
- 台車:住友金属工業製ボルスタレス台車(電動車SS134、付随車SS034)。
[編集] サービス設備
[編集] 特色
- 新京成唯一のワイドドア(幅1,500mm)採用形式である。その為、車端部の座席定員は従来の新京成車と同じ4人掛けなのに対し、中間の座席定員は京成車と同じ8人掛けとなっている。
- 前面はFRP製である。
- 新京成唯一のボルスタレス台車採用形式である。それ故に後継のN800形と比べると京成線などの他社局(1号線規格)線への乗り入れに差し支える仕様となっている。その場合、ボルスタアンカー付き台車に置き換えるか、ヨーダンパを設置する改造を施さなければならない。
- シングルアーム式パンタグラフの形状は日本貨物鉄道(JR貨物)EF200形電気機関車が搭載するものに類似し、京成グループでは珍しく東洋電機製造製ではなく工進精工所製である。
- 車体の帯色は社内公募によるもので、従来車と大きく異なり太帯がライトブルー、細帯はピンクとされた。後に細帯は色褪せが問題になったため、それまでのピンクより濃い、同社のイメージカラーであるキャンディピンクに変えられた。変更当時はその帯に苦情が寄せられたことがあった。
- 冷房装置などに電力を供給する補助電源装置は、新京成で初めてIGBT素子による静止形インバータ(SIV)を採用した。
- 運転台のマスコンハンドルは、これも新京成初採用となるT形ワンハンドル式である。段数は8800形に準じた力行4段・ブレーキ7段で、後のN800形での力行5段・ブレーキ5段とは異なる。
[編集] その他
- 車両番号の付番方式は、上2桁が8900形を示す「89」となり、十の位が編成番号、一の位が号車となり、第1編成の場合、京成津田沼寄りから8911・8912…8918の順となる。編成は松戸寄りの先頭車の車両番号を用いて「8918編成」などと呼称される。この方式は京成3700形に準じるが、十の位の編成番号を京成では0から始めている(3700形の第1編成は3708編成)のに対し、新京成では1より始めているなどの違いがある。
- 2006年(平成18年)12月10日から京成千葉線千葉中央駅までの直通運転が開始されたが、千葉線は6両が最長編成であり、このため直通列車も6両編成の8000形・8800形・N800形が使用されることから、8両編成の8900形は乗り入れない。
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