車内放送
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車内放送(しゃないほうそう)は、列車・電車やバスなどの車内で行われる放送を指す。
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[編集] 車内アナウンス
車内アナウンスは次の停車駅や停留所を知らせるアナウンスを指すとされる。本来は、車掌・バスガイド等が肉声、後にマイクを通じての案内に変更されたが、1970年代以降ワンマン運転の普及により、運転士の負担減及び乗客へのサービスの低下防止のために自動放送を行うために行う放送を指すようになってきた。
当初はその限界からテープによるものが主であったが、コンピュータ技術の向上に伴い、コンピュータに記録された音声及び音楽による自動放送を指すようになってきている。
JRなどの特急列車や急行列車では、放送前または放送前後にオルゴール等による車内チャイムを流す場合もある(後述)。
特にワンマン運転の場合は、運転士の負担を軽くするという観点から自動放送が多く使われ、バスではほぼすべてが自動放送である。また、利用人口の多い都市部の鉄道あるいは新幹線を含む特急列車などでは外国人の利用者にもわかりやすいように外国語での自動放送も増えている。そのほとんどが英語による放送であるが、九州新幹線「つばめ」号および「リレーつばめ」号においては、日本語・英語の自動放送に加え朝鮮語・中国語での自動放送もされている。これは九州の土地事情や観光客誘致のためだと思われる。このため従来どおりの日本語案内放送に加えて英語・中国語・朝鮮語などの案内放送を加えると放送時間が長くなるため停車駅や車内の簡単な案内の放送へと簡素化された。また長野オリンピック開催時には臨時に長野新幹線「あさま」号でフランス語による自動放送もされた。その様子はこちらで聴くことが可能。
放送内容は、基本的には次のようなものがある
- 次の停車箇所(駅・バス停など)の案内
- その他運行上の案内(路線名・系統名・行き先・経路・進行方向など)
- 車内設備の案内・注意(トイレ・公衆電話等の有無および設置箇所・携帯電話使用に関する注意)
- 宣伝(自社他路線の宣伝・プリペイドカード類の宣伝・車内販売の案内)
- 挨拶("ご乗車ありがとうございます"など)
- その他、観光地を走行する路線では沿線の観光案内・年中行事の挨拶など("あけましておめでとうございます"など)が放送される場合もある
※ただし、特に通勤電車などではラッシュ時の内容を限定している場合がある。
本来の目的とは異なる理由で放送が自動化されることもある。その一例は「ドラえもん海底列車」や「マンガッタンライナー」などで行われるアニメの登場キャラクターによる放送で、これらはそのキャラクターを演じている声優本人の声で録音されたものを放送している。
また、九州旅客鉄道(JR九州)の885系使用列車では終着駅付近になるとJR九州の社歌である「浪漫鉄道」のカラオケバージョンを流すことがある。「かもめ」号では終着駅到着時に「終着駅自動放送」→「浪漫鉄道」→「浪漫鉄道の途中でも車掌の案内放送」の順番で放送があることが多い。「ソニック」号でも終着駅到着時に上記の順で放送が流れることが多い。
[編集] 喋り方について
特に鉄道の車内アナウンスは独特な節回しで鼻にかかったような声で行われる場合が多く、車掌のものまね等を行う際の大きな特徴にもなっている。何故そのような声を発するのかというと、いろいろな人が喋っている車内において、普通の声でアナウンスをしていたのでは声がかき消され乗客が認識しにくいからだと考えられる。
[編集] 車内放送の装置(JR東海の例)
車内放送装置のメーカーは八幡電気産業である。ここでは、東海旅客鉄道(JR東海)が所有する113系・115系を例に挙げる。
[編集] HP1H2出力増幅器
出力増幅器は車内放送装置の本体で、乗務員室の有無を問わず各車両に設置されている。乗務員室がある車両の設置位置は乗務員室内の通路部分と助士席を仕切る梁の部分に、113系の初期車では助士席側にある手ブレーキ緩解装置の上に寝かせる形で設置されている。鉄道ファンの間では前照灯がオリジナルの大型の形態を残していることで知られるクハ115-188号に限っては助士席側にある手ブレーキ緩解装置の右上部分の内部スペースに設置しており、中間車になったとき乗客に悪戯されないように蓋を設置し、ネジ留めされている。乗務員室がない車両では通り抜け通路の左上に設置されている。
出力増幅器側面に制御増幅器を接続すれば、車内放送と乗務員間の連絡ができる。接続された制御増幅器で放送を行う場合には電源表示灯横の放送スイッチを「入」にする必要がある。但し、乗務員間の連絡目的でのみ使用する場合、乗務員室のない車両に設置された出力増幅器の場合においては、放送スイッチを「入」にする必要はない。
出力増幅器はJR東海に限らず、他のJR各社でも使用されているが、その形式は様々で、HP1C7出力増幅器やHP1C8出力増幅器などがある。形式の下2桁は使用するスピーカーによって違う。
他に103系・415系などで、HP1H2出力増幅器が使われている。いずれもコーンスピーカーを内蔵した筐体を使用している点で共通している。サロ110形1200番台などのスピーカーではHP1C8出力増幅器が使われる。
[編集] HC制御増幅器
制御増幅器は車内放送および同一編成内での乗務員間連絡の1台2役の機能を持っている。車内放送を行う場合は筐体横の「放」スイッチを押しながら話せば車内放送ができるし、「放」スイッチを押していない間は常に乗務員間で連絡がとれるようになる。音量は0~7まで設定できる。車内放送時の「ブチッ」という独特の音は、この制御増幅器によるものである。
[編集] スピーカー
各車両に2基ずつ設置されている。スピーカーの内部には上下半分に分割し、ドライバを挟んで背中合わせに取り付けられたトランペットスピーカーがある。
音質の悪さはこのスピーカーに起因するようである。実際、出力増幅器にこのスピーカーを接続して放送したときと、現在ほとんどの新製鉄道車両に使用しているスピーカーを接続して放送したときとでは、新しいスピーカーのほうが低音も響いて綺麗な音が出る。
[編集] 車内チャイム
車内チャイムは主に特急列車や急行列車で車内放送の前後に流れるチャイムのことを指す。一部の普通列車でも流すこともある。
[編集] 概要
駅間距離の短い普通列車と違い特急列車などでは、停車駅間距離が長く、それに伴って放送の流れない"無音状態"の時間が長くなる。このため乗客たちは必然的に会話などを行うのだが次の停車駅が近づいた際に突然、車掌が喋り出しそれまでの会話が中断され、また、突然のことで驚くなどしていたために、一部の夜行特急列車で試験的に喋る前に音楽を流すということが取り入れられた。20系客車での「ブラームスの子守歌」がそれである。これが好評であったために東海道新幹線で正式に採用され、その後、多くの特急・新幹線にも採用されている。

チャイムのメロディーは旧・日本国有鉄道(国鉄)時代は電車と東海道新幹線開業当時は「鉄道唱歌」、気動車は「アルプスの牧場」、客車は「ハイケンスのセレナーデ」が一般的だったが、最近では鉄道唱歌などのほか数多くのオリジナルメロディーを電子音風にアレンジしたものもある。
この先駆として東北・上越新幹線では各駅で民謡をアレンジした「ふるさとチャイム」が東京駅延伸開業前の1991年まで使用されていた。
東海道・山陽新幹線では、2003年11月23日まで、「のぞみ」と「ひかり」・「こだま」で、始終着駅と途中駅で異なるチャイムが車種に関係なく使用されていたが、2003年11月24日以降、JR東海車と西日本旅客鉄道(JR西日本)車で、種別に関係なく始終着駅と途中駅で異なる両社のキャンペーンソング(JR東海車:「AMBITIOUS JAPAN!」、JR西日本車:「いい日旅立ち・西へ」)を用いたチャイムを使用している[1]。
JR西日本の阪和線・紀勢本線(きのくに線)の特急「スーパーくろしお」・「くろしお」(381系)と近畿日本鉄道のアーバンライナー(21000系)・伊勢志摩ライナー(23000系)の一部、沖縄都市モノレール(ゆいレール)などでは各駅到着前に個別の車内チャイムを使用する。各停車駅毎に違うチャイムではないが、JR西日本の急行「能登」(489系)、特急「北近畿」・「まいづる」等(183系)などではその地域にあわせた民謡をアレンジした車内チャイムを使用している。
これと類似のもので、ワンマン運転の列車・バスでは車内放送前に「ピンポーン」などごく短いチャイムを鳴らし乗客に注意を喚起する場合もある。
東日本旅客鉄道(JR東日本)の特急・新幹線の車内チャイム音源はCD化され、テイチクが発売元である「JR東日本発車メロディー・特急車内メロディー音源集~山手線一周+α~」に収録されている。
[編集] 編成別放送
編成別放送(へんせいべつほうそう)とは、列車の車内放送を編成別に放送する機能のことである。
例えば、多層建て列車など途中で解結が予定されている複数の編成の列車が連結されている際に、編成ごとに行先案内の放送を行う場合など、一連の複数の編成のうちある特定の編成の車両においてのみ注意すべき事項などを案内するために用いられる。ボタンやレバー等のスイッチ操作で放送の編成を切り替えることができる。
日本の鉄道事業者で2006年現在、当該機能をもつ車両を保有するのは、東武鉄道(6050系)、小田急電鉄(通勤形電車の全車)、京王電鉄(全車)、京浜急行電鉄(旧1000形・800形を除く全車)、東日本旅客鉄道(JR東日本)(211系など)、東海旅客鉄道(JR東海)(311系・313系など)、西日本旅客鉄道(JR西日本)(223系など)、南海電気鉄道(10000系)、近畿日本鉄道の標準軌線、狭軌の南大阪線用の各車両などである。
[編集] 車内放送に音源として係わった人物
- クリステル・チアリ - JR東日本(首都圏)・東武鉄道・東京急行電鉄・小田急電鉄・東京地下鉄(東京メトロ)・横浜高速鉄道・埼玉高速鉄道・東葉高速鉄道・愛知環状鉄道・名古屋臨海高速鉄道・神戸市交通局(神戸市営地下鉄)・福岡市交通局(福岡市地下鉄)の英語車内自動アナウンスを担当する。ゲーム「Train Simulator+電車でGO! 東京急行編」でも英語アナウンスを担当した。タレント。
- 堺正幸 - JR東日本の特急・新幹線の車内自動アナウンスを担当。テレビ番組「みんなの鉄道」でもアナウンスを担当。フジテレビジョンアナウンサー。
- 加藤純子 - 北海道旅客鉄道(JR北海道)・東武鉄道(特急「りょうもう」)・東京都交通局(都営地下鉄)新宿線(10-300形電車のみ)・東葉高速鉄道・首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線・名古屋鉄道(蒲郡線を除く)・名古屋臨海高速鉄道・名古屋市交通局(名古屋市営地下鉄)上飯田線・京阪電気鉄道石山坂本線の日本語車内自動アナウンスを担当する。
- ジーン・ウィルソン - JR東日本の特急・新幹線・首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス線・名古屋鉄道の一部特急の英語車内自動アナウンスを担当する。
- 脇坂京子 - 東海道・山陽新幹線の日本語車内自動アナウンスを担当する。
- ドナ・バーク - 東海道・山陽新幹線の英語車内自動アナウンスを担当する歌手。
- 黛敏郎 - 1965年から1970年まで使用された東海道新幹線の車内チャイムを作曲。
- 筒美京平 - JR東海所有の新幹線電車の車内チャイム「AMBITIOUS JAPAN!」を作曲した。
- 谷村新司 - JR西日本所有の新幹線電車の車内チャイム「いい日旅立ち・西へ」、「トワイライトエクスプレス」の車内チャイム「いい日旅立ち」を作曲した。
- 向谷実 - 九州新幹線「つばめ」号の車内チャイムを作曲。CASIOPEAのメンバーであり鉄道ファンとしても知られ、「Train Simulator」シリーズの開発者でもある。
- ジェリー・ソーレス - 九州新幹線、関空/紀州路快速の英語自動アナウンスを担当する。
- SUPER BELL"Z - 鉄道の車内・駅アナウンスなどをモチーフにした楽曲「MOTO(e)R MAN」シリーズをリリース。プラレールのアナウンスも担当。
- 中村健治 - 大阪市交通局(大阪市営地下鉄)・北大阪急行電鉄の初代日本語車内自動アナウンスを担当(当時は日本語しか流れなかった)。
- 秀平真由美 - 大阪市交通局(大阪市営地下鉄)・北大阪急行電鉄の日本語車内自動アナウンスを担当。
- 清水牧子 - かつての帝都高速度交通営団および埼玉高速鉄道の車内日本語自動アナウンスを担当。
- 津田英治 - 近鉄特急の自動放送、近鉄けいはんな線(旧・東大阪線)の日本語車内自動アナウンスを担当する。秀平真由美に代わるまで、大阪市営地下鉄・北大阪急行の車内自動アナウンス(日本語部分のみ)を担当。2006年時点でも、大阪市営地下鉄の駅構内自動放送(主に中央線)に一部残っている。
- 富原志乃 - 沖縄都市モノレール(ゆいレール)の日本語および英語車内自動アナウンスを担当。
- 岡本洋子 -東武バスや関東バス、東急世田谷線などの車内自動放送を担当。
- 松原雅子 -神奈川中央交通や国際興業バスをはじめとした国際放送企画グループのバス会社の車内放送を担当。
[編集] 関連項目
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