日向冬樹
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日向 冬樹(ひなた ふゆき)は、吉崎観音作の漫画『ケロロ軍曹』および、それを原作とするアニメ版などの作品に登場する架空の人物。アニメ版の声優は川上とも子。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 人物
ケロロの居候している日向家の長男。夏美という姉がいる。吉祥学園中等部1年B組。部活動は原作では漫画研究部、アニメ・小説はオカルトクラブに所属している。(但し原作も後に漫画研究部を退部し、西澤桃華と共に非公認ながらも自主的に設置した)
髪と瞳の色は青みがかった黒(または紺色)で髪にはアホ毛がかかっている。原作の初期ではアホ毛が太いのと細いのが二本あったが、現在は一本になっている。身長は149cmで、血液型はA型。紺色の髪とアホ毛は母親・秋譲りである。一人称は「僕」(ボク)。
原作ではペンを左右両方の手で持つ様子が描かれているため、両利きだと思われる(コンピュータのマウスは右利き用を使用していることなどから、右手がやや優位であることがわかる)。非常に穏和な平和主義者で、友情を大切にする性格。その事が伺えるエピソードはケロボールでケロロが騒ぎを起こした際、手違いでケロロがこの世から消滅してしまいそうになった際本気で泣いたり、突然ケロロ達が本部の命令でケロン星に帰ってまた戻って彼に見つけられた際にも彼に泣いて再会を喜んだりしたり、ガルル小隊に記憶と思い出を消去され、本来の残忍冷酷な性格になってしまった時も泣きながらケロロの事を信じてると訴え続けた事があげられる。また周囲が大騒ぎ(ケロロが怒り狂って暴れていたり、モアが地球を壊そうとしていたり)しているなかで悠然と(のほほんと)しているなど、意外と冷静な人物でもある(危機に少し鈍感な可能性もある)。ただし、オカルトが関係すると目の色が変わり、新しい宇宙人の来訪を聞くと興味を示す。オカルトに関しては理論的なオカルトマニアを参照。
[編集] 姉・日向夏美
上記のように、冬樹には夏美という姉が一人いる(詳細は日向夏美を参照)。この姉弟には対照的な面(具体例は下記に記述)がいくつかあり、たまに喧嘩もするが総じて姉弟の仲は良好である。
[編集] 知力・体力
身体は丈夫だが姉の夏美とは反対に運動は苦手(当初は平均的レベルという設定だった)で、中でも跳び箱が特に苦手な様子(アニメ版より)。また、スポーツに関して嘆きながら批判することがある(水泳は「人類の進化を逆行する行為」、スキーは「不毛な上下運動」など)。運動会の時期になると、非常に憂鬱そうな顔をして落ち込む様子が描かれる。しかし身の危険が迫った場合など、ごく稀にではあるが驚異的な身体能力を発揮することがあり(桃華を引っ張って全力疾走など)、周囲はこれを「日向の血の覚醒」と呼んでいる。
勉強は人並み(私立の吉祥学園へ入るだけの学力はある)だが、海洋関係や雪合戦の公式ルール、昆虫の種類や習性(昆虫そのものは嫌いらしい。一度だけ、日向家に昆虫が大集合した事があり、その時は部屋に閉じこもって毛布に包まり、覚えているだけの虫知識を吐き出しながらずっと震えていた)、四字熟語の正しい使い方(四字熟語を間違えて使用しているモアに、正しい使い方を指導したこともある)、コンピュータなど、冬樹の持っている知識の幅は広く、量も多い。また母親譲りの旺盛な好奇心を持ち、興味の対象に対しては優れた洞察力・鋭い観察力を発揮する。その反面、学校の勉強には興味が薄いため(むしろ嫌がっているらしい発言もある)夏休みの宿題をギリギリまでため込んで、新学期直前に焦りだすことも多いらしい。
アニメ版では、上記の優れた洞察力・鋭い観察力を生かして、友人の探し物を見つけるのが上手な「名探偵」としての設定が追加されている。その点を見込まれて、探し物以外でも事件の調査を依頼されることがある(といっても、依頼される事件には冬樹自身も「どうってことない」と評する程度のものが多かったりする)。
[編集] 理論的なオカルトマニア
幼少時の頃からオカルトや宇宙人といった話題に並々ならぬ関心を示し、「学校の宿題より大事」とか「運動会をやるならオカルト大会も開くべき」「オカルトは自分のすべて」と発言するほどのオカルト好き(アニメオリジナルの設定だが、これは「モンスター大百科」という本がきっかけ)で、原作・アニメ共にオカルトクラブを作るほどである。オカルト界では小学生の頃からちょっとした有名人であった。オカルトに対する好奇心の強さはアンチバリアの効力をなくし、日向家に侵入したケロロを見抜けるほどである(なお、日向家に侵入していたケロロが発見された理由については原作において若干の変更がある。当初の理由はケロロ小隊の地球侵略を、アンチバリアについては機械・装置・乗り物の「アンチバリア」を参照)。
自他共に認めるオカルトマニアだが、冬樹は理論・実証を優先するタイプであり非理論的な説を騒ぎ立てるのは嫌っている。このため、捏造写真を多用する吉祥学園新聞部(NW部、KGS)とは対立が絶えない。
数多くのオカルト知識を生かした怪談話をするが非常に上手く、クルル作成の「恐怖BOX」よりも怖かった(恐怖カウンターの反応より)ため、かつて夏美が「二度とやるな」と言ったほどである。
[編集] 宇宙外交官としての冬樹
宇宙法などで明確に規定されたわけではないが、事実上、地球唯一の『宇宙外交官』という立場にあり、外交面で地球の平和を担っている。また非力なためか、したたかな策略家としての顔も持っており、時々その手腕を発揮する。特に冬樹と相容れない存在である吉祥学園新聞部は、彼の策略の結果「大衆をなめるな」と読者に言われるほど信用を損ない、売り上げを大幅に下げてしまった(もっとも新聞部に関しては、自業自得の部分も多分にあるが)。
宇宙人に対しても、普段はその活動に興味があるから見逃しているが、本当に危ないと感じたときは交渉・駆け引き・策略を通じて、それなりの対応をとっている。相手の性格・性質に合わせた策をとるのが冬樹のやり方で、例としては以下のものがある。
- ケロロが暴走して地球を破滅させてしまいそうになるとガンプラの話を持ち出す(ガンプラ好きのケロロの性格を熟知した上での説得)。これで地球崩壊の危機が何度も回避されている。
- アリサに鏡を見せて彼女を石にする(ゴーゴンの物語にヒントを得た作戦で、アリサ自身の能力を逆手に取った)。
日向家と地球の平和は、穏健派の外交官(?)冬樹と強硬派の軍人(?)夏美のコンビネーションとバランスで保たれていると言えるかもしれない。いずれにしても、ケロン軍が地球侵略を行うに際しては、姉・夏美と共に、注意すべき人物の一人。「友達」と言う言葉に弱いケロロにとっては、夏美と同等あるいはそれ以上に厄介な存在であると言っても過言ではない。
[編集] 怒らせると非常に怖い
非常に穏和(平和主義と言った方が良いかもしれない)で優しく、対ウェットルマン(アニメではウェットルキング)戦などの例外を除けば滅多に戦うことのない冬樹だが、行いが度を過ぎたとき(友達を大切にしなかったり、洒落にならない過度の悪戯をしたり、人に迷惑をかけたのにも関わらず同じ行為を繰り返ししようとした時など)には非常に凶悪な表情を露にし、本気で怒る。激怒した時の表情は「伝説の顔」とも「衝撃映像」とも言われるが、必ず後ろ向きのため詳細は不明(少し怒っているくらいならば、後ろ向きではない)。しかし、原作第七話の凍りついたケロロの表情からして、相当怖いものなのだろう。普段は大人しくて優しいだけに怒らせてしまうと日向家で一番怖く、その恐ろしさは夏美を軽く上回る(おそらく、母親の秋や裏桃華をも軽く上回る。無論キレた時のタママよりも、遥かに上回っている)。そのため、一度怒らせると夏美ですら全くなだめられず、それどころか凍り付いた表情を見せる。どっしりした構えを持つギロロや陰険で何事にも動じないクルルでさえも冷や汗をかき、タママは泣き出してしまったほどである(タママは思い出すだけで背筋が凍り付き、おしっこが漏れそうになってしまうらしい)。モアはあまりの怖さに目を覆いたくなるほどである。この状態になった冬樹には、「あの頃」に戻って通常よりも各段に強くなったケロロでも歯が立たない(一度だけ、この状態の冬樹をクルルのジンセイガニドアレバ銃で止めたことがあるが、これは「例外」と考えたほうが良さそうである)。なのでケロロにとって一番恐れているのは、ニョロロに水分を吸い取られてしまう事でも、夏美からボコボコにされるでもなく、彼がキレた時なのである。ある意味その時の彼は登場人物中最強レベルとも言える。
この時の戦闘力は未だに不明である。しかし、前述通り夏美でも止める事が不可能と言う事から相当に高いと見られる(顔を見ただけで戦意喪失という可能性も否定できないが)。
なお、怒るタイミングは原作とアニメで異なる。詳細は日向冬樹が怒った理由を参照。
[編集] 恋愛関係
冬樹は現在多くの女性に好かれている。特にクラスメートの西澤桃華が彼に恋愛感情を抱いているというのはよく触れられ、彼女はなんとか告白しようとするができずにいる。そのため冬樹は好意を寄せられていることに気づいていない様子。普段は桃華のことを「西澤さん」と呼んでいる(原作第18話・アニメ第105話では「桃華ちゃん」と呼んだことがある)。基本的に冬樹の桃華に対する認識は「友達」(アニメ第120話。かつては「大切なオカルト部員」)である。なお、原作で桃華の母・桜華に対しても「西澤さんの友達」と自己紹介している。
また、月神散世とアリサ=サザンクロスも彼に好意を抱いている。さらに原作当初では冬樹が時々影を帯びる描写があり、そこがかわいいといわれていた。これで春世が恋を感じたこともある。
しかし作品を見る限り、彼が恋愛感情を抱いているのはノントルマの少女だけであると思われる。
[編集] その他のエピソード
ケロロとギロロは階級で呼ぶ(一度だけ、クルルも階級で呼んだことがある)が、他のケロロ小隊隊員は名前で呼ぶ(ただしギロロのことは時々「ギロロ」と呼ぶことがある。ケロロのことは小説版で一度だけ「ケロロ」と呼んだ)。
オカルトの他に天体観測も趣味としている。一番苦手な音は食器同士がすれる音。また、くじ運のなさには圧倒的定評があるという。原作のみの設定だが、漫画を描くのが上手い(絵が上手いというわけではなく、構成やオチのつけかたが上手い)。なお、ハンバーグを作るといつも焦がしてしまうというので、料理はあまり得意ではない様子である(ただし、アニメではケロロ小隊の共鳴の効果で一度だけ上手に作ったことがある)。
幼年時代は祖母である秋奈の家に住んでいた時期もあるが、そのとき夏美は同居していなかった様子。つまり一時的に別居していたことになるが、その理由はまだ不明である。幼少の頃は現在とは違い、結構やんちゃな性格で、将来の夢は世界征服だった(ピラミッドに住む、ネッシーやヒバゴンをペットにするのも夢だった)。
アニメ版ではクルルとの会話や共に行動する場合(第60話・第134話など)も意外と多く、ケロロの次に仲が良いようである。初期はそれほど親密でもなかった2人だが、次第にインドア派同士で気が合ったのかもしれない。
[編集] 日向冬樹が怒った理由
[編集] 原作
- "あの頃"に戻ったケロロがタママの放ったタママ・インパクトを跳ね返し、それを彼にぶつけて攻撃した(第1巻)
- 夏美の高熱の原因が、クルルの作ったウイルスがケロロの部屋に漏れていたせいだったのが判明した(第3巻)
- ケロロが温泉に行きたいが故にインチキをした(ルービックキューブのシールを貼り直した)のがばれた(ただしこの時は「伝説の顔」になっていたかどうかは厳密にはわかっていない)(第9巻)
- 自分が大切にしていた祖母の日向秋奈のこいのぼりを勝手に兵器に改造された(第9巻)
[編集] アニメ
- 騒動の発端であるケロボールを懲りずにケロロが持ち出そうとした(第23話)
- タルルが初めて地球に来た際、彼に「運動神経ゼロ人間」と言われた(この時はタママに対して怒った)(第30話)
- 大切なオカルト雑誌を無断で処分した犯人がケロロだと分かった(この時は夏美と一緒に怒った。また「伝説の顔」にはなっていない)(第107話)
[編集] 小説版
- 少年探偵団結成の理由の真実に気づいた(この時の対象は全ての黒幕であるクルル)(第2巻)
[編集] コスプレ・変身
- オカルト
- 七転署捜査一係の新米刑事としての冬樹。
- スーパーフユキング
- アニメ第70話でのケロロ小隊の地球侵略シミュレーションで地球防衛ラインとして登場した冬樹。
- プロフェッサー・フユキング(直訳すると「フユキング教授」)
- アニメ第86話Bパートでイベンタ星人の具現化マシンを使いケロロが強制的にコスプレさせた冬樹(その姿は『超獣戦隊ライブマン』の大教授ビアスのパロディと思われる。ちなみに同作において大教授ビアスを演じているのはギロロ役の中田譲治である)。ペコポン帝国皇帝にして、ダークサマー(日向夏美のコスプレ・変身の項目参照)の兄という設定。
- ブリオ
- アニメ第100話におけるサザエさんのパロディの時に、カツオのパロディで登場した冬樹。
- フユ王(フユキング)
- 小説版でヒーナータ国の国王として登場した冬樹。ツタンカーメンのような格好をしている。
- ケロロの着ぐるみ
- アニメ第154話で商店街から人々を避難させるために冬樹が着た着ぐるみ。宇宙人に扮して、ギロロの着ぐるみを着た夏美・タママの着ぐるみを着た桃華とともに空から現れた。
[編集] 関連項目
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登場するもの | 登場人物一覧 | 架空のもの一覧 |
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