未来警察ウラシマン
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『未来警察ウラシマン』(みらいけいさつウラシマン)は、1983年1月9日から同年12月24日にわたりフジテレビ系で全50話が放送されたタツノコプロ製作のSFアニメ。12話までは毎週日曜日午後6時00分~6時30分、13話(1983年4月)以降は毎週土曜日午後6時30分~7時00分の放送。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] あらすじ
西暦1983年から突如、2050年の大都会ネオトキオに一人の少年がタイムスリップ(本作中では「ウラシマ・エフェクト」と呼ぶ)した。タイムスリップ前の記憶を失った少年は、浦島リュウという名を与えられ機動メカ分署「マグナポリス38」の刑事となる。分署長の権藤警部たち3人と、ネオトキオで暗躍する犯罪組織ネクライムと戦う。
[編集] 概要
当初、タツノコプロの本流であるメカアクション路線の未来警察ものとして企画。タイムスリップ、タイムパラドックスなどのSF設定と目が小さく頭身の高いリアル系のキャラクターデザインがされていたが、前番組がギャグの『ダッシュ勝平』だったこともあり低年齢層を意識してコミカルな作風で作られ、主人公やサブキャラクターの表情が大きく崩れる演出などもある。中盤以降主人公の秘密をめぐって本来のハードな展開がなされるなど、バラエティ豊かなストーリーが人気を博した。また登場人物も敵味方に関わらずサブキャラクターまで丁寧に描かれ、作品の世界観を深めた。
当初の企画のハード路線に合わせたキャラクターデザインは大友克洋がキャラクターデザインのアニメ映画『幻魔大戦 (映画)』を経たアニメーターのなかむらたかしによるもので、なかむらは後に大友のアニメ映画『AKIRA』にも参加。大友の影響下のある画風のなかむらにとってこれが初のキャラクターデザイン作品である。チーフディレクターの真下耕一とともになかむらの『黄金戦士ゴールドライタン』での仕事は注目を浴びており、『黄金戦士ゴールドライタン』で経験を積んだ若手スタッフの感性と力がそのまま生かされて本作は制作されている。
当初日曜夜6時枠での放送であったが、土曜夜6時半に移動して、後番組は大人向け情報番組(サントリー スポーツ天国)を置いた。これにより『ハクション大魔王』より続いた日曜6時枠のタツノコプロ製作アニメは途切れる事になる。移動先の土曜6時半枠はそれまでタイムボカンシリーズが放送されていた枠で、本作にもタイムトラベルの要素があったためか同シリーズと間違う人も少なからずいた(同シリーズの次作「イタダキマン」は当時のフジテレビの鬼門枠だった土曜7時半に移動、結果同作は半年で打ち切りとなった)。また同シリーズ放送中は番組が返上されることが一切なかったが、本作は1983年7月23日にオールスターゲームのため返上されている。
ドイツでは『Rock'n Cop』というタイトルで1995年に放送。
メカアクション路線の未来警察を描いた作風は、後に「電脳警察サイバーコップ」・「機動刑事ジバン」・「特警ウインスペクター」・「特救指令ソルブレイン」・「特捜エクシードラフト」・「特捜ロボジャンパーソン」・「特捜戦隊デカレンジャー」等の特撮作品に多大な影響を与えたと言えよう。
[編集] 「ウラシマン」とは
タイトルの「ウラシマン」は後述のウラシマ・エフェクトから命名されている。毎回のオープニングナレーションでは、過去から未来に転移することをウラシマ・エフェクトと定義していたが、実際のウラシマ効果とは異なっている。ウラシマ・エフェクトによって超能力を身につけた人間を2050年ではウラシマンと呼んでいた。
[編集] 登場キャラクター
/以降はドイツ版の役名。
[編集] マグナポリス側
- 浦島リュウ / Rico (声優:小林通孝)
- 本名不明(下の名前はアキラという説も)。1983年から2050年にタイムスリップしたウラシマンだが、自分の意志で超能力を使う事は出来なかった。しかし、ウラシマンであるがゆえに(後々の超能力発動への対策も兼ねて)マグナポリス預かりとなり、なし崩しに機動刑事となる。明るい性格の正義漢だが、記憶を失っているために自分の存在に悩むこともあった。16才という年齢設定だが、銃は撃つ、自動車はかっ飛ばすという行動力の持ち主。最後はウラシマンに目覚めコスモ時空間で1983年の直前まで戻るが、フューラーと一緒に戻る事を拒み2050年に戻ってきた。
- クロード(蔵人)・水沢 / Claude (声優:神谷明)
- 2枚目の機動刑事。「スーパーウェイの稲妻クロード」と自称するハンサム。当初はエリート風を吹かせてリュウと対立するが、次第にギャグキャラになっていった。
- ソフィア・ニーナ・ローズ / Sophia (声優
- 横沢啓子)
- 機動メカ分署マグナポリス38の紅一点。当初は刑事ではなかったが、権藤警部にスカウトされて機動刑事になった(最初は秘書としての採用)。弱いながらも超能力(予知能力)を持っており、リュウに何らかの影響を与えることを期待されていた。「キャイ~ン」など当時流行っていたぶりっ子言葉を多用する。
- 権藤透(ごんどう とおる) / Dr. Gondo (声優:大平透)
- 機動メカ分署マグナポリス38の創設者であり署長を兼ねる警部。禿頭、肥満体のオヤジであるが、熱意と先見の明はある。数々の専用装備を持つ機動メカ分署は“予算の食い過ぎ”と批判されていたので、リュウやソフィアなどの素性の怪しい人物を雇わざるを得なかったらしい。
- ミャー / Miyah (声優:勝生真沙子)
- リュウとともにタイムスリップしてきた猫。ウラシマンならぬウラシキャット?として超能力があると思われネクライムに拉致されたこともある。
[編集] ネクライム側
- アドルフ・フォン・ルードヴィッヒ / Ludwig (声優:塩沢兼人)
- ネオトキオを影で牛耳る犯罪組織ネクライム極東支部(通称、クリスタル・ナイツ・ネクライム)の幹部。才覚と野心にあふれ、フューラーを一度は冷凍カプセルに入れ宇宙に追放し、二代目ネクライムの総統となり犯罪組織ネクライムをクリスタル・ナイツ・ネクライムに改めた。終盤、フューラーがコスモパワーを身に着けて戻ってきた時にミレーヌの裏切りで死亡し、クリスタル・ナイツ・ネクライムは壊滅したかに思われたが、これはマグナポリス38、フューラー、クリスタル・ナイツ・ネクライムによる三竦み状態を回避するための芝居であった(ジタンダは、腹芸ができないことからこの事を知らされていなかったため、ルードヴィッヒの墓参りまでしている)。最終回、宇宙から戻ってきたフューラーとウラシマンの戦いの後、ひょっこりと復活している。
- ミレーヌ・サベリーエワ / Marlene (声優:北浜晴子)
- 常にルードヴィッヒの側にいる妙齢の美女。紫の髪をアップにまとめ、大人の女という雰囲気を漂わせている。実はフューラーの娘であり記憶を消されてルードヴィッヒの監視役になっていた。
- ジタンダ・フンダ / Yetander (声優:田中真弓)
- ルードヴィッヒの忠実な部下であり、運転手兼執事のような人物。とはいえそう能力は高くなく、ギャグ担当。ただし本来は格闘技の達人という設定。身長はルードヴィッヒの半分ほどしかなく、リュウとよくおっかけっこをしていた。ルードヴィッヒに心酔しており、彼の死後三代目総統を自称しネクライムを守ろうとした。
- 総統フューラー / Generalissimo Fuller (声優:丸山詠二)
- 高齢の老人。ネクライムの創設者であり、最高権力者。もともとは科学者であり片足が義足で肩にリュウと同じ傷がある。不老不死の研究の副産物である「サイコレーザー」を発明する。サイコレーザーは他人を自由に操れるという危険な発明だったため警察や犯罪組織から追われる身となり、その際に負った怪我の治療のためリュウの血をもらっており、リュウとは血を分けた間柄。しかしリュウはその後のサイコレーザー争奪戦に巻き込まれるかたちでタイムスリップしてしまい、彼はそのまま日陰の存在となった。若い頃のまま現れたリュウの力で若返ろうとして幾度もリュウの前に現れた。しかし、リュウには反発され、ルードヴィッヒには冷凍されて宇宙に放逐されてしまう。ところが宇宙でコスモパワーに目覚め、超能力を身につけ地球に戻りネオトキオを脅かした。ウラシマンの力に目覚めたリュウが1983年へ連れて行く事を拒否した為、寿命が尽きてしまう。
- 元来はフューラーの正体は、過去に戻れたリュウの67年後の姿という設定だったが、スポンサーからクレームがつき上記のように変更された。
- スティンガー・ウルフ / Crazy Wolf (声優:玄田哲章)
- スティンガー・キャット (声優:梨羽雪子)
- スティンガー・ホーク (声優:立原淳平・小滝進(現 大滝進矢))
- スティンガー・シャーク (声優:二又一成)
- スティンガー・ベアー (声優:島香裕)
- 通称「スティンガー部隊」。ネクライムの精鋭実働部隊であり、ルードヴィッヒの忠実な下僕。登場当初は体にフィットした黒ずくめの服だったが物語後半からは全員バトルプロテクターを装着しており、運動能力が増幅されている。ホーク・シャークは細身でベアーが巨漢、キャットは紅一点と戦隊のお約束にも近いキャラ分けがなされている。もともとフューラー直属だったが、途中からルードヴィッヒに忠誠を誓うようになる。
[編集] メカニック
- バトルプロテクター
- マグナビートル(スポイラー)のシートが変形して装着される機動刑事用の装甲服。装着と同時に天井より射出される、リュウ用は白地に赤で、クロード用が白地に青だった。商品化されなかったために影が薄い。後半あまり使われなかった。デザインは左右非対称で、劇中登場しているのは右利き用と思われ左半身(肩部、前腕部、脚部)に防御用シールドを装備しており、ブラスターのエネルギー弾などを跳ね返せる。物語後半からはスティンガー部隊も似たようなバトルプロテクターを装着している。 三枚目のリュウもヘルメットを被ると格好良かった。
- マグナブラスター
- ネクライム追跡中にエアカーで突っ込んだ廃屋の中で壊れたS&W M36チーフスペシャルを発見、レーザー銃が肌に合わないリュウが改造して作った銃。放送当時、ポピーから発売された玩具はリアルな造形やギミックもありヒット商品となった。
- マグナビートル
- 前述のレーザー銃、エアカー等の未来の機械が肌に合わないリュウが、タイムスリップの際に運転していたフォルクスワーゲン・ビートルを改造した彼の愛車。パトカーとして改造されたために白と紺のツートンに塗り分けられ、また赤青のパトライトが装備され車高が上がっている。ライトがフェンダー上からフロントに移されたためにワーゲンオフローダーのような印象になっている。ベースがコンバーチブルなのもあってドアガラスが存在しないので冬場は寒い。シートがバトルプロテクターとなる。
- マグナチョッパー
- 権藤が若い頃に乗っていたという年代モノのハーレーダビッドソンをベースにしたバイク。名前の通りチョッパータイプの、タイヤで走るバイクである。
- スポイラー
- クロードの乗るエアカータイプのポリスカー。シートがバトルプロテクターとなる。
- チェスキュー
- ソフィアの乗る小型救急用VTOL。
- アカデミア
- ソフィアの乗る救急車タイプのエアカー、情報分析・鑑識捜査なども行える。真っ赤な塗装でミャーも乗ることがあった。
- 機動メカ分署マグナポリス38 / Marklin Division 38
- リュウたちの勤務先でもあり家ともなる警察署。スタイルは6輪の巨大な要塞で、その名の通り移動能力を有している。神出鬼没のネクライムに対抗するために作られた。
[編集] 主題歌
- オープニング: 「ミッドナイト・サブマリン」
- エンディング: 「ドリーム・シティ・ネオ・トキオ」
[編集] 挿入歌
- 「Crystal Knights NECRIME」
- 作詞:竜の子プロ企画室 作曲・編曲:風戸慎介 歌:mojo
- 「Maybe」
- 作詞:竜の子プロ企画室 作曲:風戸慎介 編曲:いちひさし 歌:mojo
- 「Brother 〜That's all right, Brother〜」
- 作詞:康珍化 作曲:風戸慎介 編曲:スワミヒロシ 歌:神谷明
- 「Heart Walker」
- 作詞:康珍化 作曲:風戸慎介 編曲:スワミヒロシ 歌:神谷明
- 「Boogie-Woogie Cat」
- 作詞:竜の子プロ企画室 作曲・編曲:風戸慎介 歌:かおりくみこ
- 「Battle URASHIMAN」
- 作詞:竜の子プロ企画室 作曲・編曲:風戸慎介 歌:mojo
- 「Fire Dancing」
- 作詞:竜の子プロ企画室 作曲・編曲:風戸慎介 歌:かおりくみこ
[編集] 放送リスト
- 突然!2050年
- 誕生!ブリッコ刑事(デカ)
- 失われた時を求めて
- 追いかけてビートル
- 危険なディスコ女王(クイーン)
- 巨大ザメは美女好き
- 札束でひっぱたけ!
- 月の足跡は80才?
- 昨日の友は今日の敵
- エベレストより高く
- 挑発!南の島に吹雪
- 空飛ぶ真っ赤な天使
- 過去にささったトゲ
- ミャーにも超能力!?
- 撮られたリュウの心
- 殺し屋グッドラック
- 愛!ロボットに愛!
- ガラスに書いた「ママ」
- ティファニーで人魚
- フューラーとの遭遇
- 入れかわった性格!
- 涙!権藤警部の決意
- 戦利品に手を出すな!
- デスゲーム一発勝負
- 伝説のビッグサタデー
- ネオトキオ発地獄行き
- ベアー宇宙に死す・・・
- プロレスはつらいぜ
- 指名手配!リュウの首
- 荒野の悪徳保安官
- リュウより愛を込めて
- トリック 1983
- フューラーの真実
- 反逆のメロディー
- フューラーの遺産
- ルードビッヒの罠
- 変身!ダーティリュウ
- 金庫に向って走れ!
- ネオトキオの休日
- フューラーの逆襲
- アマゾンの七人
- さらば!クロード
- 栄光のルードビッヒ
- 幻の超能力一族
- 必殺!恐怖の刺客
- ネクライムの総攻撃
- 帰って来たフューラー
- ルードビッヒの最期
- 愛と死の超能力
- サヨナラ2050年
[編集] スタッフ
- 製作:吉田健二
- 企画:岡正(フジテレビ)、内間稔(読売広告社)、九里一平(タツノコプロ)
- プロデューサー:前田和也(フジテレビ)、大野実(読売広告社)、井上明(タツノコプロ)
- 製作プロデューサー:田村常夫
- 製作デスク:石川光久
- 製作担当:由井正俊
- 原案・構成:曽田博久
- 脚本:曽田博久、山崎晴哉、寺田憲史、富田祐弘、土屋斗紀雄、佐藤ゆき、井上敏樹、高野太、川口俊夫、星川信芳
- チーフディレクター:真下耕一
- 演出:真下耕一、貞光紳也、澤井幸次、石山タカ明、林政行、古川順康、田中宏之、
- コンテ:真下耕一、貞光紳也、澤井幸次、石山タカ明、古川順康、林政行、なかむらたかし、高野太、湯山邦彦、鈴木弘
- メカニックデザイン:大河原邦男
- キャラクターデザイン:なかむらたかし、加藤茂、井口忠一 、河井静男、福岡元、高田明美、アベ正己、水村十司、西城隆詞、田辺由憲
- 作画監督:加藤茂、アベ正己、井口忠一、水村十司、河合静男、鄭雨英、田辺由憲、なかむらたかし、川口俊夫、星川信芳
- 動画作監:小林哲也、山田高廣、橋本恵子、渡辺正
- 技術監修:宮本貞雄
- 美術:沢井祐滋、多田喜久子
- 背景担当:沢井裕滋、山元健生、宮前光春、多田喜久子、岡田和夫、佐藤広明、今井利恵、田原優子、佐藤輝信
- 美術監督:宮前光春
- 撮影監督:佐藤均
- 撮影:スタジオウッド
- 音楽:風戸慎介
- 編集:三木幸子、田代正美、田岡克美、厨川治美
- 特殊効果:村上正博、原島寿美江、朝沼清良、石山タカ明
- カラーデザイナー:北島季代子、長岡恵、北村喜久子、脇喜代子、吉田みちる
- 録音製作:ザックプロモーション
- 録音ディレクター:清水勝則
- スタジオ:新坂スタジオ
- 録音:中村修・蒲原英一
- トレス:小野静子・相場一美
- 効果:加藤昭二
- 現像:東洋現像所
- 検査:和田典子、新井典子、岩本行彦、戸塚千尋、服部眞奈美、森田利子、川田利幸
- 進行:石川光久、神崎潤二郎、内田成敬、松沢正一、山川順一、野村達也、山田斎、
- 制作:タツノコプロ、フジテレビ
[編集] コミカライズ
『週刊少年チャンピオン』で明石のぼる・乾はるかにより漫画版が連載されていた。全4巻(1・2巻 明石のぼる 3・4巻 乾はるか)。作者が違うため、同じタイトルながら全く作風が違い、ハードなストーリーに重きを置いた1、2巻に比べ、3、4巻はギャグがメインになっている。また、コミックの結末ではリュウ=フューラー(本名・日浦明)として描かれている。
他に『冒険王』、『マイアニメ』の各誌で連載、いずれも秋田書店発行。
[編集] 参考資料
- 『アニメック』(Vol.30、ラポート) - 未来警察ウラシマン特集。
- 『ジ・アニメ』(1984年12月号、近代映画社) - 真下耕一インタビュー。
- 『アニメージュ』(2004年4月号、徳間書店) - 真下耕一インタビュー。
[編集] 外部リンク
- まぁくつぅ - ファンサイト
[編集] 放送時間
フジテレビ系 日曜午後6:00枠(第12話まで) | ||
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前番組 | 未来警察ウラシマン | 次番組 |
ダッシュ勝平 | サントリー スポーツ天国 | |
フジテレビ系 土曜午後6:30枠(第13話以降) | ||
逆転イッパツマン | 未来警察ウラシマン | OKAWARI-BOY スターザンS |
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