機動戦士ガンダム ムーンクライシス
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機動戦士ガンダム ムーンクライシスin U.C.0099 |
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漫画 | |
作者 | 松浦まさふみ |
出版社 | バンダイ メディアワークス |
掲載誌 | MS SAGA |
レーベル | 電撃コミックス |
発表期間 | 1993年2月 - 1994年8月 |
巻数 | 全2巻 |
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『機動戦士ガンダムムーンクライシスin U.C.0099』(きどうせんしガンダム ムーンクライシス イン ユニバーサルセンチュリー ダブルオーナインティナイン、Mobile Suit Gundam mooncrisis in U.C.0099)は、松浦まさふみによるガンダムシリーズの漫画作品の一つである。
目次 |
[編集] 概要
1993年から1994年までMS SAGAに連載された。単行本は上下巻で、メディアワークスのDENGEKI COMICSから1997年11月15日に上巻、1998年1月15日に下巻が発行されている。
人類にとって欠かすことの出来なくなった月が崩壊の危機に瀕した状態で繰り広げられる物語で、宇宙世紀100年という節目を目前にネオ・ジオンが終局を迎えることになるという、非公式サーガでありながら宇宙世紀最大の勢力であるジオンの幕引きを担っている作品でもある。
下巻巻末には、同作家によるムーンクライシス外伝や、一年戦争や未来世紀を舞台にした短編が収録されている(この詳細については後述する)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ストーリー
宇宙世紀 (U.C.) 0099、地球連邦軍タクナ・S・アンダースン准尉は、衛星軌道上に配備されている宇宙母艦「ベクトラ」にΖ>のパイロットとして配属された。
第二次ネオ・ジオン抗争が終結してから6年、何事も無く平穏に過ぎていた世界は、たった一隻のベクトラだけで全宇宙軍と戦争を出来るほど軍縮が進み、この地球防衛機関最後の砦といえるベクトラでさえもティターンズ化の恐れや、散発するテロリズムの被害額よりも経費がかかるという理由から寧艦案が内定するなど、連邦軍の腐敗・衰退は急速に進みつつあった。
その中で、Ζシリーズ8年ぶり(時系列的にリ・ガズィ以来では無いかと思われる)の新型機Ζプルトニウスのパイロット候補に選ばれているタクナは、飛行機で移動する連邦大統領の高高度護衛の任務に着く。単なる護衛任務であったが、発進直前にスクランブルコールが鳴り響き大統領機がミサイルによって攻撃されたという連絡を受ける。 この事件を皮切りに、世界は人類の存亡すら賭けた戦いへ突入していく……
[編集] 作品解説
作者によるあとがきに、本作の原点はデズモンド・バグリィやアリステア・マクリーンによる冒険小説であると語られている。いわゆるBoy Meets Girl的な物語でもあるが、描かれている戦闘は公式ストーリーにも負けないほど大規模であり、他のガンダムシリーズと同じように多くの課題を残す要素を持っている。
本作はガンダムシリーズが今ほど多くの公式設定や綿密な世界情勢の設定を施行する以前に描かれたものであるため、大筋にはガンダムの世界に則してはいるが、細部で微妙な違いが数多く点在するのも事実である。 しかし、これは本作が作られる時期が早かったのに加え、当時の予想をはるかに上回る発展を遂げたガンダムの世界観の成長を見通せるものではなかったためであり、当然仕方の無い結果といえる。
登場するMSの主体は、Ζシリーズを主軸とする一般的にMS第三世代といわれているTMS(可変モビルスーツ)であり、第四世代といわれU.C.0093年代の主役と謳われたサイコミュ搭載型MSは舞台裏に回っている。
蛇足ではあるが、本作では多くのガンダムシリーズのレギュラーメンバーの「その後」も描かれている。 公式なものではないが、興味深いものであるため後述する。
[編集] 登場人物
[編集] 主要登場人物
- タクナ・新堂・アンダースン
- 本作品主人公、20歳。連邦宇宙軍准尉(後に少尉)でΖ>(ゼータプロンプト)のパイロットである。レスキュー隊志願であったが、その操縦技術を買われ宇宙軍入りする。
- 彼にとって、この物語で描かれている2ヶ月間は人生でもっとも印象に残るものとなった。なお、彼の実の両親はネオジオンのテロによって死亡している。
- スペースボートの危機を感じ取ったり、強化人間と互角に渡り合っあたり、彼自身戦いの中でニュータイプの才能を開花させたと見られる描写がされている。
- メイファ・ギルボード
- 本作品のヒロイン。ネオ・ジオン軍の主権を握る少女で、その正体はザビ家最後の一人、ミネバ・ラオ・ザビその人である。
- タウ・リン
- 本作品の悪役。過激派リーダーでMSテロを行える数少ない人間であるため、ネオ・ジオン/ヌーベルエゥーゴ共同軍に拾われるが、作者のお気に入りで、ガンダムシリーズの伝統通り絶対的な悪ではない。その名は中国奥地の古い言葉で「金の鷹の眼」である。U.C.0072、旧香港にて痩せ細った姉と二人でその日の食事もままならない生活を送っていたが、姉は雪の降る日に警察の車に撥ねられ重傷を負ってしまう。連邦政府の腐敗により社会保障制度など皆無となっていたため、そのままタウ・リンは唯一の身内と死別する。
- 強化人間で、かなり歪んだ好戦的な性格である。最期まで両親への恨み言を口にしながら死んでいったが、タウ・リンの両親の描写は物語中一度もなかったため、なぜそのようなことを口走ったかは不明である。
- ロウ・シン
- ベクトラ艦長、50歳。宇宙軍大佐。月を守るため、軍規を破り武装封印されたベクトラを月へ急行させた名艦長。
- フョードル・クルムキン
- ベクトラ司令、62歳。宇宙軍准将。
- 寧艦が決まっていたベクトラが、月防衛の為に無断で軌道離脱を行った軍規違反により処罰されるのを防ぐために議会の説得に向かう。また戦略学校の校長でもあり、BC兵器の権威である。
- 本作の後日譚にあたる『機動戦士ガンダムReon』にも登場する。
- ラナフ・ギャリオット
- 連邦議会監査官、年齢は秘密。政府高官の母を持ち、秀でた才能を買われベクトラの監査官として搭乗している。ベクトラ内で唯一銃を携帯できる権利を持ち、ベクトラの非常事態にはあらゆるオプションを作動できる権限を持つ。
- 年下好みであり、タクナに気があったが「若さだけ」はメイファに負けていた。
- レイニー・ゴールドマン
- 地球連邦代表大統領、58歳。コロニー落としを目の当たりにした者の一人で、宇宙開発を心から嫌う反スペースノイド派である。コロニー落としの時に母を失っており、左手の甲にはいまだにコロニー落としのときに受けた火傷が残っている。事件解決に全力を尽くそうとするが守旧的な官僚達に阻まれ対策が後手に回る。
- 最終話ではジオン共和国サイド3を訪れ全人類の共生を語った。
[編集] ガンダムのメインストーリーで登場する人物
- ブライト・ノア
- 『機動戦士ガンダム』から『逆襲のシャア』までのメインストーリーすべてに登場した。本作では月軌道上の奪還作戦チーム旗艦ラー・カイラム艦長。
- カミーユ・ビダン
- 月面都市フォン・ブラウンで、ファ・ユイリィと共に医者として登場。
- ジュドー・アーシタ
- 木星ヘリウム3採集船団に搭乗し、ルー・ルカとともに登場。何気なく、ビーチャ・オーレグらしき人物も登場している。
[編集] その他登場人物
- タイラント少尉
- タクナの上司。ダブリン出身。搭乗機はZプラス。
- ウモン、サイデイ
- メイファの護衛の二人。命を懸けてメイファを守り抜く。
- ベルム・ハウエル
- ネオ・ジオン首謀者。一年戦争時はジオン軍の参謀。レウルーラに座乗。
- リャン・レイホン
- SCNN報道第2局局長。松浦三部作のひとつ『アウターガンダム』から登場。
- ジャック・ウッドワード
- 敏腕プロライター。リャンと同じく『アウターガンダム』から登場。
- アド・ガーンズバック
- 宇宙警察機構・パトロール艦「ヘルホーク」艦長。一年戦争時、同名のムサイ級巡洋艦(2砲塔タイプ)の艦長。
- エファ・ガラドリアル
- 同機構・高速探査艦「フールガータ」艦長。一年戦争時、MS-19N「カタール」のパイロット。
[編集] 登場兵器
[編集] オリジナル
- Ζプルトニウス
- 実に8年ぶりの新型TMS。モビルスーツ形態とウェーブライダー形態両方での強靭さと、デットウェイトの少なさが売りとされている。装甲は異常なほど強固で、ネオジオン軍のバズーカやマシンガンを相当数被弾しても傷ひとつ付かず、Iフィールドジェネレーターを備えている。武装もヘルメットバルカン砲・ビームサーベル・ビームライフル・テールスタビライザービームに加え、リスト部分に正体不明の砲らしきものが備えられている。
- Ζ>(ゼータプロンプト)
- 今作品オリジナルのΖシリーズ。大気圏ではビームが致命傷にならないほどの耐熱装甲を持っている。Z>(プロンプト)
- AMX-210 ヴォルテール
- ヌーベルエゥーゴの大型TMS。無人機。
- グラン・ジオング
- ネオ・ジオン/ヌーベルエゥーゴ共同軍の切り札。NT専用試作重MS。ノーマルのマニュピレータの外側に大型のマニュピレータを備えている。他、今作品オリジナルの全てのフィールドを押さえ込む特殊兵器AFS(アンチファンネルシステム)を搭載している。コックピットハッチは簡単に開けられる。ジオングの後継機であるがクィン・マンサやサイコガンダムなどの技術も踏襲している。武装は、頭部バルカン砲×4門 ビームサーベル×2 ミサイルポッド×2基 有線式クロー兼メガ粒子砲×2など。
- ファントム
- ネオ・ジオン/ヌーベルエゥーゴ共同軍の主力無人兵器。人工知能による無人兵器は松浦三部作最大のオリジナル設定であるが、唯一今作品だけは表舞台には立っていない。
- ベクトラ級宇宙空母
- 地球低軌道艦隊唯一の戦力にして、宇宙軍最大の宇宙軍艦。本来は外惑星(木星など)圏空母として建造され十分すぎるほどの居住空間を持っている。しかし、あまりにも強大な戦力となってしまうので、大統領命令により搭載予定のジェネレータを12基から6基と半減させされ、地球衛星軌道上を慣性航行している。
- アウーラ級戦艦
- ネオジオン・ヌーベルエゥーゴ共同軍の切り札となる万能戦艦。前方に宇宙船艦隊を一撃で全滅させてしまうほど強力なビーム砲を3門と、ベクトラの主砲にさえ耐えられる広域展開ビームバリアを備えた、純粋な攻撃のためだけの戦艦。
[編集] その他
地球連邦軍
- モビルスーツ
- 軍艦
- ネオ・ジオン/ヌーベルエゥーゴ共同軍
- モビルスーツ
- 軍艦
[編集] 下巻に収録された作品
- HIGH LANDERS
- ムーンクライシス外伝作品。タクナがベクトラ勤務着任三日後の出来事を収録。
- 機動戦士ガンダム 敵中逃亡者
- 一年戦争時の物語。連邦の作戦に引っかかり、連邦制圧地域の中心に落ちたザクにスポットを当てた作品。
- 機動武闘伝Gガンダム 硝煙の果て
- ネオベルギーを通りかかったネオジャパン一行が、すでに敗れたネオベルギー代表にガンダムファイトを要求される。
[編集] 関連項目
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