武者ガンダム
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武者ガンダム(むしゃガンダム、武者頑駄無)とは、和風の鎧姿をしたSDガンダムのことである。元々は最初に誕生した武者頑駄無個人の名前であったが、現在では一般的にSDガンダムにおけるシリーズの総称として使われる。
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[編集] 概要
一般的にガンダムシリーズの中の作品群の一つで、等身が小さくデフォルメされているSDガンダムのうちの一つであり、スーパーデフォルメ(SD)された鎧武者姿のガンダムのことを武者ガンダムという。シリーズの舞台設定が日本の戦国時代を意識したものとなっており、カタカナを避け武者頑駄無(むしゃがんだむ)と漢字で表記されることも多い。
「ムシャジェネレーション」と鉄機武者を除く全ての武者ガンダムシリーズでの武者は機械(ロボット)ではなくあくまで一個の生命体として描かれており、種族固体として人間と多少の誤差はあれど、ほぼ同様に成長していく。ファンの中には擬人化ならぬ人間の擬ガンダム化とでもいうべき解釈をしている者が多いのも他のSDガンダムシリーズとは異なる特徴である。
[編集] 武者ガンダムの展開
[編集] SD以前
武者ガンダムは、原作クラフト団・作画やまと虹一の漫画『プラモ狂四郎』にて初めて世に姿を現した。主人公の狂四郎が茂合岩男との決戦のために造り上げたオリジナルガンダムの一つである。そのためSD化された後でも武者頑駄無には企画原案としてクラフト団の代表である安井尚志とやまと虹一のクレジットがある。 当時テレビ放映中だった『機動戦士Ζガンダム』に登場するガンダムMk-IIをモデルに、戦国時代の武者をモチーフにした鎧兜や刀などの装備をさせたその斬新なデザインが好評を博した。後に作中には武者ガンダムMk-II、武者Ζガンダムなどの発展型が登場し、『新プラモ狂四郎』で再登場を果たす。
[編集] SD以後
その後もファンの間では根強い人気が続いていたが、1987年にはSDガンダムのガシャポンMK13、1988年のプラモデルのBB戦士No.17「ムシャガンダム」としての立体化、ファミコンソフト「SDガンダムガシャポンウォーズ」でのボスキャラでの採用等をきっかけに小学生を中心に人気に火がつき、SDガンダムというジャンルの中から「武者ガンダム」というジャンルが独立することになった。
武者ガンダムの物語、「SD戦国伝」は当初、BB戦士No.17「ムシャガンダム」の組立説明書に掲載されているMARSHIこと今石進による漫画『コミックワールド』に「七人の頑駄無」と題された話を元に、BB戦士の販売元バンダイと『コミックボンボン』とのタイアップ企画として始まった。(正式にタイアップとされたのは「農丸頑駄無 天地大河スペシャル」)その後、発売されるBB戦士の組立説明書には「武者七人衆編」として物語が連載され、そのコミックワールドを補足する形で『ボンボン』誌上ではSDガンダムのデザインを考案した横井孝二(別名;鳥山劣)の筆による『元祖! SDガンダム』や各種記事などで特集が組まれた。
さらに、1990年に発売されたムック『SD武者ガンダム完全保存版全百科』に掲載された読み切り漫画をきっかけに『ボンボン』増刊号である『ボンボンスペシャル』誌上にて武者ガンダムの生みの親であるやまと虹一による漫画『SD武者ガンダム風雲録』がスタート。組立説明書の付録という制限上、コミックワールドでは描ききれなかったストーリーがより詳しく描かれることになった。その後機動戦士SDガンダムの一編としてOVA化もされた。
日本の戦国時代をモチ−フにしている「SD戦国伝」だが、唯一の例外を除いて実在の戦国武将に関わる話が無かった。その唯一の例外が「武者七人衆編」後に展開された「天と地と編」の「信玄頑駄無」と「謙信頑駄無」で、新頑駄無城完成祝賀奉納模擬合戦の最中、武者と精太にそれぞれ武田信玄と上杉謙信の魂が乗り移ったかのような大激闘を演じたとされている。これは当時角川映画で公開されていた海音寺潮五郎原作の映画「天と地と」のメディアミックス宣略になっていると思われるが正式なアナウンスは無かった。後に SDガンダムフォースにも登場する頑駄無達の居城「天地城」の名はこの逸話に由来する。
また八頭身の所謂リアル体型の武者ガンダムも商品化された。プラモデルとしては1990年に発売された『モビルスーツ戦国伝』(武者、摩亜屈、仁宇の計3種)がある。ただしデザインは『プラモ狂四郎』版ではなくSDガンダム「武者七人衆編」のデザインを準拠しており、しかも「武者頑駄無」は「農丸頑駄無 天地大河スペシャル」が元デザインである。説明書には『機動戦士ガンダム』の物語を戦国時代風にアレンジした解説が入っていた。当時としては画期的な構造のガンプラだったが、それが災いして現在まで再販されていない。玩具としては機動戦士Ζガンダム及び機動戦士ガンダムZZ放送時に発売されていた1/100スケールのDX玩具を素体に(摩亜屈、精太、駄舞留精太の計3種)新規パーツの鎧兜を取り付けるという聖闘士聖衣大系で養ったバンダイのスキルが生かされた商品であった。ちなみに素体になったDX版玩具は鎧取り付け穴以外は元の玩具そのままなのでウェイブライダーやGフォートレス等の変形・合体が楽しめた。
2007年に発売されたプレイステーション3のゲームガンダム無双では、カトキハジメによりデザインされたリアル体型の武者ガンダムが登場した。
[編集] ムシャジェネレーション以降
- TVアニメ「 SDガンダムフォース」
- 主要キャラクターの一人がシャイニングガンダムが元ネタの武者頑駄無爆熱丸。また武者の世界にある国が天宮(アーク)であったり、天地城が登場する事からなんらかの繋がりがあると思われるが、同一世界であるラクロア(騎士の国)での魔法原理が異なるため、平行世界の中に存在するもう一つの天宮・ラクロアが存在する世界と見たほうが正しい。(騎士ガンダムでは神であるスペリオルドラゴンが精霊である事、騎士ガンダム世界を示す名が【スダ・ドアカ・ワールド】ではなく【ソラディオラーマ】である事など)
- 武者烈伝 武化舞可編
- 今作において「SD戦国伝 武者七人衆編」での武者七人衆は光の七人衆としてリメイクされている為、同一世界軸では無いと感じた人もいるようだが、説明書等から過去の時代から続くれっきとした同一世界軸である事は明言されている。
[編集] 他シリーズとのクロスオーバー
SD戦国伝・新SD戦国伝は騎士ガンダムやSDコマンド戦記、ガンドランダーとのクロスオーバーがあり、これらの世界は一つの惑星ないし同一次元の設定となっている。
- 『SDガンダム外伝 ジークジオン編』の騎士ガンダムとサタンガンダムは『SD戦国伝 武者七人衆編』の頑駄無真悪参の善の心と悪の心が分裂した姿(ただし、後にスペリオルドラゴンが分裂した姿という設定が付加されたのでややこしい事になっている。大まかに説明すれば、戦国外伝ひっくるめた世界を管理する12人の神様の中にスペリオルドラゴンという竜の神がいて、この人が地上の戦いに関与する為には地上の肉体に光臨する必要があり、選んだ仮の肉体が頑駄無真悪参だった。諸事情でその体を善と悪の2つにわけて、それが元に戻ったのが、現在のスペリオルドラゴンだというのか大体の結論である)。
- 『SDコマンド戦記』の海賊騎士キャプテンレッドは『SDガンダム外伝 円卓の騎士編』の麗騎士レッドウォーリアの子孫である。
- 『SDコマンド戦記』のガンセイヴァーZは【過去の世界】である天宮へタイムスリップし、『新SD戦国伝 伝説の大将軍編』で頑星刃(がんせいばー)として活躍した。
- 『SDコマンド戦記』で登場したのヤクザ集団『闇一族』の組長はザクト、ほかに殺駆三兄弟も登場。
- 『SDガンダム外伝 円卓の騎士編』の麗騎士レッドウォーリアは、『新SD戦国伝 地上最強編』の赤龍頑駄無と顔見知りである。(ケイブンシャ発行・SDガンダム大百科より)
- 『新SD戦国伝 超機動大将軍編』の武者真紅主・武者鷺主・武者冒流刀は、それぞれ『SDコマンド戦記』のマゼラン大陸(間違える人も多いが、『SDコマンド戦記』の時代のマゼラン大陸では無く、武者頑駄無時代のマゼラン大陸から来たのである) 、『騎士ガンダム』のスダ・ドアカワールド、『ガンドランダー』のガンドランド世界からやってきた。
また新SD戦国伝では宇宙世紀、ムシャジェネレーションでは正暦世界の延長線上にあるような演出もなされている。
元々が「ごちゃ混ぜ」の状況から分化していった感のあるSDガンダムの各シリーズはカード、漫画、雑誌、プラモデルなどで頻繁にクロスオーバーを行っているが、媒体によって微妙に設定が違ったり記述に矛盾が見られたりする。これはクロスオーバーがあくまでファンの想像の幅を広げる一種のお遊び的ギミックであるという性質が強く、厳密な設定を持たせていないことによるとも考えられる。
[編集] シリーズ一覧
[編集] SD戦国伝
- SD戦国伝 武者七人衆編 (1988年 - 1990年)
- SD戦国伝 風林火山編 (1990年 - 1991年)
- SD戦国伝 天下統一編 (1991年 - 1992年)
- SD戦国伝 天下泰平編 (1993年)
[編集] 新SD戦国伝
- 新SD戦国伝 地上最強編 (1992年 - 1993年)
- 新SD戦国伝 伝説の大将軍編 (1993年 - 1994年)
- 新SD戦国伝 七人の超将軍編 (1994年 - 1995年)
- 新SD戦国伝 超機動大将軍 (1995年 - 1996年)
- 新SD戦国伝 機動武者大戦 (1996年、プレイステーション)
[編集] 超SD戦国伝
- 超SD戦国伝 武神輝羅鋼 (1996年 - 1997年)
- 超SD戦国伝 刕覇大将軍 (1997年 - 1998年)
- 新SD戦国伝 天星七人衆 (1998年 - 1999年)
[編集] ムシャ戦記
- ムシャ戦記 光の変幻編 (1999年 - 2000年)
[編集] ムシャジェネレーション
- SDガンダム ムシャジェネレーション (2000年)
[編集] 武者○伝
- SD頑駄無 武者○伝 (2001年 - 2002年)
- SD頑駄無 武者○伝2 (2002年 - 2003年)
- SD頑駄無 武者○伝III (2003年 - 2004年)
[編集] 武者烈伝
- SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝 武化舞可編 (2004年 - 2005年)
- 武者烈伝・零 (2004年 - 2005年)
[編集] 武者番長風雲録
- 武者番長風雲録(2006年 - )
[編集] 派生シリーズ
当時SD戦国伝の人気にあやかり、超時空要塞マクロスに登場するバトロイドに実在の戦国武将の名前と鎧兜を施した「超時空列伝 真空路守(マクロス)」なるプラモデルシリーズ(計8種)も同じバンダイから発売されていた。こちらの組立説明書に掲載されている4コマ漫画もMARSHIこと今石進によるもの。