江差線
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江差線(えさしせん)は、北海道渡島支庁管内の函館市の五稜郭駅から木古内駅(上磯郡木古内町)を経て、檜山支庁檜山郡江差町の江差駅を結ぶ 北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(地方交通線)である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄:
- 路線距離(営業キロ):79.9km(五稜郭~木古内間37.8km)
- 軌間:1,067mm
- 駅数:21駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:五稜郭~木古内(交流20,000V・50Hz)
- 閉塞方式:
- 五稜郭~木古内間 単線自動閉塞式
- 木古内~湯ノ岱間 特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 湯ノ岱~江差間 スタフ閉塞式
- 交換可能な駅は駅一覧を参照。
- 最高速度:100km/h(五稜郭~木古内間)
[編集] 歴史
1913年に上磯軽便線として開業していた鉄道を、1930年から1936年にかけて江差まで延長したもので、改正鉄道敷設法別表第129号前段に規定する予定線(「渡島国上磯ヨリ木古内ヲ経テ江差ニ至ル鉄道」)である。
五稜郭~木古内間は青函トンネルの北海道側の接続路線とされ、1988年3月の海峡線開業に合わせて電化等の改良工事が実施され、本州と北海道を直結する幹線ルート津軽海峡線の一部となった。一方、木古内~江差間は非電化のローカル線として取り残された。予定線の後段である「木古内ヨリ分岐シテ大島ニ至ル鉄道」も松前線として木古内~松前間が開業していたが、国鉄再建法により特定地方交通線に指定され、海峡線の開業に先立って1988年2月1日に廃止された。1968年に選定された「赤字83線」にも挙げられている同路線が存続したのは輸送量の多い五稜郭~木古内間が含まれていたからともいわれる。
北海道新幹線の新青森~新函館間の開業(2015年開業予定)に伴い、江差線はJRから経営分離・第三セクター鉄道会社への移管が予想されるが、利用者数の少ない木古内~江差間は新幹線開業と同時にそのまま廃止・バス転換される見込み。
- 1913年9月15日 上磯軽便線五稜郭~上磯間(5.4M≒8.8km)開業
- 1922年9月2日 線名改称 上磯線
- 1930年10月25日 上磯~木古内間(29.0km)延伸開業
- 1935年12月10日 木古内~湯ノ岱間(21.4km)延伸開業
- 1936年11月10日 湯ノ岱~江差間(20.7km)延伸開業(全通)。線名改称江差線(五稜郭~江差)
- 1960年10月1日 函館~江差間を運行する準急列車「えさし」運行開始
- 1963年12月1日 函館~江差間を運行する準急列車として「おくしり」・「ひやま」、函館~松前線松前間運行の「松前」が運行を開始
- 1966年10月1日 函館~江差間を運行する準急列車の名称を「えさし」に統一
- 1968年10月1日 「えさし」・「松前」急行列車に昇格
- 1972年3月15日 「えさし」1往復減便され、2往復での運行となる。
- 1973年10月1日 「えさし」下り1本減便され、上り函館行き2本・下り江差行き1本のみの運行となる。
- 1980年10月1日 「えさし」・「松前」廃止。以降、海峡線開通に伴う本州連絡列車まで優等列車の設定はない。
- 1982年11月15日 上磯~江差間貨物営業廃止
- 1985年3月14日 五稜郭~上磯間貨物営業廃止
- 1986年~1988年頃、函館~上磯間の区間列車(普通列車)に“わくわく号”の名称が与えられる。
- 1987年4月1日 国鉄民営化に伴い北海道旅客鉄道に承継
- 1988年3月13日 海峡線開業。五稜郭~木古内間電化。同区間で日本貨物鉄道が第2種鉄道事業開始。なお、津軽海峡線にあわせて上り・下りを逆転させ、江差方面が上り、五稜郭方面が下りになる。
- 1990年7月1日 矢不来信号場開設(上磯~茂辺地間)
[編集] 運転
[編集] 広域輸送(五稜郭~木古内間)
五稜郭~木古内間は、津軽海峡線の一部として東北新幹線連絡特急「スーパー白鳥」・「白鳥」が2002年12月から運転されている。以前は1988年の海峡線開通時から快速「海峡」が運転されていたが、「スーパー白鳥」・「白鳥」の運転開始に伴い廃止されている。また、東京と札幌を結ぶ寝台特急「北斗星」や「カシオペア」、大阪方面からの「トワイライトエクスプレス」も通過する。
このほか、貨物列車が多数運転されている。
[編集] 地域輸送
函館駅を起点に上磯、木古内、江差方面に向かう列車はワンマン運転されている。
沿線の渡島支庁は高知県やすでに東北新幹線の通っている岩手県等よりも人口密度が高く、五稜郭~木古内間の普通列車本数は、東北新幹線開業前の盛岡~八戸間の並行在来線くらいあり、特に五稜郭~上磯で本数が最も多く混雑する。
一方、木古内~江差間は完全にローカル輸送であり、1日6往復の設定。渡島鶴岡駅、吉堀駅、神明駅については、一部の列車が通過する。
[編集] 列車番号
起点は五稜郭駅であり、江差方面に向かう列車が下りとなる。海峡線の開通に伴い本州との接続駅が函館駅から木古内駅に変わったため、江差方面の列車に本来上り列車に付けられる偶数の列車番号が付けられるようになった。
[編集] 駅一覧
- *:交換可能駅
- 電化方式:交流:20,000V・50Hz
路線名 | 愛称 | 電化方式 | 駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
※ | 津軽海峡線 | 交流 | 函館駅* | 3.4 | 函館市電:本線・大森線(函館駅前停留場) | 北海道 | 函館市 |
五稜郭駅* | 0.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線(長万部駅方面) | |||||
江差線 | |||||||
七重浜駅* | 2.7 | 北斗市 | |||||
東久根別駅 | 5.3 | ||||||
久根別駅* | 6.5 | ||||||
清川口駅 | 7.6 | ||||||
上磯駅* | 8.8 | ||||||
矢不来信号場* | (14.3) | ||||||
茂辺地駅* | 17.6 | ||||||
渡島当別駅* | 22.6 | ||||||
釜谷駅* | 27.5 | 上磯郡木古内町 | |||||
泉沢駅* | 30.6 | ||||||
札苅駅* | 34.0 | ||||||
木古内駅* | 37.8 | 北海道旅客鉄道:海峡線(函館駅方面と直通) | |||||
非電化 | |||||||
渡島鶴岡駅 | 40.1 | ||||||
吉堀駅 | 43.2 | ||||||
神明駅 | 56.4 | 檜山郡上ノ国町 | |||||
湯ノ岱駅* | 59.2 | ||||||
宮越駅 | 66.3 | ||||||
桂岡駅 | 68.5 | ||||||
中須田駅 | 70.6 | ||||||
上ノ国駅 | 73.8 | ||||||
江差駅 | 79.9 | 檜山郡江差町 |
[編集] 過去の接続路線
- 木古内駅:松前線 - 1988年2月1日廃止