内閣総理大臣秘書官
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内閣総理大臣秘書官(ないかくそうりだいじんひしょかん)とは、国家公務員の役職のひとつ。内閣総理大臣に常に付き従って、機密に関する事務を取り扱い、また総理の臨時の命により政府各部局や与党等との調整に当たる役職である。俗に首相秘書官と略される。
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[編集] 根拠となる法令
内閣総理大臣秘書官は内閣法第20条により内閣官房に置かれ、内閣官房組織令第11条によりその定数は5人と定められている。これらの秘書官は、国家公務員法第2条により特別職の国家公務員とされている。
[編集] 秘書官の構成
総理秘書官は慣例的に政務担当1名、事務担当4名の計5名で構成される。
[編集] 政務担当秘書官(首席秘書官)
政務を担当する政務担当秘書官は、一般的に首席秘書官と呼ばれることもある。これは法的に定められているわけではない俗称である。内部的・非公式な序列はあるだろうが、法的には事務担当秘書官も同列の扱いである。
政務担当秘書官には、通常は総理の国会議員秘書として長年仕えてきた人物が任命される。しかしながら、橋本龍太郎総理が当時通産官僚であった江田憲司を呼び寄せたように、ごく希に官僚から選ぶ場合もある。基本的に総理の信頼の厚い人物が選ばれるため、総理に対して影響力を持つことが多いと言われる。
主な業務は、首相のスケジュールの最終的な調整を担当したり、首相とともに長い間永田町で仕事をしてきた実績や人脈を生かして自民党や野党との密かな連絡調整役となったりする。特に近年はマスコミ対応も重要な仕事 と見做されている。内閣官房長官が「首相の女房役」なら、政務秘書官は「首相の右腕」といったところであろう。
報道での「総理周辺情報によると~」という表現は、もっぱら政務担当秘書官の非公式の言葉を指す。
[編集] 事務担当秘書官
事務担当秘書官には外務省、財務省、経済産業省、警察庁の各省庁から課長級又は局次長・審議官級の人物が出向する。それぞれが1府12省庁の処務を分担して受け持ち、各省庁と首相官邸の連絡役として調整を行う。
[編集] 歴代総理の政務担当秘書官
- 岸信介総理: 安倍晋太郎秘書官
- 池田勇人総理: 伊藤昌哉秘書官
- 佐藤栄作総理: 楠田實秘書官
- 田中角栄総理: 早坂茂三秘書官
- 三木武夫総理: 中村慶一郎秘書官
- 福田赳夫総理: 福田康夫秘書官
- 大平正芳総理: 森田一秘書官
- 海部俊樹総理: 金石清禅秘書官
- 村山富市総理: 佐瀬順二郎秘書官
- 橋本龍太郎総理: 江田憲司秘書官
- 小渕恵三総理: 古川俊隆秘書官
- 小泉純一郎総理: 飯島勲秘書官
- 安倍晋三総理:井上義行秘書官