第27師団 (日本軍)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第27師団(だいにじゅうななしだん)は、大日本帝国陸軍の師団の一つ。北京議定書により中国に駐屯していた支那駐屯軍隷下の支那駐屯歩兵旅団を前身とする支那駐屯兵団を母体に、第26師団に引き続き「歩兵三個連隊制師団」として編成された。
北清事変後に締結された北京議定書により清国駐屯軍として発足した支那駐屯軍は、北支情勢の悪化に備え昭和11年4月18日に、支那駐屯歩兵第1連隊(司令部:北平、連隊長:牟田口廉也大佐)、歩兵第2連隊(天津、萱嶋高大佐)、砲兵連隊(天津、鈴木率道大佐)などから成る支那駐屯歩兵旅団(北平、旅団長:河辺正三少将)を新設、それまで歩兵10個中隊程度の規模であったのを混成旅団程度に強化した。その後昭和12年8月31日には支那駐屯軍は廃止され、支那駐屯歩兵旅団は歩兵第3連隊を増加し支那駐屯混成旅団(旅団長:山下奉文少将)に改編、新設の北支那方面軍の戦闘序列に入り、昭和13年3月12日に支那駐屯兵団に改称された。
昭和13年6月21日、支那駐屯兵団を母体にし第27師団の編制が下令され、同年7月4日の大陸命第133号によって中支那派遣軍隷下の第11軍戦闘序列に編入、同年7月25日に武漢攻略戦に投入される。作戦が終了すると天津付近の警備を担当、翌昭和14年9月から新設の支那派遣軍に編入され直轄師団となり、引き続き華北方面の警備に当る。その後、昭和17年7月大陸命第803号により関東軍戦闘序列に編入され満州・錦州に司令部を置き駐屯する。
昭和19年3月17日大陸打通作戦参加の為駐屯地の錦州を発ち、4月17日から黄河を敵前渡河、19日鄭州を占領、5月9日確山に至り京漢陸路の打通に成功、北進してきた第11軍部隊と合流再び第11軍戦闘序列に編入され第二段の湘桂作戦に参加する。同年11月からは粤漢作戦に参加し翌20年1月30日には遂川飛行場を占領する。その後更に南下し第23軍隷下華南・広東に移駐、広東(香港近辺)に展開して連合軍の中国南部上陸に備えていたが、連合軍が沖縄に上陸するなど戦局の変化により同年4月18日には再度支那派遣軍直轄師団となり広東から上海方面に向け移動中当時日本軍の支配地域であった南昌に入ったところで終戦を迎える。終戦後は無錫に駐屯、上海から佐世保経由で復員する。
隷下の支那駐屯歩兵第1、第2連隊は、元々条約に基づく正規駐留軍であり、盧溝橋事件直後東条英機中将率いるチャハル派遣兵団が独断で占領した大同を警備する目的で、独立混成第11旅団を基幹として編成された第26師団がフィリピン戦線に転用され、レイテ島上陸の際装備を失いほとんど丸腰で自戦自活を強いられたのに比し、第27師団は中国大陸を出ること無しに終戦を迎える。
目次 |
[編集] 師団概要
[編集] 師団長
- 本間雅晴 中将:昭和13年7月15日 - 昭和15年12月2日
- 冨永信政 中将:昭和15年12月2日 - 昭和17年3月2日
- 原田熊吉 中将:昭和17年3月2日 - 昭和17年11月9日
- 竹下義晴 中将:昭和17年11月9日 - 昭和19年5月30日
- 落合甚九郎 中将:昭和19年5月30日 - 終戦
[編集] 参謀長
- 原田義和 大佐:昭和13年7月20日 - 昭和14年8月1日
- 太田公秀 大佐:昭和14年8月1日 - 昭和15年10月23日
- 関根久太郎 大佐:昭和15年10月23日 - 昭和19年8月3日
- 一色正雄 大佐:昭和19年8月3日 -
[編集] 兵器部長
- 嶋田乙彦 中佐:昭和16年8月1日 - 昭和18年8月2日
- 蚊野豊次 中佐:昭和18年8月2日 - 昭和20年5月25日
- 山崎清吾 中佐:昭和20年5月25日 -
[編集] 経理部長
- 原田佐次郎 主計中佐:昭和13年7月15日 - 昭和14年8月1日
- 秋田銀一 主計中佐:昭和14年8月1日 - 昭和15年12月2日
- 西山霜次郎 主計中佐:昭和15年12月2日 - 昭和16年11月6日
- 岡屋正治 主計大佐:昭和16年11月6日 -
[編集] 軍医部長
- 後藤鐐枝 軍医大佐:昭和13年7月15日 - 昭和15年8月1日
- 新田太郎 軍医大佐:昭和15年8月1日 - 昭和17年8月1日
- 大坪美登 軍医大佐:昭和17年8月1日 -
[編集] 獣医部長
- 清水岩参郎 獣医中佐:昭和16年3月1日 - 昭和18年4月2日
- 川田京二 獣医少佐:昭和18年4月2日 -
[編集] 隷下部隊
※昭和19年1月15日を以って第27歩兵団は復員する。
- 師団司令部
- 第27歩兵団
- 第27歩兵団司令部
- 支那駐屯歩兵第1連隊(佐倉)
- 支那駐屯歩兵第2連隊(東京)
- 支那駐屯歩兵第3連隊(甲府)
- 山砲兵第27連隊
- 工兵第27連隊
- 輜重兵第27連隊
- 師団捜索隊
- 師団通信隊
- 師団衛生隊
- 師団兵器勤務隊
- 師団第1野戦病院
- 師団第2野戦病院
- 師団第3野戦病院
- 師団第4野戦病院
[編集] 部隊歌
- 第二十七師団の歌(一番のみ)
- 作詞・作曲:不詳 著作権:無登録
- 北支の天地 京津の
- 山河に刻む 四十年
- 駐屯軍の 名は薫る
- 勇士幾千 紅の
- 血に彩りし 伝統と
- 矜持を受けて 生まれたる
- わが兵団 わが兵団
- わが兵団は 天下の精鋭