綾瀬川
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川口市と越谷市の境(2004年3月) |
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水系 | 中川水系 | |||
延長 | 49 km | |||
水源の標高 | ? m | |||
平均流量 | ? m³/s | |||
流域面積 | 165.2 km² | |||
水源 | 桶川市 | |||
河口 | 中川(東京都葛飾区) | |||
流域 | 埼玉県・東京都 |
綾瀬川(あやせかわ、あやせがわ)は、中川の支流で、埼玉県桶川市から東京都葛飾区まで流れる川である。全長49.0km、 流域面積165.2km2。
目次 |
[編集] 地理
桶川市の小針領家に源を発し、少し北に向かってから市営運動場の角を右に曲がって東に向かう。その後、ゆっくりと方向を南東に変えて北足立郡伊奈町と蓮田市の境となる。右岸が上尾市に変わるところで、原市沼川を合わせる。
その後はゆるく蛇行しながら南東に流れ、いくつもの農業用水や排水路の水をあわせてしだいに流量を増す。こうして草加市、越谷市あたりでは川幅が数十メートルになる。しかし草加市で綾瀬川放水路を東に分け、一気に流量を減らす。綾瀬川放水路は洪水防止のために作られたもので、東京外環自動車道の下を通って中川に流れ込む。
草加市内では古綾瀬川を合わせ、東京都足立区と埼玉県八潮市の境に入る辺りで伝右川、毛長川を合わせる。足立区では花畑運河で中川と連絡する。葛飾区で荒川の左に沿って流れ、区内の東四つ木で中川に合流する。
少し前は日本一きたない川だった。
[編集] 歴史
綾瀬川は戦国時代に利根川と荒川の本流であった。当時の利根川・荒川は、今の綾瀬川源流の近く、桶川市と南埼玉郡菖蒲町の境まで元荒川の流路をたどり、そこから今の綾瀬川の流路に入った。今の元荒川下流は、当時星川のものであった。戦国時代にこの間を西から東につなぐ水路が開削されて本流が東に流れるようになり、綾瀬川が分離した。
綾瀬川の川筋は、武蔵国内の足立郡と埼玉郡の境界とされていた。
江戸時代はじめまで、綾瀬川中下流は低湿地で通行が困難であった。大雨が降るたびに川筋が変わり、一定しないことから「あやし川」と呼ばれ、後に「綾瀬川」と変わっていったと伝えられる。まず伊奈忠次らによって堤が整備され、伊奈忠治らによって流量を調整するために武蔵国足立郡内匠新田(現足立区南花畑の内匠橋付近)~葛飾郡小菅間に平行して新綾瀬川が開削された(現在の綾瀬川はこの新しい流路を指す)。
当時の日光街道 (奥州街道) は、江戸付近の千住宿から、いったん東に回って松戸宿を経由し、西に戻って越ヶ谷宿に出てから北に向かっていた。寛永7年 (1630年) に草加宿の設置が決まり、おそらくこれにあわせて天和3年 (1683年) 年に綾瀬川の直線化の工事が行なわれた。これ以後、日光街道は一部綾瀬川沿いを通るようになった。
[編集] 現代の綾瀬川
20世紀半ばまでは水がきれいでホタルが飛んでいたが、その後水質が悪化し、日本一汚れた川とされるまでになった。20世紀末から徐々に回復し、鯉や鮒が棲むようになったが、同時期に他の川の状況も改善したため、日本国内の他の川と比べればなお悪い。2004年の調査でまた日本一汚れた川となった。
現在埼玉高速鉄道線のトンネルを活用して荒川の水を引き込み、芝川同様綾瀬川に注ぐことで水質を改善する工夫が行われている。
[編集] 綾瀬川由来の町村名
町制施行の際に改称されたり編入された結果、現在はいずれも存在しないが、これによって本来は河川の名前であった「綾瀬」が綾瀬川流域のうちの特定の地域名または地区名として定着することになった。
- 埼玉県南埼玉郡綾瀬村
- 1889年4月1日 - 蓮田村・閏戸村・貝塚村が合併して「綾瀬村」が発足
- 1934年10月1日 - 町制を施行し、「蓮田町」と改称
- 東京府南葛飾郡南綾瀬村
- 1889年5月1日 - 下千葉村・上千葉村・小菅村・小谷野村・堀切村・柳原村などが合併して「南綾瀬村」が発足。
- 1928年2月1日 - 町制を施行して「南綾瀬町」となる。
- 1932年10月1日 - 東京市へ編入。葛飾区の一部となる。
[編集] 主な支流・分流
[編集] 綾瀬川に架かる橋梁
- 境橋
- 上綾瀬橋
- 石神井橋
- 榎戸橋
- 大針橋
- 小貝戸新橋
- 吾庵橋
- 小貝戸橋
- 東北新幹線
- 大関橋
- 前原橋
- 綾瀬橋
- 別所橋
- 立会橋
- 東北本線
- 八幡橋
- 関橋
- 前原橋
- 風間橋
- 東武野田線
- 大橋
- 新簀子橋
- 下沼橋
- 畷橋
- 武蔵野線
[編集] 河川環境保全
2006年(平成18年)に環境省から発表されたデータによると、公共用水域環境基準を超えるダイオキシン類が検出されている。また古綾瀬川の底質ダイオキシン類対策については先進的な取り組みがなされている。
[編集] 参考文献
- 松浦茂樹『国土づくりの礎』、1997年、鹿島出版会。ISBN 4-309-02320-6