自然単位系
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自然単位系(しぜんたんいけい)は、マックス・プランクによって提唱された単位系である。プランク単位系(プランクたんいけい)ともいう。自然単位系は以下に示す基本的な物理定数のみに基づいて定義されており、自然単位系ではこれらの物理定数の値が 1 になる。
定数 | 記号 | 次元 |
---|---|---|
真空中の光速度 | L T-1 | |
万有引力定数 | M-1L3T-2 | |
ディラック定数(換算プランク定数ともいう) | (はプランク定数) | ML2T-1 |
クーロン力定数 | (は真空中の誘電率) | Q-2 M L3 T-2 |
ボルツマン定数 | ML2T-2Θ-1 |
自然単位系は物理学者によって「神の単位」と半ばユーモラスに言及される。自然単位系は人間中心的な自由裁量が除かれた単位系であり、一部の物理学者は地球外の知的生命体も同じ単位系を使用しているに違いないと信じている。
自然単位系は、物理学者が問題を再構成するのに役立つ。
自然単位系を使用すると変換定数が不要になるため、下記のように多くの物理学の方程式が単純化されるという利点がある。そのため、自然単位系は特に量子重力の分野でよく使われる。
方程式の名称 | 一般の単位系 | 自然単位系 |
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ニュートンの万有引力の法則 | ||
シュレーディンガー方程式 | ||
角周波数の素粒子や光子が持つエネルギー | ||
アインシュタインの質量とエネルギーの方程式 | ||
アインシュタイン方程式 | ||
熱の運動エネルギー | ||
クーロンの法則 | ||
マクスウェルの方程式 |
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[編集] 基本プランク単位
上述の5つの数値を 1 とすることで、時間・長さ・質量・電荷・温度の5つの基本単位が定義される。
名称 | 次元 | Expression | SI単位でのおよその値 |
---|---|---|---|
プランク時間 | 時間 (T) | 5.39121 × 10-44 s | |
プランク長 | 長さ (L) | 1.61624 × 10-35 m | |
プランク質量 | 質量 (M) | 2.17645 × 10-8 kg | |
プランク電荷 | 電荷 (Q) | 1.8755459 × 10-18 C | |
プランク温度 | 温度 (Θ) | 1.41679 × 1032 K |
従って、5つの物理定数はこれらの基本プランク単位により以下のように書き表すことができる。
[編集] 派生プランク単位
他の単位系と同様に、以下の物理量の単位は基本プランク単位に基づいて定義される。
名称 | 次元 | Expression | Approx. SI equivalent measure |
---|---|---|---|
プランクエネルギー | エネルギー (ML2T-2) | 1.9561 × 109 J | |
プランク力 | 力 (MLT-2) | 1.21027 × 1044 N | |
プランク仕事率(?) | 仕事率 (ML2T-3) | 3.62831 × 1052 W | |
プランク密度 | 密度 (ML-3) | 5.15500 × 1096 kg/m3 | |
プランク角周波数 | 周波数 (T-1) | 1.85487 × 1043 rad/s | |
プランク圧力 | 圧力 (ML-1T-2) | 4.63309 × 10113 Pa | |
プランク電流 | 電流 (QT-1) | 3.4789 × 1025 A | |
プランク電圧 | 電圧 (ML2T-2Q-1) | 1.04295 × 1027 V | |
プランクインピーダンス | 電気抵抗 (ML2T-1Q-2) | 2.99792458 × 101 Ω |