藤原南家
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
藤原南家(ふじわらなんけ)とは、右大臣藤原不比等の長男藤原武智麻呂を祖とする家系。藤原武智麻呂の邸宅が弟の藤原房前の邸宅よりも南に位置したことがこの名の由来。奈良時代には全盛を誇ったが、764年(天平宝字8年)藤原仲麻呂が乱を起こした(恵美押勝の乱)以後は、北家に勢力をおさえられ平安時代に入ると政治的にも衰退したが、多くの学者を輩出した。院政期に院近臣として勢威を得た藤原通憲(信西)はその代表である。また平安中期に武人として頭角を顕した藤原為憲の子孫は各地に広がり、伊東氏、工藤氏、二階堂氏、相良氏、吉川氏といった各氏の祖となった。
目次 |
[編集] 一族
- 藤原豊成 - 武智麻呂の長男。
- 藤原仲麻呂(恵美押勝) - 武智麻呂の次男。
- 藤原乙麻呂 - 武智麻呂の三男。
- 藤原巨勢麻呂 - 武智麻呂の四男。関東武士の工藤氏を輩出。
- 藤原継縄 - 豊成の次男。
- 中将姫 - 豊成の娘という伝説上の人物。
- 藤原真従 - 仲麻呂の子。
- 藤原真先 - 仲麻呂の子。
- 藤原久須麻呂 - 仲麻呂の子。
- 藤原朝狩 - 仲麻呂の子。
- 藤原辛加知 - 仲麻呂の子。
- 徳一 - 仲麻呂の子。
- 藤原是公 - 乙麻呂の子。
- 藤原吉子 - 是公の娘。桓武天皇夫人、伊予親王母。
- 藤原保則 - 継縄の曾孫。元慶の乱を鎮撫。
- 藤原清貫 - 保則の子。
- 藤原敏行 - 歌人。武智麻呂の来孫(孫の孫)。
- 藤原元真 - 歌人。
- 藤原為憲 - 武人。平将門追討に功あり。
- 右近 - 歌人。
- 藤原棟世 - 清少納言の夫。
- 小馬命婦 - 歌人。棟世の娘。
- 覚運 - 天台宗檀那流の祖。
- 藤原保昌 - 藤原道長四天王の一人。武人として著名。
- 藤原保輔 - 保昌の弟。大盗賊「袴垂」として著名。
- 藤原登任 - 源頼義の前任の陸奥守。
- 藤原重経 - 紀伊守。法名・素意。歌人。
- 藤原季範 - 熱田神宮大宮司。藤姓大宮司職の初代。
- 藤原通憲 - 法名・信西。平安時代末期権力を握った南家出身の廷臣。
- 紀伊局 - 本名・藤原朝子。後白河天皇の乳母。通憲の妻。紀伊二位。
- 澄憲 - 通憲の子。安居院流唱導の祖。
- 覚憲 - 通憲の子。興福寺別当。
- 明遍 - 通憲の子。蓮花三昧院の開祖。
- 勝賢 - 通憲の子。醍醐寺座主、東大寺別当。
- 貞慶 - 通憲の孫。解脱上人。法相宗の高僧。
- 小督 - 通憲の孫。高倉天皇の寵妃。
- 藤原範季 - 後白河法皇近臣。高倉家祖。
[編集] 系譜
凡例 太線は実子。(なお嫡流を書き連ねる事とし、傍系は下記の系図の下に記載する。また養子はあえて記載せず。)
武智麻呂 ┣━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━┳━━━┓ 豊成 仲麿 乙麿 巨勢麿 ┣━━━┳━━━┳━━━┳━━━┓ ┣━━━┓ 良因 継縄 乙縄 縄麿 中将姫 許人麿 是公 ┏━━━┫ ┏━━━┫ 乙叡 真葛 雄友 吉子 ┃ ┃ 貞雄 弟河 ┃ ┃ 保則 高扶 ┃ ┃ 清貫 清夏 ┃ 維幾 ┃ 為憲
〈藤原南家仲麿流〉 仲麻呂 ┣━━━┳━━━┳━━━━┳━━━┳━━━━┳━━━┳━━━┳━━━━┳━━━┳━━━┓ 真従 真先 訓儒麿 朝狩 小湯麿 刷雄 薩雄 辛加知 執棹 真文 徳一
〈藤原南家為憲流〉 為憲 ┣━━━┓ 時輔 時理 ┏━━━┫ 時信 維景 ┃ ┃ 維遠 維職 ┏━━━┫ ┃ 維兼 維頼 維継 ┃ ┃ ┃ 維行 維弘 家次 ┃ ┃ ┣━━━┳━━━┓ 行遠 周頼 祐家 祐継 茂光 ┃ ┃ ┃ ┃ 行政 光頼 祐親 祐経 ┃ ┃ ┣━━━┓ 頼寛 祐泰 祐時 祐長 ┃ ┣━━━┓ ┃ 時邑 祐成 時致 祐政 ┃ 頼繁 ┃ 頼景 ┃ 長頼
〈藤原南家巨勢麿流〉 巨勢麿 ┣━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┓ 黒麿 瀧麿 長川 弓主 真作 主後 広河 今河 川合 河主 真書 伊勢人 貞嗣 ┃ ┏━━━┳━━━━━━━┫ ┏━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┫ 春継 村田 三成 三守 吉備 直世 三藤 常守 安野 岑人 高岑 高仁 ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 良尚 富士麿 岳雄 有貞 保蔭 ┃ ┃ ┃ ┏━━━┻━━━┓ ┃ 菅根 敏行 千乗 経邦 清邦 道明 ┃ ┃ ┣━━━┓ ┃ ┃ 元方 季縄 保方 興方 元真 尹文 ┣━━━┓ ┃ ┃ ┣━━━┓ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫ 致忠 懐忠 右近 棟世 貞雅 正雅 永保 永頼 ┏━━━┫ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ ┃ 保昌 保輔 令尹 小馬命婦 覚運 師長 高快 能通 ┃ ┃ ┃ ┃ 懐尹 登任 俊経 実範 ┃ ┃ ┏━━━━━━━━━━━━━━━┫ 重経 俊範 季兼 季綱 ┃ ┃ ┏━━━┳━━━┫ 兼永 季範 友実 尹通 実兼 ┃ ┏━━━╋━━━┓ ┃ ┃ ┃ 紀伊局 範忠 範信 祐範 能兼 知通 通憲 ┃ ┃ ┏━━━┫ ┃ 忠朝 憲朝 範兼 範季 尹明 ┏━━━┳━━━┫ ┣━━━┓ 範光 範子 兼子 範茂 重子
〈藤原南家通憲流〉 通憲 ┣━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┳━━━┓ 俊憲 貞憲 是憲 成範 脩範 静賢 澄憲 寛敏 憲曜 覚憲 明遍 勝賢 行憲 憲慶 ┃ ┃ 貞慶 小督
[編集] 参考文献
- 『新訂増補国史大系・尊卑分脉 第1篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003622
- 『新訂増補国史大系・尊卑分脉 第2篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003630
- 『新訂増補国史大系・尊卑分脉 第3篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003649
- 『新訂増補国史大系・尊卑分脉 第4篇』吉川弘文館 黒板勝美、国史大系編修会(編)ISBN 4642003657
- 『新訂増補国史大系・公卿補任 第1篇』吉川弘文館 黒板勝美(編)ISBN 4642003568
- 『新訂増補国史大系・公卿補任 第2篇』吉川弘文館 黒板勝美(編)ISBN 4642003576
- 『新訂増補国史大系・公卿補任 第3篇』吉川弘文館 黒板勝美(編)ISBN 4642003584
- 『新訂増補国史大系・公卿補任 第4篇』吉川弘文館 黒板勝美(編)ISBN 4642003592
- 『新訂増補国史大系・公卿補任 第5篇』吉川弘文館 黒板勝美(編)ISBN 4642003606
[編集] 関連
カテゴリ: 日本の歴史関連のスタブ項目 | 藤原氏