野比玉子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
野比玉子(のびたまこ)は、藤子・F・不二雄の漫画作品「ドラえもん」に登場する架空の人物であり、主人公野比のび太の母。
目次 |
[編集] 概要
野比のび助の妻。38歳。怠け者ののび太には厳しい専業主婦。のび太たち家族からは基本的に「ママ」、のび助からは「きみ」とも呼ばれる。 実はバストが85センチメートル、ヒップが92センチメートル[1]というナイスバディーの持ち主で、メガネをはずすと美人ともいわれる。癖は舌で唇をなめること。また、のび太が使ってたドラえもんの道具をやり方もわからず使ってしまい、のび太やドラえもんたちが被害を受けたりと、相当なトラブルメーカーでもある。ニッと笑うと、女優の池内淳子に似ていると自称する。髪型はのび助と結婚後、のび太が0歳の頃に現在の髪型へ変更しているとみられる。0歳ののび太が登場する場面[2]ではまだ前の髪型、1歳ののび太が登場する作品[3]ではすでに現在の髪型になっている。
[編集] 過去の出来事
夫であるのび助との馴れ初めは学生時代に、玉子の落とした定期をのび助が拾ったことのび助が画家の道への援助者の申し出を断った直後[4]。1959年11月3日に婚約[5]、OL時代に結婚。現在の姿ののび太と実は子供時代に一度会っているが覚えていないらしい[6]。この頃はまだメガネをかけておらず、近眼になったのはのび助と交際し始めたあたりである。この頃から気が強い性格で、物を出しっ放しにしたりドアを開けっ放しにするなどのだらしない癖もあった(この癖はのび太にも引き継がれている)。
[編集] 趣味・性格
のび太への説教は恐ろしいほど長く、平均で1時間[7]、最高記録は2時間15分59秒(32巻収録『のび太も天才になれる?』)。また、勉強しないことを戒めようとしてのび太の漫画や雑誌類を勝手に捨てたり燃やしたりする[8]。しかし、ただ厳しくて怖いだけの母親ではなく、行方不明だったのび太が帰宅した際は号泣しながらのび太を抱き締め[9]、のび太がドラえもんに脅かされたときは甘過ぎるのではないかと思える程に優しくなぐさめていた[10]。その他にものび太がジャイアンとボクシングして怪我し、「またジャイアンにやられたんでしょう」と食事時になぐさめたこともある[11]。
生け花を習っており、家元から褒められたこともある[12]。近所の主婦たちとコーラスグループを作っており、玉子の歌唱力もなかなかのもの[13]。のび太が産まれた際にのび助が「君に似たら成績優秀」と言っていることから、頭は良いらしい[14]。のび助とは対照的にビールは好きではないようだが、上等なウィスキーは美味しいと感じる。また、一回酒を飲んでしまうと止まらなくなり、挙句には屋根に上って踊り狂うまでの酒癖を持つ[15]。また、暇なときには「眠れる美女 昼寝のすすめ」といった本や[16]週刊誌を読むが[17]、普段はめったに本を読まないという[18]。
[編集] 動物嫌い
しずか、スネ夫、ジャイアン、出木杉が皆ペットを飼っているのとは対照的に、玉子は大の動物嫌い。ペットを飼うことに憧れるのび太が、玉子のガードを突破して犬やネコを一時的に保護したり[19]、ハンドバッグを見つけてくれたペコをのび太が飼うことを許したことがあるが[20]、基本的には捨て犬や捨てネコを拾ったのび太を「捨ててらっしゃい!」と叱る場面が多い。一時、のび太が「子犬を小さくして飼っていいでしょう」と言ったときに、「捨てていらっしゃい」ではなく、きちんとした言い方で断ったこともある[21]。しかし、一度情の移った子ネコを飼おうとしたこともあり[22]、動物嫌いはいわゆる食わず嫌いではないかという見方もある。ゴキブリも苦手[23]。また、ドラえもんに負けず劣らずネズミが大の苦手。
ちなみに、そうした玉子の性格から、野比家にはペットがいないと思われがちだが、金魚を飼っている場面が何度かある[24]。ただ、「また死んだ」と言っていることから、飼ってもすぐ死んでしまうらしい[25]。
物語の性質上「のび太の窮状の原因」として描かれることが多いため「ガミガミ口うるさい母親」のイメージが強いが、根は心の優しい、子供思いの母親である。ドラえもんのことも最初は居候あるいはのび太のペット的存在という認識だったが、長く生活を共にする内に実の息子同様の感情を抱くようになった。 小学生の頃やのび太が乳幼児の時に、タイムマシンで過去にやってきたのび太と何度も出会っているが、その時々のことを現在はすっかり忘れてしまっている(ドラえもんも同行していたのだが……)(『ぼくの生まれた日』『ママのダイヤを盗み出せ』『おばあちゃんのおもいで』)。
[編集] 親族
- 詳細は野比のび太#家系を参照
[編集] 声優
小原乃梨子(1973年)→千々松幸子(1979年4月から2005年3月まで)→三石琴乃(2005年4月以降)。少女時代を川上とも子(2000年)が演じる[26]。
テレビ朝日系アニメでは初回より登場。
[編集] 脚注・出典
- 特記のない「x巻」は、てんとう虫コミックス「ドラえもん」の単行本の巻数を表す。
- ^ 大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『ルームガードセット』(てんとう虫コミックス「ドラえもんプラス」1巻収録『ルームガードセット』のアニメ化作品。1984年9月28日放送、ビデオソフト未収録)
- ^ 『ぼくの生まれた日』
- ^ 大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『あの頃に戻りたい!』(13巻収録『タマシイム・マシン』のアニメ化作品。1987年10月30日放送、ビデオソフト未収録)、大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『南の島へでかけよう』(1992年4月3日放送、ビデオ「ドラえもん テレビ版スペシャル特大号」秋の巻1、およびDVD「ドラえもん コレクション・スペシャル」秋の1に収録)ほか
- ^ 43巻収録『のび太が消えちゃう?』
- ^ 1巻収録『プロポーズ作戦』
- ^ 7巻収録『ママのダイヤを盗み出せ』
- ^ 8巻収録『マッド・ウォッチ』
- ^ 40巻収録『恐怖のたたりチンキ』、41巻収録『落としものカムバックスプレー』など
- ^ 25巻収録『のび太のなが~い家出』
- ^ 1巻収録『未来の国からはるばると』
- ^ 大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『のび太の「夢の金メダル」』(1980年5月5日放送、ビデオ「ドラえもん テレビ版スペシャル特大号」春の巻1、およびDVD「ドラえもん コレクション・スペシャル」春の1に収録)
- ^ 28巻収録『家元かんばん』
- ^ 10巻収録『おそだアメ』
- ^ 2巻収録『ぼくの生まれた日』
- ^ 10巻収録『ようろうおつまみ』
- ^ 大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『通り抜けキャップ』(2001年11月9日放送、ビデオ「21世紀テレビ文庫 テレビ版ドラえもん」34巻収録)
- ^ てんとう虫コミックススペシャル「ドラえもん カラー作品集」2巻収録『シャシンシャベール』
- ^ 『のび太とアニマル惑星』
- ^ 22巻収録『のら犬「イチ」の国』、『のび太のワンニャン時空伝』
- ^ 『のび太の大魔境』
- ^ 大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『タイムマシンで飼い主を!』(1993年8月13日放送、ビデオソフト未収録)
- ^ 43巻収録『ネコののび太いりませんか』
- ^ 9巻収録『ウラシマキャンデー』、17巻収録『モアよドードーよ永遠に』
- ^ 31巻収録『海坊主がつれた!』、大山のぶ代ら声優陣シリーズのアニメ作品『あの頃に戻りたい!』(13巻収録『タマシイム・マシン』のアニメ化作品。1987年10月30日放送、ビデオソフト未収録)ほか
- ^ てんとう虫コミックススペシャル「ドラえもん カラー作品集」2巻収録『ペットペンキ』
- ^ 『おひなさまを探そう!』(2000年3月3日放送、ビデオソフト未収録)