野比のび助
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野比のび助(のび のびすけ)は、藤子・F・不二雄の漫画作品「ドラえもん」に登場する架空の人物。主人公野比のび太の父、ノビスケの祖父。
昭和15年(1940年)1月24日生まれ(アニメ『タイムマシンでお正月』)の36歳。
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[編集] 履歴書
(大山版アニメ『タイムマシンでお正月』)
- 本名:野比 野比助
- 生年月日:昭和15年1月24日
- 本籍:東京都世田谷区野毛 1-0(以下不明)
- 現住所:東京都中練馬区 3-14-(以下不明)
学歴
- 昭和28年3月 東京都立世田谷野毛山帝都(以下不明)
- 昭和31年3月 東京世田谷野毛第四十中学(以下不明)
- 昭和34年3月 東京都立野毛山大附属(以下不明)
- 昭和40年3月 東京灯台大学院 卒(以下不明)
賞罰
- なし
免許
- 全国珠算連盟九段
- 第三種電器技師 免(以下不明)
[編集] 趣味・特技・性格
現在の趣味はもっぱら酒(10巻『ようろうおつまみ』、36巻『酒の泳ぐ川』など)。下手の横好きだがゴルフや釣りも嗜む。もっともゴルフに関しては腕そのものより、雨に降られやすい(いわゆる「雨男」)ことのほうが悩み。ドラえもんの道具「雨男晴れ男メーター」での計測結果によると、マイナス8.5という数値(最高値はマイナス10)を記録したほど(34巻『雨男はつらいよ』)。運動神経は鈍く、運転免許の技能試験に何度も落ちていて未だに取れない。本人曰く、「僕は本当は運転がうまいんだ。先生が横でうるさいから悪いんだ」とのこと(14巻『ミニカー教習所』)。しかし2巻『ぼくの生まれた日』では全力疾走で病院に向かう描写があり、いざというときに爆発する潜在能力は、のび太同様に目を見張るものがある(また同話で玉子に「あなたに似たら、運動ならなんでもこいのスポーツマン。」と言われていたことから、当初は運動神経が良いという設定だった)。不器用で、日曜大工仕事も苦手(5巻『重力ペンキ』)。癖は貧乏揺すり(7巻『くせなおしガス』)。頻繁に喫煙しており、煙草の銘柄は両切りの「Peace」(9巻『無人島の作り方』)、「チェリー」(11巻『自動販売タイムマシン』)、「セブンスター」(大山版アニメ『7万年前の日本へ行こう』)など、いずれも濃いめのタバコを吸っている。今までに少なくとも32回の禁煙失敗歴を持ち、妻の玉子に「完全にニコチン中毒ね」と言われている(24巻『ジャイアンリサイタルを楽しむ方法』)。
競馬、麻雀、パチンコといったギャンブルに興じる場面はない。近いものとして、一時期は宝くじに熱中したり(5巻『宝くじ大当たり』)、知人達と共に麻雀をしたこともあった(大山版アニメ『百鬼せんこう』)。しかし、5万円分はずれくじを買い続け、玉子にもう買うなと言われてしまう。しかしこの直前に、一等600万円の当たりくじを買うという強運も持ち合わせている(当選事実に喜び合うのび太、ドラえもん、玉子だったが、当ののび助は玉子との約束を思い出して、当たりくじを友人に売ってしまっていた)。その後玉子は宝くじを買うのを許したらしく、9巻『ごきげんメーター』で10万円、36巻『サカユメンでいい夢みよう』では100万円を当てている。
戦時中だった子供の頃、疎開先である少女(実は女装したのび太)に一目ぼれする(3巻『白ゆりのような女の子』。連載当初は終戦後24年目であり、のび太の親世代は皆戦争経験者であったことからタイムマシンを使った戦時下エピソードも数本が描かれた。しかし連載が長期化するにおよんで時代的に無理があると感じたためか、次第に描かれなくなっていった)。
妻である玉子とは違い、のび太には結構甘い。まれに単独でのび太を説教することもあるが、その場合もじっくりと諭す感が強い(『ぼくの生まれた日』などのように、玉子と一緒になって頭ごなしに怒ることも多いが)。
[編集] 画家の夢
学生の頃は画家になるのが夢で、その腕も確か。小学生時代には全国図画コンクールで金賞を受賞した経歴があり(31巻『あとからアルバム』)、中学生時代には売れない画家・柿原(後に大画家となる。6巻『この絵600万円』)に師事していた。
父の反対で美術学校への進学をあきらめかけたところを、とある富豪家が海外留学の費用を出す(更に娘を嫁にやる)と申し出ていたが、他者の財力で夢を叶えることに疑問を抱き、自分の力で自分の人生を切り開くことを決意し、申し出を断った(43巻『のび太が消えちゃう?』)。実際には夢を叶えることはできなかったが、これが玉子との出会いのきっかけになる(後述の妻・玉子との馴れ初めを参照)。
現在でも絵を描く姿が見られるが、玉子が「珍しい」と言っていることから、趣味と呼べるほど頻繁には描いていないのであろう。
[編集] 家族構成
妻は野比玉子。「ママ」または「きみ」と呼ぶ。玉子と交際していたころである結婚する前は「玉子さん」と呼んでいた。
ドラえもんのことも家族の一人だと考えており、ママに「うちは3人家族だったわよね?」と聞かれた時も「うちは4人家族じゃないか」と発言(10巻『弟をつくろう』)。
兄弟は、一説によると4男1女(「ぼく、ドラえもん」内記事)だが、のび太が過去に行ってもなぜかいつものび助しか登場しない(タイムマシンで過去の野比家へ行ってもそこには子供がのび助しかいない。ただし、40巻『タイムルーム 昔のカキの物語』のみ過去の世界に弟(のび三郎)がいる。他に存在が確認されている兄弟は、のび助から小遣いをせびった妹(1巻『プロポーズ作戦』)、現代人の生き方を教える弟(4巻『してない貯金を使う法』)など弟妹のみ)。
[編集] 妻・玉子との馴れ初め
前述の画家への道の援助者の申し出を断った直後、道端を偶然歩いていた片岡玉子と衝突。これが玉子との出会いである。不注意を謝った後にすぐ別れたものの、玉子が落としていった定期券をのび助が拾って追いかけていったことが、交際のきっかけとなる(43巻『のび太が消えちゃう?』)。ちなみに大山版アニメでは、のび助の服の染みを、玉子が自分の持っていたジュースをこぼしたと勘違いしてハンカチで拭き取るエピソードが付加されており、のび助が玉子の優しさに惹かれる描写が成されている。
正式なプロポーズは1959年の公園にて行われた(1巻『プロポーズ作戦』)。当時ののび助と玉子は、些細な誤解から別れる寸前におちいる。ここでドラえもんが出した道具「ヒトマネロボット」が前後して2人に変身して相手にプロポーズ。結果、2人は仲直りする。しかし、これによって野比夫妻はどちらも「自分は求婚を受けた側」と認識してしまい、「12回目の結婚記念日」(すなわち1971年)でも当事者同士で「最初に求婚したのはどちらか」で意見が食い違い、のび太の目の前で一時、夫婦喧嘩となっている。道具「うそ発見器」による判定では「どちらも本当」とされ、ドラえもんとのび太がタイムマシンで1959年当時を訪れたのは「真相を確認するため」だった。
結婚した頃に夫婦で「一週間に一度はのび助が夕食を作る」と言う約束をしていた。
[編集] 役職や住居などについて
- 課長補佐を務める(日本テレビ版アニメでの設定)。勤務会社名は当初「何度加(ナントカ)会社」だったが、「△○商事」(大山版アニメ『ドロロン忍者セット』)を経て、現在は「○○商事」(大山版アニメ『お願い! ガマン大王』)となっている。
- 「ドラえもん」以外、その他の全藤子作品に登場する主人公の父は市川ヒロシの父(故人)を除き皆、課長もしくは社長(「20エモン」)という重役職であるのに対し、のび助は課長補佐。また、住居に関しても、借地権かつ借家住まいであるのは彼のみである。
[編集] その他
- 休日は、初期では和服で過ごすことが多かったが、和服から洋服が一般化するのと共に洋服を着るようになっていった。
- 2巻『地下鉄をつくっちゃえ』では、のび太とドラえもんがのび助へ贈った定期券に「野比のび三」と書かれているが、それはセワシの父の名であるとの説がある(日本ドラえもん党著「野比家の真実」)。ただし最近の版では、誤字だと判断されたためか「野比のび助」へと改変されている。
- 藤子作品「キテレツ大百科」の最終回で主人公の父親として登場している。
- 画家を希望していた若い頃に現在の姿のドラえもんとのび太を見ているが、覚えていないらしい(6巻『この絵600万円』。彼の妻である玉子も幼い頃にドラえもんとのび太を目撃している(7巻『ママのダイヤを盗み出せ』)が、「あやしい二人」と認識しただけだった)。上記のように少年時代に息子であるのび太を見て「白百合のような女の子」と思ったようだ(3巻『白ゆりのような女の子』)。のび太が生まれた直後、ドラえもんと一緒にやってきた小学生の「のび太」が「猿みたい」と発言して、若いのび助は激怒。彼は「親の顔が見たい」とコメントしている(2巻『ぼくの生まれた日』)。というように、玉子とのび助は2回ずつ現在のドラえもんとのび太を見ている。
- ドラえもんとのび太曰く、彼が作るカレーは世界一まずい、らしい(オリジナルアニメ「ほんものだゾウ」など)。
- エロい(そのDNAはしっかりとのび太に受け継がれている)。エロ本らしきエッチな本をのび太が見つけている(が、その時はある用事のため時間がなく、ドラえもんにすぐにとられた。この本はのび助のへそくり1万円が挟まれていた。てんコミ29巻『自動買い取り機』)。
[編集] 声優
- アニメ(テレビ朝日版)では第4話『N・Sワッペン』で初登場。声優:村越伊知郎(1973)→加藤正之(1979.4~1992.10)(1993年加藤正之急逝に伴い)→中庸助(1992.10~2005.3)→松本保典(2005.4~)