関空快速
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
関空快速(かんくうかいそく)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が京橋駅・JR難波駅~関西空港駅間を大阪環状線弁天町駅、大和路線(関西本線)新今宮駅・阪和線・関西空港線経由で運行する列車種別である。空港へのアクセス列車なので、列車種別幕には、航空機のマークが描かれている。また、幕の色は黒地ではなく青地である。
目次 |
[編集] 運行概況
運行区間としては、大阪駅・京橋駅方面発着列車とJR難波駅(昼間以外は天王寺駅)発着列車とがあり、運行本数としては日中では1時間あたり2本対1本の割合で運行される。天王寺駅では昼間の全列車は大和路線ホームからの発車であるが、それ以外の時間帯は阪和線ホームから発車することになる。そのために利用客からは「ややこしい」という意見も聞く。
また、京橋駅発着列車として設定されているもののうち、平日の午前(ラッシュ時)と夜間及び土・休日の夜間に運転される列車には、鶴橋駅を介して大阪(京橋)~天王寺間を普通列車として営業運転するものがある。上り(環状線外回り)では、天王寺駅を快速の大阪・京橋行として発車し、大阪駅で種別が普通列車へと変更され天王寺行きとなる。逆に下り(大阪環状線内回り)では、天王寺駅を普通列車の大阪環状線行として発車し、天王寺駅発車後に普通の関西空港(和歌山)行に、そして京橋から種別が「関空・紀州路快速」へと変更される(深夜の列車については日根野行きとなるために「快速」に変更される。)。事実上、天王寺を発着駅として折り返す列車であるが、途中駅として天王寺駅に再度停車する形となることから、混乱を避けるためにこのような方法をとっている。「普通」の表示幕に、環状線のラインカラーである「赤」を付している場合もある。
なお、国際空港である関西国際空港へのアクセス列車であるため、車内では英語によるアナウンスも流れる。スーツケースを持った海外旅行客や外国人乗客の姿も多く見られ、大阪環状線内では目立つ存在である。また、ワンマンカーを除くアーバンネットワークの列車で唯一自動放送を行なっている(ただし乗り換え案内はJR線のみされ、私鉄・地下鉄線はされない)。しかし、到着のチャイムを鳴らしてからは、自動放送ではなく、車掌自身が英語を含めた放送をすることもある。
現在、大阪駅を発着する唯一の関西空港へのアクセス列車であるが1時間に2本(大阪駅を発着する列車のみ)と利便性に乏しい。また、停車駅が多いことに加え、紀州路快速の併結・分割作業、さらには多くの列車が特急の待避を行うため所要時間も多くかかってしまう。このことからバスに乗車する客も多い。その他にも後述する車両によっての行き先が異なることも、少なからず影響している。また阪和線内では関空特急「はるか」、南紀方面の特急「くろしお」との格差が年々大きくなってきている。
関空開港前は阪和線から環状線への直通列車がほとんどなかったために阪和線沿線から大阪駅(梅田)への利便性を向上させた功績は大きく、空港利用客よりも阪和線沿線からの利用客の方が格段に多い。
紀州路快速を併結する列車は、昼間は6~8号車が「紀州路快速」、1~5号車が「関空快速」(和歌山方から1号車、2号車…の順)となるが、大阪方面行きでは紀州路快速を先に日根野駅に入れるため、関空快速が日根野駅の手前で信号待ちをすることが多い。朝晩は主に昼間の逆(6~8号車が「関空快速」、1~5号車が「紀州路快速」)であるほか、夕方、土休日の夜間に関空・紀州路快速共に3両編成の列車もある。その他JR難波駅発着の列車や、紀州路快速を併結しない列車などがあり、これらは5両・6両(3+3)・8両(5+3)のいずれかで運転される。また列車によっては日根野で増解結する列車もある。
なお、上りの環状線直通電車は、駅の放送や発車案内表示では「京橋方面」でされる。ちなみに、阪和線内の駅自動放送においては、「関空快速」という言葉が、あたかも前後半を区切ったかのような不自然な発音に聞こえる。
[編集] 使用車種
- 223系(0番台・2500番台)を使用。
[編集] 停車駅
- 京橋駅 - 大阪駅 - 西九条駅 - 弁天町駅 - 新今宮駅 - 天王寺駅 - 堺市駅 - 三国ヶ丘駅 - 鳳駅 - 和泉府中駅 - 東岸和田駅 - 熊取駅 - 日根野駅 - りんくうタウン駅 - 関西空港駅
- JR難波駅 - 新今宮駅~(この区間の停車駅は同じため略)~関西空港駅
[編集] 沿革
- 1994年6月15日関西空港線の暫定開業で天王寺~関西空港間に運転開始
- 1994年9月4日京橋・JR難波・天王寺~関西空港間で設定。
- 1995年、大阪~関西空港間で関空快速より所要時間で勝つ高速バス(※約50分程度)に対抗するため、特別快速格で「関空特快ウイング」を設定。運行当初は、京橋~関西空港間で大阪・天王寺・堺市・鳳・和泉府中・日根野・りんくうタウンのみに停車していた。大阪環状線内は天王寺~大阪間がノンストップ運転となる為、車掌が誤乗車防止のアナウンスを行っていた。両方向とも最後尾車両(上りは1号車、下りは6号車)を座席指定席に設定。しかし、指定席の利用率はきわめて悪く、指定席車両への誤乗車も絶えなかった。
- 同年12月から姫路~関西空港間を結ぶ臨時特別快速ウエスト関空も運行される。最後尾車両は指定席。ただし、利用率が芳しくなく、1999年1月以降は運転されていない。
- 1996年3月22日、JR難波駅地下化完成に伴い「OCAT(大阪シティエアターミナル)」の機能拡充を行う。JR難波発着列車に荷物室を併設し、空港での機内持ち込み荷物の輸送を行う。また、JR難波発着列車にも座席指定席を設定(このため、同時期には「関空快速○号」といった番号も付されていた)。
- 1998年、「OCAT(大阪シティエアターミナル)」での空港での機内持ち込み荷物の輸送を廃止。JR難波発着列車に設置した荷物室を廃止。
- 1999年5月10日、従来の阪和線内のダイヤを見直し、「関空特快ウィング」・関空快速の座席指定席を廃止。日根野で和歌山発着の「紀州路快速」を分割・併結運転する現行ダイヤに変更。