はるか (列車)
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関空特急はるかとは、西日本旅客鉄道が、主に京都駅~関西空港駅間を東海道本線・大阪環状線西九条駅・阪和線・関西空港線を経由して運行する特別急行列車の愛称である。
南海電鉄の「ラピート」とともに、関西国際空港へのアクセス特急として登場した。
また、早朝・夕方以降に米原駅までの延伸や、日根野駅・和泉府中駅に停車させるなど、ビジネス特急としての側面も併せ持たせようとしている。
この列車には空港連絡特急列車の意味合いで、関空特急(Kansai Airport Limited Express/Kansai A.P Ltd.Exp)という名称が与えられている。この使い分けの例として、新大阪駅では上り列車も下り列車も同一ホームに発着するため、関西空港行を「関空特急」、京都方面行を「特急」として区別している。
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[編集] 運行概況
基本的には、京都~関西空港間の運行であるが、早朝の関西空港行き、夜間の関西空港発の一部列車に米原駅・草津駅発着となるものもある。
また、「くろしお」・「オーシャンアロー」と同じく、この列車の特徴として東海道・山陽新幹線の停車駅である新大阪駅は停車するが、大阪駅を通らない。これは、大阪駅構内に東海道本線~大阪環状線を直通する線路が現在は無く、梅田貨物線を経由するためである。
また、京都発着のものは、この列車専用ホームに発着するので、京都発の列車は、いったん嵯峨野線の線路を走行して貨物線を逆走した後、JR京都線の複々線の線路を乗り越してから、向日町駅構内でJR京都線下り線に合流する。向日町駅~茨木駅でJR京都線を走り、茨木駅~千里丘駅間の信号所で貨物線に入り、吹田信号場から梅田貨物線を走る。 なお、特性上からアーバンネットワーク内で運行が完結する。この「はるか」以外にアーバンネットワーク内で完結する特急列車は「びわこエクスプレス」がある。 特急料金制度は複雑であり、関西空港駅や琵琶湖線を跨いで乗車した場合はA特急料金が適用される。京都~日根野のみの利用の場合はB特急料金が適用される。
標準的な所要時間は京都~関西空港間で下りが77~78分、上りが75分。京都駅で専用ホームを使用しているため、走行ルートが上りと下りで異なる分、所要時間に差が出ている。また平日ラッシュ時は昼間よりも所要時間が約20分延び、中には100分を超える便も存在する。これは、大阪環状線・阪和線内には複々線区間が無く(大和路線との並走区間を除く)、ラッシュ時に大阪環状線内から天王寺を経て鳳までの区間が極めて過密なダイヤとなっており、先行列車の後を徐行して続行運転する区間が多いことが影響しているためである。
[編集] 使用車両
[編集] 停車駅
- 2005年10月1日現行
- <米原駅 - 彦根駅 - 近江八幡駅 - 野洲駅 - 守山駅 - 草津駅 - 石山駅 - 大津駅 - 山科駅> - 京都駅 - 新大阪駅 - (西九条駅) - 天王寺駅 - ≪和泉府中駅 - 日根野駅≫ - 関西空港駅
- 京都駅より先の<>の区間は、朝が関西空港行き、夕方に関西空港発の一部列車のみ運行。全列車停車。
- 西九条駅は、朝9時以降停車。それ以前は通過。
- ≪≫内の駅は朝が関西空港発、夕方の関西空港行きのみ停車。
[編集] 沿革
- 1994年9月4日 - この日開港した関西国際空港のアクセスを担うため、全車指定席の列車として運転を開始した。運転開始に先駆けて列車愛称が一般公募され、「関空エクスプレス」などが優秀作品として表彰されたが、最終的に、空港アクセス列車であることから「空」をイメージできるもの、また「古都」である京都駅発着であることから「日本らしさ」、「はんなりと」といった日本的なイメージを持ったもの、としてそれにふさわしい愛称を付けたと告知された。
- 1995年 - 朝の関西空港行き、夜の関西空港発1往復が東海道本線(琵琶湖線)草津駅発着列車となる(当初は臨時列車扱い)。
- 設定当時は「通勤ライナー」の要素というより、琵琶湖線沿線から関西国際空港のアクセスの強化とされた。
- 1998年3月14日 - 関西空港行きはるか49号~59号、関西空港発はるか2号・4号・6号が日根野駅に停車。
- この頃から通勤客輸送列車としての役割が濃くなってくる。因みに、同年4月1日より、日根野に停車する列車限定の「はるか指定席特急定期券」が発売されている。
- 1998年12月1日 - 全列車に自由席を設置。
- 上り列車で到着手続きの遅れにより乗り遅れた際の特急券の無駄を防ぐことや(そもそも国際線では何時間単位での到着遅れはざらである)、特急券に関する手続きを簡素化するために設定。ただ、自由席車は、京都方面行きが3両、関西空港行きが2両と、上り・下りで異なる。
- 2001年3月3日 - ユニバーサル・スタジオ・ジャパンへの連絡駅である西九条駅に停車(西九条に、はるか8号を除く9時30分以降に到着する列車が対象)開始。
- 2002年8月31日 - K-CAT閉鎖に伴い、はるか号利用客の手荷物をそのまま関西空港カウンターまで届ける「はるかレールゴーサービス」を廃止。
- 2002年10月1日 - 同年10月5日のダイヤ改正に先駆けて方向転換が行われ、それまで関西空港寄りにあったグリーン車が京都寄りに改められた。
- 2003年3月15日 - 関西空港行きはるか49号~59号、関西空港発はるか2号・4号・6号が和泉府中駅に停車。また、はるか45号・47号が新たに和泉府中駅・日根野駅に停車。このダイヤ改正から「南大阪特急回数券」、「はるか(くろしお)グリーンマイシート」(いずれも「くろしお」でも利用可)が発売されている。
- 2003年6月1日 - 朝の関西空港行き、夕方の関西空港発で東海道本線(琵琶湖線)米原駅発着列車を2往復設定。
- 米原駅発着列車が設定された理由として、琵琶湖線の通勤客に対応するためともされる。
- 2003年10月1日 - はるか13号・8号が新たに西九条駅に停車。はるか9号・13号の自由席が2両から3両に増えた。
- 2004年10月16日 - 米原駅・草津駅発着列車が野洲駅・山科駅に停車。
- 2007年3月18日 - 喫煙コーナーを使用停止とし、全面禁煙化を実施。