香港増補字符集
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香港増補字符集(ホンコンぞうほじふしゅう、英語 Hong Kong Supplementary Character Set、HKSCS)は、香港特別行政区政府が定めた、香港で必要とされる文字を集めたコンピュータ用の文字セット。2006年末現在、漢字、漢字の部品、仮名、キリル文字など、計4,969字が収録されている。
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[編集] 概要
香港では繁体字が使われ、1980年代にMS-DOSが普及した時点から台湾のソフト、ハードを使っていた関係から、基本的に台湾で制定された文字コード(文字セット)であるBig5が普及し、デファクトスタンダードとなっていた。
しかし、Big5コードに収録されている漢字は、台湾の標準中国語を表記するのに必要な漢字を集めただけで、香港の広東語や台湾の台湾語、客家語などに特有の方言字は意識的に収録されることがなく実用上不十分であった。
一方、香港では広東語の話者が最も多く、かつ、表記が可能な方言字が豊富なため、新聞記事、日記などを広東語で表記することが広く行われている。また、警察で事情聴取を行った際や、裁判の記録なども、広東語で話されたものは、なるべく話された通りに記録することが行われているため、広東語の方言字をコンピュータ処理できるようにする必要があった。また、1990年代に住民登録などのコンピュータ化が進むと、人名・地名などの固有名詞に使われる漢字の一部がコード化されていない問題があった。このほか、方言字以外でも、通常のBig5フォントで表示することのできない香港で常用される字・字体(例:著に対する「着」、裡に対する「裏」、衛に対する「衞」、匯に対する「滙」)を取り扱う需要があった。
フォントメーカー数社が香港向け外字集を販売したが、数種類が出回り互換性はなく、出版印刷関連業界以外への浸透はあまり進まず、デファクトスタンダードが出現することもなかった。インターネットの普及後しばらくの間、香港のマスコミのサイトでは、方言字について、画像の挿入や、方言字の書換え(例:嘢→野、電子掲示板などでは「o野」と表現することもある)で対応したほか、各サイトが採用する外字集によって対応する場合もあり、外字ビットマップフォントのダウンロードを促されることもあった。本格的なネットワーク時代の到来により、コード位置を統一して使えるようにすることが求められた。
1995年に香港政庁が独自に作成した『政府通用字庫』(英語 Government Common Character Set: GCCS)という名の外字集を基本として、1999年5月に当時の情報科学技術署傘下で発足した中国語インターフェース諮問委員会は香港政府と共同で、1999年に新たな外字集を編纂した。これが『香港増補字符集』である。これには、4,702字が含まれ、市民らの意見も取り入れ、フォントの無償配布も行われたため、デファクトスタンダードとなった。発表後も未収録の字を募集するなどの活動が続けられた結果、2001年12月には、『香港増補字符集―2001』が発表され、116字が追加された。また、2005年にはさらに123字が追加された最新版の『香港増補字符集―2004』が発表された。
[編集] バージョンの比較表
名称 | 収録字数 | 発表時期 |
---|---|---|
HKSCS-2004+追加字 | 4,969 | 2006年11月 |
HKSCS-2004 | 4,941 | 2005年5月 |
HKSCS-2001 | 4,818 | 2001年12月 |
HKSCS-1999 | 4,702 | 1999年9月 |
GCCS | 3,049 | 1995年 |
[編集] 収録されている文字
[編集] Unicodeとの関係
Unicodeは、日本、中国、台湾、韓国の漢字を整理統合して収録した(CJK統合漢字)。これにより香港増補字符集に含まれる日本漢字、簡体字、地名用字など一部の文字は、香港のユーザーもUnicodeにより使えるようになったが、広東語方言字の多くは未収録の状態が続き、引き続きUnicodeの私用領域に外字として登録して使う方法が使われた。
2001年に発表されたUnicode バージョン3.1で、日本のJIS X 0213の漢字、中国、台湾からの追加漢字、ベトナムの漢字などとともに、『香港増補字符集-1999』に含まれる字も収録された。よって、Unicode 3.1以上のバージョンに対応したソフト、フォントを使えば、香港増補字符集に含まれる漢字の多くは扱えることになる。2003年発表のUnicodeバージョン4.1でも香港増補字符集に追加された文字が少量追加されている。『香港増補字符集-2004』の収録字が、どの新しいバージョンのUnicodeに収録されるかはまだ明らかではない。
[編集] 対応フォント
現在まで流通しているものとして、主に下記のものがある。
- 香港政府「デジタル21」中国語インターフェース諮問委員会
- 無償配布しているが、Big5用TrueTypeフォントであり、日本語版Windows上では、Windows 2000でしか全てを利用することはできず、かつ外字としての扱いとなる。
- マイクロソフト香港
- Unicode 2.0の漢字と香港増補字符集の文字を収録したフォントで、外字領域と、Unicode 3.1領域の両方に香港増補字符集の文字を追加しており、日本語版Windows XP、2000で使用可能。『香港増補字符集-2001』に準拠している。
- Mac OS X
- Mac OS X 10.3以降には、香港増補字符集(とBig5の拡張セット「Big5E」)に対応したフォント「儷宋 Pro」(明朝体)と「儷黑 Pro」(ゴシック体)が付属する。バージョン10.4の時点では、『香港増補字符集-2001』に準拠している。
- 香港 freefonts 計画
- Linux用オープンソースとして、2005年9月1日に『香港増補字符集-2004』の文字を収録した。
- ダイナラブ・『華康金蝶2006 H.K. Edition』
- 2005年11月14日に発売された、初の『香港増補字符集-2004』対応市販フォント集。