Microsoft Windows NT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
公式サイト: | Windows NT Server 4.0 ホーム |
開発者: | マイクロソフト |
OSの系統: | Windows NT |
ソースコード: | プロプライエタリ |
最新リリース: | 4.0 (SP6 SRP) / 2001年7月31日 |
対応プラットフォーム: | x86,Alpha, MIPS, PowerPC |
カーネル種別: | ハイブリッドカーネル |
ユーザーインタフェース: | GUI |
ライセンス: | Microsoft EULA |
Microsoft Windows NT(マイクロソフト ウィンドウズ エヌティー)は、マイクロソフトが開発したオペレーティングシステム(以下OSと略記)である。
一般にはWindows NT 3.1から同4.0までの製品群を指す。同社製品のWindows 3.xやWindows 95などとは全く違う構造で、一から設計し直された新しいカーネルを持つOSである。
この記事では、狭義のWindows NT、すなわちWindows NT 3.1~4.0について主に述べる。それ以外のNTカーネルを用いた広義のWindows NT(Windows NTの後継であるWindows 2000やWindows XPなどを含めたもの)については、Windows NT系を参照のこと。
目次 |
[編集] NTの意味
マイクロソフトは公式にはNTの意味を明らかにしていない[1]が、広く知られている説としては、New Technologyの略というものがある。しかし、後継のWindows 2000において、ブート時のロゴ画面上に「Built on NT Technology」という文章が書かれており、NTをNew Technologyに書き換えてみると「Built on New Technology Technology」となり「Technology」が重複してしまうため、New Technology説はありえないと言われる事もある。他に、VMSをそれぞれアルファベット順での次の文字にしたWNT (Windows NT) とするためだろうという噂や、初期の開発名称 i860エミュレータ'N10 (N-Ten)'の略との説[2]などがある(参照:歴史)。
正式名称は、「Microsoft® WindowsNT®Workstation/Server Operating System」。
[編集] バージョンの変遷及びそれぞれの特徴
以下、日本版の発売年を併記する。これ以前に発売されていた。Windows 3.1とバージョンを合わせるために、Windows NTの最初のバージョンも3.1からスタートした。そのため、3.1より若いバージョン(1.0や3.0など)は存在しない。
- Windows NT 3.1(1994年)
- 初期バージョン。Windows 3.xのユーザーインタフェースを採用。英語版は1993年7月27日に出荷開始。x86版、MIPS版、Alpha版がある。後にWindows NT 3.1 Advanced Server(サーバ版の前身)が発売された。
- Windows NT 3.5(1994年)
- 改良版、NTFSでしか利用出来なかった長いファイル名をFATファイルシステムで利用可能にした最初のOSである。コードネームはDaytonaといい、このコードネームを冠したβ版が雑誌付録CD-ROMで大量に配布され注目を集めた。
- Windows NT 3.51(1995年)
- 同3.5を更に改良したもので、Windows 95とのAPIの共通化を図ると共に、NTFSではファイルの圧縮機能をサポート。PowerPC版が追加された。Windows NTの名を冠した中で最も安定性が高いと言われる。
- Windows NT 4.0(1996年)
- Windows 95から継承したユーザーインタフェースを採用。同時にDirectX3のサポートを行った。3.x系では特権レベル[3]が低かったディスプレイカードのデバイスドライバをより上位の特権レベル0で動作させる等、システムの構造に手が加えられたため、メジャーバージョンアップであるver 4.0となった(それまではNT3.51のシェルをアップデートしただけのShell Update Release:SURと呼ばれており、NT3.52というバージョンを与えられていた)。これにより安定性ではNT3.51に劣るものの、優れたグラフィカル・ユーザー・インターフェース(以下GUIと略記)を備えたOSとなった。実質的には3.51の改良版であり、3.x系列の最終版である。コードネームはCairoというが、当初Cairoの名で発表されていた新機能の一部はNT 4.0では実現されず、後に持ち越されることになった。
以降のNT系製品については、Windows NT系を参照のこと。
[編集] 概要
Windows NTは、MS-DOS(マイクロソフト・ディスクオペレーティングシステム)上の拡張シェルであるWindows 3.x系はもちろん、MS-DOSをベースに16ビットと32ビットが混在しているWindows 9x系(Windows 95、Windows 98、Windows Me)とも違う、完全32ビット・プリエンプティブなマルチタスクOSであり、当初はOS/2をベースに開発された。
内部的には、OSのカーネル領域とアプリケーション領域を分離して管理する構造上、Windows 9x系に比べて安定性が高い。この為、Windows 9x系が一般消費者向けとされていたのに対し、Windows NT系は業務用OSとして位置付けられていた。
安定した動作を要求される業務用途をメインに考えて設計された為か、Windows NT 4.0まではWindows 95系に比べて、マルチメディア系の機能やゲームAPIのDirectX (Windows NT 4.0で一部対応) の実装、電源管理機能のAdvanced Configuration and Power Interface(通常「ACPI」と略記。以下これに従う)やハードウェアの自動認識機能プラグ・アンド・プレイの採用、USBやIEEE1394(i.LINK[4]やFireWire[5]、DV端子とも呼ばれる)等の新しいデバイスへの対応はなされていない。
余談であるがWindows NTはマルチタスク・安定性などからMac OSの後継OSの検討候補にあがったといわれるOSのひとつである。最終的にはOPENSTEPが後継OSのコアとなったが、そのことはMac OS X等の項目が詳しい。
[編集] 出荷本数の推移
- WindowsNT 3.1
- 1993年9月25日 - 20万本
- 1993年11月4日 - 25万本
- 1994年1月25日 - 30万本
- 1994年7月 - 50万本(日本では7000本)
- 1995年1月 - 60万本
[編集] その他
サブシステム、サービス、動作プラットフォームについてはWindows NT系を参照。
[編集] 脚註
- ^ マイクロソフトのサイトではNew Technologyの略であると書かれている。
- ^ 開発メンバーの一人 Mark Lucovsky氏 の証言
- ^ セキュリティーの観点からコンピュータ制御上に階層的に設定されているアクセス権限の位置を意味する技術用語
- ^ ソニーの登録商標
- ^ FireWireはアップルコンピュータが提唱・開発した規格の開発コードネームであり、推進団体「1394 Trade Association」がIEEE1394として標準規格化、同団体がFireWireという呼称を統一ブランド名として採用する運びとなった。特徴としてはSCSIの流れをくみ、USBにくらべ、割高だがCPUに依存しない転送速度を実現する
[編集] 関連項目
- Microsoft Windows
- ReactOS - Windows NTとバイナリレベル・ドライバレベルでの互換性を確保することを目標とした、オープンソースプロジェクト
- Wine - Windows APIを他のOSで動かそうというオープンソースのプログラム及びプロジェクト
[編集] 前・次のバージョン
前 -