京成3000形電車 (2代)
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3000形電車(3000がたでんしゃ)は、2003年(平成15年)2月1日に営業運転を開始した京成電鉄の通勤形電車。
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[編集] 概要
2003年2月に、加速性能向上を課題に抵抗制御車の3200形・3300形・3500形未更新車などの早期代替車両として登場したコスト軽減・大量増備形車両である。当初3500形は1996年(平成8年)より全車の更新を予定していたが、更新に費用が掛かり過ぎたために初期車の更新が終わった段階で中止となり、未更新で残った後期車は費用が安い代替の方針となった。
[編集] 構成
車体は、京王電鉄9000系や小田急電鉄新3000形と同様に日本車輌製造のブロック工法による軽量ステンレス製で、客室側扉は東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系や東京急行電鉄5000・5050・5080系などと同様のハニカム構造となった。この結果、最もベースになった車両は京王9000系となっている。
前面構造は3700形6次車以降に準じ、ブラック前面に非常用貫通扉が左に寄せられ、前照灯は左右上部、尾灯と急行灯は腰部に縦並びに配置した。種別・行先表示器はすべてLED式になったため、京成独特の貫通扉の種別表示器は廃された。行先の「ちはら台」表記は他形式が「(千葉)ちはら台」となっているのに対し、この3000形では「ちはら台」と表記する。帯はレッドとブルーの京成標準色であるが、側面が細く配されているのが特徴である。
主回路制御には京成初のIGBT素子使用のVVVFインバータを採用した。メーカーは東洋電機製造で、前年(2002年)に登場したJR東日本武蔵野線用の205系5000番台や京阪電気鉄道10000系で採用したものに近い。同じ時期に登場した京王1000系増備車でもこの東洋製IGBT-VVVFインバータを採用した。
車両番号表記は京成の通勤車としては初めて車番にハイフンを使用し、第1編成目は成田空港寄りから3001-1~3001-8、第2編成目は3002-1~3002-8と配し、それぞれ3001編成、3002編成・・・と呼称する。号車をハイフン以下の数字で表した車両番号表記は東京都交通局(都営地下鉄)5300形や京浜急行電鉄600形・800形と同様である。ただし、これらの車両とは基準方向が逆である。3000形は8連と6連の2種類があるが、6連についてはハイフン以下4と5は欠番となっている。
編成は、京浜急行車両安全基準に準拠する為、3700形と同様に先頭車は電動車、ハイフン以下3と6は付随車で、補助電源装置として東芝製IGBT素子の静止形インバータ(SIV)を設置し、空気圧縮機(CP)はハイフン以下1・4・8にC-2000-MLを設置した。パンタグラフはシングルアーム式で、ハイフン以下2と7の車両は両端に2台、4の車両は片側に1台をそれぞれ設置した。この形式より車両メーカーにより駆動装置・モーターの区分がなされ、日本車輌製はTD駆動装置・東洋製モーターTDK6174-A、東急車輛製造製はWN駆動装置・三菱電機製モーターMB-5100-Aの組み合わせになった。2006年3月までに落成した3001~3017編成は3001編成の日本車輌製以外、奇数編成は東急車輛製、偶数編成は日本車輌製となっている。
冷房装置は、京成の車両で初めて集中タイプを各車に1台搭載した。
室内は、ドアチャイムを設置したことや片持ち式座席を採用したことが挙げられる。座席は3700形3868編成と同色のラベンダー模様を表地とするバケットシートで、大型袖仕切りも3700形6次車と同様である。バリアフリーの一環として優先席付近の荷棚が低い位置に設置された点が3700形と大きく異なっている。また、3700形に引き続きドア上部にLED式の旅客案内装置を搭載したが、この形式より千鳥交互に配され、ソフト変更により表示内容などを詳細化した。
内装色は、3700形より多少淡い色調のアイボリーホワイト模様入りの化粧板に、耐久強化したグレーとブルーの2色の床面、FRP製のホワイト天井板と、全体的に落ち着いた配色になった。妻面の化粧板は側面とは異なりキャラメルブラウン模様入りとなったほか、貫通扉と乗務員仕切り扉が化粧板仕上げとなった。
都営浅草線と京急線にも入線可能で、営業開始の直後より両線に乗り入れている。ただし京急線には8両編成の3001編成のみが乗り入れている。
[編集] 編成毎の相違点
2002年(平成14年)度分として8両編成1本(8両)と6両編成4本(24両)の計32両を新製した。翌2003年度から毎年6両編成4本(24両)ずつ新製したことにより、2007年(平成19年)3月下旬時点で8両編成1本(8両)と6両編成20本(120両)の計128両が在籍しており、普通運用の主力になっている。ここでは各年度の相違点を以下に分けて紹介する。
[編集] 1・2次車(3001~3009編成)
1次車の3001~3005編成は2002年12月から順次入線した。その際、都営線の自走が不可能であったため、3600形VVVFインバータ改造車の3668編成の付随車を除いた電動車に牽引された。翌2003年2~3月には32両が落成した。3001編成は、2007年4月時点で3000形唯一の8両編成で、京急線にも乗り入れている。その後3002編成以降は2006年10月時点の最終増備車である3017編成まで6両編成で落成している。
2次車は3006~3009編成で、2003年10月~11月に3006・3008編成が、続いて翌2004年(平成16年)1月に3007・3009編成が落成した。これにより北総鉄道7050形(京成3150形のリース車)と3200形の8M車とVVVFインバータ制御試験車は全廃された。
1次車と2次車では、後者で扉開閉時の動作音が多少低減されたことと、電灯回路を変更し、電灯制御スイッチを前部・後部標識灯、急行灯、車掌側乗務員室灯と分離し、室内灯を消灯しても標識灯類が消灯しないようになったこと以外での仕様は同一である。室内貫通扉はハイフン以下3・5・7の成田空港方にのみ設置された。車両製造メーカーにより落成時期は車号順不同のことが多く、これは3700形やAE100形などでも同様であった。
3008編成は、2005年(平成17年)9月以降試験的に純電気ブレーキに改造された。
2006年12月には3006編成が検査出場したが、一部配管変更があったのか出場後の同編成はブレーキ緩解音が5次車同様に静粛化している。
[編集] 3次車(3010~3013編成)
3次車として2004年11月に3011・3013編成が、続いて翌2005年2月に3010・3012編成が落成した。このグループから火災時非常対策強化により室内貫通扉が全車に設置され、同時にC-ATSと緊急スイッチを装備した。加えて、運転台周りの設計を若干変更した。このC-ATSと緊急スイッチの装備などは既存の車両にも順次改造適用されている。この3次車投入により、更新対象外となった1976年(昭和51年)度製の3500形が全て淘汰された。
また、落成時より客室内の蛍光灯が、従来の昼白色タイプから乗り入れ先の京急・都営車共通の飛散防止白色タイプを採用し、蛍光灯破損時の事故防止を図った。蛍光灯については、2004年4~6月に京成通勤車の全在籍車で(蛍光灯カバーのあるAE100形を除く)昼白色タイプから前述と同様の飛散防止白色タイプに変更し、昼白色使用時より室内の色温度が多少低くなり、赤・黄味が強くなった。
[編集] 4次車(3014~3017編成)
4次車として2006年1月に3015・3017編成が、続いて3月に3014・3016編成が落成した。このグループから2次車の3008編成で2005年9月より試行された純電気ブレーキを本格的に採用した。
外観ではSR列車無線アンテナ用台座(共通設計形式である新京成N800形にも設置)が運転台上に設置された関係で、IR列車無線アンテナが後部に移動している。今後SR無線を搭載するかは不明。
室内では、バリアフリーの一環としてドア付近の床面に黄色いラインを配した他、マナー強化の一環として製造時より優先席付近の吊り革を黄色のものとした。その他、補助送風機(ラインデリア)吹き出し口を従来のFRP製からJR東日本常磐線用のE531系や都営新宿線用の10-300形などと同様にアルミ製に変更した。
このグループの増備をもって3000形の在籍数は100両を超え、3700形に次ぐ主力車になった。編成数では6両と8両を合わせて3700形・3000形とも17本で同数となった。
[編集] 5次車(3018~3021編成)
2006年度製造分の車両として、まず2006年11月~12月に日本車輌で製造された3018編成・3020編成が営業運転を開始した。そして2007年3月に3019編成・3021編成が落成し、3019編成は同月21日から、3021編成は同月29日からそれぞれ営業運転を開始した。
4次車との変更点としては、制動緩解時の音の静粛化や、減速時にインバータ装置および電動機から発する非同期モードへの変調がN800形と同じように早くなっている点が挙げられる。その他の外観・内装に関しては基本的に4次車と差異はない。
5次車製造に先立ち、3015編成の成田空港寄り2両の走行機器が一部変更された。同車も減速時の非同期モードへの戻りが早くなっており、5次車では3015編成で試用した走行機器の結果をフィードバックした。
このグループの製造によって、編成数は3700形の17本を上回る21本となったほか、京成在籍車両としては128両になり形式別で最多数になった(3700形は132両製造したが、8両北総にリースしている為、京成在籍車は124両)。
[編集] 新製後の動向・特筆事項など
2004年4月時点で在籍していた3001~3009編成に関しては、客室蛍光灯破損時による事故防止のため、6月までに全車両の室内客室部蛍光灯すべてを従来の昼白色タイプから飛散防止形白色タイプに交換し、多少室内の色温度が低くなりイメージが変わった。
また、2005年12月時点で在籍していた3001~3013編成に関しては、マナー啓発のために2006年1月までに全車両の優先席付近の吊り革を黄色いタイプのものに変更するとともに、窓には優先席を表すステッカーも貼付された。
[編集] 形式名称の由来
「3000形」という車両形式名は、京成電鉄では「赤電」とも称された初代3000形が在籍したことから、当形式を2代目として新3000形と称することもある。京急新1000形と同じく、都営浅草線乗り入れ事業者の車両については車両番号の千の位が協定で定められており、京成は3を付与することができるが、設定されていない「3900」を飛ばし、再び「3000」の形式名となった。9が縁起の悪い数字(「ク」=「苦」を連想する)という意味からである。[要出典]
[編集] 現状・近況(2007年4月9日現在)
8両編成1本(8両)と6両編成20本(120両)の計128両が在籍する。前述のとおり2007年3月に6両編成2本を導入した時点で、128両とこれまで京成在籍車数で最多だった3700形(リース中の3808編成は除く)の数を上回った。
京成に在籍する6両編成の約6割が3000形となり、普通運用の中心的存在となっている。千葉線や千原線運用に入る機会も多い。平日ダイヤでの上り普通6連1本は後部1両を行商専用車としており、3000形もその運用に入ることが多い。
8両編成の3001編成は、3700形や3400形と共に本線や都営線・京急線直通の優等運用を主に使用し、千葉線・千原線には入らない。
2006年7月下旬~8月中旬に、3001編成は「京成グループ花火ナイター号」としてステッカー式ヘッドマークを装着して運転された(2003年以降、夏期に3000形いずれかの編成で装着し運用に入ったが、8両編成で装着したのは今回が初めてだった)。
諸事情により2006年末より、1~3次車(3001編成~3013編成)の転落防止幌を外し運用に入っている。
(※)以前は行商専用列車として、700・2200形や更新入場直前の3100形等2~3両が用いられた。
[編集] 今後の予定
当面は、老朽化した3200形・3300形および3500形未更新車の代替として6両編成を中心に増備を続ける予定である。
[編集] 同一設計で製造された車両
2005年度以降、本形式と同一設計の車両が京成グループの他社にも導入されており、新京成電鉄のN800形と北総鉄道の7500形が該当する。