月刊コミックNORA
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「月刊コミックNORA」(げっかんこみっくのーら)は、学習研究社が1986年から1998年にかけて刊行していた少年漫画雑誌である。本項では前身である「SFアニメディア」(えすえふあにめでぃあ、1985年から1986年にかけて刊行)と姉妹誌の「月刊コミックPocke」(げっかんこみっくぽっけ)および「コミックCAIN」(こみっくかいん)についても記述する。
目次 |
[編集] 概要
学研はこれ以前にも「どっかんV」(後に改題して「月刊少年チャレンジ」、1982年に休刊)といった漫画雑誌を刊行したことがあるが、『まいっちんぐマチコ先生(えびはら武司)』以外にはこれといったヒット作もなくいずれも短命に終わっていた。
1985年「アニメディア」増刊としてSF漫画を中心とした「SFアニメディア」を刊行。同誌の目玉は『サイボーグ009 時空間漂流民編(石ノ森章太郎)』であり、前述のえびはら武司も新作を発表していた。また、デビューしてから間もなく当時ほとんど無名であった長谷川裕一の『マップス』が人気作となる。同作のOVA(学研ではOAVと称している)が企画されるなど軌道に乗り出した同誌はVol.6まで刊行された後、1986年に「コミックNORA」としてリニューアルし「アニメディア」から独立した漫画雑誌になった。創刊号(1986年9月号)の表紙は『ヴイナス戦記(安彦良和・この号より新連載)』であった。初期の頃は巻頭掲載作品は毎号100ページ掲載であった。
判型は少年漫画雑誌で一般的なB5判よりも小さいA5判であり「コンパクトなA5判にみなぎるパワー」というキャッチコピーが使用された。このサイズは児童漫画雑誌や少女漫画雑誌では多数見受けられるが、この系統の漫画雑誌としては非常に珍しいものである。当初は隔月刊であったが後に月刊化し「月刊コミックNORA」となる。1990年代に入ると元々は本誌と同じく「アニメディア」増刊として刊行され、アニパロを中心とした「月刊コミックPocke」も独立した漫画雑誌として刊行された。また、同時期に少女漫画誌「コミックCAIN」が本誌より分離する形で刊行され、『恋人は守護霊!?(水縞とおる)』など一部の作品はそちらに移籍した。この2誌の掲載作品の単行本はそれぞれ「ノーラコミックスPockeシリーズ」「ノーラコミックスCAINシリーズ」というレーベル名であった。1996年には「ハイパーNORA」という増刊が刊行されたことがある。
末期は「月刊コミックノーラ」と表題をカタカナにし、メディアミックス企画ものを強化し判型も一般的なB5判にしたがうまくいかず、1998年9月号をもって休刊した。本誌の姉妹誌2誌に関しても「月刊コミックPocke」は1998年8月号、「コミックCAIN」は1998年3月号をもってそれぞれ休刊している。
創刊初期の頃の経緯の関係もあって、SF漫画が多く掲載された。一方で、『おざなりダンジョン(こやま基夫)』のようなファンタジー漫画も多い。また、本誌から「コミックCAIN」が分離したことからも分かるように、少年漫画雑誌でありながら少女漫画的な性格の強い作品も多く、この意味においては後の「月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)」系列各誌(「月刊コミックブレイド(マッグガーデン)」等の派生誌も含む)に近い性格があるともいえる。
位置的にはメディアミックスによる作品展開手法が本格化する前(本格化しだしたのは本誌末期頃から)の雑誌ではあるが、OVA化やCDドラマ化された作品も多い(ちなみにテレビアニメ化された作品は1作品もない)。表紙には作品名の一覧ではなく作家名の一覧が掲載され、新人作家を育成するという志向も強かった。本誌からデビューした漫画家としては渡瀬のぞみ・井原裕士などが挙げられる(ちなみにうるし原智志も漫画作品を初めて手がけたのは本誌であるが、本職はアニメーターである)。
掲載作の登場人物を2頭身化した番外編的なSD漫画も多く存在し、また読者プレゼントの景品にやたらとテレカが多かったことでも知られる。本誌は同時期の「月刊少年キャプテン(徳間書店)」 「月刊コミコミ(白泉社)」 「月刊コミックコンプ(角川書店)」や、時期的には少し後になるが「月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)」 「コミックガンマ(竹書房)」などとともに、現在の「月刊少年エース(角川書店)」 「月刊コミック電撃大王(メディアワークス)」 「月刊Gファンタジー(スクウェア・エニックス)」などに通じる四大少年誌系列以外の月刊少年誌の草分け的存在であり、本誌休刊後にはこれらの雑誌に移籍した作家も多い。
なお、学研が2005年に新たに刊行した漫画雑誌「コミックキラリティー(2号刊行したのみで休刊)」の「キラリティー」はうるし原智志が本誌に連載していた作品のタイトルに由来する。同誌創刊号の「発刊記念特別イラストエッセイ “萌え”のベクトル」の寄稿者は大半が本誌連載経験のある漫画家であったが、本誌連載経験がありかつ同誌に連載をしていたのは渡瀬のぞみだけである。
また、本誌刊行当時に刊行された単行本は現在では全て絶版となっている(後に他社から文庫版などが刊行されている作品はいくつかある)が、「ノーラコミックス」というレーベル名自体は現在でも使用されている。ただし、「NC」をかたどったロゴマークは使われておらず、レーベル内通し番号の体系も本誌刊行当時とは異なる。
[編集] 主な掲載作家・作品
[編集] 本誌(SFアニメディア・月刊コミックNORA)
- 本誌最大のヒット作でもある『マップス』の連載開始は「SFアニメディア」創刊号、『忍闘炎伝』最終話は「月刊コミックノーラ」休刊号であるため、本誌には最初から最後までいたことになるが、『マップス』本編連載終了から約1年半ほど(1995年~1996年前半)誌面から席を外していたことがあり、この間の本誌の痛手も大きかったものと考えられる(この頃の経緯に関しては作家項目および『飛べ!イサミ』『轟世剣ダイ・ソード』の項を参照のこと)。
また、長谷川裕一の「脱がし」を多用する作風があったがために漫画家の内では「NORAは裸を描いてもいい」とも言われていたともされており、事実本誌掲載作品にはそのような傾向のものが多く存在する。
- 『ダンジョン』シリーズは本誌におけるファンタジー漫画の代表格であり、また「剣と魔法の世界」分野の漫画における草分け的存在のひとつでもある。シリーズにはこの他に本誌休刊後に発表された第3作『なおざりダンジョン』がある(「超人ロックSpecial(ビブロス)」「月刊コミックラッシュ(ジャイブ)」に掲載)。また、OVA版が1993年にテレビ東京で放送されたことがある。『マップス』の本編終了後、本誌の屋台骨とされたが、第2作に第1作の人気サブキャラが一切でてこなかった為人気が落ち込み、休刊へと追い込まれる一因になったという説もある。
- たがみよしひさ 『NERVOUS BREAKDOWN』『NIGHT ADULTCHILDREN』『HARD』『なくしたピース』
- 『NERVOUS BREAKDOWN』は本誌休刊後に「ノーラコミックスコンパクト」として学研から文庫版が刊行された。その後このレーベルの新刊は刊行されておらず、結局この作品のみとなった。
上に挙げた『マップス』『おざなりダンジョン』『NERVOUS BREAKDOWN』の3作品はNORAの三大看板といわれていた。
- 最終話は「コミックNORA」創刊号掲載。なお、時空間漂流民編のエピソードはアニメ化されたことはない。また、編集部は続けて完結編の連載を打診していたが、石ノ森はこれを断ったため結局実現せず、他誌も含めて完結編が執筆されることなく石ノ森自身が他界してしまった。
- 聖悠紀 『TWD EXPRESS』『ウォー・プリンセス』
- 山本貴嗣 『シンバッド』
- 新谷かおる 『白と黒の羊』
- 安彦良和 『ヴイナス戦記』『クルドの星』『安東』
- あさりよしとお 『迷走学園』
- 渡瀬希美(かえんぐるま) 『竜児theドラゴン』『Gパッション』『薬師』『ダーク・ダッシュ』
- 『薬師』『ダーク・ダッシュ』はドラマCD化された。デビュー当初はかえんぐるま名義だったが、『薬師』の連載途中から渡瀬希美名義になる(現在は渡瀬のぞみ名義で活動している)。SFアニメディア第2回コミック賞佳作入選作『最後の対立』でデビューした本誌出身作家。
- 『恋人は守護霊!?』は後に姉妹誌「コミックCAIN」に移籍した。
- うるし原智志 『レジェンド・オブ・レムネア』『プラスチックリトル』『キラリティー』『ラグナロック・シティ』
- 神北ハヤト 『デコレーションパック』
- 矢野健太郎 『邪神伝説シリーズ』『ドリーマー』『P・U・L・S・E』
- 岡崎武士 『EXPLORER WOMAN RAY』『カウンタック』
- 池田恵 『無敵のビーナス』『無敵のビーナス 第二部』
- 『無敵のビーナス』はドラマCD化された。
- 『綾音ちゃんハイキック!』はタイアップ作品であるが休刊に伴い未完。1992年12月号掲載の『勅命!王子様を守れ!!』でデビューした本誌出身作家。
- 『IZUMO』はStudio e.go!が制作した同名の18禁ゲームおよびそのアニメ版とは全く関係ない別物である。なお、こちらの作品もOVA化されている。また、漫画においてCGを使用した先駆的存在としても知られている(ちなみに都築和彦は漫画家になる前は日本ファルコムに所属しており、類似の例としては新海誠が挙げられる)。
- 『ミッドナイト・パンサー』OVA版は18禁指定。
- 岡崎つぐお 『メタル・バック』
- 山下卓 『メルティランサー 蒼月の涙』
- 衣谷遊 『ジャンゴ』『白龍(パイロン)』
- 『白龍』の原作は和田慎二。
- 九月姫 (原作翔企画)『モンスターメーカーD』
- ゲームデザイナー鈴木銀一郎によってデザインされ、1988年に翔企画から発売された日本初の本格カードゲーム「モンスターメーカー」の、イラスト担当である九月姫本人によるコミカライズ作品。内容はドタバタコメディー。
- 柴田昌弘 『エリカ』『龍の砦』
- 曽我篤士 『電脳戦隊ヴギィ’ズ★エンジェル01』
- 『電脳戦隊ヴギィ’ズ★エンジェル01』の原作は竹内葵。
- 克・亜樹 『美少女創世伝説PRINCESS』
- 『美少女創世伝説PRINCESS』は元々は『プリンセス』というタイトルで「コミックガイズ(学研が刊行していた隔週刊青年漫画雑誌だが「Pocke」「CAIN」とは違い本誌の姉妹誌ではない)」に連載されていたものであるが、同誌の休刊に伴い本誌に移動してきた作品である。
[編集] 月刊コミックPocke
- 奥谷かひろ 『花咲きKomachi-Girls』
- 後藤星 『雲上楼閣綺談』
- 矢島たすく 『TWIN・地球』
- かんべあきら 『月のうまれる夜』
- みささぎ楓李 『ABmotion』
- くさなぎ俊祈 『少年進化論』
- 水縞とおる 『花も嵐も!』
- 岩崎つばさ 『骨まで愛して』
- せたのりやす 『錠前戦士キーマスター』
- 橘皆無 『特務戦隊シャインズマン』
- 園田英樹(文)・桐嶋樹(画) 『F.O.X』
- あかほりさとる(原作)・いのまたむつみ(キャラ設定)・まつしたあきこ(作画) 『Child神さマン イザナギ』
- 狭霧家薫 『ハイ・ブラセル』
- 矢崎航 『学園守護神 櫻川軍団』
- 七瀬みく 『学園トラブルバスターズ プリティ・エンジェル』
[編集] コミックCAIN
[編集] 本誌掲載でないがノーラコミックスから刊行された作品
[編集] 本誌刊行当時
- 「5年の科学」「6年の科学」に連載中である。
- 掲載誌は「サイバーコミックス(バンダイ出版部)」、併録の『わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙 もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦』は「コミックマスター(ホビージャパン)」掲載である。前者は後に角川書店から刊行された単行本『機動戦士Vガンダム外伝』にも収録されている。
[編集] 本誌休刊後
- カサハラテツロー 『ヴァイスの空』
- 長谷川光司 『おとぎストーリー 天使のしっぽ』『流星戦隊ムスメット』『魔法少女リリカルなのはA's THE COMICS』