和歌山駅
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和歌山駅(わかやまえき)は、和歌山県和歌山市美園町5-62にある西日本旅客鉄道(JR西日本)・和歌山電鐵の駅。
和歌山市のJRにおける玄関口である。地元では南海本線などの和歌山市駅と区別するため和駅(わえき)と通称される。
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[編集] 利用可能な鉄道路線
紀勢本線の中間駅だが、運転系統としては、阪和線ときのくに線(和歌山-新宮間の愛称)で直通運転されており、和歌山-和歌山市間は区間運転のみである。よって、和歌山市方面と御坊方面間の利用では、この駅での乗換えが必要であり、特に接続が考慮されているわけでもない。ほかの各線についても、阪和線ときのくに線海南方面を直通する一部の列車以外は、この駅が始終着となっている。各線とも、特急や快速も含めてすべての列車が停車する。
[編集] 駅構造
5面8線の地上駅である。駅ビル「VIVO(ヴィーボ)和歌山」をもつ。
- のりば
1 | ■きのくに線特急(「くろしお」など) | 天王寺・新大阪・京都方面 |
■阪和線(きのくに線からの直通も含む) | 日根野・関西空港(日根野乗り換え)・天王寺・大阪方面 | |
2・3 | ■阪和線(3番のりばからきのくに線電車が発車することがある) | 日根野・関西空港・鳳・天王寺・大阪方面 |
4・5 | ■きのくに線(特急「くろしお」は4番のりば) | 海南・御坊・紀伊田辺・白浜・新宮方面 |
■阪和線快速電車 | 日根野・関西空港・鳳・天王寺方面 | |
6 | かつてはホームなしの線路があったが、現在は撤去されている。 | |
7 | ■和歌山線 | 粉河・橋本・五条・王寺・奈良方面 |
8 | ■紀勢線 | 紀和・和歌山市行 |
9 | ■わかやま電鉄貴志川線 | 伊太祁曽・貴志方面 |
自動改札機が設置されていて、ICOCAも使える(ICOCAおよびJスルーは、阪和線の利用でないと使えない)。なお貴志川線ホームにも簡易型の自動改札機があるが、その前に中間改札(有人)があり、全員必ず通らなくてはいけない。貴志川線からJR線に乗り換える場合、乗車券(ICOCAも含む)をすでに持っているときは、それに切符類を通す(触れる)。持っていないときは、中間改札で「精算済証」をもらってから(その時に貴志川線の切符は回収される)、いったん外に出て切符を買い直すか、乗り換えた列車の車掌もしくは降りた駅で「精算済証」を渡して切符を買う(運賃を支払う)必要がある。逆に、JR線から貴志川線に乗り換える場合で切符を持っていない時は、同じくいったん外に出て買い直すか、9番のりば入口にある窓口で和歌山までの切符(運賃)を見せて、購入する。この場合、カード利用者を除いてホーム内の自動改札は使用できない。なお、わかやま電鉄線ではスルッとKANSAIカード、PiTaPaは使えない。
構内には、西日本旅客鉄道和歌山支社がある。また紀三井寺方には、阪和線電車の留置線が2線とその南側の踏切を挟んだ所に1線あるほか、わかやま電鉄線からJR線への渡り線がある(非電化単線)。
[編集] 利用状況
2004年度の1日あたりの平均利用者数(乗車人員)は20,346人である。これはJR西日本の駅では第48位である。
[編集] 駅周辺
和歌山市の玄関駅としてバスターミナルとタクシー乗り場がある。西口側が比較的発展している。
[編集] 当駅からの高速バス
- ドリーム和歌山号(ジェイアールバス関東・南海ウイングバス南部)
- サウスウエーブ号(京成バス・和歌山バス)
- 関西空港リムジンバス(関西空港交通・和歌山バス)
- 和歌浦口・西高松・堀止・日赤医療センター前・県庁前・市役所前・公園前・三木町新通・和歌山駅東口⇔関西国際空港
[編集] 歴史
最初にできた和歌山市の玄関駅は、明治31年(1898年)に船戸仮駅から伸びてきた紀和鉄道が開業させた和歌山駅(現在の紀和駅)である。しかしそのわずか5年後の明治36年(1903年)には紀ノ川駅から伸びてきた南海鉄道(現在の南海本線)が和歌山市駅を開業させる。和歌山市駅のほうが大阪への便がよかったということもありこちらが新しい和歌山の玄関となった。
現在の和歌山駅は大正13年(1924年)の2月に東和歌山駅(ひがしわかやまえき)として開業した。国鉄紀勢西線の最初の開通区間として和歌山駅(現在の紀和駅)から当駅を経て箕島駅までが開通したのと同時に開業した。このとき山東軽便鉄道(現在の和歌山電鐵貴志川線)も、従来の路線のうち秋月駅(現在の日前宮駅)から中ノ島駅までを廃止し、また秋月駅から当駅まで路線を延ばして当駅に乗り入れたので、この駅は開業当初から二路線の接続駅であった。
昭和5年(1930年)6月には、阪和電気鉄道(現在のJR阪和線)が和泉府中駅から阪和東和歌山駅(はんわひがしわかやまえき、東和歌山駅と同位置)までを開業させ、当駅は新しいターミナル駅としての性格を帯びていくようになる。阪和電気鉄道は昭和15年(1940年)、南海鉄道に吸収合併され南海鉄道山手線となったので、阪和東和歌山駅は南海東和歌山駅(なんかいひがしわかやまえき)と改称された。
この駅が国鉄のターミナル駅として重要性を高めたのは昭和19年(1944年)であった。この年の11月、南海鉄道山手線は国有化により国鉄阪和線となったため、南海東和歌山駅は国鉄の東和歌山駅に統合されたのである。このことによって大阪から和歌山市までが国鉄のみでつながることとなったため、和歌山市駅が南海鉄道のターミナルであるのに対して、この駅を国鉄のターミナルと呼ぶことができるほどにもなった。
昭和34年(1959年)には三木里駅と新鹿駅の間の開通を以って和歌山駅(現在の紀和駅)から当駅を経て亀山駅までが全通したのでこの区間が紀勢本線となった。和歌山鉄道(昭和6年に山東軽便鉄道から社名変更)は数度の合併を経て昭和36年(1961年)には南海電気鉄道の貴志川線となった。
そして明治31年(1898年)以来、和歌山駅を名乗っていた現在の紀和駅が昭和43年(1968年)2月1日に現名へ改称される。更に、当駅についても同時変更による混乱を避けた1ヶ月後の昭和43年(1968年)3月1日、現在の名称たる和歌山駅(わかやまえき)に改称となる。これによって名実ともに和歌山市の玄関駅となったのである。
和歌山線はかつて田井ノ瀬駅から当駅を経由せず、そのまま紀伊中ノ島駅を経て和歌山駅(現在の紀和駅)に乗り入れていたが、昭和36年(1961年)に開通した田井ノ瀬駅から当駅までの貨物支線を利用して昭和47年(1972年)3月には全列車が当駅への乗り入れを果たし、正式に営業キロが設定された(それ以前から紀勢本線箕島方面への直通列車を中心とした一部の旅客列車が乗り入れていたが、貨物線扱いで正式な営業キロがなかったため、運賃を紀伊中ノ島経由で計算していた)。一方、田井ノ瀬駅から紀和駅までの線路は昭和37年(1962年、当時紀和駅はまだ和歌山駅を名乗っていた)12月の貨物営業廃止を経て、昭和49年(1974年)の10月1日に廃止となっている。
その後、国鉄紀勢本線・阪和線・和歌山線は国鉄の分割民営化により西日本旅客鉄道(JR西日本)の路線となった。そして平成18年(2006年)には南海貴志川線が和歌山電鐵に継承され、現在に至っている。
[編集] 年表
- 1924年(大正13年)2月28日 - 国鉄紀勢西線の和歌山駅(現在の紀和駅)から箕島駅までの開通にともない東和歌山駅として開業する。同時に山東軽便鉄道(現在のわかやま電鉄貴志川線)が当駅に乗り入れ。
- 1929年(昭和4年)11月 - 山東軽便鉄道が山東鉄道に社名変更。
- 1930年(昭和5年)6月16日 - 阪和電気鉄道(現在のJR阪和線)が和泉府中駅から阪和東和歌山駅(はんわひがしわかやまえき、後に当駅に統合)までを開業させる。
- 1930年(昭和5年)6月16日 - 合同電気(後の南海和歌山軌道線)が公園前から当駅までを開業させる。
- 1931年(昭和6年)4月28日 - 山東鉄道が和歌山鉄道に社名変更。
- 1940年(昭和15年)12月1日 - 阪和電気鉄道が南海鉄道に吸収合併され南海鉄道山手線となる。阪和東和歌山駅は南海東和歌山に改称。
- 1944年(昭和19年)5月1日 - 南海鉄道山手線が国有化され国鉄阪和線となる。南海東和歌山駅が国鉄の東和歌山駅に統合される。
- 1957年(昭和32年)11月1日 - 和歌山鉄道が和歌山電気軌道に合併となり和歌山鉄道線は和歌山電気軌道の鉄道線となる。
- 1959年(昭和34年)7月15日 - 亀山駅から和歌山駅(現在の紀和駅)までが全通し紀勢本線とされる。
- 1961年(昭和36年)7月1日 - 国鉄和歌山線の貨物支線が田井ノ瀬駅から当駅まで開通する。
- 1961年(昭和36年)11月1日 - 和歌山電気軌道が南海電気鉄道に合併となり和歌山電気軌道鉄道線は南海貴志川線となる。
- 1968年(昭和43年)3月1日 - 現在の名称たる和歌山駅(わかやまえき)に改称となる。同時に現在の駅ビルが使用開始となった。
- 1971年(昭和46年)4月1日 - 南海和歌山軌道線が廃止
- 1972年(昭和47年)3月15日 - 国鉄和歌山線の貨物支線であった田井ノ瀬駅から当駅までの旅客営業が開始、和歌山線の旅客列車が当駅に乗り入れを果たす。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により国鉄各線が西日本旅客鉄道(JR西日本)に承継される。
- 2006年(平成18年)4月1日 - 南海貴志川線を和歌山電鐵が継承、同線はわかやま電鉄貴志川線となる。
[編集] 駅弁
水了軒と阪和第一食堂の2業者が販売している。民営化前から2業者が営業しており、近畿地方では珍しい例である。なお、阪和第一食堂はその名の通り阪和線ホーム(2・3番線ホーム)のみの営業である。
- 小鯛雀寿し(水了軒)
- ビッグホエール弁当(水了軒)
- めはり寿司(水了軒)
- えびずし(阪和第一食堂)
- ひれかつ弁当(阪和第一食堂)
[編集] その他
- 隣の駅(紀伊中ノ島駅、紀和駅、宮前駅、田井ノ瀬駅、田中口駅)が全て無人駅である。
- くろしお号の和歌山駅到着の車内チャイムは「鞠と殿様」である。
- 都市圏の始発駅では普通に見られる風景であるが、朝の天王寺・大阪行き快速電車は、和歌山発車時点で既に立ち客が出ることも珍しくないため、座るために敢えて1本後の電車を待つ乗客の姿もみられる。
- 大阪駅・京橋駅とこの駅を結ぶ紀州路快速が終日ほぼ毎時2本で運行されるようになり、大阪市内(主に環状線内)と和歌山市内の移動は便利になった。しかし、新幹線接続の新大阪駅までは、快速は一部を除き直通運転しておらず、所要時間が30分程度短く、直通運転している特急の利用客も結構多い。また、この所要時間の格差から、天王寺駅までの利用者も多い(実際の所、途中で特急に抜かれる快速電車もある)。競争相手の南海本線の特急「サザン」が和歌山市駅~難波駅で指定席利用の場合で1390円(運賃890円+座席指定料金500円)に対して、JRは1740円(運賃830円+自由席特急料金910円)と運賃面ではJRの方が高い。そのため特急回数券(阪和線特急回数券)を発売するなどして対抗している。
- 和歌山電鐵貴志川線の電車は、当駅到着直前・直後に「紀州ぶんだら節」をアレンジした車内チャイムを鳴らす。
[編集] 隣の駅
- 西日本旅客鉄道
- 紀勢本線
- 阪和線
- 和歌山線
- 和歌山電鐵
- 貴志川線
- 和歌山駅 - 田中口駅