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灼眼のシャナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

この「灼眼のシャナ」は、まだ完結していない作品や番組に関する項目です。ある程度ストーリー・番組内容がまとまってから編集するようにしてください。

灼眼のシャナ
ジャンル 学園小説
小説
著者 高橋弥七郎
イラスト いとうのいぢ
出版社 メディアワークス
レーベル 電撃文庫
発表期間 2002年 -
巻数 本編14巻
短編2巻
以下続刊
漫画
作者 笹倉綾人
出版社 メディアワークス
掲載誌 月刊コミック電撃大王
発表期間 2005年4月号 - 連載中
巻数 既刊2巻
テレビアニメ
監督 渡部高志
シリーズ構成 小林靖子
キャラクターデザイン 大塚舞
アニメーション制作 J.C.STAFF
製作 『灼眼のシャナ』製作委員会
放送局 放送局参照
放送期間 2005年10月 - 2006年3月
話数 全24話
OVA: 灼眼のシャナSP 「恋と温泉の校外学習!」
監督 渡部高志
シリーズ構成 白根秀樹
キャラクターデザイン 大塚舞
アニメーション制作 J.C.STAFF
製作 『灼眼のシャナ』製作委員会
発売日 2006年12月8日
映画
監督 渡部高志
制作 J.C.STAFF
封切日 2007年4月21日
上映時間 -
ゲーム
ゲームジャンル バトルアドベンチャーゲーム
対応機種 プレイステーション2
ニンテンドーDS
開発元 メディアワークス
発売元 メディアワークス
メディア [PS2] DVD-ROM
[DS] DSカード
プレイ人数 1人
発売日 [PS2] 2006年3月23日
[DS] 2007年3月29日
販売価格 [PS2] 6510円(税込)
[DS] 4725円(税込)
レイティング CERO : 12歳以上対象
その他 DS版タイトルは「灼眼のシャナDS」
テンプレート使用方法 ノート
文学
画像:Lit.jpg
ポータル
各国の文学
記事総覧
出版社文芸雑誌
文学賞
作家
詩人小説家
その他作家

灼眼のシャナ』(しゃくがんのシャナ)は電撃文庫から刊行されている高橋弥七郎ライトノベル。また、これを原作とする漫画アニメゲーム作品である。

原作のイラストいとうのいぢ

目次

[編集] 概要

シリーズ累計450万部を突破している、2000年代中期のライトノベルを代表する作品の一つである。キャッチフレーズは「奇妙な学園ストーリー」(作者・高橋弥七郎の言を借りるならば「痛快娯楽アクション小説」)。

作品独自の専門用語の多用や独特の世界観で構築された本作の内容を把握・理解するには少々時間を要するものの、一度頭に入れてしまえば、それらは本作の作品世界を楽しむための必要不可欠な存在であると感じる事が出来る。事実として中高生など若い読者を中心に熱狂的なファンは多い。また、作者・高橋弥七郎は荒川弘氏との対談において、「燃えも萌えもどっちも好きなんだよ!」と言ったらしい。

2005年からは文庫発行元・メディアワークスによるメディアミックスプロジェクトが始動。同年2月には『月刊コミック電撃大王』にて笹倉綾人作画による漫画版の連載が開始(4月号から)、漫画版は累計50万部を突破した。
同年10月からはテレビアニメ化され、翌年(2006年)3月までの半年間放送。このアニメ版最終回ラストカットにおいて、いわゆる“UHFアニメ”としては史上初となる劇場版アニメの製作が発表。2007年4月に公開予定である。なお2006年12月にはOVAも発売された。

テレビアニメの第二期シリーズ『灼眼のシャナII (Second) 』の2007年秋放送が発表された(灼眼のシャナ公式HPより)。

[編集] ストーリー

御崎市で平凡な日常を過ごしていた高校生・坂井悠二は、とある一人の少女の出現と共に非日常の世界に巻き込まれた。その少女、名もなき『炎髪灼眼の討ち手』は、人知れず人を喰らう異世界人“紅世の徒”を探し討滅するフレイムへイズの一人。彼女は、悠二が自覚のないまま死んでいることを告げ、訳あって“紅世の徒”から狙われるようになった悠二を護る事になる。そんな彼女に悠二は「シャナ」という名前をつける。二人は反発しながらも、少しずつ惹かれ合っていく…。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


[編集] 登場人物

灼眼のシャナの登場人物を参照。

[編集] 用語

[編集] 基礎用語

“存在の力(そんざいのちから)”
この世に存在するための根源的なエネルギーで、生命の他に運命や因縁などと言った要素を含む。人間はもちろん、動物や物質と言った、この世のあらゆる存在が持っている。これが失われるとこの世そのものから存在が抹消され、関わった人々の記憶はもちろん、持ち物も消え、写真などからもその存在が失われ、「最初からこの世に存在していなかった」のと同然になる。
“存在の力”の量が多い人間ほど、周囲に強い影響力(≒存在感)を持つ。「運命」が時空全体で相当した影響力を示すのに対し、“存在の力”は瞬間的な影響力を示している。
その力は炎によって象徴され、“紅世の徒”はそれぞれ異なる炎の色を持つ。フレイムヘイズは契約している“紅世の王”、“燐子”は製作者である“徒”と同じ色の炎である。
世界の歪み
人為的に“存在の力”が失われ(概ね“紅世の徒”による浪費)、「本来あるべきだった影響」が失われたことで生じる“存在の力”の不調和状態、不均一状態。あるいは、そうした状態にある局地。
あまりにも歪みが大きくなると災厄が起きるとされ、それを防ぐための討滅者がフレイムヘイズであり、この世の歪みを修復するフレイムヘイズを調律師と呼ぶ。
“紅世(ぐぜ)”
この世の“歩いて行けない隣”にある世界。端的には特定の異次元世界を示す名称と考えて差し支えない。
この世とは異なる物理法則によって成り立っており、五感が意味をなさない。フリアグネ曰く、「あらゆるものが、現象による影響と意思による干渉の元、延々変化し続ける世界」(簡単に言うと、「力そのものが混じり合う世界」)らしい。力のせめぎ合いが延々と続く、生きてゆくには過酷な世界とされている。
住人である“紅世の徒”は元々自分たちの世界を“渦巻く伽藍”と表現していたが、“徒”から“渦巻く伽藍”の様子を聞き出した人間の詩人が“紅世”と名づけ、今まで自分達の世界に固有名を持たなかった“紅世の徒”達の間に広まり、定着した。
“紅世の徒(ぐぜのともがら)”
“紅世”の住人の総称。“徒”と略す。作中では特に、生まれ故郷の“紅世”を離れ、人間そのものを軽視し人間の“存在の力”を浪費する者に限定した呼称として用いられることも多い。
人間と同様に意思や“存在の力”を持ち、それらを自在に操ったり、人間の強い意思と共感したりする能力を持つ。また人間と同様に老若や(実際には若干異なるが)男女の別がある。
その他の詳細は、作中の描写が少なく不明瞭な部分が多い。
とある“紅世の王”が編み出した術によって、この世に渡ることが出来るようになった。以来、“紅世”での力のせめぎ合いより自在に力を振るい気儘な生を望む“徒”は、生まれ故郷の“紅世”を嫌って「より自由」なこの世へ渡り来、放蕩の限りを尽くすようになる。
本来この世の存在でない“紅世の徒”は、この世の“存在の力”を喰らうことで実体化できるようになり、存在を維持する。また自在法を使う際も、“存在の力”を喰らって自前の力にした上で利用することが多い。ただし動物や物質が持つ“存在の力”は“徒”には合わず、喰らえば逆に力が薄められてしまう。よって“徒”は、この世で最も“徒”に近い存在である人間の“存在の力”のみを喰らう。なおこれらとは別に純粋な“存在の力”も存在するが、『都喰らい』と呼ばれる秘法を使った後にしか作中では言われていない(詳細は不明だが、「純度」と言う表現が使われていることから、“徒”が喰らう“存在の力”は通常、何らかの「不純物」を含んでいるとも推測できる)。
彼らがこの世の“存在の力”を喰らった結果、世界に「歪み」が生じフレイムヘイズに察知されるようになったことから、生じる「歪み」を緩和させるために「トーチ」を生み出した。
“徒”がこの世に実体として現れることを「顕現」と呼び、特別な自在法を使わない限り、この世に現れるときの姿は、その“徒”の本質をこの世の「形ある何か」で表したもので、人間や獣に似た姿の者もいれば、植物や道具、それらの形状が混在した者など、文字通り千差万別である(ただし現代では、「本性の姿」を「本性に見合った人間型」に変換する「人化の自在法」を併用することが多い)。
“紅世の王(ぐぜのおう)”
“紅世の徒”の中でも、強大な力を持っている者の総称。特に明確な基準があるわけではなく、“徒”たちの間の風聞や力の大きさ・強さによって“王”であるか否かが決まる。なおここでいう力の大きさとは、“存在の力”をどのくらいの規模で統制できるかというもので、大きな“存在の力”を持ったからといって“王”になれるわけではない。
無法の“徒”によって世界のバランスが崩れることを危惧し、人間と契約してフレイムヘイズに手を貸す“王”も多い。
“燐子(りんね)”
“紅世の徒”が作り出した、“徒”の下僕。この世の物に存在の力を吹き込む事で作られ、“存在の力”を喰らう事は出来るが、“存在の力”を自分の力に変えることはできず、作り主から“存在の力”を与えられることで存在を維持する。
物によってかなり性能が異なり、自立した意識を持たず、“徒”の自在法の補助のみに使われる“燐子”もいれば、宝具を使う事すら可能な高度な知性を持った“燐子”もおり、その差はその“燐子”の使い道や、作り手である“徒”の技量によって異なる。
“燐子”の作成や、その維持には相応の“存在の力”や、それを繰る技量が必要なため、“徒”によって“燐子”無数使役したり、一体も使わなかったり、人によってまちまちである。
フレイムヘイズ
“紅世の王”と契約し、異能を得た元人間の総称。呼び名の由来は、契約の際に人間が幻視する両界の狭間の光景「炎の揺らぎ」からきている。
この世に渡った“紅世の徒”が「世界の歪み」を生じさせていることに気付いた“紅世の王”達が、「歪み」の限界点突破による世界規模の大災厄の到来を予測し、自らはこの世に「歪み」を生じさせることなく同胞達が生じさせる「歪み」を止める手段として誕生させた尖兵、あるいは道具。そのため、フレイムヘイズは「この世と“紅世”のバランスを守る」ことを目的とし、その主な手段として人間の“存在の力”を浪費し「歪み」を生み出す“徒”を討滅している。ただし、生じた「歪み」を探し出して行動を起こすため、基本的に受身に回る宿命にある。
なお“存在の力”を浪費する“徒”は、「この世と“紅世”に必ずしも災厄が訪れるとは限らない、それらの予想は根拠が曖昧で、“存在の力”を使うことへの過剰反応に過ぎない」と考える者が多い。
契約は、何らかの理由で(フレイムヘイズを作る場合は“紅世の徒”やフレイムヘイズに関する)強い感情を抱いた人間を、“紅世”にいる“紅世の王”が共感することで感じ取り、その人間に「人間としての自身の過去・現在・未来の全て」を捨てさせることに同意させて行なう。人間側が同意する契約成立となり、その人間の「人間としての過去・現在・未来の運命」は全て失われ、時空に空いたその空白を『器』に見立てて“紅世の王”が入り込むことでフレイムヘイズは誕生する。なお、人間の器は通常は強大な“紅世の王”を納めるにはあまりにちっぽけであり、契約の際に“紅世の王”は『器』の内に収めるために自らを器の大きさに合わせて休眠させる必要がある。“紅世の王”と契約した人間は、この世の因果や法則から切り離されるため、人間であったときの周囲との関係性を失うと同時に、実質的な不老となる。
“紅世の王”と契約した人間は、圧倒的な“存在の力”とそれらを感じ操る能力を手に入れ、“紅世の王”が元々持っている能力や、“存在の力”を操ってありえない現象を引き起こす「自在法」と呼ばれる技、“存在の力”に関する道具である宝具などを駆使して戦う。彼らの多くは、“徒”によって全てを奪われ、命をも失う瀬戸際で強い感情を抱き契約に至るため、“徒”への復讐心を直接的な原動力としている。ただし自身の復讐を終えると、精魂尽きて抜け殻となる者も少なくない。そのため、敵対する多くの“徒”はフレイムヘイズを『人間の抜け殻』、「フレイムヘイズの使命」のために復讐心を利用されることを指して『同胞殺しの道具』や『討滅の道具』などと揶揄する。なお、幼少よりフレイムヘイズとなるべく養育されたシャナや、誰かを守りたいという善意で動くフレイムヘイズ、ユーリイ・フヴォイカは例外的な存在である。
基本的に、フレイムヘイズの意思と“紅世の王”の意思は独立したもので、行動能力はフレイムヘイズのみが持つため、実質的な主導権はフレイムヘイズ側にある。しかし使命を全うする意志を失ったフレイムヘイズに対し、契約している“王”が圧倒的な“存在の力”で、器となったフレイムヘイズを砕いて消滅させることもある。
フレイムヘイズに必要な“徒”への恨みを持つものが少なくなった現代では基本的に契約者を選ぶ余裕はないが、作中で出てきた“王”の多くは何故か契約相手を異性にしていることが多い。現在までに判明している範囲では、カムシンとヴィルヘルミナとイーストエッジ以外は全員がそうである。女性のフレイムヘイズが比較的多いのは、男性の“王”が女性の人間と契約している為と思われる。また、契約には強い人間の感情が必要なために若年者が契約する傾向が強く、ドレルのような男性で老人のフレイムヘイズは珍しいらしい。
運命
この作品における「運命」とは、概ね「その人間が周囲に与える影響力を、時空全体で総合したもの」であり、「未だ到達していない、しかし既に確定している将来の状況」ではない。
自在法(じざいほう)
“存在の力”を操ることで、この世では有り得ぬ不思議を現出させる術の総称。
より分かりやすく説明すれば、“存在の力”を魔力源とした魔法のようなもの。発動の際には、用いる自在法に応じた「自在式」と呼ばれる紋様が現れる場合も多いが、同じ自在法でも人によって全く自在式は異なり、呪文や身振りのような定型の手続きは存在しない。そのため、同じ自在法でも使用者によって多少個人差がある。また基礎的な術や皆が共通して使う術や、誰が使っても同じ効果を発揮する単品の自在式なども存在するが、基本的に術者ごとには固有の術であり、体系的な術ではない。
自在法はこの世の物理法則を捻じ曲げるため、“存在の力”を感知できる者は違和感(=気配)を察知し自在法が使われたかどうかを知る事ができる。効果の大きい(瞬間移動など)自在法ほど生じる気配も大きいらしい。生じた違和感が大きいと“存在の力”を察知できない人間にも大きな影響を与える。
“徒”がこの世にやって来る最大の動機は、自身の願望を叶える様々な自在法の行使であり、またフレイムヘイズにとっても戦闘の上で欠かせない。特に自在法を用いるのが得意な“徒”やフレイムヘイズは「自在師」と呼ばれる。
自在式(じざいしき)
自在法の発動を現し、また自在法の補助に用いられる紋様の総称。同じ自在法でも術者によって描かれる自在式は異なり、必ずしも一定の紋様とは限らない。ただし、逆に同じ模様の自在式は同じ効果をもたらすようである。
自在式だけでは何の効果も持たず、そこに“存在の力”を込めて初めて効果が現れる。通常は術者が自在式に“存在の力”を込めるため、その紋様は術者の“存在の力”で描かれることになり、炎の色でその自在式の術者が判別できる。
封絶(ふうぜつ)
自在法参照。
『天破壌砕(てんぱじょうさい)』
“紅世”真正の魔神である“天壌の劫火”アラストールのみが使用可能な神威召喚の儀式。これを行って顕現した場合、『神』として顕現するため通常の“紅世の王”をはるかに上回る能力を行使できる。使用者の“存在の力”を使わない代わりに、召喚には“徒”を生贄にする必要があり、『神』を迎える場でもある『紅蓮の帳』で固定した“徒”を神の供物にして動力源である『心臓』(コル)へと死の影で飲み込み作り変え、『神』としてアラストールは顕現する。但し、この方法をこの世で用いた場合、契約者(フレイムへイズ)は勿論その場にいた者も巻き込まれて死亡してしまう恐れがあり、この世ではまず使えない。 大戦では先代・『炎髪灼眼の討ち手』が“凶界卵”ジャリを生贄に捧げこの召喚の儀式を行った。
アニメでは概要が異なり、発動に“徒”を生贄に捧げる必要が無く、莫大な“存在の力”が現れ、通常の能力では修復不能に陥った場合のみが上げられる。その他に相違点があるかは不明。
宝具(ほうぐ)
“紅世の徒”が用いる、さまざまな効果を秘めた道具。ほとんどの宝具が“存在の力”を込めることで機能する。その効果は様々で、その主要な製造者も“徒”や人間など千差万別だが、“徒”と人間の両方が望まなければ作り出すことはできない(教授の「宝具でありながら宝具ではない」『我学の結晶』シリーズは除く)。
トーチ
“紅世の徒”やフレイムヘイズがこの世の歪みを緩衝する(“徒”の場合はフレイムヘイズらの追跡から逃れる)為に、喰らった、喰われた人間の“存在の力”を少量残し、そこから加工して作る残滓。喰らった人間の代替物として暫くの間は普通に活動するが、残された“存在の力”を消耗するにつれ徐々に存在感や気力が薄れていき周囲との繋がりが薄まり、やがて“存在の力”が燃え尽きてこの世から消失する。その瞬間、そのトーチの元となった人間の“存在の力”は完全に失われ、最初からこの世に存在しなかったのと同じになる。
フレイムヘイズ(おそらく“徒”にも可能)はトーチに「割り込む」ことも出来る。その際に残り火が強ければ周囲との繋がりも大きく残るので、“徒”の追跡や周囲に潜伏するのに用いられる。この「割り込み」はフレイムヘイズが望めばいつでも解除可能で、解除した瞬間にそのトーチは燃え尽きたと同じ状態になり、元からいなかったと同じになる。
“徒”はもとよりフレイムヘイズも基本的にトーチを人間と見なしておらず、物としてしばしば自在法のエネルギー源として用いている。トーチの“存在の力”は作る際の力の残し具合で決まり、他から“存在の力”を供給されない限り燃え尽きるのみ。また、いくら“存在の力”を注いでも元気なトーチになるというだけで人間になることは無い。
例外として、“徒”に喰われることなく自ら“ミステス”と化す場合は、その人間の「運命」という器の総量の“存在の力”を持った“ミステス”になる。
なお、英語のトーチ(torch)は「松明(たいまつ)」、あるいは松明に類する携帯用照明の意。
基本的にトーチの“存在の力”の色は“存在の力”を喰らった“紅世の徒”の炎の色を薄めた色になる。
“ミステス”
何らかの原因により、宝具を体の内に宿したトーチ。通称「旅する宝の蔵」。宿した宝具の影響により、封絶等の自在法の効果範囲内でも動くことが可能な物もいるが、それは大抵が戦闘用の宝具であり、例外として世界の事象一切に関わる力を持った『零時迷子』などが挙げられる。
また、そのトーチが燃え尽きる、または破壊されると宿されていた宝具は別のトーチに無作為に転移する。
『零時迷子(れいじまいご)』
宝具参照。
『大戦(おおいくさ)』
16世紀初頭、神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世の時代(西暦1519年以前)に、“紅世の徒”の集団[とむらいの鐘(トーテン・グロッケ)]とフレイムヘイズ達との最終戦、[とむらいの鐘]の本拠地であるハルツ山地のブロッケン山周辺で行われた戦いを指す。
外界宿(アウトロー)
フレイムヘイズの総合支援および情報交換ネットワークの拠点となる場所、またはそうした場所の運営団体のこと。厳密には、宝具『テッセラ』が設置された場所を称する。世界各地に点在し、表向きは場末の酒場などに偽装している。
古来はフレイムヘイズの避難所、あるいは休憩所程度の役割しかなく、あぶれ者や変り種のフレイムヘイズが管理する程度であった。しかし19世紀末から20世紀初頭、組織運営に優れた手腕を発揮したフレイムヘイズ『愁夢の吹き手』ドレル・クーベリックによって、フレイムヘイズの総合支援組織と化した。
作中で紹介された外界宿には、ドレル・クーベリック主宰『ドレル・パーティー』(スイス、チューリッヒ)、ピエトロ・モンテベルティ主宰『モンテヴェルディのコーロ』(欧州)、イーストエッジ主宰『イーストエッジ外信』(アメリカ、ニューヨーク)などがある。

[編集] 宝具

『贄殿遮那(にえとののしゃな)』
シャナの名の由来となった、シャナが持つ大太刀。大太刀そのものに加えられる力や敵意による干渉、自在法を無効化する能力を持つ。しかしそれ以外には特別な特性は無く、基本的には究極的に頑丈な単なる名刀で“存在の力”を込めても殆ど意味が無い。シャナが自分の炎を剣に纏わせた姿を見て“愛染自”ソラトが能力を勘違いした事もある。
元々は最強の刀とそれに値する使い手を求めた人間の刀匠と“紅世の王”により作られた刀であり、刀匠がその身を変えた史上最悪の“ミステス”、“天目一個”の核となっていた物。
『レギュラー・シャープ』
“狩人”フリアグネが持っていた、トランプ型の宝具。収束して1枚のカードにすることも、分裂して複数枚のカードにすることもできる。元々はタロット型の宝具でカードを配るために使用されていた。フリアグネはカードを“存在の力”で強化し、武器として使用していた。
『零時迷子(れいじまいご)』
“ミステス”坂井悠二に内包されている宝具。
“紅世”秘宝中の秘宝。“ミステス”の持つ“存在の力”を毎午前零時に初期値まで回復させる、一種の永久機関。ただし“ミステス”が“存在の力”を全て失った場合は、“存在の力”は回復不可能と推測される。“ミステス”が何らかの原因で後天的に得た“存在の力”も「初期値」として認識する。“存在の力”が元に戻るまで回復するため元に戻る前に“存在の力”が永続的に減少すると元に戻るまで無限に回復させ続ける。本来回復しない消耗を回復すると言う、世界の因果の根本に干渉する性質のため、時の事象一切に関わる力を持ち、封絶の干渉をも受け付けず、また“存在の力”の鼓動を感知できる等の力も備わっている。
元々は『約束の二人(エンゲージ・リンク)」』と呼ばれる“紅世の王”、“彩飄”フィレスと恋人である人間ヨーハンが、永遠に共にあるべく作成した物。材料となった物は時計台で、ヨーハンの中に時計台の部品が取り込まれ内部で完成、自ら『零時迷子』を宿した“ミステス”となった。
悠二がトーチとなったほぼ同時期、『零時迷子』を狙う“紅世の王”、“壊刃”サブラクの襲撃により、存在の危機に陥ったヨーハンは、フィレスによって『零時迷子』に封じられ、悠二に転移してきた。そのため現在、『零時迷子』はヨーハンそのものと化している。また、襲撃の際、“壊刃”サブラクが『大命詩篇』を打ち込んだことにより、本来の『零時迷子』からは劇的な変異を遂げている。そのため、本来の『零時迷子』が持たない(すなわち、本来の持ち主である“彩飄”フィレスが知らない)様々な能力を得ていると思われる。
どのような形状をしているかは現在不明だが前期アニメOPから推測すると恐らく懐中時計の形状をしている。
アニメ版では、満たされることの無いほど大きなヘカテーの器を満たすため、“紅世の徒”の集団[仮装舞踏会(バル・マスケ)]に狙われていた。
『バブルルート』
“狩人”フリアグネが持っていた、金貨型の宝具。金貨の残像が伸縮自在で破壊や断ち斬る事が不可能な金の鎖となって相手の武器に絡み、相手の武器を封じる。別名「武器殺し」。『吸血鬼』の様な変則的な能力を防げるかどうかは不明。
『ダンスパーティ』
“狩人”フリアグネが持っていた、簡素で上品なハンドベル。ベルを振ることで、任意の“燐子”を共鳴させ爆発させる能力を持つ。この宝具を用いて『都喰らい』を起こそうとした。シャナに真っ二つに斬られ破壊される。
『アズュール』
“狩人”フリアグネが持っていた、銀色の指輪。炎を防ぐ(能力範囲内の炎を消す)結界を張る能力を持ち、火除けの指輪とも呼ばれる。大抵のフレイムヘイズ・“紅世の徒”の炎弾による攻撃は完全に防ぐことができるが、爆発に含まれる破片など、物理的な防御力は皆無。また、顕現したアラストールの炎の吐息ほどの威力だと完璧には防ぎきることができない。尚、“存在の力”を込めることで発動し、その量次第で発生させる結界の規模も変えることができる。
フリアグネの死後、悠二の手に渡り、鎖をつけて首にかけている。
ちなみにこの指輪の裏側には、フリアグネが愛するマリアンヌに用いようとした『転生の自在法』の自在式が刻まれているが、彼らの秘密の計画だったため、シャナや悠二達はこの事を知らないと思われる。
『トリガーハッピー』
“狩人”フリアグネが持っていた、100年ほど前に作られた古いリボルバーピストル型宝具。撃つ意思を持つ者が使えば無限の弾丸を撃つことができ、撃たれたフレイムヘイズの身の内に在る“紅世の王”の休眠を破る能力を持つ。結果として、目覚めた“紅世の王”を収めるだけの器を持たないフレイムヘイズは爆死する。フレイムヘイズに恨みを持った人間と“徒”が作り出した対フレイムヘイズ用武器で、通常のフレイムヘイズに対しては文字通り必殺の威力を誇る。
『玻璃壇(はりだん)』
御崎市のほぼ中央に位置する廃ビル、旧依田デパートの上層階に設置された宝具。都市を再現した模型に人間とトーチと“存在の力”を映し出す能力を持つ。旧依田デパートでは、玩具で構成された御崎市の模型に設置されていた。本体は銅鏡型。都市の様子が変化しても、その変化も再現可能である。“存在の力”を使えば都市の模型は何時でもどこでも何を材料にしても再現してくれる。
旧依田デパートは“狩人”フリアグネが自身の計画を管理するための拠点だったが、フリアグネの死後にマージョリーが発見して以降は、マージョリーが“紅世の徒”を討滅する際に利用している。
元々は“紅世の王”、“祭礼の蛇”が、自身の作った都『大縛鎖(だいばくさ)』で人間を見張るために作ったもの。フレイムヘイズや“徒”、人間以外の生物は見えない。
『リシャッフル』
“狩人”フリアグネが持っていた万華鏡型の宝具で、覗いたものと覗かれたものの意思総体を入れ替える効果を持つ。ただし、互いの心が通じ合っていないと効果が無い。いとうのいぢの画集「紅蓮」に収録された短編に登場し、シャナと悠二が入れ替わってしまった。
『吸血鬼(ブルートザオガー)』
“愛染自”ソラトが持っていた、片手持ちの大剣。“存在の力”を込めることで血色の波紋が浮かび、触れている相手側に刃によらない傷を与える能力を持つ。見た目より非常に重いため、“存在の力”を繰ることの出来ない一般人では持ち上げるのが精一杯であるが、“存在の力”を込める事で、人間レベルの身体能力でも軽々と扱う事が可能となる。
ソラトの死後、マージョリーが回収して佐藤啓作と田中栄太に貸し与えていたが、後にシャナの手に渡る。悠二がこれを使い、彼を破壊しようと襲ってきたヴィルへルミナに重傷を負わせたり、“聚散の丁(しゅうさんのてい)”ザロービを討滅した事もある。現在(マージョリーの施術により)栞として収納され、悠二が自分の武器として所持している。
各メディアによって多少デザインが異なる。
『オルゴール』
“愛染他”ティリエルが持っていたオルゴール(ミュージック・ボックス)型の宝具。「オルゴールのメロディ」として込められた自在式を、音色に乗せて自動的に発動させ続ける能力を持つ。ただし一度に発動させられるのは一種類のみで、使用中は移動させることはできない。(音を安定させる為)
『天道宮(てんどうきゅう)』 『星黎殿(せいれいでん)』
球状の異界『秘匿の聖櫃(クリュプタ)』によって隠蔽された移動城岩。極大のサイズでありながら、外からは何者にも感知されない(副次的効果として、この内部ではいかなる強大な“紅世の王”であっても気配を悟られることは無い)。
『天道宮』は常に晴天の空が広がる宮殿であり、建物の周囲には草の生い茂る庭が広がっている。大戦の後、新たな『炎髪灼眼の討ち手』の育成所となる。
『星黎殿』は常に星空の広がる要塞であり、城を中心として町並みが広がっている。“紅世の徒”の集団[仮面舞踏会(バル・マスケ)]の本拠地。
元々は人間の成す芸術に魅了された“紅世の王”、“髄の楼閣”ガヴィダによって建造されたもの。よって中には彼の趣味である芸術品や装用が配備されている。
『カイナ』
『天道宮』内部に設置された、銀製の水盤。“紅世の徒”を、“存在の力”を消耗させずにこの世に留め置く能力を持つ(“紅世の徒”は本来、この世に留まるために“存在の力”を消耗する)。ただし、まさに留め置く事しか出来ないため、水盤の上から“存在の力”を使わずに動くことは出来ない。
元々は『天道宮』を建造した“髄の楼閣”ガヴィダが、人間を尊重し人間を喰らわずこの世に留まるために作ったもの。『天道宮』が『炎髪灼眼の討ち手』育成所となった後は、新たな契約者の出現を待つアラストールの居場所となった。
ガヴィダやアラストールが『天道宮』の移動を受け持っていたことから、『天道宮』操縦機能もあると思われる。
『九垓天秤』
[とむらいの鐘]が所持する、九つの受け皿を持つ黄金の天秤型の宝具。[とむらいの鐘]が誇る九人の“紅世の王”からなる最高幹部達『九垓天秤』の名前の由来でもある。
受け皿の大きさは食器ほどの大きさから、家をそのまま置けるサイズにまで自在に変わり、支点と皿の上に乗る者達の間で“存在の力”の受け渡しを自由に行える。
『銀鎖回廊』
『星黎殿』内部の空間を自在に組み替え、離れた場所と場所を繋ぎ合わせる、移動簡略化装置。使用は上級者もしくは許可を得た者に限られる。“嵐蹄”フェコルーが使用する誘導装置『トリヴィア』は松明の形をしているが、カンターテ・ドミノはスイッチの操作で起動していた。
『ジェタトゥーラ』
『儀装の駆り手』カムシンが持っている、銀の縁取りがされた片眼鏡(モノクル)。レンズを通して見ることで人間でもトーチをトーチとして認識できるようにする能力を持つ。これを用いることで、“存在の力”を感じることが出来ない人間でもトーチをトーチとして見ることが出来る。
『メケスト』
『儀装の駆り手』カムシンが持っている、巨大な鉄棒。『調律』や通常の戦いでは鉄棒のまま使うが、瓦礫の巨人を纏った時は“存在の力”を込めることで、鉄棒を柄とし、瓦礫を“存在の力”で繋いだ鞭と化する。この鞭をスリングの様に用い、先端から“存在の力”を込めた瓦礫を飛ばす『ラーの礫(つぶて)』と呼ばれる技を使うことも出来る。(破壊力は非常に高い代わりに命中率がとても低い)
『トライゴン』
“頂の座”ヘカテーが[仮装舞踏会(バル・マスケ)]の「大命」を遂行するときに使う錫杖。杖頭の輪も付けられた遊環も三角形。託宣を受ける際に使われる他、自在式を相手に打ち込む時の触媒としても使われる。これを用いてシャナの攻撃を受け止めた事もある。
『神鉄如意(しんてつにょい)』
“千変”シュドナイが[仮装舞踏会(バル・マスケ)]の「大命」を遂行するときに使う剛槍。持ち主の大きさに合わせて自在に大きさを変える能力を持ち、さらにシュドナイは自身の炎を纏わせて破壊力を高める。穂先を分裂させることも可能。
モチーフは恐らく、「西遊記」の孫悟空が持つ天河鎮定神珍鉄こと如意金箍棒
『タルタロス』
“逆理の裁者”ベルペオルが[仮装舞踏会(バル・マスケ)]の「大命」を遂行するときに使う鎖。具体的な効果は不明だが、囲んだものの外部からの干渉を断つなど、ある種の防御結界を周囲に張り巡らせる事が可能である。又、乗り物としても使用できる。
『小夜啼鳥(ナハティガル)』
あらゆる自在法を「自由自在に」構築する能力を持った“紅世の徒”と、その“徒”を支配するための鳥籠型の檻を併せた宝具。鳥籠型の檻に“存在の力”を注ぎ込むことで、囚われた“徒”の行動を支配し望む自在法を「啼かせる」能力を持つが、莫大な量の“存在の力”を必要とする。
『アタランテ』
金属の輪型の宝具。“存在の力”を込めて息を吹きかける事で捕縛のシャボン玉を作り出すことが出来る。シャボン玉に取り込まれた人間やフレイムヘイズは活動を停止するが、歳は普通に取り続ける。
『ヒラルダ』
コイン大の小さな十字架型の宝具。人間の女性にしか使えない。祈ることで所有者の“存在の力”を使って(その為、所有者は使用後に消滅する)この宝具に込められた自在法を発動させる(いずれも“彩飄”フィレスの説明による。真偽は不明)。現在フィレスによって自在法『風の転輪』が込められている様だが、詳細は不明。フィレスから吉田一美に譲渡された。戦闘用の宝具ではないが、所有者は封絶の中でも活動できる。
『浪漫の結晶ドォーーリル付き西洋風の両手剣』(『ヒュストリクス』)
柄のボタンを押すことで刀身が高速回転する業物の剣。元は“壊刃”サブラク秘蔵の宝剣だったが、教授こと“探耽求究”ダンタリオンに「イカれたカラクリ」(教授的には浪漫の結晶)として改造されてしまい、サブラクが教授と袂を分かつ原因となった。現在は教授が所有している。
『渾の聖廟(こんのせいびょう)』
アニメ版にのみ登場。
“探耽求究”ダンタリオンが『星黎殿』内を改造して作った大仕掛けで、悠二の持つ『零時迷子』と“頂の座”ヘカテーの「“存在の力”を溜める器」の大きさ、“存在の力”を外部に放出する装置があって初めて機能する。膨大な器を持つヘカテーが悠二と器を合わせて、“存在の力”を回復させる『零時迷子』から“存在の力”を大量に引き出させ、それをダンタリオンの装置で吸収・屋外へ放出することにより無限に“存在の力”が湧き出す『泉』が出来上がる。“逆理の裁者”ベルペオルの野望によって計画が遂行、実行に移された。
『非常手段(ゴルディアン・ノット)』
“逆理の裁者”ベルペオルが“探耽求究”ダンタリオンからせしめた『デミゴールド』を用いて作成したもので、複数存在する。通常の宝具ではなく『我学の結晶』シリーズの一種と考えるべきであろう。
金色の鍵の形をしており、[仮面舞踏会(バル・マスケ)]所属の“紅世の徒”たちが命令を受けた際に渡されている。所持者に危機が迫ったとき、所持者の“存在の力”を使用して予め込められた自在式を発動させる。自在式は自爆、転送など複数存在する。
名称はゴルディオスの結び目から。

[編集] 『我学の結晶』

教授こと“探耽求究”ダンタリオンが作り上げた、宝具であり宝具でない品の数々。強力な力を持ったものもあれば、ジョークアイテムとしか思えない代物(バナナの皮、毛虫爆弾等)まであり、基本的には教授とその“燐子”ドミノにしか扱えない。ちなみに本人にとっては(少なくとも発明した時は)全て大真面目な発明である。
教授の力である『物質の顕現』で作成した『素材』とこの世の物を結合させて作り出す。なお、“逆理の裁者”ベルペオルは彼から自在式を込めるための『素材』の一種である金塊『デミゴールド』を入手しており、これを用いて『非常手段(ゴルディアン・ノット)』などを作り、活用している。
『暴君』
二つ存在し、正式名称はそれぞれ『我学の結晶エクセレント13274-暴君 I 』と『我学の結晶エクセレント13274-暴君 II 』。
詳細は不明だが、人間の強力な感情収集を役割とする『暴君 I 』から人格鏡像を常時転送、『大命詩篇』により連結、“久遠の陥穽”内と共振させ、この世に仮想意思総体を構成し、『暴君 II 』が素体を核に合一させる物の模様。
『我学の結晶エクセレント4122-賢者の瞳』
『我学の結晶エクセレント7930-阿吽の伝令』
『我学の結晶エクセレント7931-阿の伝令 』
『我学の結晶エクセレント7932-吽の伝令 』
『我学の結晶エクセレント11450-地変の匙 』
教授が“壊刃”サブラクに投げつけたスコップ。用途は不明。
『我学の結晶エクセレント29004-毛虫爆弾 』
『我学の結晶エクセレント29147-惑いの鳥 』
『我学の結晶エクセレント29182-夜会の櫃』

[編集] 自在法

封絶(ふうぜつ)
最もポピュラーな自在法の一つで、簡単に言えば「結界」。“紅世の徒”にとっては人知れず活動するために、フレイムヘイズにとっては戦闘による被害を防ぐために、それぞれ欠かせない自在法である。
「封絶を張る」と“存在の力”で壁が作られ、内部の空間はこの世の流れから非物理的に切り離される(作中では「因果孤立空間」と称される)。内部では“紅世”に関わる者以外のものは停止し、外部では“存在の力”を感知する能力がない限り、封絶を張られた空間を認識できなくなる。応用として、広範囲に効果を及ぼす宝具等の効果範囲を封絶内に縮められる。
「教授」こと“探耽求究”ダンタリオンが開発した複雑かつ非効率な自在式をもとに、天才自在師“螺旋の風琴”が誰でも使える簡単で効率的な自在式に作り変えた。これによって“徒”は完全な隠密行動が可能になった。同時に、人間が“徒”に襲われたことを認識できなくなったため、“徒”への憎しみからフレイムヘイズになる人間も減少傾向にある。
封絶の効果範囲は個人の技量や統制できる“存在の力”の量に左右されるが、自在師と呼べるほど器用ではないアラストールでも街一つを覆うほどの封絶を張れるため、巨大な封絶は技量よりも維持するための“存在の力”が重要だと思われる。
封絶の内部で破壊された物体や生物は、“存在の力”を使い封絶の外部の流れと整合させる事で修復することができる。これにより封絶内で破壊された生物や物を元に戻す事ができるが、封絶の影響を受けていない存在や、“存在の力”を喰われてしまった人間は直せない。
通常は、封絶内での戦闘後にフレイムヘイズが、封絶内で止まっているトーチをエネルギー源に行う。敵がまだ近くに健在し消耗を避けねばならないかつ、エネルギー源となるトーチがいない場合は、「そのまま封絶を解くと確実に死んでしまう人間」の“存在の力”を使用し、“存在の力”を使われた人間はトーチにするらしい。
しかし、番外編のフリアグネの話では『トーチがいない時にはフレイムヘイズが自前の力で回復させる』と言っている辺り、曖昧である。
清めの炎
 フレイムヘイズの体を清潔に保ったり、体調を万全にするために使用される。
 マージョリーはこの自在法を主に二日酔い対策に使っている。(度々やってもらえない事もあるが)
達意の言(たついのげん)
意思を言語に変換する自在法。特に学ばなくても様々な言語の会話が可能になる。
炎弾(えんだん)
初歩的な攻撃の自在法。各自の「闘争心」を“存在の力”で具象化させた炎を砲弾のように撃ち出す。通常ならば着弾後に炸裂するだけだが、器用な“徒”やフレイムヘイズであれば、着弾後に変形させたり任意に爆発させたりと言った遠隔操作も可能。
人化の自在法
本性をそのまま形にした“紅世の徒”の外見は、多くの場合人間とは異なるが、そうした“徒”でも人間型の外見になれる自在法。ただし本性を人間型に変換しているだけで、望む人間の姿になれるわけではない。人間社会の文明が発達した近代以降、ほとんどの“徒”はこの自在法で人間の姿をとっている。
ちなみに、本性からかけ離れた姿を「作る」のは、人化の自在法とは別の自在法となり、姿の維持だけで常時“存在の力”が必要となる。
戒禁(かいきん)
主に戦闘用の宝具の“ミステス”にかけられる、中の宝具を守るための自在法。具体的な効果は術者によって異なるらしい。
逆転印章(アンチシール)
自在法の効果を逆転させる自在式。
調律
“存在の力”が奪われた結果、危険なレベルにまで「歪んだ」地域を修復する事。
専門のフレイムヘイズが、その地域で生まれ育った人間から「その地域の、歪みのない状態」のイメージを採取し、そのイメージに基づいてそれぞれ異なる方法で、“存在の力”を「本来あるべき状態」に近づける。
本編では自在法「カデシュの血印」と「カデシュの心室」が調律に使われたが、これは応用であり、本来は戦いのための自在法である。
これを専門に行うフレイムヘイズを「調律師」と呼ぶ。

[編集] 既刊一覧

本編
短編集

[編集] 漫画

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月刊コミック電撃大王』にて、2005年4月号(同年2月発売)より連載。

  • 作画 : 笹倉綾人
  • キャラクターデザイン : いとうのいぢ
  1. ISBN 4840232245
  2. (通常版)ISBN 4840235031、(初回限定版)ISBN 4840234965

[編集] テレビアニメ

[編集] 第1期

2005年10月から2006年3月までテレビ放送がされた。全24話。同時期にインターネットによるストリーミング配信もなされた。(詳細後述)現在は全8巻のDVDソフトとしてパッケージ化され、発売中。

ストーリーは、原作I~VII巻をベースとしたオリジナル。VIII巻とIX巻のエピソードも一部だが取り入れられている。

DVD第1巻の予約特典「灼眼のシャナ DVDまがじんI」にはSDタッチされたキャラたちが繰り広げるギャグ番外編「しゃくがんのシャナたん」が、5巻の予約特典「~II」には「しゃくがんのシャナたんりたーんず」が収録されている。
2006年10月に刊行されたアニメガイドブック”『灼眼のシャナ』ノ全テ”初回限定版に付属したDVD「灼眼のシャナ DVDまがじんα」にはこの両作の続編とも言えるギャグ短編「頂のヘカテーたん」が収録された。

[編集] スタッフ

  • 原作・監修:高橋弥七郎
  • イラスト:いとうのいぢ
  • 企画:川村明廣(ジェネオンエンタテインメント)、臼井久人(東芝エンタテインメント)、久木敏行(メディアワークス)、阿部倫久 (J.C.STAFF)
  • 監督:渡部高志
  • シリーズ構成:小林靖子
  • 脚本:小林靖子、佐藤勝一、白根秀樹
  • キャラクターデザイン:大塚舞
  • 総作画監督:大塚舞、藤井真澄、藤井昌宏、大塚健
  • 美術監督:奥井伸
  • 色彩設定:伊藤由紀子
  • 撮影監督:福世晋吾
  • 編集:西山茂
  • 音楽:大谷幸
  • 音楽制作:ジェネオンエンタテインメント
  • 音楽プロデューサー:関戸雄一
  • 音響監督:明田川仁
  • 音響制作:マジックカプセル
  • 音響効果:中野勝博(サウンドボックス
  • 録音調整:土屋雅紀
  • 録音スタジオ:スタジオT&T
  • 宣伝:飯田尚史(ジェネオンエンタテインメント)、小倉尊行(東芝エンタテインメント)、鈴木則道
  • 企画協力:中嶋嘉美(ビッグショット)、石川功(ビッグショット)
  • 協力:電撃文庫編集部、電撃hp編集部
  • 制作担当:田部谷昌宏
  • プロデューサー:伊平崇耶(東芝エンタテインメント)、三木一馬(メディアワークス)、中山信宏(ジェネオンエンタテインメント)
  • プロデュース:川瀬浩平(ジェネオンエンタテインメント)、松倉友二 (J.C.STAFF)
  • アニメーション制作:J.C.STAFF
  • 製作:『灼眼のシャナ』製作委員会(ジェネオンエンタテインメント、東芝エンタテインメント、メディアワークス、J.C.STAFF )

[編集] 主題歌

オープニング
エンディング
  • 第1話~第14話「夜明け生まれ来る少女」
    • 作詞:高橋洋子/作曲・編曲:大森俊之/歌:高橋洋子
  • 第15話~第23話「紅の静寂」
    • 作詞:石田燿子/作曲・編曲:村上正芳/歌:石田燿子

※最終話のEDは「緋色の空」

※「being」はドレミ楽譜出版社発行の『アニメソング・マニア!ピアノ曲集』にピアノ用譜面が収録されている。

[編集] 放送局

放送対象地域 放送局 系列 放送期間
千葉県 千葉テレビ放送(CTC) 独立UHF局 2005年10月5日~2006年3月22日
埼玉県 テレビ埼玉(TVS)
神奈川県 テレビ神奈川(tvk)
愛知県 テレビ愛知(TVA) テレビ東京系列 2005年10月10日~2006年3月27日
近畿広域圏 毎日放送(MBS)(幹事局 TBS系列 2005年10月8日~2006年3月25日
全国放送 アニマックス CS放送局 2006年1月15日~7月2日

[編集] アニメに関するトピックス

  • フレッツ・スクウェア(NTT)・BIGLOBEにおいてストリーミング配信されている(テレビ放送直後は無料配信、放送終了後は有料配信)。ただし13話以降は未だに有料配信の予定が未定状態。現在はバンダイチャンネルの提携プロバイダ(So-net、.ANIME、DMM.com、BIGLOBE、@nifty、ShowTime、OCN、goo、BBitJapan、AII、フレッツ・スクウェア(NTT))にてプロモーション映像とアニメ第1話が無料配信されている。また、2007.03.11 現在で 18 話までの有料配信が行われている。BIGLOBE でも同様であることから当初の有料配信とは事情が異なると考えられる。
  • 東京都内の殆どの地域ではtvk・CTC・TVSのいずれかで視聴可能だった(これは他のUHFアニメ作品でも同様)。
  • 本作はビスタサイズ(画面比率16:9)で制作された。地上波デジタル放送ではMBS・TVSにおいてのみ1080iフルワイドで放送(MBSは全話、TVSは22話以降)、CTCにおいても2006年2月後半から試験放送テロップ付きではあったが、1080iフルワイドで放送された。一方でtvk・TVAでは最終回まで超額縁で放送された
  • TVSでは11月30日深夜から12月1日未明にかけて行われた地上デジタル放送の本放送開始に伴う工事のため、tvk・CTCより第9話以降の放映が1週遅れたが、tvk・CTCが12月28日の放送を休止し、TVSでは通常通り放送したため、年明けより元に戻った。
  • MBSでは土曜深夜の『アニメシャワー』枠に続行して放送していたが同枠には含まれず、地上波デジタル放送の番組名表示も「アニメシャワー『灼眼のシャナ』」ではなかった。ただし、放映形態から事実上の「アニメシャワー第4枠作品第1号」と見なす視聴者も多かった。
  • 『シャナ』終了後の同時刻の枠も「アニメシャワー」枠扱いとなっていた時期があったが、一時期枠が消滅した後、2007年4月改編で再び枠外扱いながら復活している(現在は『神曲奏界ポリフォニカ』を放送)。
  • 一騎当千』、『スターシップ・オペレーターズ』など近年の渡部高志監督作品に出演していた声優が多い。
  • おなじJ.C.STAFF制作でで1クールおいて放映された「ゼロの使い魔」とは、主要の共通キャストが3人もいたり(特に主人公、ヒロインを担当した声優が全く同じであった)、主人公とヒロインの性格が同じ「普段は頼りない少年」と「ツンデレ」であることから、類似性を指摘されることがあった。

[編集] サブタイトル

  1. 全ての終わり、一つの始まり
  2. 灯る炎
  3. トーチとフレイムヘイズ
  4. 惑いのフレイムヘイズ
  5. それぞれの想い
  6. 交錯・発動・対決
  7. 二人のフレイムヘイズ
  8. 麗しのゴブレット
  9. 恋と欲望のプールサイド
  10. 絡まる想い
  11. 悠二とシャナとキス
  12. ゆりかごに花は咲いて
  13. 校舎裏の宣戦布告
  14. 偉大なる者
  15. 炎の生まれた日
  16. 炎髪灼眼の討ち手
  17. 新たなる序章
  18. 砕ける願い
  19. 戦いの中で
  20. 非情のヴィルヘルミナ
  21. 遠ざかる想い
  22. 揺らぐ炎
  23. 星黎殿の戦い
  24. 紅蓮の想い
毎日放送 土曜27:25枠
前番組 灼眼のシャナ
アニメシャワー枠外)
次番組
- XXXHOLiC(アニメシャワー枠内)

[編集] 第2期

  • 公式サイトにて第2期が2007年秋に放送決定したと書かれているが、詳細は不明。
  • タイトルの『灼眼のシャナII (Second) 』のみ判明している。

[編集] OVA

2006年12月8日に発売。タイトルは『灼眼のシャナSP 「恋と温泉の校外学習!」』。キャスト・製作スタッフは、ほぼテレビシリーズと同様。テレビシリーズ13話直後の時期に行われた課外授業を背景に、緒方真竹を主人公とし、彼女が田中栄太への想いを暴走させる姿を描く番外編的ストーリー。ちなみにこの巻においては“徒”らとの戦闘は描かれず、シャナは専ら脇役である。その扱いはEDにすら表れていて、シャナではなく緒方真竹がTV版とほぼ同じ構図で描かれている。

[編集] 劇場版

3本立てロードショー“電撃文庫ムービーフェスティバル”の1作として2007年4月21日より公開予定。(同時上映『キノの旅』・『いぬかみっ!』)キャスト・製作スタッフは、ほぼテレビシリーズと同様。

原作I巻のストーリーを再構成し、テレビアニメ版とは違う形で“エピソードI”シャナと悠二の出会い。そしてフリアグネ、マリアンヌとの戦いを描く。

[編集] スタッフ

[編集] 主題歌

「天壌を翔る者たち」

[編集] ゲーム

2006年3月23日にメディアワークスより発売。機種はプレイステーション2(初回特典はいとうのいぢ画集「焔」)。また、2007年3月29日にはニンテンドーDSで移植版「灼眼のシャナDS」が発売(初回特典は描き下ろしスクールカレンダー)。ジャンルはバトルアドベンチャーゲーム

悠二とシャナ達の夏休みを描いたオリジナルストーリー(恋愛要素はあるが、メインと言う訳ではない)。第1章ではゲームオリジナルの“紅世の徒”、“戯睡郷”メア(声・小林沙苗)が登場する(なお、原作XIII巻にて“壊刃”サブラクがメアらしき女の事に付いて触れているため、メアは原作とは一応繋がりがあるキャラのようである)。

アドベンチャーパートでは会話中に突如「アクティブカウントダウン」が発動し、コントローラーの○・×・□・△ボタンと十字キーを制限時間内に指示通り入力するよう要求される。ここでのキー入力の成否はエンディングに影響する。

各章のラストでは“紅世の徒”などと対決するバトルパートへ移行し、RPG調の戦闘が展開される。

[編集] 携帯アプリ版

2006年11月よりiアプリFOMA903i・メガアプリ対応機種のみ)、EZアプリ (BREW)およびS!アプリSoftBank 3G対応機種のみ)で配信されている。提供はタイトー

灼眼のシャナ ~炎髪灼眼の討ち手~
原作1~4巻のストーリーをベースとするアクションゲーム。ストーリーモードではシャナを操作し、制限時間内にベルトスクロールステージをクリアし、ボスと対決する。バトルモードではストーリーモードでクリアした面のキャラクター(フリアグネ・ マージョリー・シュドナイ・ソラト&ティリエル・ヘカテー・ヴィルヘルミナ)も選択可能で、対戦型格闘ゲームの要領で他のキャラクターと3本勝負を行い2本先取した方が勝ち。クリア後に残り時間や体力に応じてボーナスポイントが与えられ、攻撃力・防御力・スペシャル(特殊技の発動確率)・幸運(キャンセル率)にポイントを割り振って育成が可能。
灼眼のシャナII ~星黎殿の戦い~
この節には、予定されている事象が含まれています。
2007年4月から5月にかけてiアプリ(FOMA903i・メガアプリ対応機種のみ)、EZアプリ (BREW)およびS!アプリ(SoftBank 3G対応機種のみ)で順次配信予定。

[編集] 関連書籍

[編集] 外部リンク

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