稲川淳二
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稲川 淳二(いながわ じゅんじ、1947年8月21日 - )は日本のタレント、工業デザイナー。本名、稲川 良彦(いながわ よしひこ)。愛称は淳ちゃん。東京都渋谷区恵比寿出身。ユニJオフィース所属。
ラジオの深夜放送で人気を博し、テレビ番組のリポーターやリアクション芸人として活躍。また、ラジオ放送での怪談が好評を博し、以後「霊感タレント」としても活動している。トレードマークは口ひげ。
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[編集] 略歴
[編集] タレントとしての略歴
1970年代中期、ニッポン放送人気深夜ラジオ番組『オールナイトニッポン』二部カッコマン(伊藤政則)の跡を継いでパーソナリティーとなる。ゲストにおすぎが出演したこともある。デザイナーなのに宴会でのお座もちが縁で芸能界入りした。舞台俳優として活動していたが、1980年代中期に貧乏・不健康と言うキャラクターでバラエティ番組にも登場。1987年にテレビ朝日系列で放送されたドラマ『ザ・ハングマン6』および『ハングマンGOGO!』で、悪人に対する仕置きの見本となる「モルモット小父さん」役を演じて一躍有名になる。
その後、日本テレビの『ルックルックこんにちは』やTBSテレビの『風雲!たけし城』などのバラエティ番組に出演し、体を張ったリポートと大きなリアクションで人気を得る。このころの決め台詞は「喜んでいただけましたでしょうか?」であった。 『スーパージョッキー』で名物「熱湯風呂」に入る際はきちんとピンマイクを外す冷静さをビートたけしが指摘し、その後ダチョウ倶楽部のネタ「聞いてないよ~」の伏線となっている。 1992年のNHK大河ドラマ『信長』では、サイドストーリー的な準レギュラーとして、宣教師に出会い洗礼を受ける琵琶法師・慈海(ロレンソ)役を演じて俳優出身のシリアスな一面を見せ、さらにその時にはトレードマークであった口ひげを剃り周囲を驚かせた。
独特の口調で語る怪談の語り手としても知られており、CDやビデオ、あるいは書籍として数多くリリースされているほか、1993年頃から『ミステリーナイトツアー』という怪談によるライブを毎年夏から年末にかけて行い、全国を廻っている(2001年には、正月にも開催された)。
かつてはおしどり夫婦として妻と共にCMにも出演していたが、16年前に夫婦ゲンカして家を追い出され別居中であるらしい(『おはよう朝日です』水曜日にレギュラー出演していたときによくネタにされていた)。
夏場は怪談のトークライブを全国各地で行っていることから、関西テレビの『ナンボDEなんぼ』の"夏に忙しい芸能人番付"で、東の横綱に選ばれた(ちなみに西の横綱は盆踊りで関西各地を廻る河内家菊水丸)。 余談ではあるが、稲川淳二自身が口にしたくない程に恐い話(話では死傷者が多数出ている)「生き人形」という話がある。大抵、この話をすると呪いがかかると噂されている。自身の著書でも、自分のお気に入り恐い話のランキング1位に持ってくるほど。
[編集] 人物・人柄
- 怪談の語り口はもはや芸術的であり、その特徴のある口調で聞く人に恐怖を味わわせている。
- 東京都中野区に在住。自身の工房は茨城に在る。
- 稲川の人柄は業界内では有名で、すこぶる温厚、ユーモアな人柄でありつつ、壮大なサービス精神を持ち前にしているらしく、他人のためなら自分を傷つけていいと思っており(リアクション芸において垣間見る事が出来る)、ファンに対するサービス精神も旺盛で、絶大なるお人良しだという。
- 稲川本人は「稲川淳二」といえばただ「怖い、不気味」だと言うイメージを払拭したいために最近はデザイナーとしてのテレビ番組などに多く出演している。
- 息子が二人いるが一人は重度の先天性障害を抱えており、バリアフリーなどの講演も近年、多く行っている(彼自身、政府が2005年に案を出した「障害者自立支援法案」に反対の意思を表明している)。
[編集] デザイナーとしての略歴
工業デザイナーとしての活動も継続しており、『車どめ』のデザインで平成8年度通商産業省選定グッドデザイン賞(公共空間用設備機器部門)を受賞している。
- 1966年、桑沢デザイン研究所インダストリアル科に入学。
- 1970年、桑沢デザイン研究所研究科を卒業。
- 1971年、(株)共立デザインにデザイナーとして入社。
- 1987年、焼肉「韓々」デザイン(世田谷にあり、いまでも雑誌載るなどして有名)
- 1991年、「淳二・風・工房」デザイン 7月オープン 淳二・風・工房 デザイン
- 同年、「NAO Bird's Bar」デザイン
- 1996年、『車どめ』で通商産業省グッドデザイン賞受賞。
[編集] 作品
[編集] シングル
- 花の女子大数え唄(稲川淳二 一座&クッキーズ)(1984年、キャニオンレコード)
- Help Me!(稲川淳二 with r-e-i.com)(2000年、メルダック)
[編集] アルバム
- 稲川淳二の秋の夜長のこわ~いお話(1987年、ビクターエンタテインメント)
- 稲川淳二の木枯し吹く夜のこわ~いお話(1987年、ビクターエンタテインメント)
- 稲川淳二の実体験怪異談「怖いから聞かないで」(1991年、ポニーキャニオン)
- 稲川淳二の実体験怪異談「ホントに怖いから聞かないで」(1995年、ポニーキャニオン)
- 稲川淳二の怖~いお話 Vol.1「霊界への扉」(1996年、ポニーキャニオン)
- 稲川淳二の怖~いお話 Vol.2「殺意の病棟」(1996年、ポニーキャニオン)
- 稲川淳二の怪談ナイト ~ミステリーナイトツアー ライブ盤~(1999年、日本クラウン)
- MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection 1「北陸の海岸」(2003年、MNTレコーズ)
- MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection 2「北海道の花嫁」~心を癒す怪談集~(2003年、MNTレコーズ)
- 稲川淳二の実体験怪異談 怖いから聞かないで 惨(2004年、ポニーキャニオン)
- MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection 3「赤い半纏」(2004年、MNTレコーズ)
- 稲川淳二の実体験怪異談「怖いから聞かないで 極選」(2005年、ポニーキャニオン)
- MYSTERY NIGHT TOUR 稲川淳二の怪談Selection 4「隔離病棟の地下通路」(2005年、MNTレコーズ)
[編集] ビデオ
- 稲川淳二のトゥルーストーリー(1991年、ポニーキャニオン) - 原案、脚本
- 稲川淳二のホラー・ビデオ パンドラの箱(1992年、BMGビクター) - 原案
- 稲川淳二・怪奇心霊実話 凍りつく病棟(1992年、大陸書房) ISBN 4884921348 - 原案、総監督、脚本、特殊メイク
- 稲川淳二と田村ガンの関東心霊スポット(1992年、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二の恐怖への招待状(1994年、KSS) - 企画
- 稲川淳二の超こわい話シリーズ(1995年~、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二の冥土 in お葬式(1996年、ミンツインターナショナル・ポニーキャニオン)
- 稲川淳二の怪談ライヴ '96(1996年、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二の恐怖物語シリーズ(1997年~、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二presents 心霊≪スペシャル≫(1998年、イメージファクトリーアイエム)
- 稲川淳二の恐怖劇場シリーズ (1999年~、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二≪最・恐・傑・作≫生き人形(2000年、アットエンターテイメント)
- 稲川淳二の餌食(2000年、KSS)
- 稲川淳二の餌食II(2000年、KSS)
- 稲川淳二の怪奇事件簿(2000年、バンダイビジュアル)
- 稲川淳二の霊怪(2001年、東映ビデオ)
- 稲川淳二 恐怖の現場シリーズ(2002年~、バンダイビジュアル)
- 稲川 二十世紀「怪」完全保存版(2003年、アットエンターテイメント)
- 稲川淳二の恐怖夜話(2004年、デジキューブ)
- 稲川淳二のあなたの隣の恐い話シリーズ(2004年、GPミュージアムソフト)
- 稲川淳二の怪異夜話(2005年、リバプール)
- 稲川淳二の怪奇夜話(2005年、リバプール)
- 稲川淳二の怪談ナイトLIVE(2005年、トップシーン)
- 稲川淳二の恐怖の百物語(2005年、エースデュースエンタテインメント)
[編集] 劇場公開作品
- 心霊(1996年、イメージファクトリーアイエム) - 企画、原案、脚本、監督、出演
- 心霊2(1997年、イメージファクトリーアイエム) - 企画、原案、脚本、監督、出演
- 稲川淳二の呪界(2000年、KSS)
[編集] 出演
[編集] テレビドラマ
- ザ・ハングマン6(1987年、朝日放送)
- ハングマンGOGO(1987年、朝日放送)
- ママハハ・ブギ(1989年、TBS)
- キモチいい恋したい!(1990年、フジテレビ)
- 信長 KING OF ZIPANGU(1992年、NHK総合)
- 日本のこわい夜~特別篇(2005年、TBS)
[編集] テレビ番組
- まんがジョッキー(1974年、日本テレビ)
- 夕やけニャンニャン(1985年~1986年、フジテレビ)
- 風雲!たけし城(1986年~1988年、TBS)
- 所さんのもしも突撃隊(1990年~1991年、テレビ東京)
- 稲川淳二の恐怖の百物語(1991年、関西テレビ)
- 稲川淳二の恐怖物語(1997年、よみうりテレビ)
- おはよう朝日です水曜日レギュラー(朝日放送)
- 住まい自分流 DAY入門(2006年、NHK教育)
- オールナイトニッポンアゲイン(2006年、ニッポン放送/BSフジ)
- ドリーム・プレス社(2007年、TBS)
- すばらしい世界(2007年、北海道テレビ)
- アートエンターテインメント 迷宮美術館(2007年、NHK総合・Bs-hi)
[編集] ラジオ番組
- 稲川淳二のオールナイトニッポン(1976年4月~1977年9月、ニッポン放送)
- オールナイトニッポンアゲイン(2006年12月31日、ニッポン放送)
- 伊集院光 日曜日の秘密基地(「日曜ゼミナール」ゲスト講師として不定期出演 TBSラジオ)
[編集] 映画
- 嵯峨野の宿(1987年、にっかつ)
- 輪舞(りんぶ)(1988年、にっかつ)
- 丹波哲郎の大霊界2 死んだらおどろいた!!(1990年、松竹富士)
- 極道戦争・武闘派(1991年、東映)
- マーシーの禁断! お嬢様学園危機イッパツ(1993年、オリジナルビデオ)
- 俺達は天使(カタギ)じゃない(1993年、オリジナルビデオ)
- 俺達は天使(カタギ)じゃない2(1993年、オリジナルビデオ)
- ダッチ(1996年、オリジナルビデオ)
- アンパンマンとたのしい仲間たち おむすびまんと夏まつり(1999年、メディアボックス) ※声のみの出演
- ゾンビ屋れい子(2003年、オリジナルビデオ)
[編集] 書籍
[編集] 著書
- 稲川淳二の悲惨だなーッ(1985年、朝日ソノラマ) ISBN 4947538481
- すご~く怖い話(朝日ソノラマ)
- 稲川淳二のヨイショで拝んで土下座して(1986年、近代映画社) ISBN 4764813734
- 稲川淳二 青春すとぉりぃ(1987年、昭和印刷)
- 稲川淳二のここがコワインですよ(1990年、朝日ソノラマ) ISBN 4257032979
- 稲川淳二の死ぬほど怖い話(1992年、大陸書房) ISBN 4803342342
- 稲川淳二の秘蔵心霊写真(1994年、リイド社) ISBN 4845811642
- 稲川淳二の超怖い話(1995年~、角川書店)
- 稲川淳二のすご~く恐い話シリーズ(1995年~、リイド社)
- 餌食(1999年、銀河出版) ISBN 4877770135
- 稲川淳二のこの心霊体験がスゴイ!!(2000年、竹書房) ISBN 4812406110
- 稲川淳二の二度と話したくない怖い話(2000年、日本文芸社) ISBN 4537063424
- 稲川淳二の最新・超怖い話(2000年、角川書店/ザ・テレビジョン文庫) ISBN 4049300214
- 稲川淳二の新・怖い(2001年、竹書房) ISBN 481240746X
- 稲川淳二の本当に怖い怪談(2001年、竹書房)
- 稲川淳二の絶叫・心霊写真(2001年、角川書店/ザ・テレビジョン文庫) ISBN 404930029X
- 稲川淳二の最新・超怖い話2(2001年、角川書店/ザ・テレビジョン文庫) ISBN 4049300281
- 稲川淳二の最新・超怖い話-怪異-(2002年、角川文庫/ザ・テレビジョン文庫) ISBN 4049300400
- 稲川淳二の恐怖がたりシリーズ(2003年~、竹書房)
- 稲川淳二のこの世で一番怖い話(2003年、竹書房) ISBN 4812411882
- 稲川淳二の最新・超怖い話-霊怪-(2003年、角川書店/ザ・テレビジョン文庫) ISBN 4049300435
- 稲川淳二の怪異談(2003年、竹書房) ISBN 4812413052
- 新稲川淳二のすご~く恐い話シリーズ(2003年~、リイド社)
- 稲川淳二の眠れないほど恐い話(2004年、竹書房) ISBN 4812416450
- 稲川淳二の怖すぎる話シリーズ(2004年~、竹書房)
- 最新 稲川淳二の怖い話(2005年、メディアックス) ISBN 4862016049
[編集] コミック
- 稲川淳二のすご~く恐い話(1997年~、リイド社)
- 稲川淳二の最新・怖い話(2000年~、角川書店/ザ・ホラーコミックス)
- 稲川淳二の恐怖がたり(2002年~、竹書房)
[編集] ゲーム
- 稲川淳二の大校則(カードゲーム、1989年、ヨネザワ)
- 百物語~ほんとにあった恐い話~(PCエンジン、1995年、ハドソン)
- 投稿によって寄せられた百の怪談話を読むデジタルノベル。稲川の語りによる怪談も収録されている。
- 古伝降霊術 百物語~ほんとにあった恐い話~(セガサターン、1997年、ハドソン)
- 稲川淳二の秘蔵心霊写真(PC用CD-ROM、1997年、リイド社)
- 稲川淳二 恐怖の屋敷(プレイステーション、1999年、ヴィジット)
- 謎の屋敷の中で、稲川の語りによる怪談話を聞いていく作品。
- 稲川淳二 真夜中のタクシー(プレイステーション、2000年、ヴィジット)
- プレイヤーはタクシーの運転手となり、乗り合わせた乗客の怪談話を聞く。稲川の語りによる怪談話も収録されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 稲川淳二公式サイト
- 怖い話なら稲川淳二~JJ真夏の怪奇伝説 - 稲川淳二PRESENTSキャンペーンサイト