信長 KING OF ZIPANGU
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信長 KING OF ZIPANGU(のぶなが キング オブ ジパング)は、NHKで1992年(平成4年)1月5日~12月13日に放送された30作目の大河ドラマ。平均視聴率は24.6%、最高視聴率は33.0%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)。
戦国時代が舞台となるのは80年代後半の『独眼竜政宗』、『武田信玄』、『春日局』以来。織田信長は大河ドラマ『太閤記』(1965年)や『国盗り物語』(1973年)以来、戦国時代を扱った大河ドラマにおいてもクローズアップされ数々の役者に演じられてきたが、単独のテーマとして扱われるのは初めて。
主演は緒形直人で、『翔ぶが如く』(1990年)出演以来の主役抜擢。『太閤記』(1965年)において主演を務めた緒形拳の子で、親子2代での大河ドラマ主演となった。菊池桃子・仲村トオル・的場浩司・中山美穂など若手俳優を多数起用し、(また、そのキャスティングが少年漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」における読者投稿企画「ジャンプ放送局」で採用された葉書のキャストとほぼ同じ内容)しかも登場人物の従来のイメージとは正反対の俳優を起用する意図的なミスキャスト(繊細な信長、長身の秀吉など)も話題になった。脚本は『武田信玄』の田向正健。
その後、2004年~2005年にかけての1年間、CSのファミリー劇場で放映された。
NHK大河ドラマ | ||
通番 | 題名 | 放映期間 |
第29作 | 太平記 | 1991年1月6日 ~1991年12月8日 |
第30作 | 信長 KING OF ZIPANGU |
1992年1月5日 ~1992年12月13日 |
第31作 | 琉球の風 | 1993年1月10日 ~1993年6月13日 |
目次 |
[編集] エピソード
- 日本史で最も有名な人物の一人を扱ったドラマであり、ポルトガル人のイエズス会宣教師であるルイス・フロイスという第三者の視点から描かれた織田信長の物語という設定である。
- フロイスをフランス人モデルのフランク・ニールが演じており、ニールも何度か信長と謁見・布教のシーンで、三ヶ月の間練習したという片言の日本語で話している。
- 最終回ではフロイスが信長と次第に疎遠になりつつあった中で信長が史実の通り横死するという設定であり、布教活動の中途で物語が中断する(語り手としては)不本意な終了となった。総集編ではこのことへのフォローとして、最終回から15年後の二十六聖人処刑を目撃するやや老いたフロイスが描かれ、キリスト教の情勢が悪化する日本の現実を目の当たりにするシーンがわずかに挿入された。ただし史実のフロイスは信長の死のとき50歳、二十六聖人処刑のとき65歳であり、今で言うイケメンモデルのニールは全体的に史実よりもかなり若い姿で描かれている。
- 劇中のフロイスによるナレーションは印象的であると評されたが、本編(ニール自身が日本語で語っている)とは異なり、ナレーションはすべてランシュー・クリストフという別人が担当している。同時期の『ウゴウゴ・ルーガ』でもクリストフはコーナー「おしごといっぱい」のナレーションをつとめた。
- 開始当初は時代設定にリアリティを出すため、屋内のシーンは照明を抑えて撮影されていたが、視聴者から「見づらい」「場面が暗すぎる」とのクレームが相次いだこともあり、中盤より通常の明るさに変更された。
- 台詞の言葉遣い、特に助詞の使い方などに違和感を感じた視聴者も多かった。国語学的にも戦国時代の話し言葉としてはあまりに古めかしく不自然だと指摘されたが、これは訂正される事はなかった。同じ田向脚本の「武田信玄」「慶喜」でも同様の傾向が見られる。
- NHK大河ドラマのキラーコンテンツ「戦国時代物」で、満を持しての日本史最大のヒーロー「織田信長」と、明確に視聴率獲得を意図した作品だが、緒形直人が演じる信長が繊細で不可解な性格の今一つ魅力の無い人物に描かれたためか、期待されたほどの高視聴率にはならなかった。(翌年の「琉球の風」~「花の乱」までの低迷期に比べれば十分高いが、あえて視聴者になじみの薄いテーマを取り扱ったこれらの作品とは事情が異なる)。リアリティを追求した大規模な合戦ロケや、中世の西洋の雰囲気を醸し出す陰影のある雰囲気には一定の評価はある。また、放送時には『武田信玄』の「今宵はここまでに致しとうございます」と同様に、各放送回の最後にルイス・フロイスが言った「アテブレーベ!オブリガード!」はその年の流行語になった。
[編集] スタッフ
- 原作・・・田向正健
- 脚本・・・田向正健
- 音楽・・・毛利蔵人
- 演出・・・重光亨彦・小松隆・柴田岳志・加賀田透・岡田健・吉川邦夫
- 監修・・・松田穀一
- 殺陣・武術指導・・・林邦史朗
- 振付・所作指導・・・猿若清三郎
- 記録・・・阿部格・石原美雪
- 語り・・・ランシュー・クリストフ
- ナレーション・・・加賀美幸子
[編集] キャスト
[編集] 織田家
- 織田信長:森田洸輔→山根隆明→緒形直人
- 帰蝶:榎本夕希→菊池桃子
- るい:高橋惠子
- しの:高木美保
- お市の方:中野美穂→鷲尾いさ子
- なべ:若村麻由美
- 織田信忠:類家大地→寺沢昌純→青木海→藤田哲也→東根作寿英
- 織田信雄:田原慎太郎→大泉翼
- 五徳:三海菜穂美→井上亜子→西村裕子→成田恵
- 織田信定:船越英二
- 織田信秀:林隆三
- 織田信広:村田泰則→岸本一人
- 織田信行:内山眞人→大友大輔→保阪尚希
- 織田信治:神田雄次
- 織田信光:長谷川明男
- 織田秀孝:谷田真吾
- 織田信康:加世幸市
[編集] 信長の家臣とその関係者
- 林通勝:宇津井健
- 柴田勝家:滝田栄
- 池田恒興:坂本徳志→的場浩司
- 木下藤吉郎→羽柴秀吉:仲村トオル
- ねね:中山美穂
- 明智光秀:マイケル富岡
- 平手政秀:二谷英明
- 平手久秀:黒田アーサー
- 佐久間盛重:本郷功次郎
- 佐久間信盛:田中健
- 丹羽長秀:杉本哲太
- 滝川一益:柴俊夫
- 前田利家:橋爪淳
- 河尻秀隆:森田順平
- 森可成:三上真一郎
- 森長可:野尻忠正
- 森蘭丸:石野太呂字
- 森坊丸:芦田昌太郎
- 細川藤孝:勝野洋
- 細川忠興:小林秀樹
- 玉:今村恵子
- 明智秀満:小野了
- ゆい(光秀娘、荒木村重妻):生田智子
- 斎藤利三:渕野俊太
- 毛利新助:青木健
- 服部小平太:堅田宏
- 高山右近:冨家規政
- 不破光治:石山律雄
- 荒木村重:本田博太郎
- 村井貞勝:西田圭
- 水野信元:大林丈史
- 酒井正親:大和田伸也
- 酒井忠次:林邦応
- 石川家成:長棟嘉道
- 平岩親吉:小野進也
- 本多重次:高品剛
- 鳥居忠吉:滝田裕介
- 内藤勝介:塚本信夫
[編集] 諸大名・武将
- 斎藤道三:芦田伸介
- 徳川家康:郷ひろみ
- 築山殿:島村佳江
- 松平信康:金子勝→早川亮
- 浅井久政:寺田農
- 浅井長政:辰巳琢郎
- 足利義輝:宮田恭男
- 足利義昭:青山裕一
- 斯波義統:山本寛
- 斯波義銀:山本耕史
- 和田惟政:新井康弘
- 今川義元:柴田侊彦
- 朝比奈泰能:俵一
- 斎藤義龍:広岡瞬
- 斎藤龍興:渡浩行
- 稲葉良通:篠田三郎
- 武田勝頼:北谷等→黒田隆哉
- 武田信勝:小橋賢児
- 武田信廉:黒部進
- 北条夫人:阿部朋子
- 馬場美濃守:荒木しげる
- 山県昌景:小山武宏
- 朝倉義景:北村総一朗
- 朝倉景鏡:田嶋基吉
- 朝倉景健:門田俊一
- 朝倉景恒:伊藤昌一
- 六角承禎:平泉成
- 六角義治:山口晃史
- 茶々:田原加奈子
- お江:津川里奈
- 浅井政澄:岡崎二朗
- 浅井七郎:安藤圭一
- 阿閉貞秀:佐和たかし
- 磯野員昌:片岡弘貴
- 三好長慶:中丸新将
- 松永久秀:清水紘治
- 小西行長:伊藤秀
[編集] その他
- ルイス・フロイス:アダム・ロビンス→フランク・ニール
- ロレンソ:稲川淳二
- 今井宗久:佐藤慶
- 千利休:伊藤孝雄
- 津田宗及:内田稔
- 山上宗二:河合隆司
- 島井宗叱:野島秀信
- 日比屋了慶:島田順司
- 顕如:伊藤富美也
- 教如:原豊
- 朝山日乗:内田勝正
- 飛鳥井雅教:松橋登
- 勧修寺晴豊:堀内正美
- 日野輝資:佐藤淳
- 伊東マンショ:重富孝→木村直雄樹
- 千々石ミゲル:佐藤洋匡→長崎真純
- 原マルチノ:柴田宗典→植松良介
- 中浦ジュリアン:光行透
- グレゴリウス13世:アントニオ・カンテリーニ
- ザビエル神父:テリー・オブライエン
- ガスパル・ヴィレラ:テリー・オブライエン
- アレッサンドロ・ヴァリニャーノ:ブライアン・バークガフニ
- オルガンティーノ:細川フランコ
- ヤジロー:龍飛雲
- ソテロ:リード・ジャクソン
[編集] 架空人物
- 加納随天(祈祷師):平幹二朗
- 喜八(秀吉家来):松原一馬
- りゅう:黒谷加奈子→西野まり→久我美智子→岡本舞
- 良吉:長谷有洋
- 宗吉:加藤雅也
- ディオゴ:モロ師岡
- かなえ:岩本多代
- 庄右衛門:森下哲夫
- その他:亀山助清、森康子
[編集] 関連項目
- 日本のテレビドラマ一覧-1992年のテレビドラマ