自動装填装置
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自動装填装置(じどうそうてんそうち、英:Autoloader)は、物体を別の容器や装置に機械で自動的に装填する装置を指す。
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[編集] 概要
「装填」(Loading)の語が軍事関係で多用されている事から、自動装填装置は砲弾またはミサイルを、砲またはランチャーに装填する装置を指す事が多い。
[編集] 艦砲
艦砲は口径も大きく砲弾重量が大になるため、早くから機力装填(きりきそうてん)が行われていた。機力装填は砲塔内部で行われる揚弾(ようだん)、閉鎖機の開放、砲弾の装填、薬嚢(やくのう)の装填、閉鎖機の閉鎖の工程のうち、弾薬庫から砲側まで砲弾を運搬する揚弾と、砲弾を砲へ押し込む装填動作のみを機械の力を使って行うもので、残りの工程は人力か、さもなくば人間が機械を操作して行っていた。したがって装填装置ではあっても自動装填装置とは異なる。
当時の装填装置の動作は決して早くなく、その結果、単位時間当りに発射される砲弾の合計重量は、より小口径で装填速度の早い砲のほうが多くなる可能性がある。日清戦争の黄海海戦で日本海軍の勝利は戦艦の副砲として採用されていたアームストロング速射砲のつるべ撃ちが上げた戦果が大きいといわれる。
また装填にあたってラマー[1]の力量の不足や装備位置の関係から、砲を特定の角度(装填角度)に戻さねばならない物が多く、このことが発射速度の向上を妨げる原因となっている。大口径艦砲の自動装填装置と呼び得る機構は、第二次世界大戦の末期にアメリカ海軍が建造したデ・モイン級重巡洋艦の203mm(8インチ)三連装砲Mk.16で採用されているが、時代はすでに大口径砲の撃ち合い自体を非現実的なものとしていた。
[編集] 高射砲
高射砲は弾幕を形成する必要から連射速度向上の要求が強く、機力を利用して装填を行う機構は、第二次世界大戦中のベルリンに建設された高射砲塔に装備された12.8cm連装対空砲40などにも装備されている。戦後の高高度対空兵器はミサイルが中心になっていったため、野戦高射砲自体が消滅してしまい、進化した高射砲用自動装填装置もまた現れなかった。
艦艇では、装備する砲槓兵器(ほうこうへいき)が第二次世界大戦中に平射砲(対水上目標専用)から両用砲(対空中・水上目標兼用)へ変わっていく中で、艦砲はしだいに単なる機力装填から自動装填へと機構が改良されていった。ミサイル万能論の時代には砲を装備しない艦艇も表れたが、その後の戦訓やコストの観点から砲槓兵器が再装備されるに至る。現代でも依然として対空目標への砲の使用が想定されており、そのため現代の艦砲はおおむね全て自動装填装置を備えた自動砲となっている。砲塔内が無人化されている砲も多い。また海水を使った砲身の強制冷却による連射性能の向上もあって連射速度は第二次世界大戦中の機関砲に相当するまでになった。
[編集] 戦車砲
戦車の主砲砲弾を自動的に装填する装置である。従来装填手が人力で行っていた砲弾装填をこの装置により装填手の必要がなくなり、採用された戦車は乗員数が3人ですむようになった。これは、人員削減・自動装填装置の高信頼化(日本・フランスなど)の他に、主砲の大口径化・砲弾の重量増大により人力装填の困難さ(旧ソ連)が自動装填装置の採用をうながしている。だが、人員削減による車体整備や警備等の負担増なのど問題が出ているため、アメリカ軍のM1エイブラムスのように、技術はあるものの、装填装置を搭載しない車両も存在する。自動装填装置を備えた主な戦車は以下の通り。
- AMX-13
- Strv 103
- Strv 103は1966年から量産されたスウェーデンの主力戦車。砲弾は車体後部のリボルバー式マガジンから自動装填装置によって砲に装填される。連射速度は毎分15発。砲塔を廃して主砲を車体に固定搭載しているため自動装填が容易になっている。主砲は西側で一般的なL7系列の105mm戦車砲であるが、砲身長の延長と自動装填装置に適合させるために改良されたL74と呼ばれる専用モデルとなっている。
- T-64
- T-64は1964年に確認された旧ソ連の主力戦車。AMX-13とStrv 103における自動装填装置の採用の目的が車体の小型化にあったのに対し、旧ソ連の採用理由は弾薬の大型化を避け、合わせて車体の小型化を図るためと言われている。西側に対抗してより大口径の主砲を採用したソ連では弾薬の大型化による装填操作の作業効率低下を問題にし、弾薬を弾体と金属薬莢に納めた発射薬に分離し、これを機力によって自動装填するコルジナと呼ばれる自動装填装置を開発し、T-64で初めて採用した。コルジナは砲塔下車体底部を中心に同心円状に並べられた砲弾と発射薬を装填装置のアームですくいあげてラマーで砲に装填する機構で、可動部の動作範囲が大きかった。このため砲塔左側に乗務している砲手の右腕を巻きこんで切断する事故が多発したという。当時の西側情報筋では、コルジナは「人を喰う」と噂された。
- T-72
- 90式戦車
- ルクレール
- 140mm砲戦車
- 近い将来登場するといわれている120mm超級の戦車砲、たとえばラインメタルの140mm戦車砲では、砲弾重量が過大(一説には液体火薬を薬室内に充填し、電気雷管で発火させて発砲するシステムを開発中という噂もある)で連続した人力装填は難しいと考えられ、自動装填装置を採用すると見られている。
[編集] 要塞砲
自動装填には動力が必要になるので、本来なら野戦にはむかない装備である。艦艇や戦車なら動力を得ることはたやすいし、また内燃機関の装備が容易な現代では動力の有無はあまり問題にならないが、そうでは無い時代には大きな問題となった。このため機力装填装置を備えられる陸砲は設備が完備した要塞に備えられた要塞砲が多かった。同時に要塞砲は機動性を備える必要が無く、むしろ威力の増大を求めて巨大になりがちだったから、砲弾の装填を機力で行う必然性があったといえるだろう。
日本の要塞には軍縮で退役した戦艦の艦砲を砲塔ごと再利用した要塞砲があったが、当然これらには装填装置が最初から備わっていた。
[編集] 自走砲
フランスのAUF1(AMX-30 GCT)や陸上自衛隊の75式自走155mm榴弾砲は自動装填装置を装備しており、高い発射速度を誇った。75式はリボルバー式のマガジンを使用し、装弾数は18発で連射速度は毎分6発だった。同じく自衛隊の99式自走155mmりゅう弾砲や旧ソ連の2S19MSTA-S 152mm自走榴弾砲では完全自動装填が実現されており、砲を装填角度に戻す必要が無くなっている。2S19は最高で毎分8発の連射速度を発揮する。砲迫レーダーが装備された現代では、榴弾砲には持続射撃とともにバースト射撃の能力も求められているため、この種の装置の採用例が増える傾向にある。しかしながら自動装填装置の採用は車両の取得コストを押し上げる要因となり、結果、各国とも装備数量は少なめとなっている。
[編集] ミサイル
ミサイルの弾体は推進装置を含むために巨大であり、主に戦後に開発が進められたこともあって、当初から自動装填装置が採用されていた。アメリカ海軍のテリア対空ミサイルシステムでは、ミサイルが弾庫から水平にランチャーに装填されるMk.10がレイヒ級やベインブリッジなどに装備されたし、のちにはスタンダード対空ミサイルを円形のドラム型弾庫に縦に納め、ミサイルを下から弾庫上のランチャーに装填する単装のMk.13ランチャーがO・H・ペリー級などに、同じ機構で連装のMk.26がキッド級やタイコンデロガ級(初期建造艦)などに採用された。
独仏共同開発のローランド地対空ミサイルシステムは車体に予備ミサイルを搭載しており、ミサイル発射後は自動でミサイルがランチャーに再装填される。日本の81式短距離地対空誘導弾はこのような装置を持っておらず、ランチャー上の4発のミサイルを打ち尽くした後のミサイルの再装填は人力で行われる。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
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